前腕回内、回外制限は、橈骨遠位端骨折や肘関節の骨折などにおいてしばしば見受けられることがあります。前腕回内、回外の制限があるからといって、ただやみくもにストレッチをしても意味がありません。今回は、前腕回内、回外の関節可動域制限の原因とその改善方法についてまとめていきたいと思います。



目次

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前腕回内、回外の関節可動域(ROM)制限の原因と改善方法!

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前腕回内、回外の関節可動域

日本整形外科学会によると、前腕の回内、回外の参考可動域はともに90°となっています。

しかし、文献によっては前腕回外は85°、前腕回内は75°としているものもあります。

この違いはどこにあるのでしょうか。

前腕回内/回外運動の関節可動域(ROM)測定法では、移動軸が手掌面となっており、橈骨手根関節の運動も反映させてしまっている。そのため、上・下橈尺関節の関節可動域を過大に評価する恐れがある。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略

とあります。

このことからすると、前腕回内、回外可動域に制限のある方では、肩関節内旋、外旋に加えて、橈骨手根関節(手関節)の代償運動にも気をつけなければいけないことを意味していることがわかります。

このことに基づくと、前腕回内、回外の真の可動域を求めるには、

・肩関節下垂位、肘関節屈曲位
・基本軸は上腕骨
・移動軸は尺骨頭(前腕遠位背側)

で計測をすることになります。

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前腕回内、回外の制限因子は?

橈骨輪状靭帯

前腕回内、回外運動では、上橈尺関節において、橈骨が尺骨の上で回旋をしています(軸回旋)。

回内運動では尺骨上で橈骨頭の後方への滑り、回外運動では前方への滑りが生じているともされています。

また、回内運動に伴い橈骨はわずかに外側に移動するともされています。

その際に、橈骨輪状靭帯が制動をコントロールしているのですが、橈骨輪状靭帯の伸張性が低下すると、その動きが制限され、前腕回内可動域の制限が生じることがあります。

橈尺靭帯

前腕回内、回外運動では、下橈尺関節において、回内時には橈骨が尺骨上を前内側方向に滑り、回外時には橈骨が尺骨上を後外側方向に滑ります。

この時の動きの制動を、橈尺靭帯が担っています。

橈尺靭帯の伸張性低下があると、橈骨の動きが阻害されてしまい、前腕回内、回外に制限が生じることがあります。

前腕骨間膜

前途した、前腕回内、回外運動時における下橈尺関節の動きの制動には、前腕骨間膜も関与しています。

円回内筋

円回内筋の作用は、前腕回内と肘関節の屈曲です。

円回内筋に硬さ(短縮や筋緊張亢進)がある場合、手指屈筋群の短縮や筋緊張亢進も考慮する必要があります。

円回内筋の短縮の有無を調べるには、以下の方法を用います。
・手関節掌屈、手指屈曲位で前腕回外の可動域を測定します。
*手関節掌屈、手指屈曲位をとることで、前腕屈筋群が緩む肢位になります。

先ほど、手指屈筋群の緊張も可動域の制限になることを述べました。ここで、手指屈筋群の短縮を区別する方法を考えていきます。

橈・尺側手根屈筋
手指屈曲位で手関節背屈の可動域を測定します。
*手指屈曲位で浅指屈筋が緩む肢位になります。

浅指屈筋
手指伸展位で手関節背屈の可動域を測定します。
*手指伸展位で浅指屈筋が緊張する肢位になります。

方形回内筋

方形回内筋は、下橈尺関節を安定させる役割をもちます。

円回内筋は、肘屈曲にも作用する筋肉だったので、方形回内筋が前腕回外を制限しているかを確認するためには、

・肘関節最大屈曲位にて前腕を回外させる

ことが必要になります。

回外筋

回外筋は肘関節がどの肢位(肘屈伸)においても影響を受けることがありません。

回内制限がある場合に、個別で回外筋の影響を確認するためには、

・肩関節90°屈曲位、肘関節最大屈曲位にて前腕を回内させる

ことが必要になります。

また、手指伸筋群も前腕回外に作用するので、回内制限の原因になりえます。ここで、手指伸筋群の短縮を区別する方法を考えていきます。

長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋

手指伸展位で手関節掌屈の可動域を測定します。
*手指伸展位で長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋が緩む肢位になります。

総指伸筋
手指屈曲位で手関節掌屈の可動域を測定します。
*手指屈曲位で総指伸筋が緊張する肢位になります。

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前腕回内、回外が制限されると、どのような影響が出るのか

前腕回内外運動は、肩関節や手関節、手指の運動により代償されることがあります。

骨性の拘縮によりもうどうにもならない!といったような場合には代償運動は選択されるものですが、代償運動を行いすぎるがゆえに、痛みなどの機能障害につながってしまう例も少なくありません。

手根管(正中神経)や前骨間神経への影響

前腕回内の制限がある場合、手関節掌屈にて代償する場合があります。

手関節掌屈は前腕屈筋群の過剰使用を促し、手根管内圧を上昇させてしまう可能性があります。

正中神経や前骨間神経については以下の記事も参照してください。
手のしびれと手根管症候群!正中神経症状の原因と評価の考え方!

感覚障害はないが指の運動障害がある!前骨間神経症状の原因と評価の考え方!

尺骨神経への影響

前腕回内制限がある場合、左にネジを回すドライバーの操作に、代償運動として手関節尺掌屈が動員されます。

このような場合、尺骨神経管内圧を上昇させてしまう可能性があります。

尺骨神経については以下の記事を参照してください。
腕や指の小指側にしびれがある!尺骨神経症状の原因と評価の考え方!

橈骨神経への影響

前腕回内制限により回外筋の伸張性が低下することや、代償運動として手関節掌屈により短橈側手根伸筋がストレッチされた状態で筋が使用されると、橈骨(後骨間)神経への影響が生じることがあります。

橈骨神経については以下の記事を参照してください。
手の甲(手背)にしびれがある!橈骨(後骨間)神経症状の原因と評価の考え方

尺側手根伸筋腱への影響

前腕回外制限により、代償運動として手関節尺屈が行われていると、尺側手根伸筋腱へのストレスがかかります。

腱鞘炎への影響

前腕回旋制限を、手関節尺屈、掌屈、母指内転運動で代償をしていると、腱鞘炎(de Quervain病)を誘発する可能性があります。

腱鞘炎(de Quervain病)については以下の記事を参照してください。
手首の親指側が痛い!ドケルバン病(腱鞘炎)に対するリハビリ、ストレッチ!!

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前腕回内、回外の関節可動域(ROM)の改善方法!

前腕回内もしくは回外の関節可動域を改善させるには、リハビリテーションでストレッチやリラクゼーション、モビリゼーションを行う必要があります。

橈骨輪状靭帯

橈骨輪状靭帯を触診します。

①肘関節90°屈曲、前腕回外位をとります。
②外側上顆の横に橈骨頭があるので確認し、丸みをたどりながら背側の上橈尺関節を触れます。
③前腕回内を強制させると、橈骨頭は後外側へ移動しますので、それに伴う橈骨輪状靭帯の緊張を感じ取ります。

橈骨輪状靭帯のスチレッチ(右の場合)

肩関節内外旋中間位・軽度外転位、肘関節屈曲位・前腕回内位で上腕と前腕遠位を把持する。

検者の右母指で橈骨頭を背側方向に圧迫しつつ、上腕遠位をベッド方向へ圧迫固定する。

この肢位から、肘関節屈曲・内反方向へ動かし、橈骨輪状靭帯をストレッチングする。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略

わかりにくい場合は本を購入してください(笑)。

下橈尺関節のモビリゼーション

①前腕遠位の下橈尺関節において、尺骨を背側に徒手誘導しながら橈骨を回内させます。

円回内筋のストレッチ

右円回内筋の場合

①右の肘を曲げ、回内(手のひらを下に向けます)させます。

②円回内筋に押圧を加え、肘の内側方向(近位・尺側)、またはその反対方向(遠位・橈側)に引き寄せます。

③右肘を伸ばしながら回外(手のひらを上に向ける)させます。

尺側手根屈筋のストレッチ

右尺側手根屈筋の場合

①右の肘、手首、曲げます

②尺側手根屈筋に押圧を加え、近位(肘方向)、遠位(手首方向)に引き寄せ保持します。

③右肘、手首、伸ばします。

橈側手根屈筋のストレッチ

右橈側手根屈筋の場合

①右の肘、手首、曲げます

②橈側手根屈筋に押圧を加え、近位(肘方向)、遠位(手首方向)に引き寄せ保持します。

③右肘、手首、伸ばします。

浅指屈筋のストレッチ

①右の肘、手首、指を曲げます

②浅指屈筋に押圧を加え、近位(肘方向)、遠位(手首方向)に引き寄せ保持します。

③右肘、手首、指を伸ばします。

長・短橈側手根伸筋のストレッチ

右長・短橈側手根伸筋の場合

①手首、指を伸ばします。

②長・短橈側手根伸筋に押圧を加え、近位(肘側)あるいは遠位(手首側)に引き寄せます。

③手首、指を曲げます。

尺側手根伸筋のストレッチ

①手首、指を伸ばします。

②尺側手根伸筋に押圧を加え、近位(肘側)あるいは遠位(手首側)に引き寄せます。

③手首、指を曲げます。

 



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転職サイト利用のメリット

何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。

転職活動をする上で、大変なこととして、、、

仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる

この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)

管理人は転職サイトを利用して現在の職場に転職しました。

コーディネーターの方とは主に電話やLINEを通してのコミュニケーションを中心として自分の求める条件に合う求人情報を探してもらいました。

日々臨床業務をこなしながら、パソコンやスマホで求人情報を探すというのは手間ですし、疲れます。

そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。

転職サイト利用のデメリット

デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。

これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。

それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。

そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。

転職サイトは複数登録することも必要

転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。

それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。

せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。

その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。

また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。

自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。

とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!

ネット検索にある転職サイトの求人情報は表面上の情報です。

最新のものもあれば古い情報もあり、非公開情報もあります。

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管理人の経験上ですが、まずは興味本位で登録するのもありかなと思います。

行動力が足りない方も、話を聞いているうちに動く勇気と行動力が湧いてくることもあります。

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管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。

「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典

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