摂食障害の人の心理的特徴として、承認されたいという欲求や、こうでありたいというような強迫的な思いがきっかけとなるアディクション(嗜癖)があります。この方法を使って人に認められて、自分の価値を確かめるというような歪んだ自己認知からくるものです。今回、摂食障害の認知と情動パターンについて、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。
目次
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摂食障害の人は、歪んだ自己認知から、やせたいという願望と体重への強迫的なこだわりがあります。これは、行動を起こす元になっている心の状態となります。
周囲の賞賛や評価を求めようと、強迫的に勉強したりすることもあり、これは優秀・有能でありたいという評価指標に基づいています。
摂食障害行動自体が心のSOSを表現しているもので、必要に迫られて行動しています。この賞賛や評価を求める心理から来る気持ちを本人が認め、食行動(勉強や仕事も)については食べてしまうこと、拒食・節食が続くことを自ら許せるようになることが必要です。
対人援助職のためのアディクションアプローチ P44
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食行動だけでなく他のことにも認知のパターンが存在します。
「べき思考」では、自分自身の価値観に基づく物差しを使用せず、社会一般にいわれている評価基準に従った考え方をする心理があります。
例えば、子供の頃から言われてきた教えや、学校や社会的に広く知れ渡っている考えに沿い自分のことも考え、行動していかないといられないような態度とそこからくる苦しさがあります。
優秀な学校に入学することなどに極端に価値を置き、葛藤がみられます。
今現在の自分を認めていくという自己認知の柔軟性が欠けた状態です。
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様々なことを一般化していく思考です。
「べき思考」が根底にあり、周囲へ向けられた時に、周囲が皆達成していると思うような心理です。
例えば、自分の同僚が仕事を完璧にこなす人だと、それが全てになり、社員全員が仕事が完璧にできるというようになります。また、一人の人から少しの嫌みを言われるだけでも、全員から嫌われているというようになります。これは、低い自己評価から生じる心理です。
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アルコール依存症では「わりきり」があり、否認からくるものですが、摂食障害の方の場合、自己評価から物事を極端に捉えてしまう傾向があります。自分に関することは黒く(悪)、それ以外のことは白く(良)評価しようとする心理です。
似たような心理傾向として、「心のサングラス」「双眼鏡のトリック」があります。
心のサングラスでは、自分の事を黒いサングラスをかけて物事を見るような心理で、双眼鏡のトリックでは、他者の事は双眼鏡により大きく見え、自分のことは双眼鏡を反対に持ち実際より小さく見えるような心理です。
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自分に関する良い事、達成できたこと、成果があったことなどを取り上げずに無視する心理です。他者からの評価への欲求があって、体重などにこだわりがありながらも、他者からの評価を素直に受け取れない、達成感を感じられないということがあります。
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否定的な結論に飛躍してしまい、決めつけた結論に対して先取り不安を抱く傾向があります。
ものごとに対する楽観性や、情報収集により現実的に受け止めるような心理がうまく働かないことによって生じます。
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摂食障害の人は、他者からの評価を直接的に求めようとするため、他者との境界線があいまいになり、他者の態度(顔色、言動)に振り回されてしまう心理があります。
余分な責任取りとは、相手の感情や行動、考えが、自分がきっかけとなっていると考えてしまう心理です。
相手が不機嫌なことに対して、自分に責任を感じることからなんとかしようと動いたりします。
集団では場の雰囲気や結果の責任を自分に感じ、責任を果たそうとすることがあります。自分がうまくリーダーシップを発揮できなかったから、自分がうごけなかったからだと否定的なかんがえばかりが生じます。
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他者の心の中(考えていることなど)を勝手に推しはかり、それに対して感じたり行動したりする心理です。
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場にふさわしい自分であろうとする心理です。
自分の本当に思っている気持ちや考えは表さず、他者から求められている役割をこなし、相手が喜ぶであろう行動、言動をしようとする心理でもあります。
前途したマインドリーディングや過剰適応も、相手や場が求めることを正確には把握できず、自分主体との違和感も大きくなることから、不全感(何にも満足できないといった感じ)が大きくなります。
これは援助職に対しても向けられ、面接でうまく話せていないのは自分のせいだと相談の場の不全感の責任をとろうとすることがあります。
このことから、援助職の気持ちを推し量ろうとしたり、援助職が期待するように動くようなことが見られる場合には、そこを取り扱っていく必要があります。
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親しい相手への承認欲求が社会化(承認欲求に対して年齢相応の対処の仕方が身についていない)されていない場合、母性的な対応(聞いて、ほめて、かまってなど)を常に求め、それが叶わない、無理だということを恐れたり、対人関係に不満や怒りを持つ心理です。