作業療法では、書道を治療的に用いることで、対象者の状態に変化を与えようと試みることがあります。今回、作業療法と書道について、動作分析から臨床応用までをまとめていきたいと思います。

作業療法と書道!動作分析から臨床応用まで!

書道について

書道は、私自体は小学校の時に習いに行っていたり、高校でも選択授業として書道を行った経験があります。

高齢者においても、書道は子供のころに体験したことのある活動であることが多いと思います。

私の捉え方ですが、習字は字のごとく字を習うものであり、手本をもとにして行うものです。

一方で書道は、比較的自由に取り組めるものであると捉えています(違っていればすみません)。

書道と姿勢や構え

普段円背で背中の丸まった方でも、書道を行っているときには背筋が自然に伸びているということがよくあります。

これはとても凄いことで、リハビリテーション場面でセラピストが「背中を伸ばして」と言うから良姿勢になる方の方が圧倒的に多いと思います。

それだけ、書道という作業の持つ特性が、姿勢を良くして書かなければならないということを自然に示しているのです。

我々作業療法士は、このような作業活動の持つ特性を活かして治療的にアプローチすることがあります。

作業の特性を把握し、使いこなせるようになることが求められているともいえます。

 

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書道の題材を選ぶ

書道では、自由に文字を書いてよいのですが、その際に高齢者では「自由に書いてください」と伝えると非常に悩むことがあります。

そのため、こちらで季節に沿った単語(手本)などを用意することで、高齢者の方でも何を書くかを選択しやすくなります。

対象者の自主性を尊重するのであれば、手本は対象者に選んでもらうようにするとよいでしょう。

題材の選び方は、対象者により様々です。

全体のバランスを基準にする方もいますし、ひらがなと漢字の違いを基準とする方もいます。

難易度としては、できるだけ対称的な文字や、画数の少ない文字、単語の文字数が少ないものなどが比較的取り組みやすい題材といえます。

 

書道に必要な機能

書道を行うということは、みなさんも経験があると思いますが、かなりの集中力が要求されます。

それは、「はらい」や「はね」など、書道独特の書き方を実践するためには筆の動かし方にしっかりと注意を集中させなければならないためです。

また、手本を見ながら書くのであれば、それは注意の配分能力も必要になるでしょう。

筆を動かして字を書くということは、まず字の視覚的イメージが必要になり、目で捉えた半紙の大きさや材質に対して、脳内で情報処理しながら目と手を協調させながら字を書くという作業になります。

筆を細かく動かすには、末梢の動きを保証する中枢部の安定性は必要です。

特に、肩甲帯から上腕骨、肘や前腕、手関節の固定性が十分に発揮できなければなりません。

書道ではおそらく肘を浮かしながら筆を持ち字を書いていきますが、それはある意味腕と筆の間でクローズドな関係性が成り立っています。

大きな字を書くのであればより末梢部よりも中枢部の運動が必要で、しかも微妙な動きをコントロールしながら、前後左右上下の運動を実現する必要があります。

半紙の質感と筆の毛先との関係性において、知覚しながら字を書くということは、かなりのアクティブタッチの要素が必要になるでしょう。

感覚機能が正常でなければ字は不均衡になったり、形が崩れるようになってしまいます。

 

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書道と作品化

書道は、芸術的な作品ともいえます。

小学校時代も、みんなが書いた字を展示したのを思い出します。

それは高齢者でも同じで、書道で書いてくれた字を、作品化して展示することはよくあります。

書道は自己表現の場でもあり、書道活動を通じて他者との交流が生まれることもあります。

字の上手い下手は関係なく、時にはその人の味がでるものです。

「しっかりした字が書けてる」「優しそうな字」「うまい」など、書いた人同士で賞賛し合う姿も見られたりします。

書道を通したコミュニケーションの促進は、臨床場面でもよく見られる光景です。

普段は大人しい、優しいイメージの方でも、書道となると納得するまで何度もやりなおす姿をみることがあります。

このように、書道活動は対象者のいろいろな側面を引き出すことができる作業だといえます。

書道と認知症

書道と認知症の関係について、

書道というのは、かなり体で覚えている部分があります。そのために、認知症が始まってからも、書道は長く続けられるようです。しかも、これはただ体で覚えて単純に書くのではなくて、例えばこの人の場合ですと、この和歌を書く時にどういう「かな文字」を選ぶか、そのかな文字をどういう大きさでどういうバランスで書いていくかという、いわばその人の美的センスを活かすことができる。そういう意味で、書道は、認知症の人達にとって楽しめるもののようです。書道療法という言葉があるわけではないのですけれども、日本の文化を反映するものとして、これは認知症のケアに、もっと取り入れていければなと思っております。

https://www.npwo.or.jp/arc/documents/080524ninchisyo/resume1.html#shodo

とあります。

臨床経験においても、認知機能にかなりの低下がある方でも、筆を持つとさっと取り組まれる方は多いように感じます。

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