運動ニューロンと言うと、α運動ニューロンやγ運動ニューロンが思い浮かぶと思います。今回、筋緊張に関わるγ運動ニューロンの特徴から考える筋緊張の高めかた(適切な筋緊張に調節できるか)についてまとめていきたいと思います。
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筋緊張に関わるγ運動ニューロンの特徴から考える筋緊張の高め方(適切な筋緊張に調節できるか)
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α運動ニューロンとγ運動ニューロンについて復習
α運動ニューロン
α運動ニューロンは、筋繊維(錘外繊維)を支配し、伸張反射に関与し、実際の筋収縮を起こすために必要な運動神経細胞です。
ひとつの運動ニューロンがいくつかの筋繊維を支配し、それらを合わせて運動単位といいます。
γ運動ニューロン
γ運動ニューロンは、錘内繊維(筋紡錘の中に存在)を支配し、筋紡錘に入力します。
筋緊張の調整はどのように行われるか
筋緊張のコントロールを、脳の側面から考えた場合、大まかには抑制系と促通系に分けることができ、その制御は脳幹で行われています。
筋緊張の抑制系は脳幹網様体が関与し、「脚橋被蓋脚(PPN)」や「抑制性網様体脊髄路(橋網様体脊髄路、延髄網様体脊髄路)」があります。
一方、筋緊張の促通系には「前庭脊髄路」「促通性の網様体脊髄路」などがあります。
筋緊張の抑制系はさらに上位レベルでは補足運動野や大脳基底核が関与し、促通系は運動前野や小脳が関与します。
これらの上位中枢からの調整により、γ運動ニューロンを介して筋紡錘に作用し、適切な筋緊張が保たれます(筋紡錘の張りを調節する)。
なお、この調整は無意識的に、自動的にコントロールがなされることが特徴です。
γ運動ニューロンには種類がある?
γ運動ニューロンには動的γと静的γがあります。
動的γ運動ニューロン
動的γ運動ニューロンは、Ⅰ型核袋繊維を支配しています。
動的γ運動ニューロンに電気が流れていると、Ⅰa感覚神経応答の感度が高まるとされています。
なお、Ⅰa繊維はα運動ニューロンに速さの変化を伝える役割があります。
静的γ運動ニューロン
静的γ運動ニューロンは、2型核袋繊維を支配しています。
静的γ運動ニューロンに電気が流れていると、Ⅱ感覚神経応答の感度が高まるとされています。
なお、Ⅱ繊維はα運動ニューロンに長さの変化を伝える役割があります。
γ運動ニューロンの種類の違いによる中枢からの調節
先ほど、γ運動ニューロンには動的γと静的γがあることをお伝えしました。
そしてこれらには別々の中枢性の調節がなされています。
まず、動的γ運動ニューロンですが、これには主に延髄網様体からの中枢性の調節が関与しています。
また、静的γ運動ニューロンですが、これには主に橋網様体や前庭脊髄路からの中枢性の調節が関与しています。
すなわち、延髄網様体からの中枢性の調節が動的γ運動ニューロンを介して、Ⅰa感覚神経応答の感度を高めています(筋の速さの変化に関与する)。
また、橋網様体や前庭脊髄路からの中枢性の調節が静的γ運動ニューロンを介して、Ⅱ感覚神経応答の感度を高めています(筋の長さの変化に関与する)。
ここで理解しておきたいこととして、延髄網様体からの中枢性の筋緊張調節では、伸筋は遠心性の従重力コントロールに関与するということです。
また、橋網様体や前庭脊髄路からの中枢性の筋緊張調節では、伸筋の求心性の抗重力コントロールに関与するということです。
γ運動ニューロンの特徴から考える筋緊張の高め方(適切な筋緊張に調整できるか)
ここで、どのようにアプローチすることで、適切な筋緊張に調整できるのかということを考えていく必要があります。
復習になりますが、適切な筋緊張調節のメカニズムとして、
・延髄網様体からの中枢性の調節が動的γ運動ニューロンを介して、Ⅰa感覚神経応答の感度(速さ)を高める(伸筋の遠心性従重力コントロール)
・橋網様体や前庭脊髄路からの中枢性の調節が静的γ運動ニューロンを介して、Ⅱ感覚神経応答の感度(長さ)を高める(伸筋の求心性抗重力コントロール)
ということがありました。
このことから、重力下において姿勢筋緊張を適切に保つには、上記の2つのメカニズムを理解し、それらの賦活を行う必要があるということになります。
例えば「スクワット課題」においては、
・膝屈曲をさせる時には速度を求め、下肢伸筋の遠心性従重力コントロールを意識させることで、動的γ運動ニューロンの賦活を図ります。
・膝伸展させる時には、長さ(ゆっくりと)を求め、下肢伸筋の求心性抗重力コントロールを意識させることで、静的γ運動ニューロンの賦活を図ります。
上記のような、伸筋の遠心性従重力コントロールや伸筋の求心性抗重力コントロールを訓練課題に意識的に取り入れることで、適切な筋緊張コントロールが行えるようにしていくことが必要になります。
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