今回は膝の痛みに関係する筋のほぐし方、緩め方について紹介していきます。
目次
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外側広筋は大腿骨の外側全体を覆うように位置しており、共同腱となって膝蓋骨と脛骨に停止します。
外側広筋は大腿四頭筋の中でも最大の大きさを持っています。
その作用は膝関節の伸展で、若干ではありますが下腿を内旋させます。
(出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR)
外側広筋は大腿前面外側に走行しています。
まず椅子に座り、下肢を床につけます。
そこから膝関節を伸展させることで大腿四頭筋が収縮するのがわかります。
その中でも外側広筋は、膝蓋骨の上部の角の外側に付着しているので、その部分を触れると外側広筋の収縮を感じることができます。
別法としては、下腿を若干内旋させた状態で膝を伸展させると外側広筋の収縮がさらにわかりやすくなります。
外側広筋が過緊張状態あるいは筋に硬さがあると、股関節と大腿部外側面に痛みを生じます。
外側広筋の後部にある筋硬結は大腿、膝関節後面に痛みを引き起こします。
外側広筋の影響によって、子供や乳児の大腿部と股関節痛を引き起こすこと可能性があります。
子供や乳児は元気良く遊びますが、その分下肢筋肉を過剰使用していることもあり、注意が必要です。
成長に伴う痛みは多くの場合筋膜によるものが多いとも言われています。
外側広筋は大腿の外側についているため、過緊張状態にある場合、横になると痛みや不快感が増悪する場合があります。
外側広筋の過剰緊張は膝蓋骨を外側に引く張力を生じさせ、膝関節のスムーズな動きを妨げることにつながり、その結果関節可動域を制限します。
膝の屈曲制限では膝蓋骨のすぐ上の部分もしくは外側の筋硬結によるものも多いです。
膝蓋骨の安定した位置には内側広筋と外側広筋の筋緊張、筋力のバランスが重要になるため、膝関節の関節可動域制限を考えていく上で重要になります。
外側広筋が緊張する原因としては、しゃがみ込みからの立ち上がりなど、下肢を過剰に使用する動作が挙げられます。
また下肢を伸ばしたままにしていることも、外側広筋にストレスをかける要因となりえます。
スポーツ前後のセルフマッサージなど予防的に対処する考えは重要になります。
①椅子に座り、膝を伸ばします。
②外側広筋に押圧を加え、頭側へ引き寄せ保持します。
③膝を曲げます。
腸脛靱帯との鑑別は困難なため、外側広筋、腸脛骨靱帯の両者を同時にストレッチすると考えます。
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内側広筋は、膝のすぐ上側に位置しており、大腿内側部に楕円型の膨らみを作っている筋肉です。
内側広筋は大腿骨から始まり、膝蓋骨と脛骨に共同腱となって停止します。
内側広筋の主な働きは膝蓋骨を内側に引くことで、拮抗筋として外側広筋が膝蓋骨を外側に引き、膝蓋骨の位置のバランスを取っています。
(出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR)
内側広筋を触れるには、膝蓋骨の位置を確認する必要があります。
膝蓋骨の上部に内側の外側の2つの角を確認できますが、その内側の角に内側広筋が付着しています。
そこから大腿骨に向かっていくのが内側広筋の走行となります。
内側広筋に過緊張状態、あるいは筋の硬さがあると、大腿内側と膝に周囲に痛みが生じます。
膝痛は主に膝の下半分で内側に認めることが多いです。
内側広筋に硬さがあると、膝の伸展筋力の低下を招き、歩行中の膝折れのリスクを高めます。
また変形性膝関節症の方で体重過多の方の場合、膝痛を増悪させる要因となったり、店頭のリスクを高めることにつながってしまいます。
内側広筋含む大腿四頭筋が緊張する原因としては、その酷使と荷重負荷が挙げられます。
例えば膝関節の深い屈伸運動は内側広筋に過度な負荷をかけやすいですし、ランニングによる膝への強い衝撃を繰り返すことによっても内側広筋はストレスを受けます。
足首の硬さがあり、バランスを保ちにくい方も膝や股関節の筋に悪影響を与えます。
その場合、内側広筋のストレッチ等とともに足首の調整も行わなければなりません。
①椅子に座り、膝を伸ばします。
②内側広筋に押圧を加え、頭側へ引き寄せ保持します。
③膝を曲げます。
膝の内側に痛みがあるなと思った場合、試しに内側広筋に対するストレッチを行うことがオススメです。
内側広筋は徐々に筋の硬さが出てくるため、早期対処が有効になります。
緊急の場合には内側広筋上の皮膚をつまみ、動かすことで一時的にではありますが膝痛の軽減を筋出力の向上を図ることが可能です。
これは、皮膚をつまみ動かすことで、皮膚と筋肉の間にある筋膜の滑りがよくなることが要因になると思われます。
膝の弾性サポーターによる筋の圧迫も同様の効果は認めますが、治療効果はあまり期待できません。
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中間広筋は大腿四頭筋を構成する筋肉のひとつです。
中間広筋は大腿直筋の下に位置しており、その大きさは大腿直筋と同程度になります。
大腿骨前面上部から始まり、膝蓋骨上縁中央部から膝蓋靱帯をへて脛骨粗面に付着します。
中間広筋の作用は膝関節の伸展です。大腿直筋と同じような走行をしていますが起始が違うため、中間広筋には股関節を屈曲する作用はありません。
この筋肉は大腿直筋の下に位置しているため、直接的に触れることはできません。
膝関節伸展筋である大腿直筋は、股関節を屈曲した際には膝伸展作用が弱まってしまいます。
これは股関節屈曲に伴い大腿直筋の長さが短くなってしまうためです。
この際に中間広筋の作用により膝伸展を補助する役割もあります。
(出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR)
中間広筋は大腿直筋に覆われており、通常は大腿四頭筋が同時収縮を行うため単独でその収縮を触知することはできません。
そのため、ストレッチ、マッサージは大腿直筋を通して行うことになります。
中間広筋が過緊張状態、あるいは筋に硬さがあると痛みは大腿中央部に生じます。
またその痛みは通常下方に広がり、場合によっては膝にまで生じることもあります。
日常生活上の動作では歩行時の痛みの出現、階段昇降時の痛みの増悪などがあります。
また長時間の座位姿勢の後に立ち上がり動作を行うと膝伸展動作が困難になることもあります。
膝のこわばり感も中間広筋の過緊張あるいは筋の硬さに由来することもあり注意が必要です。
中間広筋の筋硬結がある場合にもっとも見られやすい位置は、鼠径部から膝までの1/3下の大腿部前面になります。大きさは直径2〜3㎝程度となります。
中間広筋が緊張する原因としては過度の膝の屈伸をともなう運動などがあります。
大腿四頭筋を構成する他の筋肉(大腿直筋、外側広筋、内側広筋)も同様の運動においてストレスがかかります。
運動を行う前後に予防的に大腿四頭筋のストレッチ、マッサージを行うことが重要になります。
①椅子に座り、膝を伸ばします。
②中間広筋に押圧を加え、頭側へ引き寄せ保持します。
③膝を曲げます。
中間広筋は大腿直筋の下に位置しているため、強い押圧が必要になります。
同様の方法で膝蓋靱帯を押圧することにより、膝蓋靱帯のストレッチを行うことも可能です。
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大腿直筋は大腿前面に位置しており、腸骨から始まり腓骨に付着しています。
大腿四頭筋を構成する他の3つの筋(内側広筋、中間広筋、外側広筋)とともに共同腱に付着します。
その作用は主に膝の伸展となります。
また腸骨に付着しているため、股関節の強力な屈筋としても作用します。
(出典:ネッター解剖学アトラス原著第3版)
立位、または座位で股関節を屈曲させることで大腿直筋の収縮する位置を確認することが可能です。
二関節筋(二つの関節にまたがっている筋)のため、膝を伸展した状態の方が収縮を強く感じることができます。
大腿直筋が過緊張状態、あるいは筋に硬さがあると、膝の奥深い部分や膝蓋骨の下部に痛みを生じます。
また膝のすぐ上の部分でも痛みを感じることがあります。
これらの過緊張状態、もしくは筋の硬さは膝の関節可動域を制限するばかりか、筋力低下を招くこともあります。
大腿直筋の過緊張状態は、膝蓋靱帯も緊張させることがあり、膝蓋腱反射も抑制してしまうことがあります。
大腿直筋が緊張する原因としては、長時間の座位姿勢が挙げられます。
長時間の座位は、大腿直筋を短縮位に保つためストレスをかけることにつながります。
また股関節の屈曲運動を強く高頻度で繰り返すような運動は大腿直筋に過度の負担をかけてしまう恐れがあります。
このような運動の例としては腹筋運動、ランニング、サイクリング、ランニング等が考えられます。
サッカーボールを蹴る動作には大腿直筋が強く収縮しますし、水泳のバタ足動作も大腿直筋に負担をかけやすい動作です。
このようにしてストレスをうけた大腿直筋は膝痛の原因になります。
女性ではハイヒール靴で歩くことでさえも大腿直筋の過緊張を作り出す要因となりえます。
運動時に膝痛が起きた場合には、運動量を減らすのではなく、運動の前後に大腿直筋のストレッチ、マッサージ等のケアを十分に行うことが膝痛予防につながります。
①椅子に座り、膝を伸ばして座る。
②大腿直筋に押圧を加え、頭側に引き寄せ保持する。
③膝を曲げる。
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膝窩筋は膝の後部に位置している小さな筋肉です。
膝窩筋の上部は大腿骨外側上顆から始まり、下部は脛骨後部上部に付着する。膝窩筋の主な働きは膝関節の屈曲と下腿のわずかな内旋運動です。
膝関節屈曲では他の膝屈筋の補助的な役割を担います。また大腿骨の脛骨上での前方移動を防ぐ後十字靱帯の働きを補助します。
後十字靱帯の損傷では、靱帯の外科的修復後でも膝窩筋はストレスを受けやすくなります。
(出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR)
膝窩筋の収縮を確認するには椅子に座り、膝窩筋に触れながら膝を屈曲し地面に踵を押し付けるようにします。
さらに膝を屈曲した状態から下腿を内旋させると、その収縮がわかりやすくなります。
やや確認しにくいと思われます。
膝窩筋が過緊張状態、あるいは筋に硬さがあると膝を伸展する際に膝後面に痛みを生じさせます。
膝窩筋が短縮した状態になると、膝の伸展運動を阻害するため、膝関節の正常なロッキング機構が働かなくなります。
同部位の痛みには大腿二頭筋の過緊張状態も関係しているため、大腿二頭筋が緩んだ状態でなければ膝窩筋の問題がわかりにくい可能性があります。
日常生活動作ではしゃがみこむ、ランニングやウォーキング等で痛みが生じやすく、さらに坂道を下ったり、階段を降りることで痛みは増悪しやすくなります。
これらの動作には膝の伸展が重要になるためです。
膝窩筋の過緊張状態は、他の膝痛を引き起こす疾病(半月板損傷、靱帯損傷など)と誤診される可能性があります。
そのため膝痛を感じた場合には、まず膝の運動に関係する筋肉に過緊張状態、筋の硬さがないかどうかを確認する必要があります。
膝窩筋が緊張する原因としては、先ほど説明したしゃがみこみ動作、ランニングやウォーキング、坂道を下る、階段を降りる、ひねる動作があります。
またスポーツではサッカーや野球、ラグビーなど素早く方向転換をしなければならない動作も膝窩筋に負担をかけやすくなります。
他にもテニス、バレーボール、陸上競技など、激しい運動を必要とするスポーツには膝窩筋に負担をかけます。
①椅子に座り、膝を曲げます。
②膝窩筋に押圧を加え、脛骨の内側(脛骨内顆)に引き寄せ保持します。
③膝を伸ばします。
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