認知症の評価からアプローチにおいては、問題点の捉え方、目標設定、問題行動の原因、不安の解消、残存能力、治療における注意点などを考慮する必要があります。今回、認知症における作業療法の評価やアプローチについてまとめていきたいと思います。

認知症と作業療法について学びたい方にオススメの書籍

 

認知症における作業療法の評価やアプローチの視点

問題点の捉え方

認知症の対象者の方における評価では、問題点はどこにあるのかを、主に観察を通して評価していくことが大切になります。

その際の視点としては、
・日常生活活動において対象者の能力が十分に活用されているか
・1日の過ごし方は適当か
・日常生活活動と環境に問題はないか
・随伴症状に対する対応はなされているか
・家族の介護負担に問題はないか
ということがポイントになります、

対象者の現状の能力を最大限発揮できているのか、また、最大限発揮するにはどのような環境設定を行うとよいのかを評価していきます。

1日の過ごし方というのは重要で、対象者は何もすることがないと、身体機能的にも精神機能的にも活動性が低下してしまい、不安や不穏、周辺症状の増悪などにつながる可能性があります。

問題行動の原因

対象者の問題行動が起こっている原因を考えることで、アプローチに際してどのような目標を設定するのか、環境調整するのかを立案しやすくなります。

対象者は、記憶障害や見当識障害により、何をしていたのか、これから何をするのか、ここはどこか、周りの人は誰か、自分は誰か、などというような不安につながりやすい状態になっています。
そのため、安心できるような、記憶障害の影響を受けていないはっきりとイメージできるような自分の存在が必要になります。

問題行動は、そういった現実的な世界と本人の頭の中の世界との間のズレにより生じている可能性があります。

そのため、対象者にどのような不安があるのかを評価していくことが重要になります。

目標設定

目標設定において重要なことは、対象者の評価をもとにした、
能力の活用と環境設定を適切に行うことになります。
また、1日の生活と活動の質と量を適切に設定していくことになります。

不安の解消

対象者が自分自身をしっかりと認識でき、対象者らしさを発揮することができる活動を探し、提供することで不安が解消できる可能性があります。

対象者が知らないことや、できないことだらけで不安が多い世界に、知っていることやできることがある世界に身を置けるということは、とても安心感につながります。

みなさんだって、初めていく海外旅行で、何も知らない土地に日本語を話すことができる日本料理屋さんがあれば安心するはずです。

できない、知らない世界にずっといるとうことは、対象者の活動性を低下させ、残存能力も奪ってしまう可能性があります。

残存能力の発揮

残存能力を発揮できる場面を設定することは、家族やスタッフ、他者の対象者に対する認識に影響を与えます。
これは、うまくいけば対象者の存在価値が認められることにつながります。

治療、アプローチにおける注意点

治療活動を選択する際には、個人の生活歴を尊重することが大切になります。

対象者の能力以上の作業活動を無理して行わせないようにすることが大切になります。
能力以上の作業をすると、戸惑いや挫折感、失敗体験などマイナスの感情が残ってしまいます。
また、作品の出来栄えにも注意が必要です。出来栄えが良くないと感じてしまうと、対象者は失敗体験だと認識してしまうことがあります。
個人作品だと、結果が対象者本人に直接的に帰ってきてしまいます。

認知症のレベルが中等度以上の場合、今(現在)取り組んでいて楽しい物、綺麗な物、1回の取り組みで仕上がる物から初めていくとよいでしょう。
計画的に、継続的に行っていく作業では、前回のことを覚えていないために、その場における楽しみを感じることができない場合があります。

認知症のレベルが重度であっても、対象者の能力としてたたむ、拭くといった行動・動作は習慣化、自動化されていることが多いので、そういった動作を利用しながら場面を設定していきます。