注意障害では、その障害が重度なほどADLやiADLの自立度が低下することが知られています。今回、注意障害に対するADL汎化に向けた包括的アプローチの方法についてまとめていきたいと思います。
目次
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注意障害によるADL・iADLへの影響と汎化に向けた包括的訓練の方法!
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TMT(Trail Making Test PartA・PartB)の結果とADL障害
Trail Making Test PartA・PartB
注意機能の評価方法としてよく用いられるTrail Making Test PartA・PartBですが、この検査結果とADLへの影響を考えていきます。
TMT-Aは、注意の選択性や覚醒度を評価することが可能です。
またTMT-Bは、同時に2つ以上の刺激に注意を払い、他の情報を意識しながら別の情報を処理する能力が必要で、注意の能動的制御機能を評価することが可能です。
豊倉ら(1996)によると、TMT-Bは60歳代の平均完遂所要時間は、216.2±84.7秒とされ、平均値+1標準偏差内である300秒以内で60歳代までの健常成人約68%が完遂可能とされています。
注意の能動的制御について
注意の能動的制御(Supervisary Attentional System:SAS)は、行動制御において、SASが適切な行動を選択できるよう制御することによってエラーなく課題遂行が行われるというモデルです。
すなわちSASが不十分だと、誤った行動が選択され、課題遂行にエラーが生じてしまうことになります。
SASが働くのは、
①未習熟な行為や新奇性の高い行為の実行
②行為自体が危険である・難易度の高い行為と判断された場合
③エラーの修正や解決
④習慣性の高い行為や衝動性の制御が必要とされる時
⑤行為の企画や決定が求められる時
だとされています。
注意の能動的制御は、情報を収集や監視・管理(モニタリング)して望ましくない行動を抑制しながらの行動修正、適切な行動を実施において必要不可欠な要素になっています。
TMT(Trail Making Test PartA・PartB)の結果とADL障害
作業を用いた直接刺激法による注意機能向上の効果と汎化―注意障害に対する作業療法における基礎的研究-によると、
A・B困難:
食事・トイレ・コミュニケーションなどの基本的ADLにも障害がみられる.
注意機能は低下しており,抑制不良で,遂行機能障害が認められる.
多くの指示・助言・見守り・監視が必要とされる段階.B困難:
基本的な日常生活動作が可能な段階から,家事など応用的日常生活動作が行える段階への移行期.
基本的なADLが可能であれば,施設内の売店での買い物や趣味的作業等のAPDL/IADLが行える者もいるが、注意障害・記憶障害を認める.
自身の置かれた状況の認識や病識,誤りの気づきに乏しい状態で,見守りや介助の必要な院内生活のレベル.B300秒以上:
院内生活自立の状態から,職業復帰・社会復帰を検討する段階への移行期.B300秒未満:
職業復帰が検討される段階.
ADL,APDL/IADLに大きな問題はないが記憶障害を認めるため,完全な自立ではない.
職業復帰を目標としているが,記憶障害の為何らかの制限を認める.
自己の置かれた状態が認識可能で、記憶障害があっても自己修正が可能な場合もあるが,失敗も多く,心理状態としては不安定さを認めることもある.
とされています。
上記のように、TMTA・Bの施行結果から、おおよそのADLの状態を把握することが可能です。
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注意障害におけるADL・iADL汎化に向けた包括的訓練の方法
重症度に応じたADLの目標設定と介入へのポイント
重症者では、エラーの自己管理が困難(問題に気づけないレベル)であり、課題遂行には多くの指示や監視が必要となります。
また、単純な物事への注意の選択や覚醒を維持が困難であることから、課題そのものに持続的注意を向けることが目標設定になります。
注意障害の改善に伴い課題遂行への注意維持ができるようになった段階では、次に自身の置かれた状況の認識や病識、誤りの気づきを促していくことが求められます。
自己の置かれた状態が認識可能になってくれば、次の段階では自身の障害の特徴から問題を予測し、もしエラーが生じれば対処していくというような応用的な能力が必要になります。
ADL・iADL汎化に向けた包括的訓練
ADL・iADL汎化に向けた包括的訓練では主に、
①直接アプローチ
②特定の活動・知識の獲得(特定の活動を何度も反復して繰り返し練習することによって学習につなげる)
③精神的アプローチ(意味ある作業を用いたり、賞賛や承認によってモチベーションや自己効力感を高める)
④家族指導
⑤職種間連携
などが用いられます。
課題遂行時に注意持続が困難な場合、対象者にとって重要で意味ある作業を課題に用いたり、課題遂行の際にモチベーションを高められるような関わりをすることによって注意集中を促します。
直接アプローチはATPなどを用いて行われますが、このアプローチでは注意機能そのものの改善により他の生活動作の際の学習効果を高めることが期待されます。
その際、エラー管理(誤りの気づきと自己修正)にもつながることでADL・iADLの動作遂行の到達度も高くなることが考えられています。
自己修正が行えないまでも、エラーの気づきが行えるようになったのであれば、代償手段を用いることも可能になる可能性が高まります。
そのため、リハビリ場面では課題遂行のための特定の活動や知識の獲得を促しながら、注意機能に対する直接アプローチを行うことでADLやiADLの到達度を高めるようなアプローチを取ることが多くなります。
課題遂行後には、振り返りの機会を設けることが重要です。
振り返りにより顕在記憶化は強化されるため、エラーの指摘を行ったり、エラーに気づく促しやエラーの修正を促すことを行います。
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高次脳機能障害でアウェアネスどう評価し、どう高めるか
⇨効果を高める!高次脳機能障害のリハビリテーション-アウェアネス(病識・認識メタ認知)をどう評価し、どう高めるか-
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