認知症に対するアプローチとして、リアリティオリエンテーション(RO)があります。今回、リアリティオリエンテーション(RO)の概要と実施方法、注意点についてまとめていきたいと思います。

リアリティオリエンテーション(RO)の概要と実施方法、注意点

リアリティオリエンテーション(RO)の概要

リアリティオリエンテーションは、現実見当識訓練とも呼ばれています。

その目的は、見当識障害を正しい方向へ導き、現実認識を高めることです。
認知症の方の多くは見当識障害などにより不安を抱いており、見当識が高まることによって、
安心して過ごせることが期待できます。

リアリティオリエンテーションの取り組みは古くからあるようです。
はじめに行われたのは、対象者に対して24時間を通して名前を呼び、場所や日時の確認を行う中で、攻撃性や憎悪感を軽減させるものだったそうです。

リアリティオリエンテーションのエビデンスははっきりとしたものはないようですが、対象者が安心して過ごせることを目的に行われるとすれば、実践する意義はあるようです。

 

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リアリティオリエンテーション(RO)の実施方法

実際の臨床場面では、24時間を通してリアリティオリエンテーションを実施するというのもはかなかできるものではありません。

実践的な枠組みとしては、
・同じ時間と場所で定期的に
・1回30〜40分程度で実施
ということが一般的なものとなっています。

同じ時間と場所で行うことは、対象者にとって馴染みのものとなる可能性があり、居心地良い空間になることが期待されているためです。
そのことによって安心してその時間を過ごしやすいというメリットがあります。

具体的な方法としては、
用具や話題を提供したりして、皆と話をしていきます。

ここでいう用具とは、
・時計
・地図
・写真
・季節のもの(桜の花びら、落ち葉など)
があります。

 

会話をしていく際の注意点としては、まずは確実に答えられる(わかっている)人に答えてもらうようにすることです。
また、少しずつヒントを出していくこともポイントになるでしょう。
例えば「もう日が落ちるのが早くなってきましたね。今は何月になりましたか?」「外はひまわりが咲いていますね。何月ですか」などのように行っていきます。

注意する点としては、
・基本的態度(対象者は人生の先輩)
・常に状態を把握できるように評価を並行して行う
・声の大きさやスピードを変え、聴覚的なことや理解力に配慮する
・間の取り方(ヒントの出し方)
・安心感とユーモア
などがあります。

リアリティオリエンテーションを日常生活に活かすには

リアリティオリエンテーションを日常生活に活かすには、実施時の対象者の反応を評価しておくことが大切になります。

例えば、実施している際に文字に対する理解は悪いが写真に対する理解が良好な場合、
日常生活上でも写真や図を用いることで、日常生活活動が遂行しやすくなる可能性が高くなります。

また、日常的な会話においてもリアリティオリエンテーションを取り入れていくことができます。

日常会話に現実見当識を取り入れるには、例えば、
「◯◯さんの家にある花と同じ花が咲いていますね」
朝「おはようございます。太陽がたかくなってきましたね」
昼「こんにちは。お昼ご飯がちかいですね」
夕「日が落ちてきましたね。もう少しで夜ご飯ですね」
などと場所や時間がわかるような会話を行っていきます。

 

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環境調整においても、リアリティオリエンテーションの考え方を用いて現実見当識を高めていくことが可能かもしれません。

そのためには、手掛かりとなるものを意図的に配置することがポイントになります。
例えば、対象者の居室に息子さんやお嫁さんの写真を置くことで、人に対する見当識を高める配慮を行います。
これは、対象者が安心して過ごせる要素ともなることがあります。

また、時間が気になる方には、カレンダーや時計を設置することにより、いつでも時間を確認できるようにします。
デジタル時計の中には、文字が大きくて日付や時間が同時に確認できる商品が多数販売されています。