認知症の評価からアプローチにおいては、問題点の捉え方、目標設定、問題行動の原因、不安の解消、残存能力、治療における注意点などを考慮する必要があります。今回、認知症における作業療法の評価やアプローチについてまとめていきたいと思います。

目次

認知症の評価!作業・理学療法のリハビリに活かす評価方法(バッテリーから観察評価まで)!

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認知症の種類による機能障害の違いを把握しておく

アルツハイマー型認知症と機能障害

アルツハイマー型認知症の初期に見られる機能障害

・もの忘れ
・判断力の低下
・時間と場所の見当識障害
・失名詞
・感情面の変化(アパシー、悲壮感、抑うつ気分)

アルツハイマー型認知症の初期では、物忘れや判断力、見当識障害により不安も出て来やすい時期になります。

これが、不安や幻覚、妄想、徘徊などに後につながってしまうことがあるため、できるだけ不安を取り除けるようなアプローチをしていくことが大切になります。

人の名前は覚えにくいですが、顔の認知はよいことが特徴です。

そのため、いいケアをしている人は覚えられやすく、また呼ばれやすかったりします。

ケアの際はなんとなくでもよいのでいいイメージを残せるようにしておくと、なじみの人となり安心感を与えることにつながります。

コミュニケーション面では話の中で単語が出て来にくいことがあります。

感情面では、日常のことに対する無関心や意欲の低下、抑うつ気分などが出現することがあります。

アルツハイマー型認知症の中期に見られる機能障害

・短期記憶、長期記憶障害
・観念失行
・観念運動失行
・失語症(錯誤、失名詞、理解力低下)
・失認
・不穏
・空間関係の障害

短期記憶や長期記憶が障害されると、さっきまでしていたことや、少し前にしていたことも忘れてしまうため、より不安が高まりやすくなってしまいます。

また、ケアの面では例えばご飯を食べたばかりなのに食べていないという方に、「さっき食べたでしょ」などとコミュニケーションをとると、食べた体験を忘れてしまっているので怒ってしまい、感情的に不安定になってしまいます。

そのような場合、あらかじめご飯を2回分に分けておくなど対処法を考えておくのがよいでしょう。

アルツハイマー型認知症の中期では、行動的な障害も出現する時期です。

動作の手順を忘れてしまったり、道具の操作が不器用になることがあります。

最初の動作の誘導をスムーズに行うことで、そのまま動作遂行できることもあります。

コミュニケーション面では言いたいことが伝えられなくなったり、理解力も低下していくため、ストレスがたまったり易怒的になったりすることもあるでしょう。

あらかじめ本人の伝えたいことを把握しておき、対応したり、本人が安心できるキーワードを把握しておくことで、安心感を与えられるようにすることが大切です。

アルツハイマー型認知症の後期に見られる機能障害

・知的機能の低下
・運動障害(固縮、痙縮)
・言語障害(反響言語(おうむ返し)、保続、発生・発語器官の運動障害、無言症)
・推論や抽象化、判断力の重度の障害
・人格変化
・失禁

アルツハイマー型認知症の後期では精神・身体的な機能障害がより重度となります。

コミュニケーション面では意思疎通を図れないことも多くなります。

そのため、これまでの経過から本人の行動や情動を把握しておき、適切なケアができるようにしていきます。

失禁はアルツハイマー型中期から見られ始めますが、後期ではそれが常にみられるようになります。

最終的には寝たきりの生活に移行していきます。

脳血管性認知症の特徴と観察される機能障害!

脳血管性認知症でみられる機能障害

脳血管性認知症の診断基準からすると、

・記憶障害やその他の認知機能(見当識、注意力、言語能力、視空間機能、計算、行動能力、運動統御、抽象思考、判断力)障害

・脳血管障害による局在徴候(半身不全麻痺、中枢性顔面神経麻痺、バビンスキー徴候、感覚障害、半盲、構音障害)

がみられます。

また、脳血管性認知症が確定ではないが、見込みがある症状として、

・歩行障害が初期から出現
・ふらつきや頻発する原因不明の転倒
・泌尿器科疾患ではない尿失禁などの泌尿器科的な症状
・仮性球麻痺
・性格と情緒の変化、自発性低下、抑うつ、感情失禁、精神運動の不活性化、行動能力の障害など

が挙げられます。

脳血管性認知症とコミュニケーション

前途しましたが、脳血管性認知症では、損傷を受けた部位によっては仮性球麻痺が起こります。

仮性球麻痺では構音障害を呈するので、コミュニケーションのとりにくさがある場合があります。

このあたりは、失語症によるコミュニケーション障害なのか、構音障害によるコミュニケーション障害なのかを判別する必要があります。

脳血管性認知症の特徴として、日内変動や時間帯による変動がみられるため、コミュニケーション能力に違いがみられることもあります。

脳血管性認知症の行動における特徴

脳血管性認知症では、自分の能力に関する認知はしっかりとしていることが多く、そのためにできない事を多く感じることもしばしばあります。

それにより、チャレンジするようなことをためらったり、自ら行動を起こすことを苦手に感じる方もいます。

コミュニケーション能力の低下から、周囲とのコミュニケーションをとることをためらう方もいるかもしれません。

そのため、対象者ん性格や病前の様子などの情報収集を行い、対象者の行動がどのような要因からそうなっているのかを評価していく必要があります。

できないと感じることに対しては、少しのことでもよいのでできるというように感じてもらうような、自己効力感を高めるようなアプローチをしていく必要もあるでしょう。

日内変動や時間帯による変動により、反応性の悪さや気分状態の変化なども起こることをあらかじめ把握しておくと、病状の理解につなげることができます。

前頭側頭型認知症(ピック病)における機能障害の理解!

前頭側頭型認知症(ピック病)の特徴

前頭側頭型認知症(ピック病)は、アルツハイマー型認知症と比較して、発症年齢は若いとされています。

CTやMRI検査では前頭葉や側頭葉の萎縮が認められ、脳血流の検査では前頭葉や側頭葉で血流低下が認められます。

前頭側頭型認知症(ピック病)は、ある程度進行するまでは記憶や視空間認知、日常生活そのものに問題は生じないとされています。

病識の欠如、無関心、自発性の低下、被影響性の亢進、注意の転導性亢進・維持困難、脱抑制、常同行動、食行動異常が見られやすいともされています。

前頭側頭型認知症(ピック病)の初期に見られる機能障害

前頭側頭型認知症(ピック病)の初期に見られやすい機能障害は以下のようなことが挙げられます。

・人格変化
・感情面の変化(恐怖感の喪失、自発性の低下(アパシー))
・判断力の障害
・社会的に不適切な行動
・言語障害(失名詞、回りくどい表現)

前頭側頭型認知症(ピック病)では、初期では記憶障害はみられにくいため、不適切なケアが、スタッフとの関係性のとりにくさにつながることがあります。

自発性の低下では、意欲低下や趣味への興味がなくなるなどがみられます。

社会的に不適切な行動としては、脱抑制(幼稚な言動や浪費など)、固執・常同性(同じ事を言う(保続)、同じ道を歩かないと気が済まない、特定のものしか食べない、異物を口に入れるなど)がみられます。

前頭側頭型認知症(ピック病)の中期に見られる機能障害

・失語症(理解力の低下)

前頭側頭型認知症(ピック病)の後期にみられる機能障害

・知的能力の低下
・記憶力の低下
・視空間における能力障害
・言語障害(無言症)
・錐体外路症状
・失禁

前頭側頭型認知症(ピック病)では、記憶障害や視空間認知の障害は後期にみられます。

錐体外路症状では、安静時振戦、筋肉のこわばり、緩慢な動作、バランス維持の困難、歩行困難などといったことがみられます。

 

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認知症と認知機能検査

MMSE

健常人32名(平均年齢68.8歳(SD 6.4)、範囲56〜79;教育歴11.8年(SD 3.0)、範囲8〜21)に実施した結果では、MMSEの平均29.1(SD1.1)、範囲27〜30とかなり高い値が得られた。したがってMMSEは明らかな異常と判断できる

高次脳機能障害学 第2版 P240

検査の結果(得点)だけに注目するのではなく、障害が明らかな項目に注目して詳細に検査、評価することが必要です。
例えば、3単語の遅延再生において1つでも出てこない場合、前向性健忘を念頭に置き三宅式記銘力検査などを行うことが推奨されます。
MMSEについて以下のようなことも言われています。

認知機能障害のある患者の83.8%,アルツハイマー型認知症患者の95.8%が23点以下,健常者の93.3%が24点以上の成績を示したことから,23/24点をカットオフ値とすることが望ましい と報告している(森ほか,1985). そのカットオフ値の感度は83%,特異度は93% であり,高い精度を有する検査であるといえる.

運動による脳の制御 P104

このカットオフ値は学歴や職業歴に影響を受けるとされており、高学歴者においては初期認知症を見逃すこともあります。
教育歴の少ない者においては計算や読み書きなどの成績不良により認知症と診断される傾向が強くなります。
認知症の軽度もしくは初期の方では感度が低く、 20点以上の認知症群に対しては感度が50%程度まで低下してしまうとの報告があります。
実施にあたっては年齢、教育年数、生活状況に関する情報の評価も含めた総合的な判断が求められます。

詳しくはこちらをご覧ください。

HDS-R

30点満点中21点以上を認知症の疑いなし、20点以下を疑いありとした場合、感度は0.93、特異度は0.86と高くなります。
重症度の分類は行いませんが、重症度別の平均点が示されています。
非認知症 :24.27±3.91
軽度   :19.10±5.04
中等度  :15.43±3.68
やや高度 :10.73±5.40
非常に重度:4.0±2.62

カットオフ値を20/21とした場合に.感度は93%と特異度は86%であり, MMSE と比較しても認知症の弁別力は高いとされる(加藤ほか,1991).

運動による脳の制御 P105

認知症が中等度に進行し記銘力が低下した者では、5物品の記銘と即時再生課題がの得点低下により、MMSEよりも得点が低めになることが多くあります。

聴覚提示される単語の記銘に対して,物品 は目前に視覚提示されるため. 記銘に動員される感覚様式が異なり,聴力が低下し た高齢者では. 単語の再生よりも物品の再生で成績が回復する場合がある.

運動による脳の制御 P105

MMSEでは聴覚提示の項目が多く、聴力低下が成績低下につながることがあります。
HDS-Rでは視空間認知の評価がないため、補助検査が必要となります。

詳しくはこちらをご覧ください。

MoCA

MoCAの概要

MoCAは約10分で実施することができる軽度認知機能低下のスクリーニング検査です。

様々な認知機能(注意・集中、実行機能、記憶、言語、視空間認知、概念的思考、計算、見当識)を評価していきます。

MoCAの検査項目と実施上の注意点、結果の解釈

各項目の得点の合計を算出します(最高30点)。

教育年数が12年以下の場合、1点を加えます。合計得点が26点以上であれば正常範囲(25点以下で認知機能低下あり)となります。

MoCAはMMSEと比較して糖尿病患者の認知機能障害を見つけることに有用と言われています。

この検査を元に、さらなる詳細な検査を行っていくことも必要になります。

詳しくはこちらをご覧ください。

NMスケール

NMスケールの概要

NMスケール(N式老年者用精神状態尺度)は家事・身辺処理、関心や意欲・交流、会話、記名・記憶、見当識の5項目について、それぞれ7段階(0〜10点)で評定する観察式の評価方法になります。

合計点により認知症の程度を示すことができ、認知症の有無のスクリーニングテストとしても利用可能です。

NMスケールは行動観察による評価のため対象者に拒否されることはなく、日常生活での実際的な能力や状態を把握することができます。

認知症の進行による言語での意思疎通困難な方や、視聴覚障害者、運動障害がある場合でも日常生活上での精神状態の評価をすることができます。

NMスケールは専門家でなくても評価することができ、短時間で実施できることが特徴です。

N-ADLとの併用で、日常生活上での高齢者の総合能力を把握することができます。

NMスケールの使用方法、結果の解釈

こちらをご覧ください。

N式精神機能検査

N式精神機能検査の概要

N式精神機能検査は記憶、見当識、計算、概念構成、図形模写などの12項目(13の課題)からなります。

動作性の設問が多いこと、認知症の重症度判定基準が示されていることが特徴です。

所要時間は10〜15分程度です。

N式精神機能検査の各項目と採点方法、結果の解釈

こちらをご覧ください。

認知症に用いられる神経心理学的検査

リバーミード行動記憶検査

スクリーニング点合計(12点)のカットオフ値を5/6点に設定した場合,度81.8%,特異度%.2%と高い鑑別力をもつことが報告されている(松井2002).

また,松田らは,軽度のルツハイマー型認知症患者46名と年齢,育歴をマッチングさせた健常者46名を対象としてRBMTの検査を行い ,13/14をカットオフ値とした標準プロフィール得点で,アルツハイマー型認知症患者の98.8%と健常者の95.7%を,5/6をカットオフ値としたスクリーニング得点で, アルツハイマー型認知症患者の97.8%と健常者の95.7%を正しく分類できたことを示した(松田ほか,2002).

運動による脳の制御 P106

標準プロフィール得点やスクリーニング点は観察での日常生活上の健忘症状の程度と有意に相関しており、日常での記憶の評価に有用だとされています。

詳しくはこちらをご覧ください。

Rey聴覚性言語学習検査

192名のMCI高齢者を3 年間追跡調査した ところ,RAVLTの試行Ⅰ〜Vの合計点が33以下であった場合には,アルツハイマー型認知症への移行リスクが高かったことが報告されている.

また,認知症のない高齢者116名を2年間追跡し,RAVLTとアルツハイマー型認知症発症の関連性を分析した報告によると,試行VI のスコアが0,または試行VI (干渉後再生)における 忘却単語のパーセンテージ(試行VI-試行V/試行Vx 100)が75%以上の場合にアルツハイマー型認知症の発症リスクが高かったとされる(Estevez-GonZaleZ et al 2003)

運動による脳の制御 P108

信頼性の高い指標は試行I〜Vの合計点、試行Vおよび遅延再生課題の正答数です。

以下の指標は信頼性は劣るものの、 試行I〜VのリストA即時再生では、即時記憶容量を測定可能で、正確な再生単語数から学習曲線を描くことができます。

通常は試行を繰り返すと高齢者でも再生単語数が漸増しますが、アルツハイマー型認知症者では増加がほとんどなく、フラットに近い学習曲線になるとされています。

再生に加え再認課題を行うことにより、記銘の問題なのか、想起の問題なのかを判別します。

単語の想起に問題がある場合、試行VIよりも再認課題の得点が高くなります。

記銘自体に困難がある場合、試行VIと再認課題の正答数は同程度となります。

試行I〜Vの即時再生の成績は加齢に伴い低下しますが、再認課題ではあまり変化はみられません。

このことから、高齢者の場合では記銘力と比べて想起能力低下が問題になりやすいとされています。

詳しくはこちらをご覧ください。

Rey複雑図形検査

中国で行われた年代別平均値と標準偏差を算出した研究では51〜61歳では9点以下,61〜70歳では6点以下,71〜80歳では0点以下をMCIの半定基準としています(教育歴8〜15年)。

この判定基準によるアルツハイマー型認知症への移行率は, 1年あたりで18%であったとされる(Guo et al 2009) 

運動による脳の制御 P110

この検査では視覚性記憶だけでなく、視覚認知、視空間構成、運動機能(巧級性)も関係している評価であり、成績低下があった場合、どの要素による成績低下なのか、もしくはこれらの要素の相互作用によるものなのかなど様々なことが考えられ、解釈を複雑にしています。
臨床においても、知覚や視覚運動、巧級性などの要素や、課題への反応の性質について注意する必要があります。
この検査では複雑な言語的教示が必要でなく、被検者は課題内容の理解が容易となるため、言語性記憶検査と比較して教育歴や文化的背景の影響を受けにくいとされています。

Guo らは,ROCFを用いた基準によりMCIを判定したところ,物忘れ外来を受診した対象者のうち27%が該当したが,2年後の再調査ではそのうち55%が健常値を示したことを報告している(Guo et al., 2009) .WMS-RLM (11%)に比較すると,正常へと戻る割合は顕著に高く,ハイリスク判定のための評価指標としての欠点と考えられる.

運動による脳の制御 P110

詳しくはこちらをご覧ください。

ベントン視覚記銘検査

認知症でない1,425名のBVRTの成績とアルツハイマー型認知症の関連について前向きに調査した研究によると,誤謬数が6以上であった場合,5以下の場合に比較して1-3年以内の発症では5.7倍,3-5年以内では2.1倍,5-10年では1.8倍,10-15年でも1.8倍発症リスクが高かったと報告されており,発症の10年以上前から予測が可能な精度の高い指標であると考えられている(Kawas et al., 2003) .

運動による脳の制御 P111

検査スコアの中で、正確数は全般的成績水準の評価に用いられ、誤謬数は質的分析のために用いられます。

施行A・Bでは刺激図版の提示時間に違いがありますが、どちらも即時記憶課題といえます。

施行D に関しては干渉手続きがなく、間隔も15秒で即時記憶課題といえます。

施行Cは模写課題で、即時記憶を評価はできません。

しかしこの課題では被検者の視空間構成機能や視空間的把握能力の評価は行えます。

この検査では難聴や失語、手指巧緻障害があっても実施が可能で、テストへのモチベーションが低い者でも遂行可能で拒否が少なく、非言語性テストのため教育歴や社会的背景の異なる者に用いることが可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。

認知症と重症度評価

DASC-21の概要と評価方法、結果の解釈

DASC-21の概要

DASC-21は、短時間で認知機能と生活機能の包括的な評価が行えるツーツのひとつです。
DASC-21について、

DASC-21は,原則として,粟田主一先生の研修を受けた専門職が高齢者の「認知機能障害」と「生活障害」を把握し,認知症を検出し,重症度を評価するアセスメントツールとして,適切な内的信頼性と併存的妥当性および弁別的妥当性を有することが証明されています.

DASC-21とは | dasc.jp

とあります。
質問項目には導入のA,B(採点は行いません)と21項目があります。各質問に対し、4段階で評価します。
IADLの項目が多く、軽度認知障害(MCI)の検出にも優れています。

本評価は認定者が使用できるものであり、eラーニングにて受講可能となっています。

DASC-21の実施方法と注意点、結果の解釈

こちらをご覧ください。

FAST(Functional Assessment Staging)の概要と結果の解釈

FAST(Functional Assessment Staging)の概要

FASTは、アルツハイマー型認知症の日常生活機能の総合評価から、その重症度を判定することを目的としています。

検査では対象者に対する様々な情報により症状の判定が行われるため、対象者の負担はありません。

軽度認知症では、日常生活での行動の変化が重要な指標になりますが、家族や本人から必ず訴えがあるわけではないため、聴取の際に細かく聞いていく必要があります。

FASTの使用方法、結果の解釈

こちらをご覧ください。

GBSスケールを用いた認知症評価の概要と使用方法、結果の解釈

GBSスケールの概要

GBSスケールは、認知症の重症度とともに質的な違いも評価することができる尺度になります。

評価の領域は運動機能、知的機能、感情機能、精神症状の4領域で、認知症の量的評価に加え、質的評価のためにも使用できます。

このスケールは認知症の評価には用いることができますが、認知症の診断を目的としたものではありません。

GBSスケールは定量的評価(知的機能の評価を中心とするもの:認知症の診断やスクリーニングに有効)と、定性的評価(行動の評価を中心とするもの:認知症状のプロフィールや類型を知るのに有効)の両側面を含んだものになります。

簡単に評価でき、対象者は特別な努力は必要ありません。時間制限もなく、視覚的課題は避けていることが特徴です。

GBSスケールの使用方法、結果の解釈

こちらをご覧ください。

CDR(Clinical Dementia Rating)の概要、使用方法と判定方法、結果の解釈

CDRの概要

CDRは臨床的な認知症の重症度を評価することを目的としています。

この評価方法では、対象者の協力が得られない場合でも、認知症にみられる臨床症状を把握、評価することで重症度の判定が可能になります。

CDRの使用方法、判定方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

認知症とニーズの評価

デマンドとニーズ、顕在・潜在ニーズについて)

デマンド(要求)とニーズ(必要性)

セラピストと対象者、または家族とのリハビリの説明と合意の過程においては、デマンド(要求)とニーズ(必要性)の違いを指摘し、その中でセラピストが対象者との関わりを通してニーズを双方が探っていくことが大切になります。

対象者のデマンドを優先してリハビリを開始した場合、対象者の状態や能力がデマンドに対して低い場合は能力の過小評価につながり、精神面に影響を及ぼすことがあります。

このことから、まずは対象者のデマンドを確認し、それが実現可能かどうかを検討していく過程が重要になります。

両者の話し合いにより、ニーズを決定し、合意を得るようにしていくことが基本ですが、場合によっては、対象者の望むことをやってみて、結果の振り返りの中でニーズを検討していくことも必要かと思われます。

顕在ニーズと潜在ニーズ

顕在ニーズとは、

クライエント自身がすでに特定の作業やその背景、つまり行いたい、行わなければならない作業、そしてその理由を本人が具体的に気づいて、他者に表出できるニーズである。

認知症をもつ人への作業療法アプローチ P47

とあります。一方、潜在ニーズとは、

クライエント自身がはっきりと認識していないニーズである。例えば「自分は認知症で人に迷惑をかけるようになって申し訳ない。何もできなくなった」というように、何にしても拒否する人がいたとする。このような人が、趣味であった編み物を行うきっかけをもつと、急に意欲をもって取り組み始めるということがありうる。このような場合に、この人にとっての編み物は潜在ニーズであったと考えられる。

認知症をもつ人への作業療法アプローチ P47

とあります。

潜在ニーズは様々な要因(身体性、精神性)により表出されないことがあり、セラピストは顕在ニーズばかりに注目しやすくなってしまうことがあります。

ニーズは将来の予後予測により意味のある作業が何であるかも変わってきます。機能面の回復程度がどの程度なのか、対象者の行く予定の施設がどのような所なのか、などです。

作業遂行ニーズと本質的ニーズ

作業遂行ニーズとは、「トイレ」「料理」など、対象者が行わなければならないと考えている重要な意味をもつ活動の希望で、名詞で表現可能なニーズです。

本質的ニーズとは、「面白い」「人の役に立っている」などの、漠然としていますが対象者にとっては意味のある活動を選択する上で動機となるニーズです。

作業遂行ニーズが把握できない場合、本質的ニーズを把握することで作業活動を選択しやすくなる場合があります。

前途した、デマンドでの活動レベルが高いことや、環境的に達成が難しい場合に、対象者が求める活動の本質的なニーズを把握しておくことで、達成可能な活動を選択できることもあります。

昔はスポーツなどで皆と集まり勝負事が好きだったが今は立位保持や歩行が難しい対象者の場合、本質的ニーズは友人と集まるという所属感の欲求や、勝負での達成感が本質的ニーズである可能性があります。この場合、昔行っていたスポーツでなくても、座位で可能な集団を通したレクリレーションでニーズが満たされる可能性があります。

面接による評価

対象者に面接を通して背景となることの聴取は、本質的ニーズを把握するのに役立ちます。方法としては、必要な項目をまとめたシートを使う場合もあれば、自由な話を通して聴取する場合もあります。

具体的な作業活動を探りながら、それがいつから、何をきっかけに、誰と、どうして続けたか、どのようにやっていたかなどの意味や動機を把握することは、本質的ニーズの把握につながります。

作業遂行のニーズでは、カナダ作業遂行測定(COPM(こちらをご覧ください))を用いることがあります。

認知症が軽度であれば実施可能な場合があります。家族などの対象者をよく知る人に用いる方法もあります。

興味チェックリストではクローズな質問を通して、「現在している」「してみたい」「興味がある」を答えてもらうことで、作業に対する興味やそれを通して背景を探ることができます。

ADOCというiPadのアプリを用いた作業選択意思決定支援ソフトでは、認知症をもつ方でも視覚的なイラストにより理解しやすくなり、作業遂行ニーズを評価しやすくなります。なお、ADOCはMMSE8点以上でその評価結果に妥当性があるとされています。

絵カード評価法は、70種類の作業カードを「とても重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」に分け、意味ある作業を選択していくことに役立ちます。
詳しくはこちらをご覧ください。

 

認知症のADL評価(評価バッテリー)

リハビリテーションの成果を示すには、数値化できる客観的な評価方法が必要になります。

N式老年者用日常生活活動動作能力評価(N-ADL)の概要と結果の解釈

N式老年者用日常生活活動動作能力評価(N-ADL)の概要

N-ADLは歩行・起座、生活圏、着脱衣・入浴、摂食、排泄の5項目の自立度に対して、7段階の評価尺度を用いて重症度分類を行うものです。
「しているADL」の観察を基本に行います。
NMスケールとの併用により、日常生活っでの能力の総合評価が可能になります。

評価内容と結果の解釈

こちらをご覧ください。

SCR-DEの概要と評価方法、結果の解釈

SCR-DEの概要

SCR-DEは、更衣、入浴、整容、摂食、排泄の項目を評価します。

評価方法としては、主な介護者に対して面接(インタビュー)を行います。

それぞれのADL動作について、開始への声かけが必要か、活動を始めてからは声かけや監視がなくても準備や段取り、遂行を適切に行えるか、活動を遂行するためにはどの程度の頻度で指示や誘導が必要か、活動の工程ごとに介助が必要かなどについて聴取していきます。

聴取内容から、各動作に対して、
0点:自立
1点:開始に激励が必要
2点:適宜指示誘導が必要
3点:1段階ずつの指示誘導が必要
4点:1段階ずつの指示誘導と適宜動作介助が必要
5点:1段階ずつの介助が必要
の6件法にて評価します。

評価項目の中に、「セルフケア全体」というものがありますが、これは例えばトイレに行ってから食事をとり、歯を磨くといったような全体の流れの中でスムーズに活動を遂行していくことができるかということを評価していきます。

なお、「セルフケア全体」の採点は0点〜3点となっています。

SCR-DEの評価方法

各項目の得点が高いほど、動作遂行においての介助(誘導・声かけまたは身体的介助)の必要性が高く、遂行機能障害があると解釈されます。

認知症の方においては、「組織かと順序立ての障害」が見られることがあり、活動の手順や動作の性急さ(タイミングの悪さ)、ペース配分、動作の質(例:早すぎて質が悪い)などに関連します。

このような症状を呈するということを知っておき、各活動においてどの工程のどの部分にどのような手助けが必要なのかを観察し、考えることがリハビリテーションにおいては大切な要素となります。

DADの概要と評価方法、結果の解釈

DADの概要

DAD(Disability Assessment for Dementia)は介護者にインタビューをすることでADL評価をおこなう評価方法です。

DADは在宅で生活する認知症者(アルツハイマー型認知症)を対象としています。

DADは衛生、着衣、排泄、摂食、食事の用意、電話の使用、外出、金銭管理、服薬、余暇と家事の10領域、40項目から構成されています。

各項目に対して、過去2週間における「した(行った)、しなかった(行わなかった)」を評価します。

各領域において、行動開始、計画、遂行の3つの要素を評価できるようになっています。

DADの評価方法

こちらをご覧ください。

DADの結果の解釈

DADでは、人生の中で一度も行ったことのない項目については評価項目からは除外します。

その上で、残った項目の得点を分母にして、その率を算出します。

PSMSの概要と実施方法、結果の解釈

PSMSの概要

PSMSは、高齢者の日常生活の活動性を、施設内での処遇、ケースワーク、スタッフ教育のために評価することを目的として作成された尺度(Langly-Porter Scale)に基づき作成されました。

PSMSは在宅者でも施設入所者に対しても施行可能であり、「排泄」「食事」「着替」「身繕い」「移動能力」「入浴」の6つの基本的生活機能を各5段階で評価し、得点を算出します。

評価項目と評価表

こちらをご覧ください。

結果の解釈

それぞれの項目について5段階評価し、合計得点は0〜6点となります。

IADLを用いた認知症の日常生活行動評価の概要と使用方法

IADLの概要

IADL(Instrumental Activities of Daily Living Scale)は、高齢者の日常生活における活動性を評価する目的に使用されます。
IADLは8項目(電話の使い方、買い物、食事の支援、家事、洗濯、移動・外出、服薬間管理、金銭管理)で構成されています。
男性の場合、食事の支援と洗濯、家事の項目については評価をしません。そのため、女性の得点範囲は0〜8点、男性では0〜5点となります。

情報収集には、対象者の日常生活をよく知る家族や主たる介護者から聞き取りを行うことや、職員による観察評価でも可能です。
各項目3〜5段階の評定があり、できる場合には1点、できない場合には0点とします。
各項目の合計得点を算出します。

IADLの評価項目

こちらをご覧ください。

認知症のADL評価(観察による評価)

認知症をもつ方のできる力、わかる力を見極める!動作を分割して分析する!

行動を助ける介入方法は本当に合っていますか?

認知症をもつ方への介入方法が、本当に行動を助ける最適な方法になっているでしょうか。

例えば、薬を一人で飲むことができない方がいるとします。このとき、よく思い浮かぶのは服薬カレンダーを使用して飲み忘れを防ぐという方法があると思います。

服薬カレンダーは、確かにその日に飲む分が分けて入れてあり、視覚的に把握できるので便利です。

服薬カレンダーが有効な場合は、薬を飲む必要性、時間などがわかっているが、飲むべき薬を選ぶのが苦手、薬を取り出すのが苦手などといった場合であると考えます。

薬を飲む必要性がわかっていない、薬を置いている場所がわからない、薬を薬だと認識できないといった場合には服薬カレンダーは不適応になります。

できる力の分析

動作を分析する際に必要なことは、その動作を細かく分けることにあります。

薬を飲む動作であれば、
①薬を選ぶ
②薬を取り出す
③薬を口に運ぶ
④薬を飲むといった工程に分かれます。

この中で、どの工程が、どのくらいできて、どのくらいできないかを分析すると、介入方法のヒントが把握しやすくなります。

薬を選ぶことができない場合、先ほどの服薬カレンダーもそうですし、一度に飲む薬を一緒に包装してもらっておくことも考えられます。また薬の写真などを見ながらであれば選べるかもしれません。

このように、どこまでできて、できない原因はどこにあるのかを分析できれば、どうすれば動作ができるようになるかのヒントが把握しやすくなります。

わかる力の分析

わかる力は、認識力と言い換えることができます。

服薬で考えれば、薬を飲む必要性がわかっているか、薬を置いている場所がわかっているか、薬を飲む時間帯(食後、食前など)がわかっているか、薬を薬だと認識しているかといったことが挙げられます。

薬を置いている場所がわからない場合、その方の記憶力の問題、もしくは視覚的な問題(視力、視空間認知)があるかもしれません。このように考えていけば、分析・考察する要素が増えてくるので、薬を飲めない理由が探りやすくなります。

認知症の方の観察による作業遂行分析

作業遂行分析の前に!工程と技能の分析

作業遂行分析を行う前には、その動作の工程と技能の分析を行います。

動作の方法、手順は十人十色なのですが、ある程度大まかな工程と技能の分析ができていると、対象者の方に作業遂行の滞りが見られた場合に、遂行を先に進めるための援助が可能になります。歯磨きをする場合の工程と技能の分析について考えていきます。

工程①歯ブラシと歯磨き粉と棚から取る
技能①道具を見つける、手を伸ばす、物をつかむ

工程②歯ブラシに歯磨き粉をつける
技能②適量を判断する、両手でもつ、つかむ

工程③歯全体を順序良く磨く
技能③小刻みに腕を動かす、順序を考える

工程④コップを戸棚から取る
技能④道具を見つける、手を伸ばす、物をつかむ

工程⑤コップに水を入れる
技能⑤蛇口をひねる、水量を判断する

工程⑥うがいをする
技能⑥コップを口まで運ぶ、適量を判断する

工程⑦歯ブラシやコップを洗う
技能⑦両手を使う、水量を判断する

工程⑧道具をしまう
技能⑧道具の場所を見つける、手を伸ばす、つかむ

工程⑨汚れたシンクを拭く
技能⑨汚れに気づく、スムーズに腕を動かす

作業遂行観察のポイント①:工程を順序良く進めているか

作業遂行を完了させるために工程を飛ばしたり、余計な工程が入ったりせずに、順序良く進めているかを観察していきます。
観察のポイントとしては、

・なかなか始まらない ・すぐに手がとまる ・次の工程に移れない

・いつまでも止めない ・別のことをし始める ・隣の人の物に手を出す

・本来の箇所とは違う箇所に作業を施す ・次第にやり方が変わる

・目的に適わない方法で行う ・不適切な順序で行う

認知症をもつ人への作業療法アプローチー視点・プロセス・理論ー P57

が挙げられます。
この要素が見られた場合、作業遂行に時間がかかったり、仕上がりの結果が不十分なものになります。

作業遂行観察のポイント②安全に動作が行えるか

安全に作業遂行するためには、注意力や判断力、また身体機能的な能力が求められます。
事故につながる例として、

・足のつま先が椅子の脚に引っかかる ・歩く際にバランスを崩す

・座る際に臀部が椅子から滑り落ちる ・熱い物を触る ・熱い物をこぼす

・火を消し忘れる ・火の調節をしない ・刃物を使うときに力の調節ができない

・刃物を使うときに、物を固定するほうの手を置く位置が悪い

・嚥下機能が悪いのに一気に食べる ・食べ物でない物を食べる

認知症をもつ人への作業療法アプローチー視点・プロセス・理論ー P57

が挙げられます。

作業遂行観察のポイント③動きの滑らかさ

作業遂行の際の、手足、体の滑らかさを観察していきます。滑らかでない場合、遂行完了に時間がかかったり、努力的になってしまいます。また仕上がりの質も不十分となりやすいです。

観察のポイントとしては

・指の動きが拙劣 ・力加減が不適切 ・力を加える方向が誤っている

・動きが緩慢 ・動きが速すぎる ・物の固定が不十分

・物を持つと手が震える ・立ち座りが困難 ・歩行が不安定

認知症をもつ人への作業療法アプローチー視点・プロセス・理論ー P58

が挙げられます。

認知症の周辺症状(BPSD)の評価

行動・心理症状(BPSD)の特徴

行動・心理症状(BPSD)とは

行動・心理症状(BPSD)は認知症に伴い出現する行動や心理的な症状をさします。

心理的なものとして、不安、多幸、妄想、幻覚、抑うつなどがあります。また行動面では興奮、夜間行動、易怒性、異常行動、脱抑制などがあります。

行動・心理症状(BPSD)があると、対象者本人のQOLの低下や、介護者の負担を大きくしてしまうことにつながります。

中核症状と行動・心理症状(BPSD)のつながり

認知症の中核障害があると、時間や場所(見当識)がわからくなったり、簡単な計算ができなくなるなど認知機能の低下がみられます。そのような機能低下が影響して、日常生活上が不自由になったり、不安感が大きくなってくると、行動・心理症状(BPSD)が出現することがあります。

また本人の置かれている環境や介護者の対応など、様々な要因が絡み合い行動・心理症状(BPSD)を生じさせる可能性があります。

認知症初期では、「自分は何か病気があるかもしれない」という意識から、不安感の増大や抑うつ症状が現れることがあります。また誤りや失敗を訂正されると怒り出すこともあります。

認知症の重症度と行動・心理症状(BPSD)

軽度認知症での行動・心理症状(BPSD)でよく観察されることとしては、

活動性・意欲低下
興味関心の低下
抑うつ(気分の落ち込み)
不安感
異常に怒る
抵抗や攻めるような態度

などがあります。

中等度認知症での行動・心理症状(BPSD)でよく観察されることとしては、

質問を繰り返えす、後追い、突然の叫び声など
徘徊、睡眠障害、幻覚(幻聴、幻視)
脱抑制や攻撃などの不適切行動

などがあります。

重度認知症での行動・心理症状(BPSD)でよく観察されることとしては、

蹴る、たたくなど介護者への攻撃行動
叫ぶ、うめくなどの非言語的な行動
自宅内を一人で歩けない

などがあります。

BPSDと薬物療法の知識

BPSDに対する薬物療法

BPSDに対しては、抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤などが使用されます。

抗精神病薬(非定型含める)を使用する際には、自傷や他害の恐れがある場合など、薬剤投与によるメリットがデメリットを明らかに上回る場合に限って、適切なインフォームドコンセント(使用目的、他の代替療法がなく、適応する薬物もないこと、副作用の可能性)を行った上で開始する必要があります。

BPSDに対応する抗精神病薬使用ガイドラインにおいても、対応の第一選択は非薬物療法であり、抗精神病薬の使用は適応外使用で、基本的には使用しない姿勢が必要だとされています。

そのため、対象を焦燥、興奮、攻撃性や精神病症状等に限定し、非薬物療法との組み合わせにより多剤投与は行わないことが重要です。

錐体路症状やジスキネジアの出現が少ない薬剤の使用し、副作用(転倒、起立性低血圧、過鎮静)に加え、他の重篤なリスクを家族と共有しておくことが大切になります。

薬剤分類

薬剤名

抗精神病薬(非定型)

リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロン、アリピプラゾール

抗精神病薬(定型)

ハロペリドール、スルピリド

ジスキネジア治療薬

チアプリド

抗不安薬(睡眠薬)

タンドスピロン、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、ブロチゾラム

抗うつ薬

セルトラリン、トラゾドン、フルボキサミン、パロキセチン

気分安定薬

カルバマゼピン

コリンエステラーゼ阻害薬

ドネペジル、リスパダール

漢方薬

抑肝散、抑肝散加陳皮半夏

阿部式BPSDスコアの概要と評価方法、結果の解釈

阿部式BPSDスコアの概要

阿部式BPSDスコアは、認知症の周辺症状を簡易に測定し、その状況把握や治療効果の判定に用いるために開発された自己記入式の評価尺度です。

阿部式BPSDスコアでは、認知症患者において見られるBPSD10項目について、頻度と重症度により0〜9点を配点し、その合計点でBPSDの度合いを判定します。

記入には約1分程度を必要とし、非常に簡便な評価尺度です。

この評価尺度では、Neuropsychiatric Inventory(NPI)との関連があり、MMSEの得点低下に伴いBPSDの増加を認めることから、BPSDスコアとして信頼性が高いものとなっています。

また介護者による評価の信頼性も保たれています。

阿部式BPSDスコアの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

CMAIの概要と評価方法、結果の解釈

CMAIの概要

Cohen-Mansfield Agitation Inventry(CMAI)は、Cohen- Mansfieldらによって開発された、介護者による評価方法です。

CMAIでは、攻撃的行動が11項目、非攻撃的行動が11項目の計22項目から構成されています(国立長寿医療研究センターの認知症・せん妄サポートチームマニュアルの資料では22項目から構成されていました)。

一定期間内の具体的な行動障害の出現頻度を7件法により介護者が評価を行います。

具体的な症状を評価できるため、実施しやすいことが特徴です。

Behave-ADの2つの下位尺度の代替として使用可能だとされています。

CMAIの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

ABIDの概要と評価方法、結果の解釈

ABIDの概要

ABID(Agitation Behaviorin in Dementia Scale)は、BPSDの「興奮」に特化した評価尺度です。

ABIDは「興奮」に対して作業療法などのリハビリテーションアプローチを行った際の、効果判定に用いるために使用することができ、日本語版の妥当性も確認されています。

家族、または介護者に聴取して採点をしていきます。

評価項目は16項目あり、それぞれについて問題行動の頻度の評価(5段階)と、介護者の反応の評価(6段階)を行います。

評価手順と評価項目、結果の解釈

こちらをご覧ください。

NPI-Qの概要と評価方法、結果の解釈

NPI-Qの概要

NPI-Q(NPIのアンケート版NPI-Brief Questionnaire Form)は、認知症者のBPSDの頻度、重症度、介護者の負担度を数量化できる評価方法です。

「妄想」「幻覚」「興奮」「うつ」「不安」「多幸」「無関心」「脱抑制」「易怒性」「異常行動」「夜間行動」「食行動」の 計12項目からなっています。

妥当性と信頼性が確認されており、認知症者の精神症状、介護者負担度の評価に有用だとされています。

評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

BEHAVE-ADの概要と評価方法、結果の解釈

BEHAVE-ADの概要

BEHAVE-ADは認知症者のBPSDの評価尺度のひとつです。

評価項目は25項目あり、妄想と幻覚に関する項目が充実しています。

BPSDには様々な症状が存在し、BEHAVE-ADの様な項目数が多い評価法を用いることで、BPSDを見逃さずに評価することが可能です。

またBEHAVE-ADで評価を実施することによって、家族に対して現在認められない症状だとしても、今後出現する可能性があることを家族は知り、心理教育的アプローチの一助となる可能性もあります。

家族は、質問されることにより始めて精神症状と知ることがあり、それまでのことを性格と捉え、症状と捉えていないこともあるようです。

また,作業療法アプローチの効果判定においても、点数化して重症度を評価できるため利用できます(作業療法の成果を示すために重要です)。

BEHAVE-ADの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

TBSの概要と評価方法、結果の解釈

TBSの概要

TBS(Troublesome Behavior Scale:問題行動評価尺度)は在宅、病院・施設で生活している認知症者の問題行動を評価するものです。

認知症者に比較的よく観察される問題行動を、介護者が過去1か月間に観察した頻度に基づき5段階評価を行います。

質問項目は14のから成り、在宅の対象者と病院・施設の対象者とでは内容が一部異なっています。

TBSは認知症者の行動異常を評価する尺度として、信頼性と妥当性があるとされています。

TBSの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

DBDスケールの概要と使用方法、結果の解釈

DBDスケールの概要と使用方法

DBDスケール (Dementia Behavior Disturbance Scale)はBaumgartenらによって開発された、行動異常を定量的に評価し、介護者の負担を客観的に評価する方法のひとつです。

認知症者によく認められる行動異常、例えば、 徘徊、興 奮、摂食障害、攻撃性、性的異常等についての28の質問項目から構成されています。

質問前1週間における各行動異の出現頻度を「全くない」「ほとんどない」「ときどきある」「よくある」「常にある」の5段階に分け、0から4点の点数をつけ評価します。

評価点の合計は、 0から最高112点 までであり、 得点が高ければ高いほど、 異常行動の出現頻度が高いことを示しています。

形式は介護者に対する質問表となっており、介護者に対する面接聴取や、施設では介護者に直接記入することも可能です。

DBDスケールの評価項目と結果の解釈

こちらをご覧ください。

DBD-13(Dementia Behavior Disturbance Scal短縮版)の概要と評価方法、結果の解釈

DBD-13の概要

DBD-13は、認知症の行動障害尺度のDBDの短縮版です。

評価項目は13項目あり、これは出現頻度が多く、また作業療法などの治療介入に反応して変化が大きい下位項目となっています。

DBD-13は簡便に臨床場面で評価できるものであり、52点満点となっています(DBDは28項目112点満点)。

短縮版と原版は高い相関関係を有し、介護負担感とも良好な正の相関を認めたとされています。

評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

認知症のQOL評価

QOL-Dの概要と評価方法、結果の解釈

QOL-D(Quality of life questionnaire for dementia)は、陽性感情、陰性感情&陰性行動、 コミュニケーション能力、落ち着きのなさ、他者への愛着、自発性&活動性の6 領域 31 項目から構成されています。

各項目を4 段階(見られない、まれに見られる、ときどき見られる、よく見られる、該当せず)で採点し,下位領域ごとに加算して算出します。

6 領域のうち陰性感情&陰性行動、落ち着きのなさの2 項目は点数の低下が改善を示すことになります。

領域もしくは項目ごとにポジティブ・ネガティブな側面からQOLの評価が行われていることが特徴です。

認知症者専用で、客観的にQOL評価ができるツールとなります。

QOL-Dの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

日本語版DQoL (DQoL-Japanese version)の概要と評価方法、結果の解釈

日本語版DQoLの概要

DQoLは1999年、 Brodらによりより開発されたものです。

認知症高齢者本人に直接面接により、本人のQOL評価を定量的に評価することが可能です。

日本語版DQoLは9項目からなり、「自尊感情」「肯定的情動」「否定的情動 (逆転項目) 「所属感」「美的感覚 」の5つの下位尺度から構成されます。

5段階の視覚スケールにより回答してもらいます。

日本語版DQoLの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

生活健康スケールの概要と評価方法、結果の解釈

生活健康スケールの概要

生活健康スケールはデイケアなどに通所する認知症高齢者の生活者としての健全さ、健康さを、職員が積極的に見守りデイケアを効果的に進められることを助けれるように、開発されたものです。

生活健康スケールは20項目から構成され、4件法で評価されます。

生活健康スケールでは、「常識や好みに応じて人環境を選択的に使い分けられる力」「身振り表現、振る舞いなどの身体技法における表現力」「おかれている場を許容して操作的に扱える力」の3つの面からなります。

生活健康スケールの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧くさい。

DHCの概要と評価方法、結果の解釈

DHCの概要

DHC(Dementia Happy Check Home Care Version)は認知症者のQOL評価尺度のひとつです。

DHCは表情の変化、会話の様子、立ち振る舞い、身だしなみへの関心、活動への参加態度、活動内容の6項目により構成されています。

活動内容以外の項目では判定基準が6段階になっています。

介護者による自己記入式の評価尺度となっています。

DHCは終末期での機能の低下を除けば、認知機能低下の影響を受けず、認知症者の心理的well-beingを反映するものだとされています。

DHCの評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

おだやかスケールの概要と評価方法、結果の解釈

おだやかスケールの概要

おだやかスケールは、認知症高齢者のよい状態(Well-being)を評価するために開発された評価尺度です。
よい状態には、自尊心、様々な感情を持つ、愛情を示す、自己表現をするなどがあります。

認知症高齢者が 認知機能の低下にもかかわらず, 周囲との交流をはかり, 自分らしく活き活きと生活できることをいう。 「おだやかスケール」はおだやかさの度合いを測る尺度を指す。

施設で過ごす認知症高齢者への 「改訂版おだやかスケール( 18 項目版 DEOS )」の適用

おだやかスケールには25項目版と18項目版があります。

18項目版では、【自分らしさの発揮】 【充実した暮らしぶり】 【周囲との交流】の領域があり、各項目について、「あてはまる(4点)」「ややあてはまる(3点)」 「あまりあてはまらない(2点)」「あてはまらない(1点)」で採点を行います。

おだやかスケールの評価方法(18項目版)と結果の解釈

こちらをご覧ください。

ARS、改変ARSの概要と評価方法、結果の解釈

ARS、改変ARSの概要

ARS(Affect Rating Scale)は、Lawtonが開発した認知症者に対する感情評価の評価尺度です。

ARSでは、肯定的感情(楽しみ、関心、満足)と否定的感情(怒り、不安・恐れ、抑うつ、悲哀、)の6つの感情を20分にわたり観察し、5段階の評価を行うものです。

認知症高齢者では、質問紙による主観的なQOL評価が行えない場合もあり、肯定的感情や否定的感情を測定することはQOL評価のひとつになります。

改変ARSは、10分の観察時間により、「評価できない」「なし」は0点、16秒未満を1点、16〜59秒は2点、1〜5分は2点、5分以上を4点としています。

また、肯定的感情はプラスの得点、否定的感情はマイナスの得点とします。

点数は−12点から+12点となります。

ARS、改変ARSの概要の評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

認知症とコミュニケーションの評価

アルツハイマー型認知症のコミュニケーション障害

アルツハイマー型認知症のコミュニケーション障害の特徴

言語の音韻的側面や統辞的側面は比較的保たれ,復唱は障害されず, 語彙論的意味論的な障害が主体となる。中心回や傍シルビウス裂領域の保存が復唱や音韻機能,さらには統辞的側面の保存と関係し,側頭葉後方下部や角回など後方連合野の障害が喚語困難や意味的側面の障害にもっとも関係しているであろうことが推測される。側頭葉後下部は漢字の失書とも関係が深いことが知られている。

高次脳機能研究 第 35 巻第 3 号 P51

とあります。

言語症状の進行としては、喚語困難(呼称障害)から、進行により理解に障害が出現しますが、復唱は比較的保たれやすいです。

いわゆる失名詞失語(健忘失語)から超皮質性感覚失語に移っていくようになります。

発話では代名詞や「もの」「こと」など代用語の使用や、遠回しな伝え方がが多くなます。意味性錯語や無関連な語性錯語、音韻性錯語はあまりみられません。

進行すると、発話量はあっても内容語が少なく情報量が乏しく、会話の中で最初の発話意図を忘れてしまうような回りくどい発話になることも多いくあります。

後方連合野だけでなく前方連合野にも障害が及び、意味的側面の崩壊、判断力低下も著目立つようになります。

このような病理から、発話として意味不明のジャルゴンになることもあり、末期には構音障害も出現し、最終的には無言症になります。

認知症者の評価!コミュニケーションから安心感を探る!

認知症と介護負担評価

家族の介護負担について

介護負担とは、

親族を介護した結果, 介護者が情緒的,身体的健康,社会生活および経済状態 に関して被った被害の程度

Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI _8)の作成: その信頼性と妥当に 関する検討

となっています。
また介護負担について、

Personal  strain(介護そのものによって生ずる負担)とRole strain(介護者が介 護をはじめたためにこれまでの生活ができなくなることより生ずる負担)の2因子がある

Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI _8)の作成: その信頼性と妥当に 関する検討

としています。

認知症者の介護負担増悪のリスク因子としては、認知症の重症度やADL能力ではなく、問題行動の程度だとされています。

そのようなことからも、家族介護負担を評価し、家族支援を行うことは非常に重要といえます。

Zarit介護負担尺度日本語版の概要と評価方法、結果の解釈

Zarit介護負担尺度日本語版の概要

Zaritによって開発され、身体的負担、心理的負担、経済的困難などの総合的な介護負担を評価できる尺度です。

日本語版では妥当性、信頼性が確認されています。

評価項目は22項目あり、短縮版では8項目で、自己記入式の質問票を用います。

各項目に対し、0:思わない、1:たまに思う、2:時々思う 3:よく思う 4:いつも思うの5段階で採点していきます。

評価項目と結果の解釈

こちらをご覧ください。

FCS ( 介護家族負担感尺度 )の概要と評価方法、結果の解釈

FCS ( 介護家族負担感尺度 )の概要

FCS ( 介護家族負担感尺度 )は、自宅で生活している障害を持った方を同居もしくは別居という環境において、生活場面で支援をしている方の主観的介護負担感の評価表です。

日本の文化や国民性に合わせて開発されています。

10項目から構成され、支援をする家族全員の評価を行うことが大切です。

高い信頼性と妥当性、実用性が示されています。

自己回答式で、約5分程度で実施できます。

FCS ( 介護家族負担感尺度 )の評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

介護負担感指標の概要と評価方法、結果の解釈

介護負担感指標の概要

介護負担感指標は、日本で用いることができる要介護高齢者の介護に伴う家族の負担感を測定することを目的に開発されました。

介護負担感指標では、介護負担感を介護に伴う否定的感情と位置づけ、「要介護高齢者に対する拒否感情」「社会活動に関する制限感」「経済的逼迫感(追い詰められてゆとりがない状態)」の3つのカテゴリーに分け、それぞれ4項目が設定されています(12の項目による構成)。

各項目に対し、3件法にて回答します。

介護負担感指標の評価方法と結果の解釈

こちらをご覧ください。

 

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個人因子(趣味や興味、役割)の評価

意味ある・重要な作業を目標に

リハビリテーションでは、病気によって引き起こされた機能障害に対し、機能訓練を実施します。

これは対象者の病気(機能障害)を治したいとうニードであり、間違った考え方ではありませんが、人生に対する満足度を高めていくためには、対象者の生活場面における意味ある・重要な作業を引き出し実現することが重要であると考えます。

生活場面における意味ある・重要な作業を引き出すためには、

①どのような生活を送りたいか
②それは、どのような作業を実現することで達成できるのか
③その作業は実際に達成可能なことなのか
④その作業を実現するために必要な準備は誰がどのようにすればよいのか

作業の捉え方と評価・支援技術 P66

という視点を持っておく必要があります。

興味関心チェックシートの活用

作業に対する具体的なイメージが浮かばない場合、作業の意識化にヒントを与えてくれるツールとして、「興味関心チェックシート」が役に立つ場合があります。

シートには様々な作業が記載してあり、このリストを使用することで、漠然とした本人の望む作業の的を絞ることができます。

記入方法:
セラピストが説明後、対象者が述べた結果を記入します。本人が内容理解し、自分で記入可能な場合、本人に行ってもらいます。
方法:
趣味・役割・したいと思っていることを各項目について聞き取りチェックします。
質問方法:
「リストについて、現在しているものには「している」、過去にしていたがしてみたい、してみたいができないと感じしていないものには「してみたい」、する・しないに関わらず興味があるものには「興味がある」にチェックをしてください」

各項目の確認:
チェックがあった項目について、「いつ」「どこで」「誰と」「どんなふうに」「どの程度」しているか、してみたいのかについて確認します。興味があるのチェックについては、どのように興味があるのか、どのような条件であればやってみたいかを確認します。

目標の設定:
これらの情報を基に、具体的な動作レベルでの目標を話し合い決定していきます。

役割の評価

役割チェックリストによる評価

・対象者が病気になる前にどのような役割があったか
・現在どの役割ができるか/できないか
・望む/将来しなければならない役割は何か
これを話し合うことにより、どの役割が対象者にとって重要かを決定する一助とします。

さらに、
・役割の変化が対象者や家族にどのように影響を及ぼすか
・役割の変化が対象者や家族にどのように影響する可能性があるか/影響の及ぼし方
を話し合う必要があります。

質問方法 などの実施方法

こちらをご覧ください。

問題点の捉え方

認知症の対象者の方における評価では、問題点はどこにあるのかを、主に観察を通して評価していくことが大切になります。

その際の視点としては、
・日常生活活動において対象者の能力が十分に活用されているか
・1日の過ごし方は適当か
・日常生活活動と環境に問題はないか
・随伴症状に対する対応はなされているか
・家族の介護負担に問題はないか
ということがポイントになります、

対象者の現状の能力を最大限発揮できているのか、また、最大限発揮するにはどのような環境設定を行うとよいのかを評価していきます。

1日の過ごし方というのは重要で、対象者は何もすることがないと、身体機能的にも精神機能的にも活動性が低下してしまい、不安や不穏、周辺症状の増悪などにつながる可能性があります。

問題行動の原因

対象者の問題行動が起こっている原因を考えることで、アプローチに際してどのような目標を設定するのか、環境調整するのかを立案しやすくなります。

対象者は、記憶障害や見当識障害により、何をしていたのか、これから何をするのか、ここはどこか、周りの人は誰か、自分は誰か、などというような不安につながりやすい状態になっています。
そのため、安心できるような、記憶障害の影響を受けていないはっきりとイメージできるような自分の存在が必要になります。

問題行動は、そういった現実的な世界と本人の頭の中の世界との間のズレにより生じている可能性があります。

そのため、対象者にどのような不安があるのかを評価していくことが重要になります。

目標設定

目標設定において重要なことは、対象者の評価をもとにした、
能力の活用と環境設定を適切に行うことになります。

また、1日の生活と活動の質と量を適切に設定していくことになります。

不安の解消

対象者が自分自身をしっかりと認識でき、対象者らしさを発揮することができる活動を探し、提供することで不安が解消できる可能性があります。

対象者が知らないことや、できないことだらけで不安が多い世界に、知っていることやできることがある世界に身を置けるということは、とても安心感につながります。

みなさんだって、初めていく海外旅行で、何も知らない土地に日本語を話すことができる日本料理屋さんがあれば安心するはずです。

できない、知らない世界にずっといるとうことは、対象者の活動性を低下させ、残存能力も奪ってしまう可能性があります。

残存能力の発揮

残存能力を発揮できる場面を設定することは、家族やスタッフ、他者の対象者に対する認識に影響を与えます。
これは、うまくいけば対象者の存在価値が認められることにつながります。

治療、アプローチにおける注意点

治療活動を選択する際には、個人の生活歴を尊重することが大切になります。

対象者の能力以上の作業活動を無理して行わせないようにすることが大切になります。
能力以上の作業をすると、戸惑いや挫折感、失敗体験などマイナスの感情が残ってしまいます。
また、作品の出来栄えにも注意が必要です。出来栄えが良くないと感じてしまうと、対象者は失敗体験だと認識してしまうことがあります。
個人作品だと、結果が対象者本人に直接的に帰ってきてしまいます。

認知症のレベルが中等度以上の場合、今(現在)取り組んでいて楽しい物、綺麗な物、1回の取り組みで仕上がる物から初めていくとよいでしょう。
計画的に、継続的に行っていく作業では、前回のことを覚えていないために、その場における楽しみを感じることができない場合があります。
認知症者の手工芸の評価(動作分析)と支援のポイント
認知症者者の手工芸導入でのポイントと家族支援

認知症のレベルが重度であっても、対象者の能力としてたたむ、拭くといった行動・動作は習慣化、自動化されていることが多いので、そういった動作を利用しながら場面を設定していきます。