今回は、変形性股関節症に対する保存的治療とリハビリテーションについてまとめていきたいと思います。
目次
変形性股関節症に対する保存的治療とリハビリテーション-原因は?初期症状は?痛みは?ストレッチは?筋トレは?生活の工夫は?-
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変形性股関節症の概要

- 主な症状は、股関節(脚の付け根)の痛みと機能障害
- 痛みや股関節の可動域制限が生じ、日常生活動作が障害される
- 長時間の立位や歩行が困難になり、進行により運動しない時も常に痛むようになり、夜間痛みも生じる
- 階段昇降やしゃがみこみ、立ち上がりが不自由になり、可動域制限が進行すると足の爪切りや靴下の着脱、正座などが困難になる

- 女性に多く、発育性股関節形成不全の後遺症や股関節形成不全主な原因で股関節症全体の80%を占める
- 加齢による股関節症を発症も増えている
- 初期関節症では関節の隙間が狭くなる(軟骨の厚さが薄くなる)、軟骨下骨が硬くなる(骨硬化)
- 進行期・末期関節症では関節の中や周囲に骨棘形成(異常な骨組織)、骨嚢胞(骨の空洞)ができる
- 最終的に荷重部の関節軟骨は消失し、軟骨下骨が露出する
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変形性股関節症と痛み

- 特徴
・鼠蹊部に多い
・長距離歩行後の違和感、軽い鈍痛
・数ヶ月〜数年で増悪と軽減を繰り返しながら進行
・荷重や運動で疼痛が生じ、安静で軽減する
・炎症が強くなると持続的となり安静時や夜間も生じる
・ほとんど痛くない場合もある(関節内の炎症がないパターン)
・筋の変性による痛みもある
・股関節以外の関連痛(大腿前面から膝)
⇨神経痛

- なぜ痛いか
・滑膜炎
・筋肉の疲労やだるさ
・軟骨下骨の破壊や硬化
・機械的刺激による滑膜炎
・大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI):寛骨臼と大腿骨頸部の接触により軟骨損傷が生じる
⇨関節唇損傷により炎症が生じ痛くなる

- 痛みが慢性化すると脳への影響も生じる
- 視床下部→自律神経障害
- 慢性化しないようにすることが重要

- 関節への負担を軽減し、炎症が長引かないようにする
- 自己管理のための疾患の知識を得る
- 活動量が高すぎると負担がかか
⇨痛みがある場合は活動量を最小限にする
安静時や夜間に痛みが強い場合は要注意
仕事で難しい場合はそれ以外の時間の活動量を調整 - 痛みの波を最小限にする
⇨痛みが弱まってもすぐに元の活動量に戻さない

- 負荷の高い運動や動作を避ける
⇨スポーツや趣味活動
階段昇降や床での動作など - 負荷を軽減できる環境調整を行う
⇨様式生活、手すり使用や立ち上がりやすい椅子など - 体重をコントロールする
⇨標準体重よりも体重が1kg増えると股関節に約4倍の負荷がかかる
標準体重=(身長(cm)−100)×0.9 - 杖を使用する
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変形性股関節症とストレッチ

- 股関節接触応力
股関節にかかるストレスの指標 - 股関節接触応力の95%程度が筋張力によるもの(5%は重力)
- そのうち中臀筋と大臀筋が多くを占める
- 筋張力は筋の柔軟性と筋の活動量の影響を受ける
- 臼蓋形成不全では股関節周囲筋の筋力は発揮しにくい
⇨歩行時の筋活動量が大きくなり、柔軟性が低下→歩行時の筋張力高くなる - 歩行時の股関節接触応力が高くなる
- 臼蓋形成不全も加わり、軟骨を破壊しやすい
- 変形性股関節症の進行防止に重要なこと
・筋の柔軟性改善
・柔軟性の低下を防ぐ
- 普段からストレッチすることを意識する
- 進行してからでは難しい場合も多い
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変形性股関節症と姿勢

- 姿勢と股関節機能には深い関係がある
- 骨盤後傾、腰椎後弯
⇨大腿骨頭臼蓋被覆率(臼蓋が大腿骨頭にどの程度かぶさっているかを示した割合)が低下
関節応力が集中し関節軟骨破壊につながる - 進行予防には、骨盤後傾、腰椎後弯を改善する必要がある

- 腰椎の前彎、後彎は、第3腰椎がキーポイントになる
- 第3腰椎は水平な位置をとっており、前彎のスタートになるため
- 第4・5腰椎は、仙骨が傾いた方向と同じ動きをし、第3腰椎は水平のままで動きを切り替える
⇨第3腰椎はモビリティーとスタビリティーが必要になる
- 腰椎を前彎させるために必要な筋
・多裂筋
・腸腰筋(主に大腰筋)
- 多裂筋が収縮(toneが上がる)すると腰椎を前彎させ、骨盤は前傾
- 多裂筋が弛緩(toneが下がる)すると腰椎を後彎させ、骨盤は後傾
- 大腰筋が収縮(toneが上がる)すると腰椎を前彎させ、骨盤は前傾
- 大腰筋が弛緩(toneが下がる)すると腰椎を後彎させ、骨盤は後傾

- 腸骨筋が収縮(toneが上がる)すると、股関節は屈曲し、骨盤・体幹は前傾位となる
- 腸骨筋が弛緩(toneが下がる)すると、股関節は伸展し、骨盤・体幹は後傾位となる
- 大腿直筋が収縮(toneが上がる)すると、股関節は屈曲し、骨盤・体幹は前傾位となる
- 大腿直筋が弛緩(toneが下がる)すると、股関節は伸展し、骨盤・体幹は後傾位となる
- ハムストリングスが収縮(toneが上がる)すると、股関節は伸展し、骨盤・体幹は後傾位となる
- ハムストリングスが弛緩(toneが下がる)すると、股関節は屈曲し、骨盤・体幹は前傾位となる

- 腸骨筋
立位では、股関節伸展、骨盤・体幹後傾位での姿勢をキープするには、股関節屈曲の作用が必要になる、腸骨筋の機能低下があると、股関節を屈曲させることで重力に従うような姿勢をとることがある
- 大殿筋
- 大殿筋の弛緩(toneが下がる)する場合には、
- 股関節屈曲・骨盤前傾
股関節伸展・骨盤後傾 どちらのパターンについても考える必要がある
⇨腸骨筋の機能低下の有無によって変わる
- 腸骨筋の機能低下がある場合:
腸骨筋の収縮により抗重力的に股関節伸展が行えず、股関節屈曲・骨盤前傾位になる - 腸骨筋の機能低下がない場合:
大殿筋の弛緩(tone低下)を重力に従うように股関節伸展・骨盤後傾位をとる

- 猫背姿勢の方では、大胸筋、小胸筋などの前胸部の筋が短縮が多い
- 頭部が前方に変移しやすくなり、胸椎の後彎を強めてしまう
- 脊椎の後彎姿勢は腰背部筋の過剰使用につながり、腰背部痛の原因となる
- 前胸部の柔軟性を改善することが姿勢矯正には必要になる
- 僧帽筋中部や下部繊維の筋力低下があると、肩甲骨は外転、下方回旋方向に変移し、不良な姿勢アライメントにつながる
- この姿勢は、上半身の重心が前方に移動し、脊椎後彎しやすい
- ただし、前胸部の柔軟性がなく、緊張しているような状態では僧帽筋の筋機能は発揮されにくくなる
- 前胸部の柔軟性を獲得した上で、僧帽筋のトレーニングが行われる必要がある

- 姿勢と股関節機能には深い関係がある
- 骨盤前傾、腰椎前弯
⇨過剰になると進行させる原因になる
過剰な骨盤前傾、腰椎前弯が続くと腰背部筋の柔軟性低下
⇨床リーチ(物を拾う)や起立で股関節過剰屈曲し大腿骨寛骨臼インピンジメントによる関節唇損傷につながる - 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI):
寛骨臼と大腿骨頸部の接触により軟骨損傷が生じる
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変形性股関節症と股関節唇損傷(大腿寛骨臼インピンジメント:FAI)

- 姿勢や動作で気をつけるポイント
・大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI):寛骨臼と大腿骨頸部の接触により軟骨損傷が生じる
・FAIによる股関節唇損傷は変形性股関節症に繋がる
・股関節過屈曲を伴う動作は特に注意が必要
・床の物を拾う、床上動作、低い椅子からの起立、下肢洗体、靴下着脱、爪切り、和式トイレ、農作業など

- 動作指導
・反動をつけて起立しない
⇨反動をつけると股関節過屈曲となりやすい
女性は股関節内旋も加わりさらに危険
・過度の骨盤前傾や腰椎前弯での起立をしない(適度な骨盤後傾、
腰椎後弯を促す)
⇨起立で骨盤後傾、腰椎後弯が不足すると過屈曲になりやすい
・上肢支持物の利用
・床の物を拾う際、骨盤後傾が不足すると股関節屈曲・内旋しやすい

- 伸ばしたい筋肉
・股関節屈筋群
・股関節内旋筋群
・腰背筋群
⇨伸長性を改善させ、股関節屈曲・内旋での動作を防ぐ
- トレーニングしたい筋肉
⇨拮抗筋
・股関節伸筋群
・股関節外旋筋群
・腹筋群
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骨盤位置と変形性股関節症

- 骨盤位置と変形性股関節症は関係している可能性あり
⇨骨盤下制が人工股関節全置換術を行うまでの期間が短くなる可能性 - 臥位で患側骨盤下制が大きい→罹病期間が短い
- 股関節外転筋(中臀筋、大臀筋、大腿筋膜張筋)の柔軟性低下、腰椎可動域制限、股関節周囲筋の持続収縮(疼痛由来)などが原因
- ストレッチやリラクゼーション、骨盤運動を実施
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変形性股関節症とインナーマッスル

- 変形性股関節症では、股関節の不安定性が生じる
⇨関節唇損傷、関節包の緩み
⇨筋の機能低下で骨頭の求心力低下
- 骨頭が上方偏位すると進行しやすい
- 骨頭上方偏位による脚長差は股関節以外の関節にも影響
- 骨頭上方偏位を防ぐために、インナーマッスルの強化が必要
⇨回旋筋(中臀筋、小臀筋、外旋筋群など) - インナーマッスルの機能低下は、アウターの過剰使用に繋がる
⇨大臀筋、ハムストリングス、内転筋群
- 協調的に働くか、柔軟性は低下していないか
- 弱い筋収縮でも協調的に働くようにする
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変形性股関節症と筋力トレーニング

- 股関節接触応力
股関節にかかるストレスの指標
- 股関節接触応力の95%程度が筋張力によるもの(5%は重力)
- そのうち中臀筋と大臀筋が多くを占める
- 筋張力は筋の柔軟性と筋の活動量の影響を受ける
- 臼蓋形成不全では股関節周囲筋の筋力は発揮しにくい
⇨歩行時の筋活動量が大きくなり、柔軟性が低下→歩行時の筋張力高くなる
- 歩行時の股関節接触応力が高くなる
- 臼蓋形成不全も加わり、軟骨を破壊しやすい

- 筋萎縮は歩行時の筋活動量増大→筋張力増大→関節接触応力増大
- 筋萎縮の予防に努めることが重要
- 下肢筋の萎縮の程度の把握、筋力低下の把握が必要
- 筋力トレーニングの重要性

- 筋力トレーニングによる疼痛悪化に注意
- 筋肉の柔軟性低下状態の筋に筋力増強を行うと運動時痛→股関節痛に繋がりやすい
- 筋肉の柔軟性低下状態の確認をまず行う
- 柔軟性低下あり
⇨まずはストレッチ
⇨次に筋力トレーニング - 股関節痛が出現しない範囲でのトレーニングに留める
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転職サイト利用のメリット
何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。転職活動をする上で、大変なこととして、、、
仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる
この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)
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そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。
転職サイト利用のデメリット
デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。
それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。
そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。
転職サイトは複数登録することも必要
転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。
せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。
その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。
また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。
自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。
とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!
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管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。
「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典
転職サイト一覧(求人情報(非公開情報を含む)を見るには各転職サイトに移動し、無料登録する必要があります)
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