体幹は、体の中心部分にあり、体を支えることで人間の自由な動きを可能にしています。腕や足の動きがスムーズでない場合、腕や足の機能の低さの他に、土台となる体幹の機能がどうなっているかを評価する必要があります。

体幹機能の評価とリハビリテーション!評価尺度から臨床的評価、訓練内容のヒント!

体幹機能と日常生活、健康への影響

体幹機能が低下していると、日常生活では様々な影響が出ます。
例えば、脳卒中片麻痺になると、体幹機能が低下することがありますが、このような姿勢をよく見ます。

これは静止画ですが、実際の場面ではこのまま姿勢が崩れていくことで、転倒のリスクが大いに高まります。

車椅子移乗の場面を思い浮かべてください。
ベッドに向かって移乗したいのに、ベッドの方向とは逆方向に体が傾くとどうなるでしょうか。
中心となる足に体重がかからずパワー不足となり、うまく移乗が行えないことは目に見えています。
寝返りでも体幹機能は重要です。寝返るには腹直筋や腹斜筋の収縮が必要になります。

体幹機能が弱いと、姿勢が崩れることがわかりました。
姿勢が崩れるということは、体に付着している筋肉にも負担がかかります。
正しい姿勢であれば筋肉は筋緊張も正常に保たれますが、姿勢が崩れると筋肉は引っ張られたり伸びたりします。
それに伴い血流が悪くなり、筋肉に痛みが発生することもあります。
体が丸まっている姿勢はは高齢者・脳卒中片麻痺者によく見られますが、お腹の部分をよく見ると、内臓が圧迫されるような形になっています。そのような姿勢をとっていると、内臓機能は低下し、免疫機能も低下するかもしれません。
リハビリテーション対象者はよく便秘の訴えがありますが、もしかしたら体幹機能の改善で便秘の改善もみられるかもしれません。

体幹機能評価のあれこれ

体幹機能には様々な評価方法があります。
一番有名なのがMMTでしょうか。
その中でも、よく行うのが体幹の屈曲、回旋だと思います。
体幹屈曲のMMTの評価基準は以下のようになります。
5,4,3:肩甲骨下角が台から離れる
*[5][4][3]の違いは、手の位置の違いです。

体幹回旋のMMTの評価基準は以下のようになります。
5,4,3:筋肉の働く側の肩甲骨が台から離れる
*[5][4][3]の違いは、手の位置の違いです。

これ、間違って認識している人もいたのではないでしょうか。
基本に帰るのは大事なことですね。

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筋緊張の評価としては、仰向けや座位での腹部を触診することで評価します。
正常では筋肉に張りがありますが、筋緊張が低下していると何かボヨボヨした、張りのない筋肉の状態になります。
筋緊張が低下していると、筋の収縮量、収縮が行われるタイミングが低下し、動作が行いにくくなる原因となります。

評価尺度として有名なものには、トランクコントロールテスト、トランクインペアメントスケールなどがあります。
トランクコントロールテスト
トランクインペアメントスケール(A)
トランクインペアメントスケール(B)

以下は臨床的な評価です。
体幹屈筋を評価するには以下のように行います。
①座位から後方移動

後ろに行くときに、体幹にブレーキをかける遠心性収縮を評価できます。
もう踏ん張れない所では等尺性収縮が評価できます。
片側の筋力が弱いと、弱い側に回旋が見られます。

②①の終了時の位置から、前方に体を移動します。

体幹屈筋の求心性収縮が評価できます。
片側の筋力が弱いと、弱い側の体幹が回旋します。

③座位で股関節を曲げます。

後ろに倒れそうになるのをこらえている時、体幹屈筋の等尺性収縮が評価できます。

体幹伸展筋の評価は以下のように行います。
①骨盤後傾、脊柱屈曲位から、骨盤前傾、脊柱伸展位へ

このとき、体幹伸展筋の求心性収縮を評価できます。

②座位で、前方に体を傾けていきます。

このとき、体幹伸展筋の遠心性収縮を評価できます。
最終域での保持では等尺性収縮となります。
片側の筋力低下があると、姿勢が非対称になります。 

③②の姿勢から直立座位に戻ります。

このとき、体幹伸展筋は求心性に働きます。

④仰向けでブリッジ運動を行います。

このとき、背筋、臀部の筋の求心性収縮が評価できます。
保持しているときは等尺性収縮、戻るときは遠心性収縮を評価できます。

体幹側屈筋の評価は以下のように行います。
①座位で、肩を股関節に近づけます。

最終域では、反対側の側屈筋の遠心性収縮が行われます。
姿勢保持をする場合、等尺性収縮の評価ができます。

②①の姿勢から直立座位に戻ります。

これは側屈筋の求心性収縮を評価できます。

③リーチに見られる側屈

この運動では、短縮している側の体幹での求心性収縮を評価できます。
この収縮が行えると、リーチ範囲を長くすることが可能です。

体幹回旋筋は以下のように評価します。
体幹回旋は、例えば左回旋では右の外腹斜筋と左の内腹斜筋が働きます。
また、体幹屈筋と伸筋が両側でしっかりと収縮している必要があります。
よく、片麻痺の方では回旋してもらうと姿勢が後ろに崩れることがありますね。
筋収縮のことはややこしいのでしっかりと覚えていてください。
①正中線を超えたリーチ。

これは、屈曲と回旋の組み合わせを評価します。

②前方いざり。

これは、回旋を伴う伸展を評価します。

③肩の高さで後ろへリーチ。

これは、回旋を伴う伸展を評価します。

④後方いざり。

これは回旋を伴う屈曲を評価します。

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体幹のリハビリテーション、鍛え方

今まで評価方法を述べてきましたが、色々ありました。
それぞれの評価を組み合わせて、対象者の方のプラスの側面、マイナスの側面を評価できることが大切だと思います。

リハビリテーションや鍛え方についてですが、キリがありません。
だって、セラピストが100人いたら100通りの訓練方法がありますから。
ただ、自分が臨床を行っている上でよく行っている方法を紹介したいと思います。

自分は作業療法士なので、生活動作につながるであろう形で体幹機能を鍛えるのが一番だと思っています。
そこで、体幹機能を鍛えるキーワードは「リーチ動作を伴う体幹の鍛え方」です。
これが一番の訓練方法だと思っています。
床に物が落ちたら拾いますよね、ベッドの端にリモコンがあったら取りたいですよね、こんな風に、対象物を様々な方向に提示し、それをリーチしてとることが体幹機能を賦活すると考えられます。

脳卒中片麻痺者で、麻痺側の体幹筋が弱くなっている場合は、非麻痺側方向に対象物を設置してそれを取ってもらいます。

これにより、麻痺側の腹筋群の働きが高まり、側屈方向へのコントロールが行えるようになっていきます。
制御が難しい場合、雑巾などを手の下に置くことで、安定性を保持しながら筋収縮を促すこともできます。

そして、今度は非麻痺側の斜め後方に対象物を設置します。

これにより、麻痺側の腹筋群の働きが高まり、回旋方向へのコントロールが行えるようになっていきます。
これらの段階付けは、達成できてくればできるだけ遠くに対象物を設置することです。
また、高さに変化をつけることも考えられます。
そして、重要なことは毎回位置を少しずつ入れ替えることです。
これは、運動学習を促すには、無作為に様々なことを行う方が良いとされているためです。

さて、この方法は臨床的な評価で紹介した動きとそっくりですよね。
評価で対象者がコントロールできていない動きを把握できると、自ずと必要な訓練内容がつかめてくる仕組みになっています。
あとは、座って行う、立って行う、対象者が行いたいと思っている活動の中で行うなど、しっかりと段階付けをセラピストが行えていると、対象者のリハビリは良い方向に進んでいきます。

紹介したことの中には、リハビリテーションを効果的に進めるコツがたくさん詰まっています。
みなさんのお役に立てれば幸いです。



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