脳卒中片麻痺者の上肢機能評価とリハビリテーションに必要な実践的知識をまとめていきたいと思います。

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目次

脳卒中片麻痺者と上肢機能評価、リハビリテーションに向けた実践的知識と方法!

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参考文献

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第3回リハビリテーションプロフェッショナルセミナー 脳卒中機能評価セミナー・予後予測セミナー〜一歩進んだリハビリテーションを実践するために〜 配布資料
岡崎 英人ら「上肢麻痺の改善手技-ミラーセラピーを中心に」CLINICAL NEUROSCIENCE Vol.35 no.5 2017.5
脳外臨床研究会和歌山支部研修会 「苦手意識から克服 脳卒中基礎セミナー 運動麻痺の”動かせない”がわかる!〜基礎から評価の視点を明確に〜」 講義資料
竹川 徹ら「上肢痙縮に伴う肩関節機能障害に対するボツリヌス毒素治療」JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.23 No.10 2014.10
大野 勘太ら「脳卒中後麻痺側上肢の使用行動を促進するためのアプリケーションツール:ADOC for Hand」臨床作業療法 Vol.14.No.4 2017
田部 浩文「生活場面への汎化の定着を強化する行動療法(トランスファーパッケージ)ーその3 ホームスキル課題(宿題)」臨床作業療法 Vol.14.No.4 2017
高見 美貴ら「片麻痺患者の包丁操作能力ーMFS、握力、上肢能力テスト(上田式)、箸操作実用性での検討」

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脳卒中運動麻痺〜一次運動野と皮質脊髄路による捉え方の違い〜

一次運動野と皮質脊髄路(錐体路)による運動麻痺の違い

運動麻痺は随意運動実行系の障害であり、運動の計画や調節(大脳基底核や小脳)の障害は関係ありません。

運動麻痺には一次運動野と皮質脊髄路(錐体路)によるものがあります。

これらの違いを知る事により運動麻痺の解釈が行いやすくなります。

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一次運動野による運動麻痺の特徴

一次運動野には、身体部位に対応したマッピングがあり(体部位局在)、そこを刺激すると対応した身体部位の運動が起こります。

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出典:運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」講義資料

また一つの筋肉に出力しているだけでなく、複数の筋肉に出力している領域も存在します。

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出典:運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」講義資料

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出典:運動麻痺の治療的解釈〜明確な評価と治療のために〜」講義資料

図を見てもわかるように、運動野Aが障害された場合には、それを補うために運動野AB、ACが働くことになります。

この状態がいわゆる共同運動という現象になります。

一次運動野はスイッチの役割を担っており、一次運動野が障害されることにより分離運動が障害されることになります。

皮質脊髄路(錐体路)による運動麻痺の特徴

一次運動野から出た皮質脊髄路は放線冠、内包、大脳脚を通って延髄の錐体で交叉して反対側の脊髄を下降して脊髄前角の運動細胞へと伝わります。

皮質脊髄路は筋収縮の強さ、すなわち

①何個の運動細胞が興奮するか(量)
②1つの運動細胞がどれだけ強く興奮するか(強さ)

という事に関与しています。

そのため、皮質脊髄路が障害されると、脊髄運動細胞の興奮が低下し、筋収縮が弱くなります。この状態を神経原性筋力低下といいます。

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改めて運動麻痺とは

一次運動野から皮質脊髄路のどこかが損傷されています。

皮質の障害であれば、分離運動障害が生じます(Brs-stageⅠ〜Ⅲ)。

皮質脊髄路の障害であれば、筋力低下が生じます(Brs-stageⅣ以上)。

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Brs-stageの評価と一次運動野、皮質脊髄路

運動麻痺とは何か

運動麻痺とは、随意運動の機能障害だとし、運動の実行系には一次運動野と皮質脊髄路が関与しています。

一次運動野からの運動出力は皮質脊髄路により脊髄前角細胞に伝達され、筋に伝わり随意運動が発現されます。

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一次運動野と皮質脊髄路の違い

一次運動野と皮質脊髄路の違いを説明するときに、脳の解剖学的要素を元に説明されていました。

脳を作る神経細胞において、細胞体は「運動の指示」をし、軸索は出力装置で情報を「維持し、速く伝える」役割があります。

細胞体は一次運動野に存在し、運動の指示(運動パターンの出力・抑制)を行います。また軸索(髄鞘含む)は皮質脊髄路において情報伝達を行います。

運動麻痺の臨床評価

脳卒中運動麻痺の評価ではmBrs-stageをよく評価として選択します。

一次運動野では運動パターンの出力・抑制を行うので、評価としては「単関節が単関節で全方向に動くか(共同運動がみられないか)」をみていきます。

すなわち、動かしたい関節に加えて他の関節も一緒に動いていないかを評価します。

皮質脊髄路では下位運動ニューロンの発火・動員数に関与し、収縮の力(筋出力)をみていきます。

また、発火の速度にも関与しており、発火までのスピードをみていきます。

発火のスピードは、Brs-stageⅥでの評価(スピードテスト)となります。

皮質脊髄路では、運動野からの指示(力・スピード)がどのように伝達されているかを評価しますが、そのためには自動運動あるいは抵抗運動を行い、その際に他の関節が動いてこないか(代償運動)を評価します。

また自動運動をしたときにすぐに筋出力を発揮できるかも評価します。

さらに、運動を数回行うことで変化があるか(できなくなるか)を評価します。

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Brs-stageは何を見ているか

Brs-stageは運動麻痺の回復過程を表しているものであり、運動麻痺のみを評価しているわけではありません。

Brs-stageでは痙性麻痺の要素(①伸張反射の異常②異常な連合反応③共同運動パターン④運動単位の動員異常)を全てみており、治療にはつなげにくいことを指摘していました(①②は運動の実行系以外の要素)。

stageⅠ、Ⅱでは運動麻痺以外の要素が強く、Ⅲ、Ⅳでも筋緊張の要素も影響します。

運動野の損傷による共同運動と皮質脊髄路の損傷による共同運動

運動野の障害では、運動パターンの出力・抑制の障害により、共同運動が出現しますが、皮質脊髄路の障害においても分離運動が行いにくいということがよくあります。

皮質脊髄路の障害では、解剖学的に考えると分離運動の障害は起こらないといえます。

皮質脊髄路の障害で分離運動が行いにくい理由として、筋出力の低下により代償運動が起こっている可能性が挙げられます。

皮質脊髄路の障害では、stageⅣ以上の可能性があり、そのため、力が弱くなっているのを助ける(除重力位や自動介助運動)により単関節運動が行えるかを評価する必要があります。

また治療においても、分離運動の練習をするというよりは筋出力を向上させるための練習を行わなければいけません。

皮質脊髄路の損傷後の脳活動は、一次運動野以外の皮質が過剰に働き、情報伝達がスムーズになされず、損傷を受けていない一次運動野における適切な出力が行えず、共同運動が出現すると言われていました。

このことから、「頑張って」などと無理に動かそうとすると、さらに脳活動のバランスを崩すことにもつながるため、動く範囲で、アシストしながら、動かし筋出力を高めていく必要があります。

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片麻痺の上肢の評価とアクティビティを用いたリハビリ

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片麻痺上肢機能評価にはどんなものがあるか

片麻痺上肢機能評価には、様々なものがあります。

理学・神経学的所見による評価では、ROMテスト、筋力テスト、感覚テスト、深部腱反射があります。

中枢神経障害の回復過程に注目した評価では、Brunnstrom stage、12段階グレード片麻痺機能テストがあります。

片麻痺上肢の運動機能を運動パターンと課題遂行能力からみた評価では、脳卒中上肢機能評価(MFT)があります。

脳卒中の機能障害を包括的にみた評価では、脳卒中機能評価法(SIAS)、Fungl-Meyer評価法などがあります。

片麻痺以外の上肢機能にも使用可能なものとして、簡易上肢機能検査(STEF)があります。

臨床でよく用いられているBrunnstrom stage、12段階グレード片麻痺機能テストは、治療目標が次の段階であり、機能回復に沿った評価と治療が行えるメリットがあります。

また回復段階の理解しやすく、臨床像の把握も行いやすいという利点があります。

中枢性運動麻痺の回復

中枢神経性麻痺では、質的変化のみと捉えられがちですが、中枢性運動機能障害にも量的な筋力低下はあります。

Brunnstrom stageと徒手筋力テストを対応させた場合、 stageⅠでは筋収縮が見られないためMMT0となります。

stageⅡはMMT 1に対応します。

stageⅢで十分な共同運動が見られるとMMT3以上となります。

このようなことから、運動麻痺の回復過程では質的変化(パターン)と量的変化(筋力)があることがわかります。

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Brunnstrom stage、12段階グレード片麻痺機能テストの特徴と問題点

Brunnstrom stage、12段階グレード片麻痺機能テストでは、回復段階により分類しています。

Brunnstrom stageではstage1からⅢまでは共同運動が完成する過程となり、stageⅣ〜Ⅵまでは共同運動からの分離となります。

共同運動には屈筋共同運動と伸筋共同運動があります。

屈筋共同運動伸筋共同運動
肩甲帯挙上・後退前方突出
屈曲・外転・凱旋伸展・内転・内旋
屈曲伸展
前腕回外回内

分離運動では、屈筋共同運動と伸筋共同運動の肩甲骨、肩、肘、前腕の各要素が入り混じりながら可能となっていきます。

上肢回復段階のテストにおける主動作筋については、

肩甲帯前腕
屈筋共同運動上方回旋筋群、菱形筋三角筋中部上腕二頭筋回外筋群
伸筋共同運動前鋸筋大胸筋腕三頭筋回内筋群
腰の後ろに手下方回旋筋群、菱形筋群、広背筋、大円筋など大胸筋、内旋筋群上腕二頭筋
前方水平挙上上方回旋筋群、前鋸筋三角筋前部上腕三頭筋
肘90°で回内外内旋筋群上腕二頭筋回内筋群
横水平挙上上方回旋筋群三角筋中部上腕三頭筋回内筋群
前方頭上に挙上上方回旋筋群、僧帽筋など三角筋前部上腕三頭筋
肘伸展位で回内外上方回旋筋群、前鋸筋三角筋前部上腕三頭筋回外筋群

というようになります。

Brunnstrom stage、12段階グレード片麻痺機能テストでは、上肢の運動をひとまとめにしてみていますが、臨床場面では表のような典型的パターンを示す患者ばかりではありません。

様々な上肢の状態でも同じstage、同じgradeとなることもあります。

各テストの動作を行ったときに、分離できつつある関節運動があっても、stageⅢと表現されてしまうことがデメリットとなります。

様々な運動機能をみるための片麻痺の上肢機能評価

片麻痺者の上肢を実用手、補助手など、「良い手」にしていくためには、上肢全体としてみるのではなく、肩、肘、前腕、手関節、手指と個別に評価していく必要があります。

肩の屈曲と外転、肘の屈曲と伸展、上肢を体側につけ肘屈曲位で前腕の回内外など、評価したい動きを行わせ、このときに共同運動の支配下で運動が実行されるのか、もしくは共同運動から分離した単独運動が行われるのかを確認します。

また、肩、肘、前腕などにおける随意運動がどの程度可能か、各関節運動の筋力も評価します。

このような評価を行うことで、質的(パターン)と量的(筋力)の両方を評価していきます。

共同運動に支配されている運動でも、分離されつつある運動でも、分離された運動でも、各関節に相対的評価である徒手筋力テストを行うと、片麻痺患者において各関節の筋力に差があることが多い。

作業療法のとらえかた P14

片麻痺患者の上肢挙上運動では、肩甲骨と肩甲上腕関節の動きの割合が、非麻痺側上肢と比較して異なることが多くなります。

ほとんどの場合、肩甲骨上方回旋の動きが乏しく、肩甲上腕関節の動きにより肩甲骨の動きを代償しています。

逆に肩甲骨の動きが少ない場合では、三角筋の活動が低下しています。

上肢の効果的な使用のためには肩甲骨の前方突出(外転)も重要になるため、評価しておく必要があります。

12段階グレード片麻痺機能テストでは、スピードテスト(予備テスト含む)がありますが、予備テストは肘伸展での側方への90°挙上で、肩の挙上が十分でないときに行われます。

通常のスピードテストでは手を頭上に挙げますが、両者には肩甲骨の上方回旋の差があり、予備テストでは、肩甲骨の動きを肩甲上腕関節で補うことができます。

スピードテストを実施して、最高の回復段階の判定を得たとしても、徒手筋力テストを行うと麻痺側上肢の筋力低下、筋持久力低下、筋疲労をおこしやすい特徴があります。

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 手指の回復段階と評価

指の回復段階の動作としての評価には、下表のようなものがあります。

Stage1随意運動なし
Stage2指の総握りのわずかな出現
Stage3指の総握りが十分に可能、総開きは不能
Stage4指の総開きが自動的に少し可能

横つまみが可能、母指の動きで離せる

Stage5指の総握りが全可動域で可能

指伸展位で指外転が可能

指腹つまみ、円柱or球握りが可能

対向、3指つまみなどが可能

Stage6指屈曲位で外転可能、ボール投げ、ボタンのはめはずしなど可能、多少の巧緻性にかけてもほぼ正常動作が可能
横の分離縦の分離
指折りかぞえ

母指のみ伸展

示指のみ伸展

母指橈側外転

母指掌側外転

キツネ、ピストルの形をつくる

MP屈曲、IP屈曲

MP屈曲、IP伸展

横の分離とは各指間で相互に影響されないことを指し、縦の分離はMP関節とIP関節の間、母指ではさらにCM関節との間の運動で、相互に影響されないことを指しています。

手指の回復段階と、関連する筋との関連を考えることが評価においては重要になります。

手指の集団屈曲は外在筋の屈筋による働きで、集団伸展は外在筋の伸筋による働きです。

stageⅣからの分離運動では、内在筋が作用することにより可能となります。

例えば、指を完全伸展するためには、総指伸筋だけではなく、背側骨間筋や掌側骨間筋や虫様筋の働きが必要となります。

stageⅤ〜Ⅵの方に徒手筋力テストを行うと、外在屈筋>外在伸筋>内在筋という筋力の関係ができます。

筋力の強い筋肉の方が回復における優位性があり、3つの筋群は同じ回復過程をとらず、筋力の不均衡が生じることになってしまいます。

これは内在筋の筋力低下につながり、巧緻動作や協調運動の低下、道具使用の困難などにつながることがあります。

片麻痺者では、筋緊張異常により手の変形を起こすことがあります。

総指伸筋の緊張が高いと、MP関節伸展、IP関節屈曲位をとるintrinsic minus handとなります。

stageⅤの患者でもintrinsic minus handを示すこともあり、これは普段の手の使用が外在筋中心に働き、内在筋との筋力の不均衡が生じたためだと考えられます。

このような場合には内在筋の筋力増強が必要になります。

手関節の回復段階と評価

手関節の運動には背屈・掌屈、橈屈・尺屈があります。

手の使用における手関節の動きでは、特に背屈、橈屈が重要になります。

共同運動の影響が強い場合には、手関節掌屈に尺屈、手関節背屈に橈屈が同時に起こりやすく、掌屈・背屈が橈・尺屈にどれだけ分離して行えるかをみることが大切になります。

手関節の回復段階では、掌屈が橈・尺側手根屈筋の活動により出現し、次に背屈が橈・尺側手根伸筋の活動により出現します。次に橈側手根屈筋、橈側手根伸筋の組み合わせで橈屈が、尺側手根屈筋、尺側手根伸筋の活動により尺屈が可能になります。

手関節の橈尺運動が行えない場合、肩の外転や内旋などを強める代償運動で動作を行う場合があります。

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片麻痺者の上肢の中枢機能と末梢機能の関係

片麻痺者の上肢動作を観察すると、手指のつまみ動作が机上では可能でも、上肢を空間で高い位置に保持しながらではつまみ動作が十分にできなかったり、上肢挙上位では手関節背屈がうまくできなかったりすることがよくあります。

stageⅤの患者が上肢挙上、肘伸展位でのつまみ動作を行うと肘の屈曲がみられ、動作のスムーズさに欠けるというように、上肢の個別の関節運動は良好でも、全体の動作の中では不十分となり、何回も同じ動作を行うとできなくなることもあります。

これらの動きは、筋力の弱く、筋疲労が起こると生じやすい現象です。分離運動が可能であっても、中枢(近位)の筋の筋力が弱いため、肩甲骨や肩甲上腕関節の固定が努力的となり筋緊張が高まりやすくなります。

その結果、末梢(肘以遠)の動きが制限され、分離しつつある動きや分離している動きが行いにくくなります。

このことからも、中枢機能が末梢機能に影響を与えることがわかります。

片麻痺者の筋力評価の必要性

臨床では、片麻痺者が手を使い作業遂行する場合には、中枢(近位筋)の固定力が低下していると、努力性の収縮になり筋緊張が高まり、末梢(肘以遠)の機能が十分に発揮できないことがあります。

これは、中枢(近位筋)の筋力低下の問題があることがわかります。

中枢神経麻痺では質(パターン)の変化を評価することも重要ですが、量(筋力)の変化を評価することも重要になります。stageⅤ前後では単関節での運動も可能になり、徒手筋力測定も可能であり、共同運動の支配下にあるときでも、おおまかに筋力をみておくことも大切な評価になります。

粗大筋力だけでなく、握力、つまみ力をみておくことも、手の使用を促していく上では重要になります。

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 アクティビティを通した片麻痺への上肢機能アプローチ

共同運動の出現以降、上肢の動きが出ても各関節の動きには差がある状態です。

肩周囲の主観的問題点としては、「手の重み」が考えられます。

これは、正常では感じない上肢の重みを、筋力がないために感じます。この訴えはstageの高い患者でも聞かれ、中枢の固定力が向上すれば「軽くなった」と認識が変わり、易疲労性も感じにくくなります。

また中枢の固定力が向上すれば、麻痺側上肢の使用において、努力的な中枢雨の筋収縮が軽減され、筋緊張が異常に高まらずに末梢の機能が発揮できます。

そのため、徒手的に肩甲骨挙上、外転、肩甲上腕関節の動きを誘発し、筋力強化を行う必要があります。

共同運動の誘発や分離運動の獲得には、サンディングやワイピング、スケートボードを使用し、分離運動が出現して単関節の運動が行えるようになると徒手的な筋力強化も行います。

この際、肩の痛みに注意し、適切な課題を設定していきます。

手指の場合も同様に、分離運動が出現したら徒手的に筋力増強を行います。

手指における骨間筋の筋力低下には、手指伸展位(MP軽度屈曲、IP伸展)での粘土(セラプラスト)伸ばしも利用されます。

このとき、内在筋の筋力が弱いと、手指屈曲に働く外在筋の浅・深指屈筋が働きIP関節屈曲位となってしまいます。

IP関節屈曲位では外在筋の筋力増強となるため、粘土の硬さを適切なものにする必要があります。

肘、前腕、手関節では単独の関節運動を行うことは、筋力増強だけでなく分離運動の獲得も助けます。

手の使用においては、手関節と手指の連動した動きが大切となり、手関節背屈位で手指の使用ができるようにしていく必要があります。

手指の巧緻性や協調性が悪い場合(stageⅤ、Ⅵ)、内在筋の筋力低下と、筋と筋の協調した働きが起きにくいことが原因となることが多くあります。

手指機能がstageⅤ、Ⅵで箸の使用が困難な場合、粘土伸ばしによる内在筋の強化を行います。

また、ペグ操作も行い、1〜3指でペグを回転(反転)させてからボードに挿すようにします。

ペグの回転は逆回転も行い、ボードに挿すときには手関節が背屈位となるようにボードには傾斜をつけておきます。

粘土伸ばし、ペグ操作を十分に行うことができれば、箸の使用は可能となります。

手指の促通の際に手関節背屈が行いにくい場合はコックアップスプリントを使用し、手指の対立位が取りにくい場合には短対立スプリントを使用し、母指外転を補助します。

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上肢運動麻痺に対するリハビリテーションに向けてー到達・把握・操作運動の神経機構ー

到達、把握の神経機構の基礎

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到達運動の神経機構

到達運動の達成には、

視覚情報から得られる対象の位置情報を行為に関する運動企画(運動プラン)に変換する過程、次いでその企画に基づく運動プログラムを形成し運動に導く過程、そして企画に基づく行為が実現されているかを監視し、必要に応じて運動の修正を図る過程がそれぞれ必要であると考えられている。

リハビリテーション臨床のための脳科学 P117

とあります。

これらに対する神経機構は、頭頂連合野(下頭頂小葉)と背側運動前野が関与していると考えられています。

到達運動では、対象物を注視するためにサッケードが生じ、頭頂間溝外側領域(LIP野)が関与します。

そこからの位置情報により、対象物が視空間内に存在するかを認識し、到達運動のための運動制御が算出され、これには上頭頂小葉(頭頂連合野)の頭頂間溝内側のMIP野、内側頭頂後頭領域(V6A野)が関与します。

MIP野は到達運動中持続的な活動が見られ、V6A野は視覚・体性感覚両方に反応する感覚領域野となり、また上肢運動制御に関わる背側運動前野との結合があり、対象物の視覚的・体性感覚的な両側面から運動を制御する機能があると考えられています。

視覚誘導型の運動制御は、頭頂連合野と腹側運動前野のネットワークの関与もあります。

一次体性感覚野で処理された情報は頭頂連合野に伝達され、一次視覚野から背側経路で処理されてきた空間情報と統合します。統合された情報は腹側運動前野へと伝わります。

腹側運動前野は、頭頂間溝領域野から多くの投射繊維を受けており、運動の開始や遂行に役割を果たしているとともに、視覚刺激に応答するニューロンが存在している。

この視覚誘導型運動の情報処理過程は、先の述べた内部モデルによって調整されており、腹側運動前野と小脳とのネットワークが運動の滑らかさを生成していると考えられている。

腹側運動前野は小脳からの入力を受けており、小脳における誤差信号が腹側運動前野にフィードバッックされるのであれば、このネットワークによって視覚誘導型運動の学習が行われていると考えられる。リハビリテーション臨床のための脳科学 P118

補足運動野では過去の知覚経験を基にした記憶誘導型運動制御に関わり、大脳基底核からの入力により内的な情報から運動プログラムを作っていると考えられています。

把握・操作運動の神経機構

手の把握・操作運動では、対象物に対する手の構え(プレシェイピング)が重要になります。

頭頂葉の障害では、プレシェイピングが行なわれないことがあります。

頭頂連合野の頭頂間溝外側部(AIP野、LIP野)の領域を破壊して把握・操作運動を観察したところ、AIP野の破壊でプレシェイピングが出現しないことがわかっています。

LIP野の破壊では、到達運動に障害をきたすことがわかっています。

AIP野は運動そのものよりも、運動前の対象物の知覚・認知とプレシェイピングに関連しています。

AIP領域のニューロンは、視覚優位型(視覚情報から対象物の空間を処理する)、運動優位型(空間に見合った身体図式を取り出す)、視覚運動型(対象の空間情報と身体図式を照合する)の3つに分類されます。

またAIP野は腹側運動前野(F5野)と神経結合があります。

F5野では視覚運動型、運動優位型の神経活動があり、視覚情報を運動情報に変換し、運動指令を運動野へ送っていると考えられています。

AIP野は、CIP野(頭頂間溝外側壁尾側部領域)からの対象物の三次元視覚情報に基づき、その形や傾きを識別・認識するとともに把握・操作に必要な運動情報に変換し、数ある運動レパートリーの中から運動パターンを選択する機能をもっている。

また、F5野においてもAIP野からの情報に基づき、その環境において適切な運動パターンを選択し、運動企画に基づいた運動情報を一次運動野へ送っている。

なお、F5野で企画された運動指令が一次運動野に出力されると同時に、その遠心性コピー情報がAIP野に与えられ、運動後に得られた求心性情報と比較照合され、必要に応じて運動の修正が加えられるシステムが存在することで把握・操作運動が円滑に遂行されている。

リハビリテーション臨床のための脳科学 P121

このことから、把握・操作運動においては、AIP野での対象物の視覚情報とそれに応じた身体図式(頭頂連合野での体性感覚と視覚情報の統合により形成される身体内部表象)を比較照合させ、F5野へ伝達し、運動プログラムを形成することが重要になります。

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神経機構から考える到達・把握・操作運動のリハビリテーションに必要な要素

到達運動では、視線の向きと対象物までの距離が指標となり、脳はどの方向にどの程度手を伸ばすかを決定していきます。

そのためリハビリテーションでは、

①対象物へのサッケードに始まり、対象の「位置」や「距離」などといった空間的な視覚情報処理機能、②肩・肘関節の運動覚など体性感覚の情報処理機能、③「①」と「②」を頭頂連合野にて統合させる機能、④「③」の情報をもとに運動前野との神経ネットワークにより運動プログラムを形成させる機能と、記憶をもとに補足運動野により運動プログラムを形成させる機能、⑤運動プログラムを小脳の誤差信号を通じ学習させる機能の獲得が重要になると言える。

リハビリテーション臨床のための脳科学 P118

とあります。

操作・把握運動のリハビリテーションでは、

①形態・素材など対象物の視覚情報処理機能(AIP視覚情報優位型)、②体性感覚の情報処理と身体図式を形成する機能(AIP運動優位型)、③「①」と「②」を統合する機能(AIP視覚運動優位型)、④「③」の情報をもとに腹側運動前野との神経ネットワークにより運動プログラムを形成させる機能、⑤「④」の遠心性コピーを通じ運動プログラムを誤差学習する機能の獲得が重要になると言える。

リハビリテーション臨床のための脳科学 P121

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脳卒中片麻痺者の筋力低下のエビデンス

従来の筋力低下の考え方

脳卒中片麻痺者の主動筋の筋力低下は、従来であれば拮抗筋の痙性(反射亢進)によるものだという考え方がありました。

しかし、現在では下行性運動指令の低下による直接的な結果と、廃用と筋の適応的変化が組み合わさったものだとされています。

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上位運動ニューロンの障害による筋力低下

1つ目の原因は上位運動ニューロンの損傷自体によるもので、最終的な運動ニューロンに収束する下行性入力が減少し、活動に参加可能な運動単位数が減少することによるものです。

通常、筋出力はリクルートされた運動単位の数とタイプ、および発火した運動単位と筋自体の大きさと両者の特徴に依存する。筋力は活動運動単位の数と運動単位の発火率と頻度によって増加する。

また、筋の構造的特徴(たとえば、断面積)も出力される潜在性の筋力に関係する。

したがって、筋力は神経筋による現象であり、筋への運動指令を行っている神経の損傷により、筋力低下および麻痺がおこる。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P172

筋が目的動作を達成するために必要な力を出力するには、必要な数の筋繊維が同時に収縮し、その行動に関わる様々な筋群の力を調整する必要があります。

脳卒中では下降路が断ち切られ、活動する運動単位数の減少、運動単位の発火率の減少、運動単位の同期化の障害が生じます。これらのことが、運動出力の混乱を生じさせ、ある程度の力を発揮できたとしても、運動制御障害の原因となります。

脳卒中後の筋力低下にパターンはあるのか

脳卒中後の筋力低下には特定の典型的パターンはなく、従来より言われてきた近位より遠位、伸展よりも屈曲に筋力低下がある、上下肢で弱化の重症度が異なるというエビデンスはありません。

体幹筋に関しては、両側性の支配であり、いくつかの研究では体幹筋の筋力低下はわずかだとの報告もあります。

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上位運動ニューロン障害と筋収縮の持続、筋活動の開始と終了

上位運動ニューロン損傷では、力の発生や力の出力維持の低下がみられ、筋力低下には力の発生スピードの低下も含まれています。また筋活動の開始や終了の障害もあるとされています。

運動開始時の運動や筋緊張の増加が緩慢だと、ゆっくりとした運動よりも速い運動においてパフォーマンスに影響を与えると言われています。

臨床上、関節の位置や課題にしたがって筋力低下の程度が異なることが指摘されており、これは筋がある長さのときには力を発揮することが可能だが、別の長さにあるときには力を発揮しにくいと考えることができます。

正常筋では、筋力は収縮時の筋の長さによって影響されることが示されている。筋の長さはアクチンとミオシンの重なりに影響を与え、モーメントアームの長さに影響を与える。

筋力とトルクの関係は、通常、中間の長さのときに最大トルクを発生し、最も短い長さで最小となる。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P175

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脳卒中上肢機能訓練と回復のためのエビデンスとリハビリテーション指針

脳卒中後の筋力低下

脳卒中後の筋力低下には典型的なパターンはなく、また筋力低下は遠位よりも近位で著明にみられることもなく、屈筋よりも伸筋に著明にみられることもなく、回復が近位から起こるというようなエビデンスはありません。

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三角筋の収縮はなぜみられにくいのか

三角筋の収縮がみられにくいことに関して、三角筋と大胸筋への皮質脊髄性の影響に関する研究では、

両側大脳半球からの入力は特に内転筋に著しいことを示し、さらに、三角筋への直接的皮質脊髄投射の根拠を与えた。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

とあります。

これは、臨床的に肩関節の自動内転運動がみられやすく、三角筋には収縮がみられにくいことを表しています。

皮質脊髄路損傷と運動パフォーマンス

皮質脊髄路が損傷を受けると、上肢筋群の筋活動に参加する運動単位が増加するタイミングがゆっくりになり、筋収縮の保持が困難になるとの報告があります。

このことは、上肢の空間保持や対象物の把持を維持することが困難なことを示しています。

リーチ動作では肩甲上腕関節の外転筋群、屈筋群、外旋筋群、回外筋群の筋力低下がおきく関係しているとされており、リーチ動作中の関節間の協調性の低下があり、視覚に基づく正確でスムーズな運動の持続が困難になります。

手の操作では手関節伸筋群、手指・母指の屈筋群、伸筋群、外転筋群、内転筋群が大きく関係しているとされており、対象物の把持での握力の維持と制御が問題となり、把持力は不規則に変化することがしられています。

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対象物の有無によるトレーニング効果の違い

対象物を用いた意味のある具体的課題を用いるほうが、運動パフォーマンスの効果があるとの報告があります。

そのため、コインやコップなど、日常的に使用される対象物を通じた訓練を行うことが重要になります。

痙性とトレーニング

脳卒中上肢機能の回復には、筋力強化と機能的動作の反復が重要とされています。

痙性と運動との関係を考えた場合に、痙性が増加することを恐れて運動の反復が不足していることがありますが、脳卒中後の反射性過活動、連合反応、同時収縮は必ずしも機能を障害するものではないことを知っておくべきです。

積極的な自動的運動によっても反射性過活動や筋のこわばりが増加することはない。

逆に、これらの現象は積極的な課題特異的エクササイズおよびトレーニングに対してポジティブに反応する。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

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上肢機能訓練のエビデンス

種々の負荷に抗して手指と手関節の屈曲・伸展の15分間の反復的練習を1日に2回行った患者群では、握力、手関節伸筋の等張性最大筋力、運動スピード、機能的運動パフォーマンスに改善がみられたが、これとは対照的に、筋に対する直接的エクササイズを行わずに、筋緊張を落とすことに焦点を当てた神経発達学的治療を受けた対照群では、機能的運動に改善がみられなかった。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

上肢機能トレーニングに必要な要素

リーチング
前方:肩甲上腕関節屈曲
側方:肩甲上腕関節外転
後方:肩甲上腕関節伸展に伴う
ー肩甲帯挙上
ー肩甲上腕関節外旋
ー肘関節伸展
ー前腕回内・回外
ー手関節伸展

把持
手関節・手指伸展、母指と第5指の手根中手関節の外転と連動した回旋(「対立」)を伴う対象物のまわりでの手指・母指屈曲

リリース
手関節伸展
手指中手指節関節伸展
母指手根中手関節外転・伸展

手の操作
手関節伸展位での手指中手指節関節屈曲・伸展
母指手根中手関節の掌側外転と連動した回旋(例;カッピング)
独立した手指屈曲・伸展(例;タッピング)
鍵握り、たとえば、母指ー示指;母指ー第5指;第4指、第5指を手掌内へ;母指+手指の中手指節関節屈曲、指節関節伸展(紙を保持するときの握り)

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P142

・対象物の把持やリリースでは、形、大きさ、重さ、手触りの異なるものを用意する。
・対象物を一つの場所から他の場所に移動する。
・対象物を手の中で動かす
・座位、立位でリーチする。
・両手動作:
片手で持ち、もう一方を動かす(瓶のふた開け)。
両手で同じ運動(パン生地を伸ばす)
左右異なった動き(りんごの皮剥き)。
・時間的動作能力の獲得(ボールをキャッチ、ボールを投げる、ボールをつく、ボールを棒で打つなど)。

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Motor Activity Log(MAL)の概要と評価方法

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Motor Activity Log(MAL)の概要

Motor Activity Log(MAL)は、脳卒中片麻痺者の上肢が、ADLの中でどの程度(質・量)用いられているかを評価することができます。

対象者の主観的な機能レベルを数値化することが可能です。

14の動作項目があり、一定期間の間にどの程度使用したか(Amount of Use:AOU)、どの程度上手に使用したか(Quality of Movement:QOM)を6段階で評価します。

Motor Activity Log(MAL)はCI療法におけるアウトカム評価としてよく用いられています。

脳卒中における、他の上肢機能評価については以下の記事を参照してください。
簡易上肢機能検査(STEF)を臨床につなげる観察ポイント

Motor Activity Log(MAL)使用の意義

評価自体が患側へのフィードバックとなり、患側への意識の向上や日常生活上の患側使用につながる可能性があります。

効果判定に用いることで、実用的な麻痺側上肢使用へのリハビリテーションにつながります。

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使用頻度の主観的評価

使用頻度は順序尺度であるAOU(Amount of Use)を用いて評価します。

0 患側は全く使用していない(不使用:発症前の0%使用)
1 場合により患側を使用するが、極めてまれである(発症前の5%使用)
2 時折患側を使用するが、ほとんどの場合は健側のみを使用(発症前の25%使用)
3 脳卒中発症前の使用頻度の半分程度、患側を使用(発症前の50%使用)
4 脳卒中発症前とほぼ同様の頻度で、患側を使用(発症前の75%使用)
5 脳卒中発症前と同様の頻度で、患側を使用(発症前と同様)

使用程度の主観的評価

使用頻度は順序尺度であるQOM(Quality of Movement)を用いて評価します。

0 動作をするために、患側を全く使用していない(不使用)
1 動作の過程で患側を動かすが、動作の助けにはなっていない(極めて不十分)
2 動作に患側を多少使用しているが、健側による介助が必要、または動作が緩慢か困難(不十分)
3 動作に患側を使用しているが、動きがやや緩慢かつ不十分(やや十分)
4 動作に患側を使用しており、動きもほぼ正常だが、スピードと正確さに劣る(ほぼ正常)
5 脳卒中発症前と同様に、動作に患側を使用(正常)

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評価方法

①説明
実際に行っているADLについての質問であることを説明します(予測ではありません)。

②各項目に対する発症前の麻痺側上肢使用についての確認
各動作に対して、発症前の麻痺側上肢の使用について確認し、使用していなかった動作については評価項目から除外します(平均点算出の際も)。その理由についても記載します。

③AOU・QOMの評価
AOUの評価
各動作について、6段階評価で確認していきます。理解しにくい場合、言い回しを変えることも可能です。記入前に最終確認を行います。

QOMの評価
各動作について、6段階評価で確認していきます。理解しにくい場合、言い回しを変えることも可能です。記入前に最終確認を行います。
*初回評価では、必要に応じて最初の6つの項目は実際の動作確認をしても構いません。
*失語や高次脳機能障害があり設問の理解が困難であれば、セラピストが視覚的に提示することも可能です。また0〜5の範囲でどのあたりかを問うようにしても構いません。

④答えの再確認と答えの掘り下げ
両評価ともに、答え(数値)を用いて文章で復唱し、確認します。
「本を持って読むために麻痺している手を3(スケール上の数値)使ったんですね」などと質問します。
被験者の答えた数値が、明らかに観察されたレベルと異なる場合、双方間で答えを一致させるための確認作業が必要になります。
再評価では、前回のスコアと比較して変化を確認しますが、前回の評価結果は見えないようにします。
前回のスコアと異なった場合には、答えを掘り下げて質問していきます。
「前回は◯点で、今回は◯点ですが、実際に変化はありましたか」
「もう一度考えた上で何点だと思いますか」
「◯点でよろしいですね」
と質問していき、了解が得られれば、次の動作項目に移っていきます。

介護者への聞き取り

評価の信頼性を高めるために、介護者や家族からスコアをとることも有用です。

対象者は同席せずに聞き取りをする必要があります。

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得点の算出

質問終了後、該当項目のスコアを合計し、該当項目数で割り、平均点を算出します(AOU・QOMのそれぞれ)。

除外項目が1つある場合、14ではなく13で割ります。除外項目となる理由でなく麻痺族上肢の不使用の場合は平均点計算の項目数に含めます。

入院中で鍵を使ってドアを開けることがないような場合、除外項目としますが、退院後に動作を行える状況になった場合には該当項目に加えます。

被験者が全く麻痺側上肢を使用しないと答えたときに、最初の10項目は評価を行い、それら全てが0であったら0が妥当だと判断します。10項目全て0の場合、以下の項目は打ち切ります。

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JASMIDの概要と評価方法、結果の解釈(片麻痺上肢使用(参加)頻度と質の評価)

JASMIDの概要

JASMID(Jikeiassessment scale for impairment in daily living)は「爪を切る」「洗顔する」「髪を束ねる」などの日常生活上における動作20項目に対して、それぞれ使用頻度6段階(0〜5点)、動作の質(1〜5点)から選択し、採点します。

評価者間の信頼性が高く、妥当性も十分だとされています。

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評価方法

質問方法:あなたが生活の中で麻痺側の手をどのくらい使用しているか、またどのくらい困難さを感じているかを調べていきます。

それぞれの項目について、「使用頻度」「動作の質」について数字で答えてください。

趣味、仕事についても記入して、「使用頻度」「動作の質」について答えてください。

以前から行わない動作、麻痺側の手で元々行わない動作については使用頻度「0」として、動作の質は空欄にします。

動作項目使用頻度動作の質
1.ペンで字を書く
2.箸で食事をする(おかずをつかむ)
3.歯ブラシで歯を磨く
4.手の爪を切る
5.傘を開き、さす
6.化粧/髭剃りをする
7.顔を洗う
8.髪をくしでとかす
9.シャツのボタンをはめる
10.新聞・雑誌をめくって読む
11.ペットボトルの蓋を閉開する
12.トイレットペーパーをちぎる
13.缶ジュースを開ける
14.ベルトを締める/ブラジャーをつける
15.靴下をはく(両足)
16.雑巾・タオルをしぼる
17.ハンガーに上着をかける
18.財布から小銭を出す
19.靴紐を結ぶ
20.ネクタイを結ぶ/ネックレスをつける
合計
趣味活動(         )を行う
仕事/家事(        )を行う
使用頻度
0:全く使わない(使う気がない)
1:全く使えない(使いたいが使えない)
2:少し使う(ごくまれにしか使わない)
3:時々使う(病前の半分くらいしか使わない)
4:しばしば使う(病前よりは使う頻度が減った)
5:いつも使う(病前と比べて変わりない)
動作の質
1:(使おうとしても)ほとんどできない
2:非常に困難さを感じる
3:中等度の困難さを感じる(病前と比べ半分くらい)
4:やや困難さを感じる(病前と比べて少し困難)
5:全く困難さを感じない(病前と同じである)

*自助具の有無は問いません。
*「ペンで字を書く」「箸で食事をする(おかずをつかむ)」は「支え手」としての動作は対象外です
*「歯ブラシで歯を磨く」「化粧/髭剃りをする」は準備動作は対象外です。
*項目9〜14では「支え手」としての動作も対象です。

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結果の解釈

採点方法は、使用頻度=使用頻度の合計÷(「0」の回答以外の動作項目数×5)×100、動作の質=動作の質の合計÷(回答のあった動作項目数×5)×100で算出します。

算出した得点が高いほど、生活上での使用頻度が高いといえます。

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麻痺側上肢の使用を促進するツール:ADOC for Hand、HSAチェックリスト

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ADOC for Hand

ADOC for Handは、ADOC(Aid for Decision-making in Occupation Choice:作業選択意思決定支援ソフト)をもとにして開発されたものです。

ADOCはイラストの選択を通した目標設定を行うもので、ADOC for Handは、麻痺族上肢の日常生活での使用を促すためのツールです。

ADOC for HandはADL、IADLの全16カテゴリーの130枚のイラストがあります。

イラストを通すことで、現在の生活状況と照らし合わせながら、麻痺側上肢の使用状況を振り返ることもできます。

イラストは各活動の各工程にまで細分化されています。

「歯磨き」では、「水を出す」「歯磨き粉をつける」「歯を磨く」「口をすすぐ」「口を拭く」。

イラストを通して、麻痺側上肢の使用について対象者とセラピストで一緒に話し合うことが可能になります。

これにより、例えば「歯磨き」の、どの工程で麻痺側上肢を使用すれば良いのかが把握しやすくなることが期待できます。

また、上肢使用について具体的な難易度設定も可能になります。

ADOC for Handでの課題決定の流れ

①対象者の希望や、上肢機能により、イラストを最大10個まで選択します。
対象者の日常生活の流れを把握することでも、イラストの選択に役立ちます。
②上肢の使用頻度、課題の難易度などの設定を行います。
③選択したイラストはプリントして対象者に渡すことができます。

*上肢を使用できた項目の達成度の記録も可能です。

イラストを用いることは、対象者にとって、上肢の使用場面の想起に役立っていることが考えられます。

このことは、認知機能低下がみられる対象者に対する支援においても有用となる可能性があります。

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HSAチェックリスト

HSAチェックリストはCI療法のトランスファーパッケージの「ホームスキル」において使用されるチェックリストです。

これにより、対象者は麻痺側上肢を使用する課題を選択することが可能になります。

入浴:
石鹸を利用して洗体
タオルを使用(入浴後)
ラックからタオルを取る、取り替える
その他

トイレ:
便器の水を流す
便器のふたを上げる、閉じる
トイレットペーパーを引いてちぎる
トイレットペーパー・ロールを外す、替える
その他

整容:
身体(顔以外)にローションを塗る
ソープディスペンサーをポンピングする
鼻をかむ、鼻を拭くためにティッシュおよびハンカチを用いる
歯みがき粉のキャップを取り除く
歯ブラシを利用して歯みがき
入れ歯を磨く
その他

バスルーム 入室:
バスルーム・シンクの掃除
スライドガラスドアを開ける、スライドシャワー、クローゼットのドアを開ける
シャワーカーテンの開閉
窓の開閉
キャビネットの開閉
バスルーム・シンク掃除
その他

更衣:
パンツおよび下着をはく
かぶりシャツを着る
フアスナーを引き上げる
ベルトをループに通す
ベルトバックルをとめる
腕時計バンドの着脱
眼鏡をかける
その他

寝室関連:
ハンガーに服をかける(またはハンガーのみ)
クロゼットの靴をとる
引き出しからソックスをとる
ベッドメーキング
汚れた服をバスケットに入れる
1人で立っていられる
スライドガラスドアを開ける、スライドシャワー・クロゼットのドアを開ける
キャビネットの開閉
ベッドルームで家具のちりを払う
ウィンドウ開閉
その他

ベッド動作:
ベッド寝返り
ベッドサイドへ身体を起こす
ベッドカバー装着、脱
その他

皿洗い:
流し台で食器を洗う
スポンジに洗剤をつけて食器を洗う
乾燥棚および食器洗い機の中に食器を入れる
道具を取り出しておく
食器/パンをキャビネットの引き出しに入れる
食器洗い機のボタンとダイヤル操作
その他

食事準備:
野菜および果実をナイフで切る(皮はむかない)
バター、ゼリー、ピーナッツバター、マヨネーズ、そのほかをパンにぬる
食材をかきまぜる
牛乳やジシュースをカップやボウルに注ぐ
皿/プレートのパンを取り出す
そのほか

台所:
電子レンジドア閉開
コーヒーメーカーにコーヒー豆を入れる
牛乳かジュースを冷蔵庫から取り出す
食材を食料品置き場から取る
台所の流しを洗う
キャビネットの閉開
その他

衣服の洗濯と乾燥:
汚れた服を分類する
服を洗濯機に入れる
洗濯機/燥機のダイヤルを回しボタンを押してスタートさせる
液体洗剤のキャップを取る
洗濯機に洗剤を注入して洗う
洗濯機/乾燥機のドア開閉
洗濯機から乾燥機へ服を移す
その他

ユーティリティルームへの出入り:
クロゼット/シャワードア/引き戸を開ける
キャビネットの閉開
その他

ペットフード:
ボウルにペットフードをすくう
ペットフードの缶を開ける
ペットに水をやる
あなたの手でペットにえさをやる
その他

ぺットのケア:
ぺットにブラシをかけて手入れする
頭部から尻尾までなでる
ペットの耳かき
ぺットのためにドアを閉開する
その他

食事のセット:
テーブルの用意
ポップトップ飲料を開ける
瓶詰め飲料の蓋を回して取る
塩とコショウを使用する
プラスチックカップの蓋にストローを入れる
ナプキンを広げる
食品容器のラッピングを取る
ビンの調味料(ケチャップ,マスタード,サラダドレッシング)をかける
その他

そのほかの食事、レストラン関連の活動
ナプキンで口を拭く
メニューを持つ
レストランのドアの開閉
その他

金銭管理:
財布から紙幣を取り出す
ポケットまたは財布からコインを出す
小銭またはクレジットカードの使用
その他

ガーデニング:
屋外にある低木の簡単な刈込みに木ばさみや剪断機を使用する
花壇や鉢植えの雑草を抜く
野菜畑の野菜(トマト,工ンドウ豆)を収穫する
ホース用の蛇口の開閉
ホースを蛇口から外す
その他

郵便箱:
メールボックスを開ける
メールボックスからメールを取り出す
メールボックスにメールを出す
メールボックスフラッグを上げる
その他

その他のホーム課題:
ラジオの電源オン/オフ
ラジオのチューニング
新聞を保持して読む
工アコンとヒーターの調整
植物の水やり
その他

コンピューター課題:
キーボードのタイピング
マウス操作
その他

メール課題:
メールを送る
メールを開く
その他

フアイリング課題:
ファイルキャビネットからフアイルを取り出す
ファイルキャビネットのファイル用紙を取り出す
その他

その他:
電話をダイヤルする
キーパッドボタンを押す
計算機の使用
はさみの使用
その他

ワークショップでの課題:
ツールボックスを準備
その他

食料雑貨ストア課題:
リストに記入
バスケットの中からさまざまな大きさの果実/野菜を選択する
バスケットや食料雑貨棚から商品を選ぶ
フリーザーのドアをあける
食料雑貨カートを押す
購入するためカートから食料雑貨を降ろす
財布から紙幣を取り出す
ポケットや財布からコインを取り出す
小銭またはクレジットカードを使う
その他

コミュニティ課題:
工レベーターボタンを押す
ATM機を使用
その他

郵便:
封筒に切手を貼る
手紙を郵便ポストに入れる
切手販売機のコインロヘコインを投入
切手販売機へ紙幣を入れる
切手を選びボタンを押す
スタンプを取り出す

飲料販売機の使用:
飲料販売機に紙幣を投入
飲料販売機にコイン投入/返却された釣り銭を取り出す
飲料販売機の飲料を選びボタンを押す
選んだ飲料を取り出す
その他

車の乗客としての行動:
カーラジオ/テーププレーヤー/CDプレーヤーの調節
ウインドウ・ボタンの操作
カーシートの調整
サイドミラーの調整
グローブボックスかを引き出す
グローブボックスから品物を取り出す
その他

シートベルトの使用:
シートベルトの装着
シートベルトを外す

自動車の利用:
自動車のドアの閉開
その他

自動車の手入れ:
自動車を洗う
ワックスを塗る
自動車のウインドウを拭く
オイルチェック(冷却水も)
その他

趣味課題

その他の課題

まとめ

ADOC for Hand、HSAチェックリストを使用することにより、対象者は日常生活での麻痺側上肢の使用状況を確認できます。

また、麻痺側上肢の使用を促すための課題の選択に役立ちます。

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WOLF MOTOR FUNCTION TESTの概要と実施上の注意点、結果の解釈

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WOLF MOTOR FUNCTION TESTの概要

WOLF MOTOR FUNCTION TESTは主にCI療法の効果判定として世界中で使用されている脳卒中片麻痺者における上肢運動機能評価法のひとつです。

特定のキットは不要で日常物品で評価が行えます。

6つの運動項目と9つの物品操作を行い、それぞれ所要時間(秒)、動作の質(6段階)で評価します。合計秒数、合計点を最終得点として算出します。

STEF(簡易上肢機能検査)は日本のみの検査ですが、WMFTは国際的に使用されているため、共通評価として指標になります。

使用物品

1机(高さ74㎝、幅137㎝、奥行き76㎝)
2椅子(高さ45.7㎝、背もたれあり、アームレストなし)
3ベビーパウダー(摩擦緩和のため机上にふる)
4ストップウォッチ
5箱(高さ25㎝、20㎝、15㎝を用意、被験者の肩の高さに合わせて使用)
6バンド重錘(450g、1kgのもの、固定用のベルクロ)
7缶(開封していない350mlのもの)
8鉛筆(六面体、長さ18㎝程度)
9ペーパークリップ
10ブロック3個:コース立方体のブロック
11トランプ3枚
12鍵
13タオル(65㎝×40㎝程度の大きさのフェイスタオル
14輪投げの輪(1個)

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評価方法と実施上の注意点

◯最終所要時間スコアは、すべての動作項目の所要時間の中央値を用います。
◯動作が困難なものに対しては中断しても構いません。
◯机に対して横向き座位:椅子を机に対し横向きに、机の端から10㎝離します。
◯机に対して前向き座位:椅子を机に対し前向きに、椅子の後ろ脚を机の端から60㎝離します。
◯長袖は邪魔になるため袖をまくります。
◯すべての動作をできる限り速く行うように伝えます。
◯説明では2度動作のデモを行います(1回目はゆっくり、2回目は速く)。
◯被験者は動作の練習を行いません。
◯被験者のモチベーションを保つために、「その調子」などと声かけしても構いません。
◯物品が落下した場合、セラピストが拾いすぐ戻し、この際の時間も継続します(備品を用意しておくとよい。)。物品を戻すのに5秒以上かかった場合は最初から計測します。
◯誤った動作で行う場合(理解できていない)、言語指示、デモを各動作につき1度繰り返します。2度目も同じ間違いをする場合は120秒とします。
◯椅子の位置や備品などの大きさがマニュアルと異なる場合、記録しておき、次回評価の際も同じ設定で行うようにします。

機能評価6段階の評価基準

0ー全く動かせない
1ー機能的に動かすことが困難だが、随意的動きは見られる。片手で行う課題でも健側の支持が相当量必要である
2ー課題への参加は可能であるが、動きの調整や肢位の変更には健側による介助が必要である。課題は完結できるが、動作スピードが遅く、120秒以上を要する。両手で行う課題では、健側の動きを補助する程度の動きなら可能である
3ー課題を遂行することは可能だが、痙性の影響が大きい、動作スピードが遅い、あるいは努力性である。
4ーほぼ健常に近い動作が可能だが、動作スピードがやや遅く、巧緻性の低下、動作の拙劣さなどが残存している
5ー健常に近い動きが可能

具体的な観察の視点としては、頭部と体幹のアライメント、体幹での代償、主動作筋以外での代償、把持方法は適切かなどです。

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評価項目

横向き座位
1前腕を机へ:肩の外転を用いて前腕を机の上に乗せる
2前腕を箱の上へ:肩外転を用いて前腕を箱の上に乗せる
3肘伸展:肘を伸展させ机の反対側へ手を伸ばす
4肘の伸展・負荷あり:肘の伸展により重錘(450g)を机の反対側に移動させる
前向き座位
5手を机へ:机の上に麻痺手を乗せる
6手を箱の上へ:箱の上に麻痺手を乗せる
7前方の引き寄せ:肘や手首の屈曲を用いて机の反対側から重錘(450kg)を引き寄せる
8缶の把持・挙上:開封していない缶(350ml)を把持(円筒握り)し口元まで挙上する
9鉛筆の把持・挙上:鉛筆を3指つまみでつまみ上げる
10クリップの把持・挙上:クリップを2指つまみでつまみ上げる
11ブロックの積み重ね:ブロックを3つ積み上げる
12:トランプの反転:3枚のトランプを1枚ずつ、つまみ(指せんつまみ)裏返す
13:鍵の操作:鍵穴にさしてある鍵をつまんで、左右に回す
14:タオルの折りたたみ:タオルを四分の一に折りたたむ
机に対して前向き肢位、患側に高さ110㎝の台を設置
15重錘の持ち上げ:机に置かれた重錘(1kg)の輪をつかんで持ち上げ、側方にある台の上に置く

マニュアルでは各項目に対し、詳細な動作方法が記載されてあります。参考文献参考。

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片麻痺上肢のBox and Block testの概要と実施における注意点と結果の解釈

理論と概要

Box and Block test(BBT)は、成人脳性麻痺者の粗大な手指巧緻性を評価するために開発されたものです。

このテストはおおまかな手指巧緻性のテストや身体障害者の職業前訓練のテストとして用いられています。

標準化した手順があり、標準値は神経筋に障害をもつ小児と成人の数値が確立されています。

検査所要時間も短く、理解しやすい内容のため、高齢者や認知障害を持つ方へ実施する際にも導入しやすいという特徴があります。

検査にはブロック移動のための上肢・手指機能が必要で、重症者では天井効果が観察されます。

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必要物品

中央に仕切りで区切った、隣り合った2つの同じ大きさの箱(厚さ1㎝のベニヤ板で、外枠横57.3㎝高さ8.5㎝縦25.4㎝。仕切りの高さ15.2㎝)。

一方に2.5㎤のブロックを150個入れておく。

箱の底の内外にブロックが落ちる時の音を出さないようにするもの(フェルトなど)を敷いておく。

実施方法と実施における注意点

対象者に対する指示:
「手で1回につき1個のブロックをできるだけ早く持ち、横の箱に運んでもらいます。指先は必ず仕切り板を超えるようにしてください。まずは私が手本を見せるので見ていてください。」(デモでは3個のブロックを運ぶ)

◯ブロックは同時に2個持ち上げても、1個とカウントされます。
◯仕切りを超えた後に床やテーブルに落としてもカウントされます(拾うために余分な時間を使わないように説明する)。
◯はじめに15秒練習できます。
◯テストでは握り方はどんな方法でも構いません。
◯被験者はテスト中にブロックを混ぜてはいけません。

手順:
1.テストの箱を標準的な高さのテーブルの端に沿って置きます。被験者は標準的な高さの椅子に腰掛けます。
2.15秒の練習を行います。
3.被験者は両手を箱の横に置き、合図で開始します(1分間)。
4.反対側の手で行います。

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結果の解釈

採点は1分間に運んだブロック数です。2個以上のブロックを一度に運べば、その数を合計数から引きます。

標準値はMathiowetsら(1985)、Desrosiers(1994)、Smith(1961)が作成しています。

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脳卒中片麻痺で腕を90度以上挙げるために必要な事!筋出力向上を目指して!

0〜90度における上肢挙上と90度〜180度における挙上機能の違い

0〜90度における上肢挙上と、90〜180度における上肢挙上では、主に働く筋肉に違いがあります。

0〜90度では、主に肩甲上腕関節の屈曲や外転、伸展に関与する筋(三角筋)で動きとしては「持ち上げる」動作になります。

一方、90〜180度では、肩甲骨の上方回旋と体幹の動き(伸展・側屈・回旋)なども加わる「突き出す」動作となります。

これに加えて、特に90度以降の挙上では回旋筋腱板の働きも重要になってきます。
主に働く筋肉については以下の表を参照してください。

肩関節屈曲肩甲骨周囲筋肩甲上腕関節
90°まで前鋸筋と僧帽筋下部繊維棘上筋と三角筋
90°以降僧帽筋中部・下部繊維棘下筋と三角筋

 

肩関節外転肩甲骨周囲筋肩甲上腕関節
90°まで僧帽筋中部繊維棘上筋と棘下筋と三角筋
90°以降僧帽筋下部繊維棘上筋と棘下筋と三角筋

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筋出力向上の考え方

麻痺側上肢の筋は、筋の出力量と筋力が低下しています。そのため、麻痺側上肢に対して挙上動作を求めた場合、病前と同量の出力のセットとなってしましい、挙上が困難となります。

筋の出力量の不足や、収縮に参加する筋繊維の数が不足、強縮に至らない筋繊維や強縮の持続時間が短いことなどから、上肢挙上機能がうまく発揮できていない状態にあります。

そこで、抵抗(間欠的に)を加えることで、筋出力の向上を図っていきます。

上肢挙上動作への抵抗に対して、より大きな力を発揮しようとすると出力の設定値と実際の出力が向上します。

関節の動きを出現させるためには出力を最初に集中させて、関節運動を加速させていくことも重要です。

そのためにも、抵抗を一気に短時間加えることで、筋収縮に参加する筋繊維数を増やして、筋収縮を高めていく必要があります。

このような間欠的抵抗を、可能な関節運動範囲の全ての角度で行い、筋収縮を行っていきます。

その角度ごとの、筋収縮量の実行値と筋紡錘を介して脳にフィードバックされた感覚値が、その関節角度の動きを可能にする脳の出力値、すなわち必要設定値(必要設定値は、感覚と前の実行の差を今行った実行値に加えて、次の実行の目標として設定する値)として、短期記憶されると考えられます。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P122

また、

拡大した設定値は短期的に記憶されているので、ある時間の経過後には元に戻ります。この設定値を中期的な記憶にするには、一定以上の回数の繰り返しが必要となります。

患者では運動範囲の設定は痛みの生じない範囲となっているので、少し痛いがしばらくするといたくなくなる範囲に自動介助で動かし、その角度でしばらく止めるようにします。

すると設定値が少しずつ広がります。この広がった範囲を自動運動で繰り返すと、中期的な設定範囲の拡大につながると、筆者は経験上で理解しています。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P121

とあります。

筋力強化は麻痺側機能を悪化させるのか

よく麻痺側の筋力トレーニングを行うと、麻痺側の筋緊張が過度に高緊張になってしまったりすることで、運動麻痺の回復を阻害してしまうのではないかということが議論になります。

結論から言うと、筋力トレーニングが筋緊張を過度に高めてしまったり、運動麻痺の回復を阻害するというエビデンスはありません。

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麻痺側の機能強化の必要性

麻痺側の機能強化をするには理由があります。麻痺側を強化し最大の力を発揮するのではなく、余裕がある範囲で力を出すことで、麻痺側は緊張せず比較的自由な運動が可能になります。

そのため、余裕の範囲で力を出すために力を最大に強化する必要があります。

様々な動作において、痙性が出現しないようにするためには、余力を持って動作する必要があるた、強い筋出力・筋力が発揮出来る機能を有することが大切になります。

筋出力強化と筋力強化

麻痺側の筋への出力を強化することは、単に筋力を強化することではありません。筋が強く収縮して強い出力を出すためには、中枢神経の出力が空間的・時間的に収束し、その状態を持続する必要があります。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P111

筋出力となっているのは、中枢神経系の損傷では、中枢の運動出力の空間的・時間的な量の変化が筋力となって現れているためです。

筋出力の強化には量的な増加だけでなく、神経活動の調整という質的な改善を含んでいます。

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動作法の選択

ある目的をなすための理にかなった動作方法を選択し、動作方法を指導していきます。

動作方法の指導は、最適な動作の遂行を出力の空間的広がり(活動に参加する筋・筋繊維の選択と広がり、その筋の活動・抑制をつくる運動神経の活動の広がり、運動神経への出力プログラムをつくる制御に関する中枢神経の活動の選択と広がり、制御系に送る記憶・感覚の信号の選択と強化の広がり過程など)を時間的変化として表すことです。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P111

抵抗の加え方

筋出力の強化には、抵抗を用います。ある動作に抵抗を加えることで、動作の出力を高めて記憶を強めることが重要です。

動作を実用レベルにしていくには、抵抗により動作を再生させ、その動作にさらに抵抗を加えていくことで強化していきます。徒手抵抗では正しい動作方向の反対側に抵抗を加え、筋出力の強さを時間とともに作っていきます。

抵抗は間欠的・断続的に繰り返していきます。動作が確実になれば、スムーズな動作にしていくため、抵抗を一定持続や瞬時、そして抵抗なしへと進めていきます。

抵抗を加える際には、変化する動作を予測、追随しながら常に正しい動作の反対側に抵抗を加える必要があります。動作の状態に合わせて、間欠的、断続的、一定、瞬時の抵抗、抵抗なしを組み合わせて、最終的に抵抗なく動作できるようにしていきます。

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抵抗を加える場合のリスク管理

骨粗鬆症が進行している場合、抵抗の調整が必要です。この場合には持続抵抗にし、抵抗の力も低く調整する必要があります。また、関節運動を起こす際に、関節の近位部に抵抗を加えることで加える抵抗の強さ、量の調整が可能になります。

目標の抵抗力に上げるまでの時間を長めに設定し(変化量を調整)、段階的に少しずつ上げていくなどの配慮も必要です。関節保護も重要で、関節が動揺しないように保護しながら抵抗を加えていきます。

高齢者の場合、まず全身的な耐久性を向上させることから始める必要があるかもしれません。この場合、脈拍・血圧の変化などを指標にし、途中休憩を入れながら、翌日に疲労が残らないようにします。

また、週3〜4回の頻度で動作ができるかを評価し、その適正量が訓練を行う際の許容範囲と考えます。

肺の換気機能の低下や、末梢循環障害の方にも、抵抗と収縮時間、休憩の取り方などを調整する必要があります。

休憩の取り方

休息をうまく取ると、動作の記憶が定着し、動作が強化されていきます。しかし、休息を取らないでいると、疲労が現れ、動作は失敗しやすくなります。

疲労した状態で休息をとると、ノイズの多いプログラムの記憶が残ってしまいます。

できなかったことが少しでもできたら賞賛を与え休憩をとります。

休憩後、疲労が取れたと判断したら(わずかな表情の変化など)、動作を再開し、力強さを増した「できる」を増やしていきます。

ある程度動作を行っていると、明らかな失敗が動作の一部に現れるようになります。

この時がこの回の目一杯で行える許容範囲の限界であり、その後は疲労により動作は悪化していきます。

この時は失敗だけが記憶されることになるため、休息が必要になります。

疲労の兆候を知ることで、疲労前に休憩が行え、適切な機能へ導くことが可能になります。

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出力を鍛えることが筋力強化となる

出力を強化することで、筋力強化となり、身体機能が向上していきます。

筋力を強化するには、10回繰り返すことができる最大筋力の一定割合以上(2割以上、確実は6割)を必要とする運動を行います。

1日に10回の繰り返し運動を3セット以上行い、週2日以上行うと強化できると言われています。

患者の状態に合わせ、量のコントロールを行うことも必要です。

上肢挙上機能強化方法の実際(90度までの挙上を目指して)

①肩前方屈曲方向に抗する抵抗を加えます。
*肩関節を痛めないよう、肩関節の後方下より包むように支えます。
*抵抗は一気に短時間に加え、一定時間ごと(間欠的に)に行っていきます。
1セット10回とし、数セット程度行います。

初めの目標としては、間欠的抵抗により関節運動開始時の出力が増し、力強く加速した関節運動が得られることです。

次の目標は、関節運動が持続的で維持されることです。

より強く動かすよう、短く力強い声かけを行い(「思い切り」、「もっと」など)、持続的な抵抗に変化させていきます。

次の段階では、声かけのみで目標とする関節角度での挙上を、適切で持続された出力により筋収縮を持続し、運動が遂行できるようにします。

1セットの間では、間欠的な抵抗の強さ、頻度、休憩時間を組み合わせながら、内容を考え実行していきます。
決まりきった答えはないため、どのような姿勢(座位、立位、背臥位、側臥位)をとって肩前方挙上を行うかによっても違いがあるかもしれません。

とにかく、患者の筋出力が向上する、有効だと思われる行い方を試しながら行うことが必要になります。

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腕を90度以上挙げるための条件(肩甲骨の安定性)

上肢を90度以上挙上するためには、肩甲骨が安定した土台として機能する事が重要になります。

上肢外転運動における肩甲骨の動きと関連する筋の働きを見ていきます。

・僧帽筋上部線維の挙上、上方回旋と僧帽筋下部線維の下制、上方回旋が同時に生じ、挙上下制すが相殺され純粋な上方回旋が生じる
・僧帽筋中部線維の内転、上方回旋と前鋸筋の外転、上方回旋が同時に生じ、内転と外転が相殺され純粋な上方回旋が生じる
・棘上筋→三角筋の順で活動
・骨頭の上方変位を防ぐために、前面の肩甲下筋と後面の小円筋、棘下筋が骨頭を下方に引き安定させる

上記のような肩甲骨運動で見られる筋の相互作用を肩甲骨のフォースカップルといいます。

このような肩甲骨の純粋な上方回旋を行うためには、肩甲骨前方突出の動きが重要になります。

肩甲骨の前方突出がうまく行えない原因としては①主動作筋である前鋸筋の機能不全、②肩甲骨を胸郭上に安定させる僧帽筋中部、③下部繊維の機能不全、菱形筋や広背筋の過剰収縮などが考えられます。

肩甲骨が前方に動く際には、前鋸筋が肩甲骨前方突出をさせている間に、僧帽筋中部繊が前鋸筋よりもわずかに弱く同時収縮します。

また肩甲骨の上方回旋の角度に応じて僧帽筋下部繊維も活動を強めます。

菱形筋が優位の場合、1STポジション外旋で菱形筋の外形が明確になり、外旋の代償として肩甲骨内転と下方回旋が生じます。

また代償を防ぐために、他動的に肩甲骨の内転を抑制すると、外旋可動域と筋力は低下します。この場合、前鋸筋の筋力低下も示唆していることになります。

肩甲骨前方突出としての突き出す動作

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上肢挙上を可能にする要素の一つである肩甲骨前方突出は、動作レベルに変換すると「突き出す動作」となります。

これは、上腕骨長軸方向で体幹に向かって加わる力に対して筋出力を発揮する動作といえます。

前鋸筋の機能不全などにより突き出す動作ができないと、肩を90度以上挙上しようとすると肩を後方に引き込んで動作しようとします(菱形筋が優位となっている場合もあり)。

この肩を後方に引き込む動作は肩甲骨上部の内転で行われるのですが、これでは肩甲骨の内面や前方で肩甲骨を動かす筋(前鋸筋、僧帽筋中部・下部繊維など)の活動は抑制されるようになります。

この場合肩甲骨の内面は浮いた状態で、肩甲骨の体幹への固定力は不十分となり、上肢の挙上動作は不安定なものとなります。

このような動作方法では肩甲骨、上腕骨間の位置関係はタイトになり、肩関節を痛める可能性があります。

肩甲骨内転を伴う上肢の挙上は、「やめてっ!」と身を引きながら逃げる時の動作と同じ形となります。

本来の突き出す動作は、

胸郭の前後にあって肩甲骨を動かす筋である僧帽筋や、前鋸筋や大胸筋などを働かせて、手を出す方向へ肩甲骨を突き出すように動かしながら、同時に前後から肩甲骨を体幹に固定します。

そして、その動作と同時に手を出す方向へ、まず体幹を回旋させ、そして手を出す方向へ肩関節の位置を決めながら肘関節を伸展させて体位をつくり、その全身位置を両足で支持するとともに、肩と手を抵抗に対して突き、押し出すことによって移動してくる体幹を押し戻す動作になります。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて P126

とあります。

突き出す動作を通しての肩甲骨前方突出の強化方法

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①端座位、肩関節屈曲90度、肘関節伸展0度で正面に突き出す形を作ります。
②手根部から前腕長軸・中枢の方向に抵抗を加え、それを押し返すように力を入れてもらいます。
*手根部に抵抗を加えることで、手関節に痛みが痛みが生じることを予防しています。
*肩関節の角度を90度以上に保ちたい場合は、アームスリングや、セラピストの大腿を土台として支えるようにしてください。

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脳卒中片麻痺者のリーチ動作における運動学習の考え方

運動学習の目標設定

脳卒中片麻痺者の運動学習の目標を設定する上で、重要な視点が2つあります。
①運動モーメントを出力する支点の力量とタイミングの再構築
②目標とする運動スキルの習得によって二次的障害の発生を予防をできること

「運動モーメントを出力する支点の力量とタイミングの再構築」では、脳卒中片麻痺者の異常運動について、

運動に関与している外力(重力など)を内力(筋出力)によって処理しきれずに、そのひずみを代償することで生じる。

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P54

とあります。

リーチ動作においては、三角筋前部線維の筋出力低下により、抗重力活動が行えず、その代償として肩甲帯挙上や体幹前傾による代償運動が起こっていると考えることができます。

治療的な運動学習の達成には、運動学・神経生理学の知識を動員しながら適切な課題設定を行う必要があります。

代償運動に起因する異常運動の治療は、代償運動を適応せざるを得なくなった運動出力の不全を、再構築するための課題に基づいて行われるべきである。

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P54

機能障害に対する機能障害指向型訓練は、その程度に応じて調整された難易度の課題を組み合わせ、運動麻痺の改善を目指していくものです。

機能回復により、対象者自身が運動スキルの最適化を模索し、動作の安全性や効率性が高められていきます。

「目標とする運動スキルの習得によって二次的障害の発生を予防をできること」については、治療目標の設定により、それが達成することで関節変形や痛み、転倒リスクの軽減が図れるようにすることが大切です。

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リーチ動作における課題設定と運動学習

治療的な運動学習の達成には、課題再現のために必要な代償手段の適用も含めた運動学・神経生理学的側面からのリハビリテーションアプローチを検討していきます。

リーチ動作における課題設定において、管理されるべきエラーとしては肩屈曲・肘伸展の筋出力の不足、屈筋群の筋緊張亢進、体幹・肩甲帯による代償、手関節・手指伸展保持困難などがあります。

運動学的側面で「運動モーメントを出力する支点の力量とタイミングの再構築」を考えた場合、体幹による代償運動の制御を行うことで、肩・肘関節の屈曲・伸展筋出力、協調運動の改善を図る方法があります。

外的代償の側面からは、スプリングバランサーを使用することで上肢の免荷を図ることが可能で、手関節伸展保持装具(カックアップスプリント)を使用することで手関節屈曲位とならなずにリーチ動作を学習することができます。

機能回復を促す手法として、手関節伸筋に電気刺激を入力し、筋活動との同期を図ったり、具体的なリーチ目標を設定することも有効です。

神経生理学的側面では、観察学習を行うことでエラー情報の管理を行い、メトロノームを用いてリズムに合わせたリーチ動作を行うことで、関節運動の軌道を滑らかにするような自動化への手続きがあります。

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脳卒中上肢運動麻痺における電気刺激療法の考え方

電気刺激療法が可能性を広げる

  • 上肢の電気刺激は慢性期脳卒中患者の上肢機能を改善させる強いエビデンスがある
  • 随意運動と電気刺激は運動皮質の興奮性をより高める
  • 随意運動と電気刺激は内部モデルと感覚フィードバックをより合致させる

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介入例

  • 最低30分は行う(理想は60分)
  • 肩関節に亜脱臼がある場合
    棘上筋と三角筋後部線維
  • 肩関節屈曲or外転、強度は30−50度
  • 手関節背屈、フルレンジ
  • 手指屈曲わずかor中等度の痙縮
    橈側手根伸筋、総指伸筋
  • 手指完全麻痺
    上記+手指屈筋群

時間に関しては筋疲労との関係もあるため、対象者の状態をその都度評価しながら 行っていく必要があります。

周波数と筋収縮の関係

  • 持続的な筋収縮を生じさせたい場合
    20㎐以上
  • 筋力増強では最低でも20㎐以上
  • 20−30㎐:疲労は軽度で長時間の実施が可能
  • 80−120㎐:疲労が強い
  • 低周波治療器
    たたく、もむ、おすで、持続的な筋収縮が得られるのは「おす」

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電極の距離について

  • 電極を近づけるほど、電流は浅い層を流れる
  • あまりに近づけると電極のみに電流が流れる場合あり
  • 電極を離せば、刺激はより深部に到達する
  • 刺激効果が最も強い所は電極の真下

刺激強度の設定

  • 運動麻痺、筋力増強
    耐えうる最大強度
    痛みに応じて調整
    感覚障害に注意
  • 感覚入力、痙縮抑制
    感覚閾値以上、運動閾値以下

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高電圧パルス電流

  • 周波数:50㎐、パルス幅:50μsec
  • 刺激強度:全可動域の50%を実現できる強度
  • 刺激方法:外部スイッチにより自動運動に同期

促通反復療法との併用

  • 周波数:20㎐
  • パルス幅:250μsec
  • 刺激強度:運動閾値レベル
    (筋収縮がわずかに出る程度の電流量)
  • 刺激方法:持続的に刺激

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脳卒中片麻痺の手の運動麻痺に対する低周波治療器の使い方

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手の運動麻痺の回復について

一般的に、脳卒中を発症された場合、初期に運動麻痺が重度であるとその回復は最小限にとどめられると言われています。

また発症後1ヶ月程度で握力測定が不可能な場合も回復がおこりにくいという報告もあるようです。

軽度から中等度の運動麻痺の方場合、腕や手を何度も動かす反復的エクササイズや、具体的に獲得したい動きの練習を行う課題指向的エクササイズが有効であるという報告があります。

運動麻痺がある手を積極的に日常生活の中で使用できる方では、機能回復もより長い機関でみられる印象があります。

このような回復過程には、腕の使用に反応する神経系の再組織化がみられていることを表しているのだと思われます。

手の運動麻痺の回復に関しては様々な報告がありますが、重要な点は実施されるトレーニングの量とそのタイプ、強制的にでも運動麻痺の手を使用できるかということになります。

また運動麻痺がない手が「自分の唯一使える手」として脳に再組織化されるのを防ぐことも重要です。

腕と手の使用に関する運動要素

脳卒中片麻痺では筋出力の低下、運動のタイミングや協調性の低下などの問題があり、日常生活では使いづらい腕、手になっています。

また肩の痛みや動かしやすい方の手(非麻痺側)の日常的使用により、さらに麻痺側の手の機能低下を招いてしまいます。

リーチ動作(例えば目の前にあるコップに手を伸ばしていくような動き)において重要な運動要素は肩の屈曲(前に肩を挙げる)、外転(外に肩を挙げる)、外旋(腕を外に回旋させる)、肘関節伸展(肘を伸ばす)になります。

また手の操作に関しては手関節の伸展(手首を反る)、指の屈曲、伸展(指の曲げ伸ばし)、内外転(内、外への開閉)が重要な要素になります。

このうち、市販の低周波治療器を用いて運動の反復練習が行いやすいのは肩の屈曲、伸展、肘の伸展、手関節の伸展になります。

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脳卒中片麻痺者の肩の痛みと亜脱臼について

脳卒中片麻痺者のトレーニングにおいて、肩の痛みについては注意して行っていく必要があります。

肩の痛みに関しては、はきりとした原因は特定されていませんが、様々な要素が重なり合い痛みが出現すると言われています。

また、肩関節の亜脱臼を放置すると、周辺組織が牽引され、炎症を起こしやすくなり痛みにつながってしまうという考えもあるようです。

低周波治療器の使い方、パッドの当て方

低周波治療器のメリットは発症して早期の段階で自分の意思で腕を動かすことができない方でも電気刺激により反復して運動が行えることです。

低周波治療器の禁忌事項として、心臓ペースメーカーを使用されている方は使用しないでください。

またけいれん発作をおこした方、妊娠中の方、皮膚疾患がある方、悪性腫瘍がある方は医師と相談の上使用するようにしてください。

皮膚の傷や瘢痕、感覚が全くない部位への使用も控えてください。

1セット15分を2セット、1日午前と午後で使用してください。

低周波での筋肉の動きに合わせて、自分でも動かそうと意識しながら力を入れることが大切になります。

必要以上の強さや回数を行うと電気火傷を引き起こす場合があるため注意が必要です。

手首、指の伸展

①手のひらを下に向けテーブルに乗せます。肘の端にパッドを1枚、指1本分あけてもう一枚パッドを貼り付けます。
強さは手首と指か軽く伸びる程度にしてください。

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肘の伸展

①テーブルに腕を乗せ、肘の裏面の端と脇の腕の境目(上腕三頭筋)にパッドを貼ります。
強さは肘が軽く伸びる程度にしてください。

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肩の屈曲

①肩の骨(肩峰)のやや下の部分の前後にパッドを貼り付けます。
強さは軽く肩が前に上がる程度にしてください。

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肩の外転

①肘を曲げて肩に手を回し、指先が肩にふれる部分にパッドを貼ります。
②肩の骨(肩峰)の下にパッドを貼ります。強さは軽く肩が横に上がる程度にしてください。

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