時計描画テストは、認知症のスクリーニング検査として近年取り入れられています。認知症の疑いがある方は時計描画テストにおいて異常が見られますが、今回は、なぜ認知症者は異常がみられるのかについてまとめていきたいと思います。

時計描画テストにおいて認知症ではなぜ異常が起きるのか!

時計描画テストとは

時計描画テストは、簡単に説明すると、指示された時間の時計を描く検査です。

具体的には、円を描き、そこに時計の文字盤の数字を全部書き、10時10分を表すように書いてもらいます。

採点方法は描かれた時計に対し、

全体像
・外周円が整っている
・円の大きさが適切である

数字
・1~12のみを書く
・算用数字を用いる
・順序が正しい
・用紙を回転せずに書く
・位置が正しい
・円のなかにある


・2 本の針を有する
・適切に時を指す
・適切に分を指す
・分針の方が長い
・余計な印がない
・2本の針が結合する

中心点
・中心が設定されている

の、15項目(各1点)で採点します。

時計描画テストは、BITにおいても採用されており、半側空間無視の有無を判断する課題としても用いられています。

 

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時計描画テストでは何が評価できるのか

時計描画テストでは、以下のようなことが評価できるとされています。

・理解
・プランニング
・視覚記憶と図形イメージの再構成
・視空間機能
・運動プログラムと実行
・数字の認識
・抽象概念
・集中力(注意力)
・長期記憶と情報再生
・視知覚と視覚運動能力
・同時処理
・実行機能

これらのことから、時計描画テストは、主に前頭葉機能を反映していることがわかります。

 

認知機能低下の方ではどのような異常が現れるのか

認知機能低下がみられる方では、時計描画テストにおいてどのような異常が現れるのでしょうか。

健常者と認知機能低下がみられる方の境界域では、例えば

・数値配置のバランス(計画性)が悪く、時間も不正確
・10時と聞いて、10時ちょうどに描いた後に長針を修正する
・数値配置のバランス(計画性)が悪く、短針が10時ちょうどを指す

などがみられます。

認知機能低下がみられる方では、

・数字の配置に計画性が無く、
 短針長針が逆になる
 針が文字盤の中心から出ていない
・時計の概念に問題がある(反時計回りで数字が配置されているなど)

がみられます。

 

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時計描画テストでみられるエラーの原因は何か

まず、時計の概念について理解ができていない場合を考えていきます。

このような時にみられるエラーは、前途しましたが、「反時計回りで数字が配置されている」「短針長針が逆になる」「針が文字盤の中心から出ていない」などがあります。

時計の概念理解の問題では、意味記憶の障害が考えられます。

「時間が不正確」な場合、時刻に関する概念(意味記憶の障害)、もしくはある刺激に惹かれる(10時の10に惹かれて長針が不正確になるなど)ことで時間が不正確になるような前頭葉障害が考えられます。

「10分」というのは、時計で表すためには「2」に変換する必要があり、これは意味概念を理解していなければならない課題といえます。

「数字の配置の不適切さ」については、視空間的な障害や計画性の障害が考えられます。

アルツハイマー型認知症者の時計描画テストの結果について、

156人のADのCDT総得点は11.5±3.4点であり,男女 間で有意差はなかった

小長谷陽子他「アルツハイマー病患者における時計描画の特徴 ―量的および質的評価による検討―」臨床神経学 54巻2号(2014:2)

とあります。

認知症の進行段階にみられる症状から考えていくと、認知症の中期にみられる機能障害としては、

・短期記憶、長期記憶障害
・観念失行
・観念運動失行
・失語症(錯誤、失名詞、理解力低下)
・失認
・不穏
・空間関係の障害

があります。

また、認知症の後期にみられる機能障害としては、

・知的機能の低下
・運動障害(固縮、痙縮)
・言語障害(反響言語(おうむ返し)、保続、発生・発語器官の運動障害、無言症)
・推論や抽象化、判断力の重度の障害
・人格変化
・失禁

があります。

これらのことから、認知症の進行によって、時計描画テストに影響を及ぼす機能障害があることがわかります。

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