手術後は状態が落ち着き次第できる限り離床を促し、身体・精神機能の賦活を図っていくことが求められます。今回、術後の臥床行動と離床拒否の解消の仕方のヒントを示していきたいと思います。
目次
術後の臥床行動と離床拒否はどう解消するか?離床の促し方と定着のポイント!
スポンサードサーチ
離床についてのおすすめ記事
スポンサードサーチ
術後の離床拒否が生じる原因
離床拒否の原因
手術後では離床がなかなか進みにくい方をしばしば経験することがあります。
手術後に離床拒否が生じる原因としては以下のようなことが挙げられます。
・疼痛が強いため
・認知機能低下により離床の意義が理解できないため
・離床しないことを注意されることでさらに離床意欲が低くなる
離床拒否の原因①疼痛
手術が行われると組織が侵害されるため、炎症反応が生じます。
ちなみに、急性期の疼痛は術後〜2週間(3週間との意見もある)ぐらいの間までだとされています。
炎症が存在すると、侵害受容器(自由神経終末)の閾値は低くなります。そのため運動が引き金となって、疼痛は生じやすくなります。
運動により疼痛があると逃避収縮が生じます。
それによる筋の持続的な収縮は局所循環を悪化させ、発痛物質が蓄積し発痛を引きおこします。
痛みによる反射的な筋収縮は筋紡錘の感度を高めます。
すると、少しの伸張刺激でも筋は収縮し、痛み刺激となり痛みが生じやすい状況を作り出してしまっています。
このような術後疼痛がある場合、離床する際の動作時痛も加わって、どうしても離床に対してネガティブな印象や感情を持ってしまいます。
特に認知症者の場合、ネガティブな感情や情動は残存しやすいため、離床拒否に繋がる状況を作ってしまいます。
離床拒否の原因②認知機能低下により離床の意義が理解できない
認知症などにより認知機能が低下している場合、離床することの意義を理解できないことがあります。
認知機能がクリアな対象者では、離床する意義を説明されるとそれを理解し、疼痛があっても離床が進みやすいと言えます。
認知機能が低下し離床の意義が理解できない場合、セラピストやケアスタッフは対象者に対して離床を促しますが、離床できない場合に注意をすることも時にはあるでしょう。
この時対象者にとって、「注意を受ける」という体験は負の情動体験を伴います。
この負の情動体験が嫌悪刺激となり、さらなる離床拒否につながってしまうことも考えられます。
離床拒否の原因③離床しないことを注意されることでさらに離床意欲が低くなる
前途しましたが、注意や叱責などの負の情動体験を受けると、離床に対する動機付けは大きく低下するでしょう。
術後離床拒否について、以下のような負の循環があります。
即時的に創部痛が生じるであろう.臥床時間が長くなれば,腰痛なども生じる.疲労感や息切れを生じる可能性も高い.これらは嫌悪刺激である.
一方,離床によって体が楽に動かせるようになる訳ではない.合併症の予防は重要だが,それについて説明を受けても認知症の対象者では理解できない可能性が高い.
つまり,認知症の対象者にとって早期離床は弱化,消去されやすい行動なのである.
こういった行動を強制されるとムカムカイライラなどの情動反応(レスポンデント行動)が生じる.
離床には,セラピストの顔や声が対提示されているので繰り返せば,レスポンデント条件付けによってセラピストは条件性嫌悪刺激化する.
対象者は,セラピストの顔を見るだけでムカムカするようになる.このような状況下では,触るなほっといてくれなどの攻撃的な言葉を伴う訓練拒否が生じやすくなる山崎 裕司他「認知症に対する応用行動分析学的介入」平成28年度 高知リハビリテーション学院紀要 第18巻
認知症者では、負の情動(不快刺激)は持続しやすいため、注意を繰り返していると、セラピストの存在自体が嫌悪刺激となることがあります。
運動学習理論においてもコーチングにおける負のフィードバックはマイナスにしかならないと言われていますが、術後離床においても同様のことが言えます。
スポンサードサーチ
離床の促し方と定着のポイント
ここで、離床を促し方と定着のポイントについて解説をしていきます。
前途した、
・疼痛が強いため
・認知機能低下により離床の意義が理解できないため
・離床しないことを注意されることでさらに離床意欲が低くなる
の3つの要因を含めながら考えていきます。
術後すぐで炎症性の疼痛が強い場合、鎮痛剤の服用に合わせた離床を促すことが必要になります。
また離床前にリラクゼーション等を行い、セラピストの離床誘導自体が嫌悪刺激にならないように配慮する必要があるかもしれません。
セラピストは離床を促す際に、離床拒否があればベッドサイドで傾聴をするという行動をよくとります。
そしてベッドサイドで関節可動域運動を行うことも良くあるパターンでしょう。
しかしながら、その行動がさらに離床を促すことを難しくしている可能性もあります。
それはなぜかというと、対象者にとっては臥床していることで話を聞いてもらえたりリラクゼーションを受けられるということが、快刺激となり離床を妨げていることにつながっているかもしれないからです。
そのような側面から考えると、例えば昼食などを理由に強引に離床させている時に、よく話しかけたり話を聞いたり、賞賛を与えたりスタッフの笑顔を見せるなどの刺激を与えることの方が、離床を促しやすくなるかもしれません。
リハビリスタッフは対象者と関われる時間は少ないですから、ケアスタッフ(看護師や介護士)と連携を取り、対象者が座れている時には積極的に話しかけたり賞賛してもらうなどの報酬を与えるようにすることが必要になります。
以前関わった方では、行動療法的に報酬を与えたことがありました。
その報酬は「お菓子を渡す」ということで。
その方はお菓子が大好きで、お菓子を食べれることを匂わすと、離床してくれる方でした。
しかしながらこのような方法は、報酬がないと動いてくれないというように、長期的にみていくと成果につながらないこともありますので、注意しながら対応を見極めていく必要があるでしょう。
スポンサードサーチ
動画でさらに詳しい解説を確認
チャンネル登録よろしくお願いします⇨https://bit.ly/37QHaWc
呼吸療法認定士の資格を取りたい方は必見
呼吸療法認定士の資格勉強は隙間時間にするのがコツです。呼吸療法認定士 eラーニング講座
スキマ時間勉強ならリハノメ
PTOTSTのためのセミナー動画が見られます。各分野のスペシャリストが登壇しているので、最新の知見を学びながら臨床に即活かす事が可能です。
セミナーあるあるですが、、、メモ取りに夢中になり聞き逃してしまった。
なんてことはなくなります。何度でも見返す事が可能だからです。
高額なセミナー料+交通費、昼食代を支払うよりも、スキマ時間を見つけて勉強できる「リハノメ」を試してみるのも良いのではないかと思います。
臨床で差をつける人は皆隠れて努力していますよ。
長い期間で契約したほうが、月額が安くなります。
PT.OT.STのための総合オンラインセミナー『リハノメ』
PTOTSTが今より給料を上げる具体的方法
転職サイト利用のメリット
何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。転職活動をする上で、大変なこととして、、、
仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる
この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)
管理人は転職サイトを利用して現在の職場に転職しました。
コーディネーターの方とは主に電話やLINEを通してのコミュニケーションを中心として自分の求める条件に合う求人情報を探してもらいました。
日々臨床業務をこなしながら、パソコンやスマホで求人情報を探すというのは手間ですし、疲れます。
そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。
転職サイト利用のデメリット
デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。
それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。
そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。
転職サイトは複数登録することも必要
転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。
せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。
その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。
また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。
自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。
とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!
ネット検索にある転職サイトの求人情報は表面上の情報です。最新のものもあれば古い情報もあり、非公開情報もあります。
各病院や施設は、全ての求人情報サイトに登録する訳ではないので、複数登録する事で より多くの求人情報に触れる事ができます。
管理人の経験上ですが、まずは興味本位で登録するのもありかなと思います。
行動力が足りない方も、話を聞いているうちに動く勇気と行動力が湧いてくることもあります。
転職理由は人それぞれですが、満足できる転職になるように願っています。
管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。
「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典
転職サイト一覧(求人情報(非公開情報を含む)を見るには各転職サイトに移動し、無料登録する必要があります)
①PT/OT/STの転職紹介なら【マイナビコメディカル】