今回はのほぐし方、肘、前腕、手首、痛みにおける筋肉別トリガーポイントのほぐし方、緩め方を紹介します。
目次
スポンサードサーチ
スポンサードサーチ
腕橈骨筋は上腕骨の遠位(肘に近い方)の外側から前腕の外側にかけて走行している細長い筋肉になります。
腕橈骨筋は上腕骨外側上顆の近位2/3から、橈骨茎状突起についています。
筋肉の作用は肘関節を曲げることで、上腕二頭筋、上腕筋にも肘を曲げる作用があります。
腕橈骨筋は肘関節伸展位(肘が最後まで伸びている関節の位置)では筋肉に肘を曲げる作用は働かず、肘を曲げた位置になることでその働きが発揮されます。
腕橈骨筋は前腕の回旋(手のひらを上に向ける、手のひらを下に向ける動き)度合いによりその作用が変化します。
前腕回外位(手のひらを上に向けた位置)では肘の外反(肘を伸ばした際に肘より手のひらがやや外側に位置する:正常ではやや外反している)に働きます。
前腕回内外中間位(親指が上にある状態)では肘関節を曲げる作用があり、前腕回内位(手のひらを下に向けた位置)では前腕の回外に作用します。
橈骨神経の麻痺により腕橈骨筋は筋力低下等の影響を受けますが、筋皮神経支配の上腕二頭筋、上腕筋により肘関節屈曲が可能なため、大きな影響はありません(下垂手などの問題は大きい)。
筋皮神経の麻痺により、上腕二頭筋、上腕筋の筋力低下が起こった場合には腕橈骨筋が肘を曲げるための重要な筋肉となります。
①肘関節を90度曲げ、前腕内外旋中間位とし、肘を曲げていきます。
その際前腕の手首側に抵抗をかけることで、腕橈骨筋が膨らむことを確認できます。
抵抗を手首より先にかけてしまうと、長橈側手根伸筋の収縮も含まれてしまい、腕橈骨筋との区別がつきにくくなるため、注意してください。
前腕の手関節側に近づくと筋から腱に移行していきますが、腱の緊張度合いを感じながら触知していきます。
腕橈骨筋に過緊張や硬さがあると、前腕の外側や、手の甲側(親指から人差し指にかけてのエリア)に痛みを送ります。
上腕骨外側上顆近く(肘周辺)に筋の硬さがある場合、肘周囲の痛みを感じることもあります。
腕橈骨筋に並行して位置している長橈側手根伸筋と、腕橈骨筋の深層に位置している回外筋は似たような痛みのパターンをとるために、それぞれ判別することは困難です。
右腕橈骨筋の場合
①手首、指を伸ばします。
②腕橈骨筋に押圧を加え、近位(肘側)あるいは遠位(手首側)に引き寄せます。
③手首、指を曲げます。
筋の硬さや緊張が肘側に近ければ肘の動きを加えても良いです。
また筋の硬さや緊張が手首側に近いなら指の動きを利用して行うとよいです。
筋腹に対してストレッチを行う場合、筋腹を横方向に引き寄せ、その反対側に腕を回せば(手のひらを上向き、下向きにする動き)、しっかりと筋を伸張できま
スポンサードサーチ
上腕筋は上腕骨の手のひら側で、遠位(肘に近い方)1/2から始まり、尺骨粗面、肘関節の前方の関節包についています。
上腕筋は上腕二頭筋の下に位置しています。
上腕筋は肘を曲げる作用があります。
上腕筋の深い層にある繊維は肘関節前方の関節包につくことから、肘を曲げた際にたるむ関節包を引き出す作用があります(関節包が挟み込まれてしまうのを防ぐ役割)。
上腕筋が繊維化してしまうと、肘関節屈曲拘縮(肘が伸ばせなくなる状態)の原因となってしまいます。
①肩を90度程度挙げ(テーブルなど腕を置くと良い)、肘を100度程度曲げ、手のひらを顔に向けます。
この肢位は上腕二頭筋の働きを抑えながら上腕筋を触るのに適したものになります。
②その肢位から手のひらを反対に向けながらさらに肘を曲げていきます。
上腕骨外側上顆から上腕骨外縁に沿って上腕筋を触知していきます。
上腕筋は内側の筋腹も触知することができ、その場合内側上顆やや上の部分で、肘を曲げていった際の筋収縮を深部から押し上げてくる感覚を頼りに触知していきます。
上腕筋に過緊張や硬さがあると、親指のつけねの痛みの原因となります。
また肘をまっすぐ伸ばすことが困難になったり、肘周辺の上腕の外側に、圧迫感や張りなどを感じることもあります。
上腕筋のそばを通る橈骨神経の圧迫により、親指と前腕の背側にしびれ感が生じることもあります。
この時の筋の硬さは、上腕の外側で肘の少し上の部分に現れます。
時に筋の緊張や硬さが上腕二頭筋の内側の縁の下部分(上腕筋の内側の筋腹)で生じることもあります。
親指に痛みを送る筋肉は数多くありますが、上腕筋と斜角筋は見逃されやすい筋でもありますので、まずはこららの筋肉から調べていくことも大切になります
①肩90度程度挙げ(テーブルになどに腕を乗せると良い)、手のひらは顔に向け、肘を曲げます。
上腕筋に押圧を加え、肩(上)方向に引き寄せます。
②手のひらを反対側に向けながら、肘を伸ばしていきます。
スポンサードサーチ
円回内筋は尺骨頭、内側上顆から始まり、前腕の内側を斜め方向に通り、橈骨の中央付近についています。
円回内筋の作用は前腕の回内(手のひらを下に向ける)、肘関節の屈曲になります。
前腕の回内には方形回内筋という橈骨と尺骨を手首付近でまたぐ筋も関与しています。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
円回内筋が緊張すると、前腕から手にかけて広範囲に痛みが広がりますが、特に手首の親指側や親指の付け根、前腕の内側に痛みが広がりやすいです。
円回内筋に硬さがあると筋肉が正中神経を圧迫する原因にもなり、これは手根管症候群と勘違いされることもあります(手根管症候群は親指から薬指の親指側のしびれ感、親指の付け根の筋が萎縮し細かいものをつまみにくくなるなどの症状があります)。
円回内筋が緊張する原因として、第一には強い回内動作の反復を伴うスポーツや仕事の習慣的動作が挙げられます。
テニスのフォアハンドで強いスピンをかける場合には強い回内を伴う手首の動きが必要になります。
ちなみにテニスではバックハンドの際に負荷がかかることによるテニス肘(外側上顆炎)というものもあります。
肘のしびれ感を感じる場合には円回内筋が関与している可能性が高くなります。
ボーリングの際に回外(手のひらを上に向ける)から回内して投げる投球方法も回内筋に強い負荷をかけてしまいます。
他にも小さなノートパソコンなどでキーボードをタッチしていると前腕は常に回内位に強いられることにもなるため、持続的に負荷がかかっている状態になります。
円回内筋に触れるには前腕を出来うる限り回内(手のひらを下に向ける)させることでその収縮による膨らみを感じることができます。
ちなみに方形回内筋は脈をとる時に指を添える位置(橈骨動脈)に指を置き、前腕を回内させることで触れることが可能です。
右円回内筋の場合
①右の肘を曲げ、回内(手のひらを下に向けます)させます。
②円回内筋に押圧を加え、肘の内側方向(近位・尺側)、またはその反対方向(遠位・橈側)に引き寄せます。
③右肘を伸ばしながら回外(手のひらを上に向ける)させます。
スポンサードサーチ
長橈側手根伸筋は上腕骨外側上顆までの外側上顆稜からはじまり、人差し指の中手骨についています。
長橈側手根伸筋は手首の背屈(反る動き)、橈屈(手首を親指側に横に倒す)に作用し、肘関節を曲げる作用もあります。
短橈側手根伸筋は上腕骨外側上顆、外側側副靭帯、橈骨輪状靭帯からはじまり、中指の中手骨についています。
短橈側手根伸筋は手首の背屈(反る動き)、橈屈(手首を親指側に横に倒す)に作用しますが、長橈側手根伸筋に比べると橈屈力は弱くなっています(長橈側手根伸筋の方が人差し指側に筋肉がついているため)。
長橈側手根伸筋
①前腕回内位(手のひらを下を向いた状態)で腕をテーブルの上に乗せます。
人差し指が上腕骨の外側上顆稜(小指側の肘)にむけてまっすぐ近づくように手首をそらします。
その時に人差し指側の前腕に長橈側手根伸筋腱の収縮をたどっていきます。
短橈側手根伸筋
②前腕回内位(手のひらを下を向いた状態)で腕をテーブルの上に乗せます。
中指が上腕骨の外側上顆(小指側の肘)にむけてまっすぐ近づくように手首をそらします。
その時に中指側の前腕に短橈側手根伸筋腱の収縮をたどっていきます。
一人で確認する際には短橈側手根伸筋は判別困難かもしれません。
パートナーがいる場合には、長橈側手根伸筋であれば人差し指の中手骨に抵抗をかけながら触知し、短橈側手根伸筋であれば中指の中手骨に抵抗をかけながら触知するとわかりやすくなると思います。
これらの筋をほぐす場合には同じような位置についているため、おおまかな位置を把握していることが大事であると思われます。
長・短橈側手根伸筋が過緊張になったり、硬さがあると、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の主な原因となりますが、最も関わっているのは外側上顆に付着をもつ短橈側手根伸筋です。
テニス肘の治療として、短橈側手根伸筋の個別ストレッチは効果的であると言われています。
これらの筋の緊張は、前腕の外側や手首や指の背側に痛みを送ります。
また前腕の張り感や灼熱感、疼き感などとしても症状が出現することもあります。
手首用のサポーターはこれらの筋の負担を軽減することができますが、場合によっては筋を過剰固定することになり問題を悪化させることもあります。
作業中の負担のかかる手首の位置の修正と、筋肉へのストレッチ等の処置により改善可能になります。
右長・短橈側手根伸筋の場合
①手首、指を伸ばします。
②長・短橈側手根伸筋に押圧を加え、近位(肘側)あるいは遠位(手首側)に引き寄せます。
③手首、指を曲げます。
筋の硬さや緊張が肘側に近ければ肘の動きを加えても良いです。
また筋の硬さや緊張が手首側に近いなら指の動きを利用して行うとよいです。
筋腹に対してストレッチを行う場合、筋腹を横方向に引き寄せ、その反対側に腕を回せば(手のひらを上向き、下向きにする動き)、しっかりと筋を伸張できます。
尺側手根伸筋は上腕骨外側上顆、尺骨の後面上部から始まり、小指の中手骨の手の甲側につきます。
尺側手根伸筋は手首をまたいではいるのですが、手首を反る(背屈)作用はほとんどなく、手首の尺屈(手首を小指側に横に倒す)に主に作用します。
肘関節もまたいでいるため、肘を伸ばす作用もあります。
尺側手根伸筋腱は、前腕回外(手のひらが上を向いている状態)から前腕回内(手のひらが下を向いた状態)になる際に、尺骨茎状突起の膨隆(膨らみ)を乗り越えるように小指側へ移動します。
この事は尺側手根伸筋炎との関与が考えられています。
①手のひらを下に向け、テーブルの上に乗せます。尺骨茎状突起よりも親指側に尺側手根伸筋腱があります。
②尺屈(手首を小指側に横に倒す)運動をし、尺側手根伸筋腱の動きをたどっていきます。
このとき小指の外転運動は起こらないようにし、またテーブルに沿って純粋な尺屈運動が行われるようにします。
尺側手根伸筋腱から筋腹に移行していきますが、親指側のすぐ隣には小指伸筋が通っています。
手首の尺屈と小指の伸展(テーブルから小指を伸ばして離す)運動を交互に行い筋を判別していきます。
尺側手根伸筋が過緊張であったり硬さがあると、前腕の手首の背側付近から小指にかけて痛みを送ります。
また上腕骨外側上顆付近に過緊張や硬さがあると、肘周辺の痛みも生じます。
人は道具を使用する際、手首は尺屈(手首を小指側に横に倒す)するため、常に尺側手根伸筋は負荷がかかっている状態です。
しかしながら、日常的に使用する頻度も高いため、筋疲労や負担にも強い筋と言えます。
そのため、小指側の手首の痛みが発生した場合、尺側手根伸筋の問題を考える必要があります。
パソコンのキーボード操作において、手首は常に尺屈しているため、過度の負担がかかりやすい作業といえます。
角度が付いているキーボードは手首をまっすぐに保ちながらボタン打ちが可能なため、負担は少なくなります。
右尺側手根伸筋の場合
①手首、指を伸ばします。
②尺側手根伸筋に押圧を加え、近位(肘側)あるいは遠位(手首側)に引き寄せます。
③手首、指を曲げます。
筋の硬さや緊張が肘側に近ければ肘の動きを加えても良いです。また筋の硬さや緊張が手首側に近いなら指の動きを利用して行うとよいです。
筋腹に対してストレッチを行う場合、筋腹を横方向に引き寄せ、その反対側に腕を回せば(手のひらを上向き、下向きにする動き)、しっかりと筋を伸張できます。
スポンサードサーチ
尺側手根屈筋は、上腕骨内側上顆、中頭の内側面から尺骨の後面近位2/3から始まり、豆状骨から小指の中手骨底につきます。
手首の手のひら側では最も小指側に腱があり、浅指屈筋腱の小指側に位置しています。
尺側手根屈筋腱のすぐ親指側には尺骨神経と尺骨動脈が通っています。
尺側手根屈筋は、手関節の掌屈(手首を曲げる)と尺屈(手首を小指側に横に倒す)に作用し、肘関節の屈曲にも関与しています。尺側手根屈筋は、豆状骨についており、豆状骨から始まる小指外転筋の固定筋として、安定した働きを補助します。
尺側手根屈筋は肘部管を構成する一部となっており、そこでの尺骨神経の絞扼の原因のひとつとなります。
①豆状骨を探し、手首の掌屈(手首を曲げる)と尺屈(手首を小指側に横に倒す)をさせ、豆状骨についている尺側手根屈筋腱に触れる。
②小指(中手骨底)が上腕骨内側上顆(肘の最も内側)に一直線で近づくように掌屈、尺屈させ、腱や筋の動きをたどっていく。
③尺側手根屈筋は前腕の手首側1/3あたりで腱から筋腹に移っていく。肘に近づくにつれて、親指側にある長掌筋との判別もしていきます。
別法として、小指を強く外転運動(外に広げる)させることで尺側手根屈筋をたどっていくことも可能です。
尺側手根屈筋が緊張すると尺側(小指側)の手首に痛みを送ります。
この痛みは、尺側手根屈筋か、尺側手根伸筋のどちらかによるものです。
尺側手根伸筋の緊張は、尺側神経を圧迫するため、握力の低下や薬指と小指のしびれなどを引き起こすことがあります。
肘と手首の中間部分の緊張や硬さが目立つことが多いです。
尺側手根屈筋は、つかんだり、ひねったり、過度に引っ張るような動作を行うことで負荷がかかりやすくなります。
手首を曲げたまま眠ったような時にも筋の長さが短くなったままになってしまうため、過緊張状態になります。
右尺側手根屈筋の場合
①右の肘、手首、曲げます
②尺側手根屈筋に押圧を加え、近位(肘方向)、遠位(手首方向)に引き寄せ保持します。
③右肘、手首、伸ばします。
筋の緊張や硬さが肘側であれば肘の動きを中心に行い、手首側であれば指の動きを中心にして行うと効果的です。
手首を伸ばす際に、前腕を回外(手のひらを上にする)しながら行うとより強力にストレッチできます。
筋肉が短縮(縮んでいて伸びが足りない状態)しているのであれば、筋を横方向に引き、その方向と反対側に前腕を回すことでより強力なストレッチが可能です。
スポンサードサーチ
橈側手根屈筋は、上腕骨の内側上顆から始まり示指、中指の中手骨底につきます。
手関節の掌側では長掌筋腱の橈側(親指側)に位置しています。
橈側手根屈筋腱と長掌筋腱の間には正中神経があり、橈側手根屈筋の橈側には橈骨動脈(脈を測る際に触れる動脈)があります。
橈側手根屈筋は手首を曲げる(手関節掌屈)と橈屈(手首を親指側に横に倒す)に作用し、肘関節では屈曲に作用します。
橈側手根屈筋は前腕が回外している時には、前腕の回内作用もあります。
手首の曲げる運動は、橈側手根屈筋や尺側手根屈筋とのバランスの良い働きによりその動きがコントロールされているため、どちらかの機能が低下するとアンバランスな動きになってしまいます。
①軽く指全指をつまみ、長掌筋腱を見つけます。そこから手首を曲げると長掌筋腱の親指側の横に橈側手根屈筋腱を確認できます。
②人差し指(中手骨底)が上腕骨内側上顆に向かって一直線で近づく様に繰り返し運動させ、橈側手根屈筋をたどっていきます。
③腱は前腕の中央付近で筋腹となります。起始側の橈側(親指側)には円回内筋、尺側(小指側)には長掌筋があります。
橈側手根屈筋に過緊張や硬さがあると、手首の手のひら側の親指の付け根付近に痛みを感じることがあります。
また、母指対立筋も同部分に痛みを送ることがあります。
橈側手根屈筋は、つかんだり、ひねったり、過度に引っ張るような動作を行うことで負荷がかかりやすくなります。
手首を曲げたまま眠ったような時にも筋の長さが短くなったままになってしまうため、過緊張状態になります。
右橈側手根屈筋の場合
①右の肘、手首、曲げます
②橈側手根屈筋に押圧を加え、近位(肘方向)、遠位(手首方向)に引き寄せ保持します。
③右肘、手首、伸ばします。
筋の緊張や硬さが肘側であれば肘の動きを中心に行い、手首側であれば指の動きを中心にして行うと効果的です。
手首を伸ばす際に、前腕を回外(手のひらを上にする)しながら行うとより強力にストレッチできます。
筋肉が短縮(縮んでいて伸びが足りない状態)しているのであれば、筋を横方向に引き、その方向と反対側に前腕を回すことでより強力なストレッチが可能です。
スポンサードサーチ