足こぎ車椅子「COGY」をご存知でしょうか。脳卒中やパーキンソン病、脊髄損傷などで筋力低下や関節拘縮があっても、残存能力を使い足こぎによる移動ができる車椅子です。最近、脊髄損傷の方が「COGY」を利用する機会がありました。驚きと感動もありましたが、もう少しここは改善されれば、など感じることがあったので、紹介していくことにします。
目次
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岩下 篤司ら「ペダリング動作における体幹および股関節周囲筋の筋活動」理学療法学 Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
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足こぎ車椅子「COGY」は、歩行が困難でも、左右どちらかの足の随意運動が少しでもあれば足こぎにより車椅子移動ができる可能性があります。
COGYは、脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷、脳性麻痺などにも適応可能です。
ただし、両足が完全に麻痺している、もしくは関節拘縮がある場合、不適応となります。
通常の車椅子は、手足の操作により車椅子を左右に回転させますが、COGYはハンドルがついており、ハンドル操作により左右への回転を行います。
足を前方にこぐと前進、足を後方にこぐとバックします。
ペダリングをやめると停止します。
後方にキャスターがついており、乗降時や走行時の転倒を防ぐ仕組みになっています。
COGYは、動く方の足でペダリングすることにより、脊髄の原始歩行中枢が活性化し、動かしにくい方の足に運動指令を出すことで、両足でペダリングができるようになると考えられています。
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COGY使用場面の動画はこちらから
脊髄損傷(第1腰髄レベル)の方に使用してもらいました。
本人からは掲載の許可をもらっています。
比較的平坦な屋外では問題なく使用可能でした。
MMTは2/5レベルです。
しかし、緩やかな坂道ではかなりの力が必要なようで、手でペダリングをアシストしながらなんとか登るといった感じでした。
一人での外出をイメージすると、大変な感じがします。
一人での使用を想定した場合、COGYへの移乗は行えるのですが、ペダルに足をセットし、ベルクロテープでとめるのがかなり大変です。
逆に、ペダルから足を外す際は簡単でした。
慣れれば楽に装着できるようになるのか、良い工夫や簡単に行える方法があるのか。
この意見はあくまで個人で全て行う場合を考えてのことで、介助者がいれば大丈夫です。
COGYは平坦な道で使用すると、下肢筋にそれほど負荷がかかることはなく、心肺機能、筋持久力的な意味合いが強なると感じています。
坂道では運動強度が上がるため、瞬発的な力を発揮する必要があり、筋力増強に用いることも可能ではないかと感じました。
ペダリング動作では負荷量と回転数を上げると、体幹・股関節周囲筋の筋活動量は増加することから、筋力トレーニングとして用いることができるかもしれません。
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車椅子での階段昇降は、転倒の危険も伴う為、注意が必要です。
そんなテクニックを挑戦しようと思ったきっかけは、勢いです(笑)!
車椅子でエスカレーターの乗り降りができるのであれば、車椅子で階段昇降もやってみよう!そんな感じでした。
動画の方について、私は「パフォーマー」と呼んでおり、将来的には和歌山放送に取材に来てもらいたいと思っています。
どんな練習も段階付けを行い、スモールステップで達成していくことが重要になります。
まずは訓練室で、畳があったので、1枚〜3枚分の段差を上り下りしました。上りでは移動式の手すりを用意し、それを利用して練習を行いました。
下りでは高さが高くなるにつれて着地時の衝撃が強くなる為、何度も練習することで衝撃になれてもらうようにしていました。
高さに対する不安や恐怖をなくしていく為にも何度も動作を繰り返すことはやはり有効です。
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1段の上り下りは慣れてくるとうまくできるようになったのですが、複数段の上り下りではレベルが格段に上がります。
上りでは15㎝程度の段を手すりを使って動作を行っていきますが、かなりの筋力と筋持久力が必要になりますし、力を発揮する為の集中力も必要です。
また下りでは、1段目が着地できたとしても、勢いがついてしまうのでその勢いを殺しながら次の段に備えなければなりません。
1段目で勢いがついたままでは、そのまま2段、3段とコントロールを失いながら下りて行ってしまいます。
段差昇降のコツを解説していきます。
車椅子は段差に対して正面に位置取ります。
上りでは、手すりと対側の手で手すりを把持します。
その手で手すりを引っ張りながら、手すり側の手はハンドリムを操作し、できるだけ後ろの方から回していきます。
次の段に登る前に、車椅子が段差に対して正面に向くようにします。
そうでないと上手く駆動輪が転がってくれません。
下りですが、この時も段差に対して正面に位置取ります。
キャスターを上げるのですが、この時にも真っ直ぐ上げていかないと転倒の危険性が高くなるため注意が必要です。
段差を降りた時の着地の瞬間が一番のポイントとなります。
着地すると前への推進力が生まれるため、その勢いを殺すように両手でハンドリムを後方に回していきます。
とにかく着地の瞬間に素早くすることが大事になります。
次の段からはキャスターを上げたまま下りることになります。
キャスターの上げ具合によっても降りた際の勢いに差が生じるので、その辺りは何度も行う中でコツをつかんでいくことが大切になります。
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まずはエスカレーターの上りからです。
上りは下りに比べても恐怖感は感じにくいとのことです。
足場に車椅子が乗ると、車椅子は自動的に斜めに持ち上げられていくため、エスカレーターの持ち手部分をしっかりと把持して支えておく必要があります。
また反対側の手はハンドリムを操作し後方移動しないように前方に回転させておく必要があります。
上り終わりの部分ではハンドリムを前方に回転させ前進させるとスムーズにエスカレーターから離れることができます。
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次にエスカレーターの下りです。
下りは後ろの視界が確保できないため上りよりも恐怖感は増すようです。
片方はエスカレーターの持ち手を把持し、もう片方は車椅子ハンドリムを把持します。
徐々に後ろに下がるので、タイミングを合わせながら車椅子を足場に乗せていきます。
そのままにしていると後ろに転倒してしまうため、ハンドリムを前方に回転させ駆動輪を足場部分に接触させます。
下り終わりの部分では、タイミングを合わせながらハンドリムを後方に回転させバックさせることでスムーズにエスカレーターから離れることができます。
これはかなり危険なテクニックです。
パフォーマーで無い限りは実施しない方が無難です。
この方は和歌山県を盛り上げるパフォーマーのため、行ってっもらいました(勝手に言うてすみません)。
真似すると大変危険なため、実施にあたってのポイントは省略させてもらいます。
もし練習するのであれば必ず介助者等がいる時に行ってください。
エスカレーターの上り下り共、他に人が乗っている状況で失敗すると大変危険な状況になることが考えられます。
何度も繰り返して練習することによりタイミング、体の動き等がスムーズになり、自動化されていきます。
根気よく行うことが大切になります。