心疾患に対するリハビリテーションでは、心電図モニター管理を行いながらリスク管理を行うことがあります。心室細動や心室頻拍は危険な波形であり、それを読み解く必要があります。今回、危険な波形(心室細動(VF)、心室頻拍(VT))の心電図モニターの見方をまとめていきたいと思います。
目次
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まずは、心室の位置を確認していきます。
刺激伝導系においては、
洞結節、房室結節、心房、ヒス束を合わせて上室と呼びます。
また、右脚、左脚、プルキンエ繊維、心室を合わせて、広い意味での心室と呼びます。
心室細動は、心室性不整脈の一種であり、致死的不整脈でもあり命の危険を伴うことがあります。
心室細動では、心室筋が無秩序に興奮し、痙攣を起こしている状態です。
心室細動では、正常な電気刺激の伝道は見られません。
心室筋の無秩序な興奮により細かな痙攣を起こしている状態なので、正常なポンプ作用は働きません。
そのため、心拍動はなく血液循環は停止されます。
心室細動は心臓が停止している状態のため、心室細動が続くと数秒で意識を失います。
モニター心電図における心室細動の特徴としては、以下のような特徴があります。
心室筋が無秩序に興奮し、痙攣を起こしている
→P波、QRS波、T波は消失(認識不可)
波形の大きさや形、振り幅が不規則
基線は不規則に揺れる
心室細動が生じ、意識レベル低下や呼吸・脈拍が無い状態は緊急を要する状態です。
心室細動には除細動が有効なので、まずは応援を呼び、AEDの手配とドクターコールをしてもらいます。
除細動到着までの間は胸骨圧迫を行います。
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心室頻拍(VT)は、心室性不整脈の一種であり、致死的不整脈でもあり命の危険を伴うことがあります。
心室頻拍は、連続した異常興奮が心室で生じている状態です。
この連続した異常興奮により、心拍は頻脈になります。
心拍数は100-200/分程度になります。
心室頻拍では、異常興奮が刺激伝導系を介さずに心室内をゆっくりと伝わることが特徴です(通常は刺激伝導系を通ると素早く刺激伝道が生じる)。
心室頻拍では心拍出量が低下しますが、これは拡張期が短くなることにより適切な量の血液を溜めることができないためです。
これにより血圧低下が生じ、脈が触れなくなる場合もあります(無脈性心室頻拍)。
モニター心電図における心室頻拍の特徴としては、以下のような特徴があります。
連続した異常興奮が心室で生じている
→頻拍(100-200/分程度)
異常興奮が刺激伝導系を介さずに心室内をゆっくりと伝わる
→QRS間隔が広い
モニター心電図で心室頻拍が確認された場合、意識レベルや血圧、脈拍の確認を行います。
意識レベル低下や血圧低下が確認された場合は、応援を呼ぶとともに、胸骨圧迫を開始します。