アルツハイマー型認知症について、病期をADL能力の障害の程度により分類したものに、FAST(Functional Assessment Staging)があります。今回、FASTの概要と結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

FAST(Functional Assessment Staging)の概要と結果の解釈

参考文献

FAST(Functional Assessment Staging)の概要

FASTは、アルツハイマー型認知症の日常生活機能の総合評価から、その重症度を判定することを目的としています。
検査では対象者に対する様々な情報により症状の判定が行われるため、対象者の負担はありません。
軽度認知症では、日常生活での行動の変化が重要な指標になりますが、家族や本人から必ず訴えがあるわけではないため、聴取の際に細かく聞いていく必要があります。

認知症の理解や評価全体については以下の記事を参照してください。
認知症の評価!作業・理学療法のリハビリに活かす評価方法(バッテリーから観察評価まで)!
作業療法としての認知症のBPSD(心理・行動症状)に対する評価とアプローチ、対応例など

認知症に対する評価スケールに関しては、以下の記事も参照してください。
認知症のADL評価:SCR-DEの概要と評価方法、結果の解釈
認知症者のADL評価:DADの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:ARS、改変ARSの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:おだやかスケールの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:DHCの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:生活健康スケールの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:日本語版DQoL (DQoL-Japanese version)の概要と評価方法、結果の解釈
認知症者のQOL評価:QOL-Dの概要と評価方法、結果の解釈
認知症の行動障害評価:TBSの概要と評価方法、結果の解釈
認知症の評価:DASC-21の概要と評価方法、結果の解釈
認知症のADL評価:PSMSの概要と実施方法、結果の解釈
IADLを用いた認知症の日常生活行動評価の概要と使用方法
BPSDの評価:阿部式BPSDスコアの概要と評価方法、結果の解釈
BPSDの評価:CMAIの概要と評価方法、結果の解釈
DBD-13(Dementia Behavior Disturbance Scal短縮版)の概要と評価方法、結果の解釈
BEHAVE-ADの概要と評価方法、結果の解釈
DBDスケールの概要と使用方法、結果の解釈
NMスケールの概要と使用方法、結果の解釈
CDR(Clinical Dementia Rating)の概要、使用方法と判定方法、結果の解釈
N式老年者用日常生活活動動作能力評価(N-ADL)の概要と結果の解釈
N式精神機能検査の概要と採点方法、結果の解釈

 

FASTの使用方法

FASTは対象者普段生活上での観察評価や、家族・介護者からの情報により状態を把握していきます。

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結果の解釈

アルツハイマー型認知症について、正常老化を含めた7段階に病期が分類されます。
境界例、軽度例、重度例についての臨床的特徴が詳細に書かれているため、それを参考にしていきます。
stage6、7にはそれぞれ5段階のsubstageがあり、病状の進行に応じた具体例が示されています。
境界例、もしくは軽度認知症の特徴は、職業生活を含めた社会生活で何かしらの困難があることですが、FASTの行動変化の記述例はその把握に参考になります。
重症度の経過と一致しない例もあるため、注意が必要です。
FASTのみでアルツハイマー病の重症度の刑事的変化の評価は難しく、他の検査との併用が必要になります。
追跡調査によると、軽度認知機能低下(境界例)ではstageの期間がおよそ7年で、中等度の認知機能低下(軽度の認知症)ではほぼ2年となります。
FASTを使用することにより、各stageの認知機能低下を示す患者の鑑別診断を行う上で一助となることがあります。巣症状のある限局性の脳病変やうつ病などの疾患との鑑別になります。
うつ病では、境界状態(軽度認知機能低下)から中等度認知症(やや高度の認知機能低下)が認められる可能性があることに注意する必要があります。また、認知症の経過がFASTで示されている経過と著しく違う場合にも、アルツハイマー型認知症以外の疾患の可能性を考慮する必要があります。

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