橈骨遠位端骨折の術後では、手関節から手指にかけての浮腫がみられます。浮腫は早期からコントロールされる必要があり、そのためには種々の方法が利用されます。今回、橈骨遠位端骨折のリハビリテーションとして、浮腫のコントロールについてまとめていきたいと思います。

橈骨遠位端骨折のリハビリテーション!浮腫のコントロール!

浮腫はなぜ生じるのか

膠質浸透圧による毛細血管内での体液の移動

毛細血管で内では、血液が内皮細胞の隙間と細胞膜を通して循環しています。
毛細血管では半透膜で、ほとんどの物質を透過させることができますが、比較的大きなタンパク質(アルブミンなど)は透過が困難です。このようなタンパク質を膠質といい、体内にとって重要な物質です。そのためこれらを血管内に残すために膠質浸透圧(細胞間液から血管にかかる圧)が常に25㎜Hgで存在しています。
毛細血管内での水や物質のやりとりは膠質浸透圧、毛細血管内の血圧(動脈、静脈)の関係により血液と間質液、細胞内液は常に一定の濃度に保たれています。

動脈の毛細血管では、動脈壁に約35㎜Hgの圧力(心臓のポンプ作用による)がかかっています。これは血管側の血漿の膠質浸透圧25㎜Hgより大きく、血漿中の水や電解質などが細胞側の間質液中にその差の10㎜Hg移動します。
静脈の毛細血管では、静脈壁に約15㎜hgの圧力(血液を流す役割のため心臓のポンプ作用はない)となっています。これは血管側の血漿の膠質浸透圧25㎜Hgより小さく、細胞側の間質液中の水や電解質を血管側の血漿内にその差の10㎜Hg引き込みます。
このように動脈、静脈で浸透圧10㎜Hg差を補っており、この状態では浮腫は発生することはありません。
炎症が起こると毛細血管透過性が上昇し、膠質浸透圧が低下します。そのため大量の液が組織間隙にたまり、浮腫が発生します。

炎症期以降の浮腫:静脈還流の低下

静脈は皮下組織のすぐ下の走行しています。手術などで皮膚が損傷を受けると、皮膚が硬化することがありますが、これによりその近くを走行する静脈も影響を受けることになります。
静脈は動脈と比較し血管が伸びにくいため、硬化により循環不良が起こると、還流量が低下してしまいます。

炎症期以降の浮腫:動脈圧の低下

動脈は深部に存在し、深部組織に血液を供給しています。深部組織には単関節筋や知覚受容器が多く存在するのですが、骨折などで深部組織が損傷を受けると、近くを走行する細かい動脈も圧迫や牽引を受けることになります。過度な伸張訓練を行うと疼痛を引き起こし、それが交感神経反射を起こすことにつながります。それが動脈を収縮させ、動脈圧が低下することになります。

術後の浮腫の評価

橈骨遠位端骨折術後のリハビリテーションにおいては、術後の浮腫の管理が重要になります。
浮腫のコントロールが不良だと、手・手指関節の関節可動域制限が生じてしまうおそれがあります。
術後のリハビリテーションでは、まず浮腫の状態を評価する必要があります。

浮腫の外見と特徴

浮腫の外見としては、
・皮膚表面がピカピカしている
・皮膚のしわが少ない
という特徴があります。

浮腫が存在すると、自動or他動関節可動域とも減少します。この場合、その制限は自動・他動とも同じ程度です。

浮腫の計測

浮腫を計測することで、リハビリテーションの結果を把握し、治療的アプローチが正しかったのかを確認することにつながります。
浮腫の計測では、手関節部、DID関節部、PIP関節部、中節骨部、基節骨部などで実施します。
メジャーなどを使って測定し、健側と比較することにより結果の解釈を行います。
また、容積計を用いた評価方法もあります。

浮腫のコントロール

橈骨遠位端骨折の浮腫のコントロールにおいては、早期対応が基本になります。
早期対応がなされないと、後々運動障害を取り除くのに時間がかかってしまいます。

上肢の挙上

上肢を心臓のある位置以上に挙上すると、動脈の圧を減少させることにつながり、またリンパ液や静脈血の排出を助けます。
できる限りリラックスした状態で挙上する必要があり、手関節は中間位から軽度伸展位、手指・手関節を肘より高くし、肘は心臓のある位置よりも高く保持します。
頻度は特に問いませんが、自己管理を進めていく上では意識を高めていく必要もあり、頻度を高くできるように指導することも大切です。
挙上位での手指自動運動も浮腫軽減に効果的です。

マッサージ

求心性マッサージによる圧迫、間欠的・持続的な圧迫など様々な方法があります。
求心性マッサージでは間質組織の圧迫により、静脈やリンパの流れを促していきます。上肢を挙上させた状態で行い、5〜10分行います。

その他

その他の浮腫のコントロール法については以下の記事も参照してください。
手の浮腫の評価、リハビリテーションと自分でできる軽減法