脳卒中のリハビリテーションでは、病院での作業療法、理学療法のみでは時間が短く、練習量としては足りないのが現状です。1日24時間のうち、訓練以外の時間をどのように過ごすかが重要で、自主訓練に積極的に取り組み、成果が出てくると、自宅に帰ってもさらなる機能向上に向けて取り組むことが可能になります。

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目次

重症度別!脳卒中片麻痺の上肢・手指のリハビリ、自主トレ方法

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脳卒中片麻痺者が自主トレに取り組む前に知っておいてほしいこと

目標を決めることが訓練の原動力に!

何も目標がなく、ただ言われた訓練を行っているだけでは面白くもなにもなく、ただしんどいことをやっているだけという感覚に陥ってしまいます。

リハビリテーションでは目標を定めるのですが、そのことにより訓練意欲が増し、より積極的に訓練に取り組むことが可能になります。

腕のリハビリにおいては、腕の動きが良くなったらどんなことをしたいのかを自分の中で考え、それに向けて訓練を組み立てていくことが大切です。

作業療法士・理学療法士とともに考えることで、お互いに目標を共有しながら、それに向かって進んでいくことができます。

リハビリスタッフにはなんでも相談してみてください!

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脳卒中片麻痺と筋力低下

脳卒中が起こると、脳の神経細胞が損傷を受けます。

すると、脳から脊髄までの運動指令がうまく行き届かず、腕が動きにくいという現象が起きます。

運動指令が今までは100%だったものが、30%、50%というように伝達されにくくなってしまいます。

これにより、筋肉の収縮量が減少(筋出力の低下)してしまいます。

この状態を神経原性筋力低下といいます。

脳卒中と筋力低下については、以下の記事を参照してください。
脳卒中運動麻痺〜一次運動野と皮質脊髄路による捉え方の違い〜

脳卒中片麻痺者の筋力低下のエビデンス

筋力トレーニンングで痙縮は増大するのか

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脳卒中片麻痺の筋力低下を克服するには

運動指令が低下し、筋肉の収縮量が減っている状態に対しては、しっかりと動かして筋肉の収縮量を上げていく必要があります。

(うろ覚えではありますが)ラットを使った実験では、一つの部位の運動機能の回復を促すには、1日200回以上動かす必要があるとの報告があったように思います。

私は患者さまには「1日1000回動かすつもりでいてください」と伝えており、そのため患者さまに「鬼みたいやな」とよく言われています。

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筋力強化の原理原則

筋収縮量を向上させるには、抵抗をかけることにより、通常よりもより筋肉を収縮させることを行う必要があります。

筋力強化の原理原則では、1回で持ち上げられる最大の重さの60%程度の重さを10回1セットで3セット行うことで筋力強化が行えるとされています。

脳卒中片麻痺者の自主トレーニングでは、そこまで考えられるのは軽度者かと思いますが、それでも自主トレーニングの中で上記のように抵抗や重りを使用してのトレーニングは非常に重要だと考えています。

脳卒中片麻痺者では神経性の筋力低下が起きていることから、しっかりと動かして鍛えていくことが大切になります。

筋力強化の原理原則!負荷の設定、頻度、回数の考え方!

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脳卒中片麻痺の上肢(肩・腕)のリハビリ・自主トレ方法(重度運動麻痺の場合)

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リハビリ、自主トレの方法と解説

連合反応の利用

自主トレでは、いかに筋収縮を発現させ、筋収縮を高めていくかが大切です。

そのために、様々な姿勢を利用して、自分の腕が動きやすいポジションを確認しながら行っていきます。

腕が動かないことを弛緩性の麻痺といいますが、この状態の場合腕のどの部分でもよいので、とにかく筋収縮が入る状況を作り出すことが大切です。

「連合反応」と呼んでいる現象を利用します。

「連合反応」は、例えば片方の腕に思いっきり力を入れた場合、もう片方の腕にも自然と力が入ってしまうような現象のことです。

片麻痺の方があくびをした時に、腕が動く現象も連合反応になります。

運動麻痺により筋収縮が入らない場合、これを利用していきます。

つまり、動く側の腕に力を思いっきりいれることで、麻痺側の腕に筋収縮が入るのを期待するのです。

ポイントは、とにかく思い切りです。

血圧には注意する必要がありますが、余力を残さないくらい行うことに意味があります。

この方法は療法士と一緒に行うことが多いのですが、自分で行う方法を紹介します。

ベッド柵に健康な側の腕をかけ、肘を思いっきり曲げます。その時、麻痺側の腕もしっかりと曲げることをイメージしながら力を入れます。

良い反応があると、麻痺側の腕に反応があります。

見逃さずに取り組んでください。

肩甲骨の収縮を促す

肩甲骨は肩や腕に比べ、初期より動きやすい部位になります。

肩甲骨の動きには、上、下、斜め、横と様々な方向への動きがあります。

肩甲骨の動きを出すことは、左右非対称な姿勢の改善や、腕の上がりがよくなるなど、とても良い効果があるので、初期より取り組むべきトレーニングになります。

一般の方がイメージしやすいのは、「肩をすくめる(上方向)」への運動(挙上)だと思います。

この動きは、僧帽筋の上部繊維の働きにより促されます。

車椅子などに座っている状態で、肩甲骨を上に上げてみます。

左右両方同時に行うことで、肩甲骨の動きのイメージがつかみやすいと思います。

麻痺側ある側では肩甲骨の動きが悪いです。鏡を見ながら行うことで、筋肉の収縮力がどの程度足りていないかを知ることができ、さらに力を発揮しやすくなると思います。

横向けになると、重力の影響が少し取り除かれるため、弱い筋収縮でも動きが出やすくなります。

上向きに行った後は、逆の動きの下向き(下制)も行います。

上から下に動かすということで、運動のイメージもつかみやすいはずです。

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肩甲骨を内側に動かす(内転)こともイメージしやすい運動です。これは、胸を張る時に行われる運動で、僧帽筋の中部繊維というところで行なわれます。

座って行う場合、両側の肩甲骨を動かしながら、胸を張っていきます。

横向きでは重力に従うことができます。横向きの場合は、肩甲骨が床に落ちていくイメージで行うことが大切です。

肩甲骨を内側に動かすことを意識しすぎて、体ごと後ろに回さないようにすることに気をつけます。

腕を挙げる時に重要なのが、肩甲骨を外側に突き出す(外転)運動です。

肩甲骨は腕の運動の土台にあたる部分なので、肩甲骨の動きをしっかりと出せていると、腕が動きやすくなります。

この運動は、座って行うとイメージがつきにくく、横向きになって行います。

ベッドでは、ベッド柵に手をかけ、前に向かってパンチをするように肩甲骨を外に突き出していきます。

もし動きが出てきたら、次にイメージがつきやすいのが仰向けでの運動です。

仰向けで、麻痺側の手を天井に向かって突き上げていきます。この時、健康な側の手で麻痺側の腕を支えて挙げることで運動を強化していきます。

補助する側の手はあくまで補助です。メインの動きは麻痺側の肩甲骨が突きあがることを意識してください。

肩甲骨の運動で、忘れがちなのが内側と下側の組み合わせの運動(下制と内転)です。
この運動は、僧帽筋の下部繊維というところで行なわれます。

腕の運動には肩甲骨の上方回旋という運動が非常に大切ですが、この運動は、僧帽筋の3つの部分が協力して働くことでしっかりと機能が発揮されます。

座って行う場合、横向けで行う場合があります。

どちらにしても、重力に従う運動のため、イメージしやすい運動だと思います。

低周波治療器の使用

低周波治療器を用いることで、電気刺激による筋収縮を促すことが可能です。

重度運動麻痺の場合、筋収縮がないことから筋肉が萎縮してしまうことがあります。

それを少しでも防ぐという意味でも、低周波治療器はその助けになる可能性があります。

私が使用している低周波治療器はオムロンの「エルパレス HV-F125」です。

頻度は1セット15分を2セット、1日午前と午後で使用します。

モードは「おす」を選択してください。

低周波での筋肉の動きに合わせて、自分でも動かそうと意識しながら力を入れることが大切になります。

必要以上の強さや回数を行うと電気火傷を引き起こす場合があるため注意が必要です。

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低周波治療器のパッドの当て方

肩に当てる場合のパッドの貼り付け位置を示していきます。

肩を前に挙げる運動を促したい場合です。
①肩の骨(肩峰)のやや下の部分の前後にパッドを貼り付けます。
強さは軽く肩が前に上がる程度にしてください。

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肩を外に挙げる運動を促したい場合です。
①肘を曲げて肩に手を回し、指先が肩にふれる部分にパッドを貼ります。
②肩の骨(肩峰)の下にパッドを貼ります。強さは軽く肩が横に上がる程度にしてください。

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肘を曲げる運動を促したい場合です。
①肘関節のすぐ上の部分にパッドを貼り付けます。
②その上にパッド1つ分程度のスペースを空け、もう一枚貼り付けます。強さは肘が軽く曲がる程度にしてください。

肘を伸ばす運動を促したい場合です。
①テーブルに腕を乗せ、肘の裏面の端と脇の腕の境目にパッドを貼ります。
強さは肘が軽く伸びる程度にしてください。

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机上でのワイピング

自主トレとして取り組みやすいのは雑巾掛け(ワイピング)です。
雑巾の上に麻痺側の手を乗せ、その上に健康な側の手を乗せます。

もしくは、両手を握り、雑巾の上に乗せます。

様々な方向に雑巾を動かし、肩や肘周囲の筋肉に収縮が入ることを期待します。
また、関節可動域の維持にも役立ちます。

スケーターボード

スケーターボードというものが作業療法室にはあります。

スケーターボードは、板の下に車輪がついているもので、わずかな筋収縮でも車輪の転がりによって腕を動かしやすくするための道具です。

これも、様々な方向に腕を動かすようにすることがポイントです。

麻痺側の手を動かして寝返りをする

肩、肘の筋収縮が得られてきたら、挑戦しやすいのが寝返りの際の麻痺側の腕の管理です。

重度運動麻痺の場合、寝返るときには腕をお腹の上に乗せますが、これを麻痺側の腕の力で行います。

肩、肘を曲げることでお腹の上に腕が乗りますが、目指すのはわき腹に触れずにお腹の上に乗せることです。
まだ筋力が不十分であれば、腕がわき腹についた状態でもよいので、動作に挑戦します。

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日常生活で麻痺側の腕をいかに使えるか

運動麻痺の回復には、麻痺側の腕をいかに使えるかで回復の度合いが違ってくるといわれています。

そのため、腕に動きが出てくれば、日常生活の中で腕が参加できる機会を作るべきです。
例えば、
・寝返りの際に腕をお腹の上に乗せる
・着替えで袖を通す際、麻痺側の腕が後ろに引けないように肩を前に出しておく
・手を洗う際に麻痺側も参加させる
・脇と腕で物をはさむ
などです。

麻痺側を使用しないと、脳が麻痺側の腕を使用しなくてもよいと学習してしまい、日常生活場面で麻痺側の腕が参加する機会が失われていきます。

そうならないためにも、少しでも動いたら、日常生活で使用する!これを忘れないでください。

担当の療法士と相談すると、いろいろな使用場面が考えられると思います。

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脳卒中片麻痺の上肢(肩・腕)のリハビリ・自主トレ方法(重度〜中等度運動麻痺の場合)

肩のリハビリ、自主トレの方法と解説

プレーシング

肩の中等度の運動麻痺についてですが、ここでは「肩関節が90度程度上に向けて挙げられる状態」とします。

以下に示す運動で、行いにくいようであれば、麻痺のない側の腕で、麻痺側の腕を支えてあげることで運動を行います。

まず、取り組みやすいのは仰向けの姿勢です。

座った姿勢では腕に重力がもろにかかってしまうため、その状態で肩の運動を行うと、筋力が弱い状態では肩を痛めてしまう危険もあります。

リハビリ場面でよく行われているのは、仰向けになって肩を90度上げて保つ訓練です(これをプレーシングと呼びます)。

肩の安定性がないと、90度で保とうとしたときにブレてしまうことがみられます。

肩周囲の筋肉が強化され、安定感が出てくるとブレずにその場所でとめることができます。
この動きでのポイントは、肘をいかに伸ばしていられるかと、前腕を外に回している状態で保っていられるかです。

脳卒中者では、腕を上げて、肘を伸ばすときに、前腕が内側に回って(回内)しまいます。

これは、そのように行う方が腕を伸ばしやすいためです。

しかし、腕を自由に動かしていくためには、前腕を外に回した(回外)状態で保つことが必要になります(これを分離動作といいます)。

写真では、手の甲が外側を向いているのがわかると思います。

肩甲骨の前方突出

仰向けで肩を90度に保ち、その状態から天井に向けてパンチするするように肩甲骨を前に突き出していきます。

これを、肩甲骨の前方突出(プロトラクション)といいます。

腕をしっかりと上げるには、腕の土台となる肩甲骨がしっかりと安定している必要があり、そのために前鋸筋という、肩甲骨を突き出す筋肉が重要になります。

この動きではその筋肉を鍛えることができます。

抵抗を加えたいのであれば、腕に重りを巻くか、手にペットボトルを持つことで負荷を増やすことができます。

前鋸筋が最も効果的に働く位置は肩関節が60°〜70°程度だともされており、その位置で肩甲骨を前方に突き出すことで、より効果的に前鋸筋を鍛えることにつながります。

肘の屈伸

余力があるのであれば、仰向けで、肩を90度まで上げ、そこから肘の曲げ伸ばしを額の上で行います。
肘を伸ばすときは前腕を外側に回し、

肘を曲げるときは前腕を内側に回します(手のひらが天井を向きます)。

これは、分離運動を促すためで、脳卒中者では腕を伸ばすときには前腕が内側に回りやすいためです。

この運動では、肩と肘という2つの関節運動が行われるため、先ほどまでの動きよりはレベルが格段にアップします。

肘の曲げ伸ばしを行う際に、肩がぶれないようにすることが必要になります。

早く行うよりは、ゆっくりと行ってコントロールできるようにすることが大切です。

この動作は、座った状態で物に手を伸ばす際の動きに似ており、その動きを鍛えることにもつながります。

腕を下げた状態から上げる

仰向けで腕は体の横に位置させます。

そこから腕を上げる練習をしていくのですが、これにもポイントがあります。

通常、腕を伸ばして何か物を取ろうとするときには、まず肘の曲がる動きが先行して、肩が上がっていきます。そして、肘の曲がる筋肉(上腕二頭筋)がブレーキをかけながら肘を伸ばしていきます(これを上腕二頭筋の遠心性収縮といいます)。

まず、肘を真っ直ぐに曲げて90度程度まで曲げていきます。

このとき、肘がお腹側に倒れないようにすることが重要です。
次はダメな例です。

お腹側に倒れ込む場合、腱板筋と呼ばれる筋肉達がうまく働いていないことが考えられます。

特に、腕を外側に回旋する筋肉(外旋筋:小円筋、棘下筋)の機能低下が考えられます。

その場合、後に示す腱板筋のトレーニングを行ってください。

肘が90度まで曲がったら、そこから肘を伸ばしながら天井に向けて腕を上げていきます。

このときは、重力に抗するためかなりの力が必要になります。

一度で無理な場合、一旦は肘を曲げた状態でおでこまで持って行き、そこから肘を伸ばすようにしてください。

腱板筋のトレーニング

仰向けで腱板筋を働かせるには、はじめに示した肩を90度まで上げた状態で、前後左右に細かく肩を揺らす運動を行います。

肩を揺らす際に、気が付いたら手首が揺れているだけだったということがありますので、注意が必要です。

他には、肩の外旋運動を3つのポジションで行います。
①腕を体の横につけた状態で、肩を外側に回旋させます。


*この動きでは脇が開かないように注意します。
②腕を外側に90度開いた状態で肩を外側に回旋させます。


③肩を90度上げた状態で肩を外側に回旋させます。


*この動きでは肩を回旋させたときに、肩が前後左右にぶれないように行います。

この外旋運動の機能が低下していると、座って腕を上げ、物を取ろうとするときに、肘が伸びにくくなるだけでなく、図のように腕が重力に負けた状態となってしまいます。

人間は重力に打ち勝ってなんぼの生き物なので、このトレーニングは非常に重要です。

三角筋の収縮を高める

横向けになり、肩を90度まで上げます。

この動きでは、三角筋と呼ばれる腕を上げるための筋肉の収縮力を高める運動です。

腕の収縮力が弱いと、肩はすぐに床に落ちてしまい、手がついてしまいます。

肩を90度に上げた位置で保つことができるのであれば、さらに天井方向に上げていきます。

肩の安定性が出てきたら、様々な方向に動かすことも練習をしましょう。

腕はただ真直ぐ上げるだけでは不十分です。自分の体の中心に対して、真ん中、右側、左側、上側、下側、それぞれの組み合わせにより働く筋肉の収縮量にも違いが生じます。

そのために、いろいろな方向に腕を動かし、それをコントロールする筋力を強化していく必要があります。

中等度の運動麻痺がある場合、仰向けで行うのが一番良いと思われます。

座って行うと肩関節を痛めてしまう恐れがあるためです。痛みが生じると、力を発揮できなくなるばかりか、気分も憂鬱になるため、痛みの予防は重要です。

もし、運動中に痛みが出現するようであれば、痛みのない範囲で行うのが脳卒中のリハビリの原則です。
これは必ず守ってください。

課題に余裕があれば、負荷を高めるために重りを手首に巻くとよいです。

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日常生活で腕を使うことが機能回復をさらに促します。

前途した動作が安定してできるようになると、座った状態でも腕を上げるのが楽に感じるかと思います。

脳卒中片麻痺においては、機能が強化された腕や肩を、いかに日常生活で使用するかが、今後の回復の差を生み出します。

様々な報告においても、日常生活で腕を使用している肩の方が回復が良いとされているためです。

これは、学習性不使用と呼ばれることと関連するのですが、麻痺のある腕を使わない生活をしていると、脳が麻痺側の腕は使用しなくてもよいことを学習し、腕の使用に関連する脳の部分の神経回路を閉ざしてしまうのです。

そのため、腕の動きが良くなったら、何か日常生活に使える場面はないかと考えます。

寝返りで、麻痺側に行く場合、しっかりと麻痺側の腕を寝返る方向に出すことで、寝返りはスムーズに行えます。

また起き上がりでは麻痺側の腕を伸ばし、ベッド柵をつかむことで起き上がり動作がスムーズになるかもしれません。

靴を履く場合、床にある靴を取るのに腕を伸ばして取れるかもしれません。床に腕を伸ばす動作は、腕を上げるよりも易しい動作になります。

服を着る動作では、麻痺側の腕を通すときに肩や肘の動きを使って、麻痺側の腕によって袖を通すことができます。

このように、リハビリや自主トレーニングにより機能の向上した腕を、いかに日常生活で使用するかが勝負どころとなります。

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脳卒中片麻痺の上肢(肩・腕)のリハビリ、自主トレ方法(中〜軽度運動麻痺の場合)

肩のリハビリ、自主トレの方法と解説

軽度運動麻痺とは、「肩を90度以上挙げられる」方を対象とします。

このレベルの方では、例えば120度程度肩を挙げることも可能ですが、肩の上げ方によっては関節に痛みを引き起こしてしまうため注意が必要です。

特に座って訓練を行う場合、肩を挙げる際には手のひらが常に顔を向いているように注意しておく必要があります。

手のひらを顔に向けることで、肩関節は外側に回旋し、この状態になると上腕骨の骨の一部が肩関節内をスムーズに通過しやすくなります。

自主トレは重要ですが、無茶なやり方を続けていては、逆に機能低下を招いてしまいます。
繰り返しますが、肩を挙げる時には手のひらは自分の顔の方に向いていることを意識する必要があります。

軽度の運動麻痺の場合、ある程度自由度の高い運動が行えるレベルなので、積極的に筋力強化を行う必要があります。

筋力強化を行うことで余力ができ、普段使用する範囲の腕の運動には余裕をもって取り組むことが可能です。

まずは座った姿勢で行うトレーニングです。

このレベルの場合、ある程度肩が上がっても、まだ重力に負けてしまい、図のような腕の使用になることがあります。

これは、肩を挙げる筋(三角筋)が働きやすい位置に持ってきているためか、もしくは腱板筋という、肩を安定させる筋肉の働きが弱く、重力に負けてしまっているためだと解釈されます。

腱板筋トレーニング

腱板筋を鍛えるには、座っての方法が行いやすいです。
①輪ゴムを3つつなげます。両手の手首付近に輪ゴムを通し、肩を外側に回旋させます。

*輪ゴムが抵抗となり、筋力を鍛えることができます。
脇は閉めた状態で行い、肩が外に開かないようにすることが重要です。
②机の前に座り、肩が90度上がる状態で保てるように箱などをセットします。
肩を外側に回旋します。

③机に対して横向きに座り、肩が90度上がる状態で保てるように箱などをセットします。
肩を外側に回旋させます。

*上記のトレーニングも含め、外側に回旋させてから戻る時はゆっくりブレーキをかけながら戻すようにしてください。

このブレーキをかけながら戻す動きを筋肉の「遠心性収縮」というのですが筋力強化ではこの収縮様式を用いることが一番効果的だとされています。

上記トレーニングにより、腕を上げる際に下図のような上げ方ができてくれば、肩周りの筋肉は相当力がついてきている証拠です。

そして、この肩の動きをトレーニングするのに良いのが、キャッチボールです。

ボールは柔らかいものを使用してもらって構いません。

ボールを投げる瞬間の格好、先ほどのトレーニングと似ていませんか。

そうです、この動きは肩を上げながら回旋させるという、脳卒中片麻痺の方に対するトレーニングの要素をかなり含んでいるといえます。

そのため私は機能の高い患者様にはこのキャッチボールを行ってもらいます。

難しい所は、運動する関節の数が多いために、コントロールがつきにくくなることです。

ボールを投げる瞬間にはうまく手の指も離していかなければなりません。

注意点ですが、立ちながら行うとバランスを崩すことがあるので、最初は座って行う方が無難です。

そして、次に天井に向けて手を伸ばせる力を強化していくようにします。

天井に向けて手を伸ばすことは、完全に重力に打ち勝つことを意味します。

この動きができてくると、「孫を抱っこして持ち上げたい」というような目標にも近づくことが可能です。
どこまで大きな赤ちゃんや子供を抱っこするかによって異なりますが、両手で脇を抱えて5〜10kg程度上げることができると達成できると思います。

最初のトレーニングでは、腱板筋と呼ばれる深い場所にある筋肉(肩を安定させる働きがある)を収縮させることが目的でした。

三角筋のトレーニング

次に、肩の外側の筋肉(主に三角筋)を鍛えていきます。

腱板筋と三角筋がダブルで働いてこそ、腕は天井まで伸ばすことができるようになります。

サンディング

サンディングという課題で三角筋や前鋸筋(肩甲骨を外側に突き出す)を鍛えていきます。

市販品は医療用なのでかなり高額です、いや、詐欺だとおもうくらいのびっくりする値段です。

このように周りにDIYが得意な方はぜひとも作成してもらうと良いと思います。

サンディングボードを使用する場合、三角筋、前鋸筋の筋力を向上させたいのであれば、腕を上げた時の角度が、肩関節60度となるような設定で行うと効果的だと思われます。

上腕三頭筋(肘を伸ばす筋肉)、棘下筋(腱板筋:肩を90度以上あげるのに必要)の筋力を向上させたいのであれば、腕を上げた際の肩関節の角度が120度となるような設定で行うと効果的だと思われます。

また、肩を外側に向ける動きも取り入れると、三角筋全体の強化につながります。

*10回行って余力がある場合は、負荷が足りていません、その場合は手首付近に重りを巻きつけて負荷を増やして行います。
*先ほどのトレーニングと同じ注意点ですが、戻す時はゆっくりです。「遠心性収縮」を利用して、筋肉をとことんイジメてあげることで筋力向上が望めます。

サンディングボードがない場合、そんなこともあると思います。

そのときは平らな机を利用します。

平らな机で、手首に重りを巻きつけて行います。前、斜め前(左右)、横方向など、様々な方向に腕を押していきます。

指が握れるのであれば、雑巾の上に重りを置き、それを握りながら押し進めることで握力強化にもつながります。

注意点は、戻すときに体ごと後ろに戻さないことです。体ごと後ろに戻しているということは、腕の力が使えていない証拠になります。

壁サンディング

次に、壁サンディングがあります。

その名の通り、壁に向かってサンディングをするというものです。

この課題を通して、三角筋の強化と、肩甲骨を外に突き出す前鋸筋の強化が期待できます。

肩甲骨は腕を支える土台であり、土台がしっかりしていないと腕はその機能を発揮できません。

とても大切なトレーニングになるので、しっかりと行ってください。

壁に向かって立ち、雑巾を手に持ち、できるだけ高い位置めがけて雑巾で拭いていきます。

その後下に下げますが、楽にできる所まで下げてはいけません。

中途半端な位置でとめ、筋肉が収縮している状態を保持させます。その後また上げていくという作業を繰り返していきます。

10回で限界になる程度の負荷が必要です。余力があるならば、手首付近に重りを巻いて上に上げていきましょう。

この課題は今までのトレーニングの中で一番負荷が高いトレーニングです。肩に痛みが生じてきたらすぐに中止し、負荷を減らすなどの対策を講じてください。

ここまでのトレーニングがこなせるようになってくると、かなり筋力が向上していると考えられます。

先ほど「孫を抱っこしてやりたい」という話がありましたが、これを行うために私がよく患者様に取り組んでもらっているトレーニングがあります。

椅子持ち上げ

椅子の持ち上げです。

4脚の椅子の脚の付け根を子供の脇の部分に見立て、それを持ち上げてもらうという課題です。

椅子の重さはそれぞれですが、子供の重さに満たなければ重りを巻いてもらっています。

ここまでくるともはやリハビリというよりもトレーニングというふうなイメージに変わってきましたね。

プッシュアップ

最後に紹介するのは、プッシュアップです。

リハビリ室にはプッシュアップ台があるため、私はたまに利用しています。

図のようにプッシュアップ台を握り体を持ち上げます。

この運動では、肩、肩甲骨周りの筋肉が強く収縮し、筋力増強効果が期待できます。

私の経験上、このトレーニングを取り入れてから握力がかなり向上したことがあります。

おそらく、かなり踏ん張ろうとするので筋収縮力が向上するのだと思います。

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日常生活でいかに腕を使用できるかが今後のポイント

中〜軽度の片麻痺者の場合、ある程度腕の自由度はあることが想像できるので、日常生活の様々な場面での使用が想定されます。

日常生活で腕を使用・参加させないことには機能回復の道は開けません!といっても良いくらい大切なことです。

担当の療法士と相談しながら、どのような場面で腕が使えそうか、試しながら、実践していってください。

・アイロンをかける
・傘をさす
・灯油の入ったポリバケツを持つ
・雪かきをする
・包丁を使う
など、パワーがいることから、繊細なことまで、様々な活動があります。

自分の目標は何なのかを決め、その目標に向かってトレーニングを行うことで、達成していってください!

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脳卒中片麻痺の上肢のリハビリ、自主トレ方法!肩を挙げた時に肘が伸びにくい場合!

肘関節の筋(上腕二頭筋)の重要性

肘関節は屈曲(肘を曲げる)と伸展(肘を伸ばす)です。

この運動により、人は手を伸ばしたときの距離を調節することができます。

テレビを見ていてリモコンを手に取りたい時、自然に肘の伸び縮みが調節されることで、スムーズにリモコンを持つことができます。

肘を曲げるのは、上腕二頭筋の働きで、肘を伸ばすのは上腕三頭筋の働きです。

その一方、肘を曲げている所から伸ばすのは、上腕二頭筋の働きでもあります。

ややこしいですが、肘を伸ばす時には、上腕二頭筋がブレーキをかけながら肘を伸ばしているのです(これを上腕二頭筋の遠心性収縮と呼びます)。

大切な赤ちゃんをベッドに寝かせる際、肘の曲げにブレーキがかかりながら動作を行っているのと同じイメージです。

上腕二頭筋でブレーキをかけるには、上腕二頭筋がしっかりと曲がる方向に筋力が発揮できていないといけません。

上腕二頭筋は腕を使用する際にはかなり重要な筋肉なので、しっかりとトレーニングする必要があります。

上腕三頭筋はいつ働くのでしょうか。

上腕三頭筋が一番働くときは、天井に腕を上げたときです。

このときには上腕三頭筋の働きが重要になります。

腕を前に伸ばしたときに、肘が曲がってしまうという方は、上腕三頭筋を鍛えるというよりも、上腕二頭筋がブレーキをかけれるように鍛える方が有効だと考えています。

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肘のリハビリ、自主トレの方法と解説

上腕二頭筋のトレーニング(臥位)

まずは、上腕二頭筋がブレーキをかけながら働くように、肘をしっかりと曲げれるだけの筋収縮力を強化していく必要があります。

一番最初の課題は、取り組みやすい仰向けで行います。

仰向けで腕を体の横に伸ばし、手のひらを天井に向けた状態で肘を曲げていきます。

このときのポイントは、まっすぐと肘を曲げていくことです。

左右にぶれてはいけません。

特に、お腹側に倒れながら肘が曲がってしまう場合、肩の腱板筋(特に外旋筋)の働きが弱い可能性が高いです。

そのときは、同時並行的に肩の腱板筋のトレーニングも進める必要があります。

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まっすぐ楽に肘が曲げれるようになれば、負荷を高めていく必要があります。

手首に重りを巻き、まっすぐ肘を曲げます。

上腕二頭筋のトレーニング(座位)

次に、座った姿勢でも肘を曲げれることを目標に行います。

この動きは肘が曲がることにより「顔を触る」「髪の毛を触る」「肩を触る」などができるようになることです。

例えば、肩を触ることができれば、麻痺がある手でスポンジを握り、健康な側の腕を洗うことができます。

座って行う場合、重力に完全に逆らう必要があるため、かなりの筋収縮力が必要になります。

そして、さわる目標が上にあるほど、肩が上に上がっている必要があり、動きに参加する関節数が多くなるため難しい動きになります。

まずは、参加する関節数を少なくするために机の上で行います。

これも先ほどと同じようにまっすぐ曲げていきます。

腕が机につきそうになるのであれば、腱板筋のトレーニングをしっかりと行ってください。

そして、肘を曲げるときに、肩を外側に回旋させることを意識しながら行います。

机に肘を置かないで肘を曲げていきます。

まずは、肩は動かさずに、肘の動きだけで図の位置を目指しましょう。

そこまで動けば、肘の動く範囲はかなり広いので、最後まで曲げれるように取り組みます。

「◯◯に触る」で一番取り組みやすいのは、顎です。

最初は頭を多少近づけても良いので、顎に触れることができるように努力します。

顎まで届いたら、鼻、おデコ、頭のてっぺんと、順に高さを上げ、難易度を高めていきます。

座って肘を曲げる時にもうひとつ気をつけておきたいことがあります。

肩が外側に上がることで、図のようなパターンになる方が多く見られます。

これは腕が重力に負けて、図のように内側に回旋する場合に、代償的に肩を外に上げていると解釈できます。

そのため肘を曲げる時に、肩は外に開かず、脇につけることを意識しながらトレーニングを行ってください。

以外に難しいのが、反対側の肩に触ることです。

脳卒中者では、動く側の方向には動きやすいですが、自分の真ん中を超えて動かそうとする場合は難易度が高くなります。

そして、先ほどと同じように、肘を曲げて反対側に手を伸ばそうとすると、肩がかなりの高確率で外側に上がってしまいます。

脇をしっかり締めて、反対側の肩に手を届かせるようにしてください。

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これまでのトレーニングがしっかりと行えるのであれば、負荷を高めていく必要があります。

手首に重りを巻いた状態で、取り組んでみてください。

10回行って「もう無理」と思えるくらいの負荷が適切な負荷量と考えてください。

重さに抵抗するくらい力がついて、肘をしっかりと曲げて保持することができると、カバンを腕にかけて持つことができます。

良い方の手で杖を持って、麻痺のある方の手にカバンをかけて持つ、こんなことも可能になります。

孫(赤ちゃん)を抱っこしたいとき、肘はどちらの手も曲がっています。

ある程度の重さを持ちこたえることができれば、それも可能になると思いませんか!

そのために、抱えるように肘を曲げて、重さを保持することを鍛えていきます。

図のように、重りをお腹と肘の間にはさみ保持します。これは案外大変で、最大の筋肉の出力を維持し続けなければならないので、すぐに肘が下がってきてしまいます。

赤ちゃんを抱っこしたいのであれば、これは何としても獲得したい動作です。

上腕二頭筋により、肘をしっかりと曲げれることが可能になったら、ブレーキをかける遠心性収縮も鍛えていかなければなりません。

しかしながら、これからのトレーニングは、できることがあれば、肘を曲げるトレーニングと同時に行ってもらっても構いません。

上腕二頭筋の遠心性収縮のトレーニング

仰向けで肘を曲げた状態から、ゆっくりと肘を伸ばしていきます。

ブレーキを自在にかけたいので、できるかぎりゆっくりと伸ばしていってください。

5秒、10秒かけて伸ばしていくと、しっかりと遠心性収縮が行えています。

余力があれば、手首に重りを巻いて行うことで負荷が高まります。

座った状態でも行います。

まずは、動きへの関節の参加数を減らすため、机に肘をつけて行います。

先ほどと同じように、できる限りゆっくりと行えるように肘を伸ばしていきましょう。

これも余力があれば手首に重りを巻いて負荷を強めます。

次は、何もない状態で遠心性収縮を鍛えていきます。

まずは肩の動きを伴わずに肘をゆっくりと伸ばしていきます。

肩を徐々に上げていき、その中でも肘をゆっくりと伸ばせるようにしていきましょう。

肩を90度上げた状態で肘をゆっくりと伸ばすことができれば、遠心性収縮はかなり上手に行えているといえます。

腕は前に上げるだけではありません。

前、右、左、斜め、下、上など様々な方向に動きます。これらの動きの中で、肘の遠心性収縮を自在に行えるようになれば、麻痺のある腕の自由度はかなり上がっていきます。

色々な方向に動かしながらトレーニングを行ってください。

物品を使用したトレーニング

物を使ったトレーニングも大切です。

人間は、物の操作を行うために、進化の過程で腕が使えるように発達していきました。

そのため、物を使ったトレーニングは非常に重要です。

物をとりにいく、または持った途端に、腕のコントロールが効きにくくなることは片麻痺の方ではよく見られます。

物を自在に操れてこそ、リハビリといえます。

物を取って、ゆっくりと置く動きですが、これはコップで飲み物を飲んだ後、こぼれないようにゆっくりと机の上に置いたりする時にみられる、非常に大事な動きといえます。

このような動きをトレーニングによって獲得していきます。

物をつかむときに導入しやすいのは「お手玉」です。

手首や指がある程度動くのであれば、ペットボトルを持ち、飲む動作と机に置く動作を行うことで、物品を操作しながら上腕二頭筋を効果的に働かせることができます。

ペットボトルを飲む動作は上腕二頭筋の求心性収縮、ペットボトルを置く動作は遠心線収縮になります。

ペットボトルは水の量により負荷量が変わりますから、段階付けも行いやすくなります。

健康な男性の方では、1.5ℓのペットボトルを片手で机にゆっくりと置くこともできるのではないでしょうか。

ダーツは趣味的な活動であり、トレーニングにも利用できます。

ダーツは投げ始めは肘を伸ばす筋肉が働きますが、その後は重力に対して微妙な力の調節をしながら上腕二頭筋によるブレーキをかけながら肘を伸ばしていきます。

肩の機能が不十分であれば、健康な側の手で、麻痺側の肘を支えてあげることにより、動作練習が行いやすくなります。

上腕三頭筋のトレーニング

次に、上腕三頭筋の鍛え方を考えていきます。

かなり前に述べましたが、上腕三頭筋の働きが一番必要なのは肩がかなり上に上がっているとき(120度以上)です。

特に、腕を天井に向けて伸ばしていくときにはかなりの収縮力が必要になります。

棚の上の物を取るとき、窓の掃除をするとき、色々な場面で頭上に頭を伸ばす機会があります。

このような動きを獲得するには、上腕三頭筋の強化は必須となります。

あまり肘の動きがみられない時の上腕三頭筋の強化方法がとしては、仰向けで行う方法があります。

肘を曲げた状態から、肘を伸ばしていきます。伸ばし始めに上腕三頭筋の収縮が得られます。

仰向けで、肩を90度挙げ、その状態から肘の曲げ伸ばしを行います。

この動きでは上腕三頭筋の求心性収縮が得られます。

伸ばす時は手の甲が外側を向いているようにし、曲げる時は手の甲がおでこに付くように行うことで、肘と前腕が独立して自由に動くことにつながります。

肘の曲げ伸ばしを行う際に、肩関節が動かず、ビシッと止めた状態で行うことで、肩の安定性も同時に高めることができます。

余裕が出てきたら重りを手首につけるようにします。

座った状態では、目の前に椅子を置き、その上に枕などを設置します。

手首をそらし、手のひらを枕に接しながら、肘を伸ばし枕を押します。

前腕を内に回して行うことで、脳卒中者は肘を伸ばしやすくなります。

はじめの内はこの方法で行い、動きが出てくれば、前腕を外に回して行うようにすればよいでしょう。

座った状態で、座面の横に肘を伸ばして保持します。

手のひらの下にタオル(折りたたんだもの)を置き、それを押し込むように肘を伸ばしていきます。

押し込む時のポイントは、親指の付け根付近(母指球)で押し込むことで肘を伸ばす感覚が得られやすくなります。

机での雑巾がけは上腕三頭筋の強化には最適です。

重りを手につけ、雑巾を下に敷き、前方に肘を伸ばすことで上腕三頭筋の収縮が得られます。

そして左右、斜めなど、様々な方向に肘を伸ばしていきます。

肩のトレーニングでも述べましたが、壁サンディングは効果的に上腕三頭筋を鍛えることができます。

雑巾を手にとり、壁に向かって手を上に上げていきます。

下ろすときにはゆっくり下ろすことで、ブレーキをかける遠心性の収縮になります。

そして、最後まで下ろしてはいけません。途中で保持することで、筋肉に強い負荷がかかりやすくなります。

日常生活でいかに腕を使っていくかが大切

これまでに様々なトレーニング方法を紹介してきましたが、どれが皆様に適した方法かは正直わかりません。

しかし、トレーニングを続け、少しでも腕の機能が良くなったら、日常生活で使える場面を考えましょう。

日常生活でいかに麻痺側の腕を使うかによって、今後の回復にも左右してきます。

先ほども述べましたが、
・かばんをさげる
・傘をさす
・アイロンをかける
・洗濯物カゴを腕にかける
など、様々な場面で肘の曲げ伸ばしを使う動作を行うことができるかもしれません。

担当の作業療法士と相談しながら、想像力豊かに日常生活で使用できようにしてみてください。

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脳卒中片麻痺者のリハビリ、自主トレ方法!杖や椅子を使用した上肢のリーチ動作練習!

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上肢のリーチングに対するリハビリ、自主トレの方法と解説

OKCとCKC

今回は、杖や椅子を使用したリハビリ方法になります。

その前に、まずはOKCとCKCについて説明していきたいと思います。

OKC:
開放性運動連鎖。四肢の末端が自由に動く状態での運動。

単関節での運動に適しており、上肢の運動はほとんどがOKCとなる。

神経系の賦活や多関節の複合的な使い方は学習できないが、目的とする筋にアプローチしやすい。

CKC:
閉鎖性運動連鎖。四肢の末端が固定された状態での運動。自重による負荷運動で多関節の動きに対応している。

四つ這い、スクワット、かかと上げ、ヒップアップ共同的な筋収縮が起こり関節の動きを安定させる。

関節の圧迫力、筋肉の共同収縮により求心性受容器の活動が増加して神経系の賦活も促せる。

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何が伝えたいかと言うと、脳卒中片麻痺者に対する上肢のリハビリテーションでは、意外にCKCを利用していることがあるということです。

特に、筋出力が不十分な状態であれば、CKCによるトレーニングが有効になります。

例えば、作業療法で行われている「サンディング」、これはCKCに当てはまります。

サンディングでは、四肢の末端が固定されているため、上肢運動に参加する筋群の共同的な筋収縮を促しやすくなります。

杖を使用したトレーニング

今回使用する杖や椅子もこのCKCを利用した自主トレとなっています。

方法自体は単純です。

椅子に座り、杖を前方方向に伸ばしていく

椅子に座り、椅子の背を持ち前方方向に伸ばしていく

という内容になっています。

杖を用いた上肢のリーチングのトレーニングですが、段階付けとしてまずは前腕を回内(手のひらを下に向けて)位で杖を持ち前方に伸ばしていきます。

本来、上肢のリーチングでは前腕回外、肩外旋の動きが重要になります。これは、上肢を上げた際に重力の影響で肩が内旋しないように必要なためです。

しかし、回復が不十分な方では、前腕回内位でトレーニングし、その後図のように前腕を中間位から回外位(手のひらを上に向けながら)で杖を持ちながらリーチングするようにします。

ポイントは、ゆっくりと、まっすぐと伸ばしていくことです。

安定性が不十分だとまっすぐに伸ばすことができず、左右にぶれながら伸ばすパターンが多く見られます。

さらに、ゆっくりと伸ばすことは、上腕二頭筋がブレーキをかけながら伸ばしていることになるので、リーチング動作の練習には適していることになります。

自分の思い通りにスピードや方向(まっすぐだけでなく内側や外側)を組み合わせてリーチングしていくことが大切です。

特に、正面、内側よりも外側の方が難易度は高くなっています。

 

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椅子を使用したトレーニング

次に、椅子を使用したトレーニングですが、これは杖を使用するのに比べて、椅子は重さがあることが特徴です。

さらに、椅子は支持面が杖と比べると広いので、リーチング動作が比較的安定しながら行いやすくなります。

これも杖を使用した場合と同様に、ゆっくりとスピードをコントロールしながら行います。

 

杖や椅子のどちらを用いたとしても、意識したいのが体の状態です。

腕をしっかりと伸ばすために、上腕二頭筋や上腕三頭筋の筋出力を高めていきたい場合には、体幹の動きは伴わない方がよいでしょう。

前方にリーチングしても、体幹が前に倒れてこないように注意していきます。

ただし、本来の正常なリーチンング動作では、下図のように股関節屈曲に伴う体幹前傾、骨盤前傾位に対する胸椎伸展位でリーチすることによりより遠くの物を操作できるようになります。

トレーニングの際は、自分の体の状態もしっかりとモニターリングしながら行うことが大切になります。

 

リーチングにより腕を伸ばすときの注意点を挙げましたが、もちろん肘を曲げて戻していくときにも、体は崩れないように注意する必要があります。

腕を曲げて戻していく際に、体を過剰に曲げたり、肩を引くように行うことはNGです。

正面に腕を伸ばす、元に戻すときの両方で体を真っ直ぐに保ちながら行うようにしましょう。

リーチングの練習はどのようなことにつながっていくか

リーチング練習を行うと、ものを取りに行く際に行いやすくなるのは当たり前です。

他の場面を考えていくと、寝返りはリーチング動作が重要とされており、麻痺側の肩甲骨が前方突出(前に出ていく)していく必要があります。

また、服を着る際に、麻痺側の腕に袖を通していく際には、麻痺側の肩甲骨が後ろに引けないようにすることで袖が通しやすくなります。

このように、リーチングの練習は手の操作だけでなく寝返りや服を着る動作など、様々なことに良い影響を与える可能性があります。

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脳卒中片麻痺者の回復を促すリハビリ・自主トレ!両手動作の練習が絶対に大事!

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麻痺側を使うだけでは不十分

脳卒中のリハビリでは、いかに麻痺側の腕を使用する機会、量を増やすかによって、回復に差が出ると言われています。

今やリハビリロボットなども使用する施設もあり、リハビリ現場ではどんどんと訓練の環境が変化しているといえます。

麻痺側の腕の動きがよくなってきたら、その腕や手が日常生活の中でどのように使用できるかを考えるのですが、このとき、両手を同時に用いる動作を考えていく必要があります。

片麻痺の方の訓練で、麻痺側の手を使っているときに、健康な側の腕や指も同じような動きをしているのは見たことはないでしょうか。

このような状態では、麻痺側と健康な側がそれぞれ別の動きをスムーズに行える状態とは言えません。

そのため、麻痺側と健康な側を同時に使用できるような訓練機会を提供することが非常に大切になってくるのです。

両手動作は、ニューロリハビリテーションの視点においても重要と考えられています。

 

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詳しくは以下の記事を参照してください。
ニューロリハビリテーションと両手動作-半球間抑制の視点から-

脳卒中片麻痺者の運動麻痺改善の原理原則

脳卒中片麻痺者の運動麻痺の改善に向けては、麻痺側の上肢(腕)・手指をいかに使用するかということが大切になります。

1日は24時間あり、その中で病院に入院している場合は、リハビリの時間は多くても3時間程度です。そのうち腕や指の訓練に割かれているのは少ない時間となってしまいます。

そのため、リハビリ以外の時間帯において、いかに意識しながら麻痺側を使用する練習を行うか、また回復した腕や指の動きを日常生活上でいかに使用していくかが大切になります。

多くの研究においても、日常生活での麻痺肢の使用頻度が、回復の程度に差を出すことが知られています。

運動麻痺により、麻痺側の腕を使用しないまま過ごしていると、脳が麻痺側の腕を使わなくてもよいと学習してしまい、麻痺側の動きに関与する脳の部位の活動がどんどん弱まってしまします。

これを「学習された不使用」と呼びます。

この状態を防ぐことが、麻痺側の腕や手指を使って訓練をする理由にもなります。

麻痺側を数多く使用するトレーニンングを行うのですが、トレーニング計画の中には、両手を使用する課題をいくつか混ぜておくことが大切になります。

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日常生活と両手動作

日常生活では、数多くの両手動作が行われています。

例えば、ペットボトルの蓋を開ける場合には、片手でペットボトルを持ち、もう片方で蓋を開ける動作を行うことで、効率よく動作が行えます。

このとき、両手が動き出すのは同時におこり、大まかな動き(ペットボトルを固定する)となり、もう片方は正確な動き(ペットボトルの蓋を持つ、操作する)となります。

そして、両手の動きは同時に終了します。

腕を伸ばす際には、正確性が要求される場合はその速度が遅く、早くからブレーキをかけるような動きになります。

一方の手にカップを持ち、もう一方の手でカップ内にボールを落とす課題では、ボールがカップに入る前にカップを持つ手の握力が上がることがわかっています。

このようなことから、両手動作における筋活動のコントロールの獲得には、両手動作の課題を用いることで達成されることがわかります。

両手の練習を行うことで、左右の腕や指の動きのタイミング、筋の出力の再設定が行われます。

 

両手練習のポイントと考え方

ある程度麻痺側の腕や指の動きがある方でも、実際の生活場面において麻痺側の使用が行われない場合、両手動作の協調性が不十分なことによって、麻痺側の腕や手が参加できにくい場合があります。

片手練習と両手練習では、時間的・タイミング的なコントロールに大きな違いがあります。

そのため、両手を協調的に使用できるような課題を設定することで改善を図る必要があります。

両手を用いる運動は、大きく3つに分類することができます。
・片手で持ち、もう片方を動かす
・両手が同じ運動をする
・各手が異なる運動をする

このような要素を用いた課題を設定する、または日常的に行う必要のある/行わなければならない課題を練習していくようにします。

要素を用いた課題では、具体的な物を使用することもポイントです。

物を使用する場合と物を使用しない場合とでは、運動様式が異なるためです。

日常場面では様々な物品を使用することから、対象者のレベルにあった両手を用いる道具の使用課題を設定していきます。

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運動麻痺のレベルに応じた両手動作課題の例

両手動作課題は、対象者のレベルに応じて設定される必要があります。

重度運動麻痺の場合、腕のサイクリング運動や固定自転車をこぐ課題が比較的単純な練習になります。

サイクリング運動は、上肢エルゴメーターと呼ばれる機器を使用します。

自主練習で行いたい場合、医療機器ではないですが、市販されているものもあります。

これ自体で筋力を強化することは難しいですが、両手動作練習に加えて、学習された不使用を防いだり、関節可動域の維持に貢献できます。

固定自転車をこぐことで、両手でハンドルを握る動作が促されます。

自転車をこぐことに集中していると、握っている手がハンドルからずれるなどが観察されることがあるため、注意を配分しながら物事を行う能力も促されます。

壁を押す動作は、両方の手のひらを壁につけて腕立て伏せのように行います。
その際、瞬発的な力を使って勢いよく壁を押すパターンや、ゆっくりと腕を伸ばしながら壁を押すパターンが考えられます。

戻るときにもすっと力を抜いて戻ったり、ゆっくりとブレーキをかけながら戻ったりすることで、様々な筋収縮の様式のコントロールが促されます。

女性の場合(男性ももちろん)、家事動作で洗濯が重要な仕事になることがあります。

タオルをたたむ動作は、両手を使用して、端と端を合わせながらたたむことで、細かい腕や指のコントロールが必要になります。

麺を作ることや、ピザの生地を作るときに、棒で前後に転がすことがあると思います。

この動きは手のひらで左右同時に前後に動かす協調的な動きが必要になります。

リハビリ場面ではセラプラストを使用することで、均等に伸ばしているかを確認しながら課題を進めていくことができます。

ボールを両手で転がす、受け取る動作では、空中では腕の運動が乏しくても、床に腕を垂らすことで重力の影響を減らしながら運動を促すことができます。

タイミングよく両手でボールに触れないと、ボールが正面に行かないことや、健康な側の腕のみにボールが当たることが観察されます。

新聞を両手に持ちながらページをめくる動作も、日常的に行われやすい動作になります。

机の上に腕を乗せることで重力の影響を軽減できるので難易度は下がります。

運動麻痺が軽度の場合、空間で新聞を保持しながらページをめくる動作を促していきます。

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料理の際、水道の蛇口から水を出し、片手に持った計量カップのメモリぴったりに水を入れ、蛇口を閉めます。

この両手課題は左右それぞれが全く異なる動きをしています。

一方は空間内で計量カップが斜めに傾かないように保持し、もう一方は蛇口の開閉をします。

このとき、注意は計量カップの傾き、メモリ(水の量)、蛇口と3つに向けなければいけない、かなりレベルの高い課題になります。

肩や腕の機能が良い場合、棚の上の物に両手を伸ばしながら取る課題があります。

両腕を同じように上げるというのは片麻痺の方にとっては難しいことです。

腕の土台の肩甲帯の安定性、肩周囲や肘(特に上腕三頭筋)の筋出力が必要になります。

荷物を手に取った後は、ゆっくりとブレーキをかけながら肩や腕を下ろしていくような、遠心性収縮により動作が行われます。

両手に物を持って歩く課題では、荷物により下が見えにくい状態でバランスをとりながら歩く必要があります。

階段昇降を行う場合は、さらにバランスが要求される課題といえます。

手指をよく使う両手動作ではキーボードのタイピングがあります。

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脳卒中片麻痺の前腕の運動(回内、回外)のリハビリ、自主トレ方法

前腕の動きと働き

前腕とは、手首から肘の部分までのことをさします。

前腕の動きには、親指が内側に回り、手の甲が天井を向く「回内」と、

親指が外側に回り、手のひらが天井を向く「回外」の2つがあります。

前腕の動きは日常生活の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。

手を洗うときには、両前腕が回外することにより水を受けて貯めることができます。

こどもがお菓子を受け取る姿を想像してください。

これも手のひらが上を向く回外の動きにより受け取っています。

机の上にあるテレビリモコンに手を伸ばそうとしたときは、前腕は手のひらが下に向く回内位、または中間からやや回内位で動作が行われます。

このように、日常生活では前腕の位置がちょうどいいところに調整されることで、様々な物の使用が行われます。

お箸を操作するときには、全範囲に渡り回外するわけではありませんが、中間の位置くらいに保たれることで操作が行われています。

片麻痺の方は、肘が曲がっている位置では前腕は回外しやすい傾向にあります(肘が曲がっていると、上腕二頭筋が働きやすく、上腕二頭筋は前腕回外にも働くため)。

しかしながら、肘が曲がっている位置でも、肘が伸びている位置でも、回内、回外が自由に行えるのが健康な状態といえます。

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前腕のリハビリ、自主トレ

屈筋共同運動と伸筋共同運動

脳卒中者では、共同運動と呼ばれる症状が生じます。

これは、意図した特定の筋肉を収縮しようと脳から命令を行っても、それ以外の筋肉にも命令が伝わり、その結果として、他の関節運動も生じてしまうことがあります。

前腕の運動における共同運動では、回内(親指が内側に回り手のひらが下に向く)の際には肘が伸びる(肘伸展)、肩が内側(脇側)に動く(内転)、肩が内側に回旋する(内旋)、が同時に見られやすくなります。

回外では、肘が曲がる(肘屈曲)、肩が外側に動く(肩外転)、肩が外側に回旋する(外旋)、が同時に見られやすくなります。

日常生活の中で、回内運動が見られない場合、代償的に図のような関節の動きで前腕の回内位を実現させようとすることがあります。

物を取るために体を健康な側に移動させ、肩を外に開き、内側に回旋させ、肘を手よりも高く上げることで前腕回内位を作り出します。

前腕の回外運動が生じにくい場合、まずは回内、回外運動の中間までを目指すようにします。

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運動麻痺が重度の場合、とにかく回内、回外運動が生じるようにしなければなりません。

この時点では、他の関節運動を伴ってでも(利用しながら)、回内や回外を実現させることが重要です。
回内運動が生じやすいのは、肘を伸ばす運動を行う場合です。

肘を伸ばす運動が行えるのであれば、回内方向に動かすことを意識しながら行います。

仰向けでは肩を90°に上げ、肘を伸ばしてキープする際に最大の回内運動を意識しながら行います。

逆に回外では、肘を曲げる際に最大の回外運動を意識しながら行います。

低周波治療器の使用

低周波治療器を用いることで、電気刺激による筋収縮を促すことが可能です。

重度運動麻痺の場合、筋収縮がないことから筋肉が萎縮してしまうことがあります。

それを少しでも防ぐという意味でも、低周波治療器はその助けになる可能性があります。

私が使用している低周波治療器はオムロンの「エルパレス HV-F125」です。

低周波治療器の禁忌事項として、心臓ペースメーカーを使用されている方は使用しないようにします。

またけいれん発作をおこした方、妊娠中の方、皮膚疾患がある方、悪性腫瘍がある方は医師と相談の上使用するようにしてください。

皮膚の傷や瘢痕、感覚が全くない部位への使用も控えるようにします。

頻度は1セット15分を2セット、1日午前と午後で使用します。

モードは「おす」を選択してください。

低周波での筋肉の動きに合わせて、自分でも動かそうと意識しながら力を入れることが大切になります。

必要以上の強さや回数を行うと電気火傷を引き起こす場合があるため注意が必要です。

パッドの貼り付け位置を示していきます。
前腕の回内運動を促したい場合です。
①ひとつのパッドは肘の真上に貼ります。

②もうひとつは肘の内側から真ん中にかけて横に貼り付けます。

うまく貼り付けられていると、回内運動が起こります。

前腕の回外運動を促したい場合です。
①ひとつのパッドは肘の真上に貼ります。

②もうひとつは肘の外側から横にかけて貼り付けます。

うまく貼り付けられていると回外運動が起こりますが、貼る位置によっては手首が反る運動が強くなります。

パッドが大きいため仕方ありませんが、回内運動よりは実施しにくいと思います。

様々な姿勢での前腕回内外運動

座っている場合にも、肘を伸ばす運動の際に回内運動を意識しながら行います。

また肘を曲げる際に回外運動を意識しながら行います。

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他の関節運動を伴ってでも、回内、回外の運動が行えるようになれば、次に他の関節運動を抑制しながら回内、回外を実現させることが重要です(単関節での運動)。

基本的には、運動を実現できる最小限の力で行えるようになることが大切です。

あまりに力が入りすぎると、他の関節の運動が同時に生じてしまうためです。

ゆっくりから徐々にスピードを上げていくようにします。

筋力向上は、前腕の運動の自由度が増した後で行っても十分間に合います。

仰向けの状態の運動としては、手を下ろした状態で、回内、回外運動を行います。

また、肩関節90°上げ、肘関節の曲げ伸ばしの運動の際に、肘を伸ばすときには回外、

肘を曲げるときには回内運動を行うようにします。

先ほど、回内運動が行いやすくなるのは肘関節を伸ばす運動で、回外運動が行いやすくなるのが肘を曲げる運動だといいました。

ここでは、それとは逆の運動を意識して行います。これは「分離運動を促進する」というのですが、パターンで動いている運動から、独立して運動が行えるようになることを目指しています。

座っている状態でも、同様に行います。

机の上に腕を乗せ、前腕の回内、回外運動を行います。

机の上に腕を乗せることで重力の影響を減らし、運動に参加する関節の数も減らすことができます。

回外運動を行うときのポイントは、親指の爪が机に着くことです。

親指に関する筋(長母指伸筋:親指を伸ばす)は、回外方向への運動を促すことから、親指を伸ばしながら爪が机に接するくらいに意識して行います(指の動きがある場合)。

他にも、定規を握り、定規の端が机に接するように回内、回外運動を行います。

これは、目標物があることで、運動を促しやすくなる効果が期待できます。

単独での関節運動が行えるようになってきたら、運動に参加する関節運動の数を増やします。

座った状態で肘を90°に曲げ、前腕の回内、回外運動を行います。

90°と言いましたが、肘が最大に伸びた状態から、肘が最大に曲がった状態まで様々な角度において前腕の回内、回外運動が行えるようになることが理想です。

肘を曲げた状態で前腕の運動の自由度が増したら、今度は肩関節を参加させていきます。
肩を上げ、肘が曲がった状態で前腕の回内、回外運動が行えるようにします。
そこから、肘を伸ばしていき、その状態でも前腕の運動が行えるようにしましょう。

このような肩、肘の様々な角度における前腕の運動を獲得していくことで、腕の自由度は格段に向上します。

日常生活動作を考えると、水で顔を洗う動作では、肘が90°曲がった状態から、130°程度曲げた状態で前

腕の回外位を保持することが必要となります。

自分にとってどのような動きができるようになりたいかにより、獲得したい腕の運動範囲が異なります。

本や雑誌のページをめくることは、前腕の回内、回外の運動により行われます。

ページをつまむのに指の細かい動きが必要ですが、つまむのが難しい場合は、複数ページを同時につまんでもよく、指サックを使用することでゴムに紙がひっかかるので、つまみやすくなります。

動作の注意点は、前腕の動きではなく、肩の大きな動きにならないようにすることです。

新聞はつまみやすいですが、肩の大きな動きとなりやすく、本や雑誌はページはつまみにくいですが、前腕の動きが促しやすいといえます。

動作中に肩が外に広がらないように意識して行う必要があります。

日常生活でいかに腕を使用する機会を多くするか

脳卒中による運動麻痺の回復を促すには、いかに日常生活の中で腕の使用機会を増やすかによって異なります。

日常生活で麻痺側の腕が参加する機会が多いほど回復につながりやすいことが研究によりわかっています。
そのため、腕の動きの回復が見られたら、どのような場面で使用できるかを考え、実践していく必要があります。

例えば、
・本、新聞、雑誌のページをめくる
・顔を洗う
・ドアノブを操作する
などがあります。

担当療法士と相談しながら、今の自分の状態ではどのような動きができるかを想像し、チャレンジしてみてください。

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脳卒中片麻痺の手首のリハビリ、自主トレ方法

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手首(手関節)の向きにより握りやすさ、道具の使いやすさがかなり異なる

握力測定のように、手首(手関節)をぎゅっと握ってみてください。

手首の位置はどうなっているでしょうか。

下図のように、手首が反っているのではないでしょうか。

パワーを発揮するには、手首を反っている(手関節背屈)必要があります。

試しに手首を曲げた状態で指を握ってみてください。絶対に力が入りにくいはずです。

リモコンを手に持つとき、ペットボトルを持ってジュースを飲むとき、このときも手首は曲げる〜反るの中間、またはやや反っているはずです。

お箸でおかずをつまむとき、魚の身をほぐすときも同様です。

そして、色々な方向に手首が動くことで、より細かい調整が可能になります。

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リハビリ、自主トレの方法と解説

低周波治療器の使用

重度運動麻痺の場合、手首がわずかに動く、または全く動かないという状況です。

その場合、どのような方法でも良いので手首に関する筋肉の筋収縮を生じさせる必要があります。

低周波治療器を用いることにより、電気の力で筋収縮を促すことが可能です。

重度運動麻痺の場合、筋収縮がないことから筋肉が萎縮してしまうことがあります。

それを少しでも防ぐという意味でも、低周波治療器はその助けになる可能性があります。

私が使用している低周波治療器はオムロンの「エルパレス HV-F125」です。

またけいれん発作をおこした方、妊娠中の方、皮膚疾患がある方、悪性腫瘍がある方は医師と相談の上使用するようにしてください。

皮膚の傷や瘢痕、感覚が全くない部位への使用も控えるようにします。

頻度は1セット15分を2セット、1日午前と午後で使用します。

モードは「おす」を選択してください。

低周波での筋肉の動きに合わせて、自分でも動かそうと意識しながら力を入れることが大切になります。

必要以上の強さや回数を行うと電気火傷を引き起こす場合があるため注意が必要です。

パッドの貼り付け位置を示していきます。

手首を反らす(手関節背屈)場合です。

①手のひらを下に向けテーブルに乗せます。肘の端にパッドを1枚、指1本分あけてもう一枚パッドを貼り付けます。

強さは手首と指が軽く伸びる程度にしてください。

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手首を曲げる(手関節掌屈)場合です。

①腕を回外(親指を外側に回す)させ、手のひらが天井に向くようにします。肘の端に1枚貼り付け、指1本分空けてもう一枚を貼り付けます。
強さは手首と指が軽く曲がる程度にしてください。

手首を反らす、曲げるの2通りを紹介しましたが、より重要なのは手首を反らす運動です。

物の操作や力強く握りこむ場合は手首が反るまたは、曲げる〜反るの中間状態を維持して行われます。

手首の動きが少しでも出てきたら、その動きを強化できるようにしていきましょう。

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手関節背屈(反らす)の動きを促す

手首を反らす運動の強化を考えた場合に、手のひらが下に向いている状態で行うのは、重力の影響をかなり受けることになります。

そのため、初期で動きが見られ始めた際には、机などで親指が天井に向いている状態(前腕回内外中間位)で手首をそらせる運動を行う方が難易度は低くなります。

手首の筋収縮が弱い場合、肩や肘の運動が同時に見られることがあります。これは、筋力の弱さを代償しようとしているためです。

そのため、できるだけ肩や肘の運動が起こらない範囲で力を入れる練習を行います。

手首の動きがある程度出てきたら、完全に重力の影響を受ける状態での筋収縮力を高めていきます。

机にティッシュの箱などを置き、その上に腕を乗せて、手首が箱の端から出るようにセットします。

そこから手首を反らす運動を行います。

この課題では、筋収縮力が弱い場合に、肘が天井側に上がってしまう(肘を曲げる)ことが代償動作として見られます。

その場合、健康な側の手で、麻痺側の腕を上から押さえ、肘が浮き上がるのを抑制することを意識させます。

手首が全範囲に渡り動かせるようになれば、重りを持つ、あるいは手に巻きつけるなどして、負荷の量を増やして行います。

橈屈と尺屈の動きを促す

手首の動きは反る、曲げるだけではありません。

机の上に手のひらを下にして置いた場合に、小指側へ倒す尺屈、

親指側へ倒す橈屈があります。

橈屈と尺屈では、日常生活場面で重要なのは橈屈です。

お箸を操作している場面では、筋収縮力が弱いと重力に負けて、手首は尺屈方向に向いてしまい、操作ができなくなります。

橈屈と手首を反る運動がうまく組み合わさることで、スムーズな箸操作が可能になるのです。

何か物を操作している場合、橈屈運動が行われている場合が圧倒的に多いはずです。

そのため、手首をそらす運動の際に、橈屈運動も同時に行うことが大切になります。

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物品操作を通して手首の動きを促す

手首が単体で動かせるようになってきたら、他の関節(肩、肘)を含めて手首の運動が自由に行えるようになることが大切です。

そのための方法として、物の操作を行うことで、手首を反らす運動は、さらに促されます。

よく作業療法で行われるのは、お手玉やペグ(円柱の木)を用いた物品操作です。

対象物を持ち、それをカゴに入れたりボードに差し込むことで、自然に手首を反る運動が促されます。

高い位置や、斜めの位置にカゴやボードを設置することでより運動が促されますが、手首を反らさずに、肩や肘を高い位置に上げるような代償運動が起こらないように注意する必要があります。

指がある程度握れるのであれば、ラケットを手に持ち、その上でお手玉を乗せ、前方に放り投げることや、ラケットに乗せたお手玉を、上に放り上げ、またラケットに乗せるような運動が選択できます。

ラケットを握る際には、手首は反らす(背屈)+橈屈方向の運動が促されます。

この課題ではラケットの持ち手を通じて、お手玉の重さを感じ取り、手首や肘、肩が協調的に動き、ラケットやお手玉を落とさないようにするという、難易度が高い動きです(アクティブタッチとも言います)。

手首にかなり力がついてくれば、重たい道具を操作するなかで、筋出力を高めていくようにします。

フライパンの操作はその代表です。

フライパンを持ち、ゆっくりとテーブルにつけ、ゆっくりと戻していきます。

ゆっくりと戻すことで手首を反らせる筋肉がブレーキをかけながら働き(遠心性収縮)、より強い筋収縮力を発揮できることを期待します。

フライパンにも小さい物から大きい物まであります。家にある、自分の状態に合った物を選択してください。

他の調理活動としては、「卵をとく」動きも手首のスムーズな動きが要求されます。

手首に関するすべての筋肉を使用しながら、手首を回す動きにより卵をとく必要があります。

この動作での注意点は、手首ではなく、肩の動きを中心に行う場合があります。

傘をさすことも、手首によりしっかりと同じ位置に固定できる能力が必要です。

傘でなくても、棒の先端に重りをつけることで同様の筋収縮力を高める課題になります。

手首の不安定さは、棒の先端を前後左右に動かしますので、その動きをさせないように、しっかりと棒を握るとともに、手首を固定させます。

私は釣りをしませんが、釣り竿を動かす時にも、手首を反り、橈屈させる方向に動かすのではないでしょうか。

実際の釣り竿を用いたり、棒を握り、空間で保持しながら手首をそり、橈屈する動きを行うのも良いかもしれません。

手首が協調的に、スムーズに動かすようになるには、紐回しが最適です。

紐(先に重りがついている、または縄)を握り、紐を一定のスピードで手首を用いて回す運動を行います。

手首の動きが悪い場合、手首ではなく、肩を使っての動きが大きくなります。

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日常生活で麻痺側の腕をいかに使えるか

運動麻痺の回復には、麻痺側の腕をいかに使えるかで回復の度合いが違ってくるといわれています。

そのため、腕に動きが出てくれば、日常生活の中で腕が参加できる機会を作るべきです。

麻痺側を使用しないと、脳が麻痺側の腕を使用しなくてもよいと学習してしまい、日常生活場面で麻痺側の腕が参加する機会が失われていきます。

そうならないためにも、少しでも動いたら、日常生活で使用する!これを忘れないでください。

担当の療法士と相談すると、いろいろな使用場面が考えられると思います。

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手指の自主トレに向けて!物品を用いる意義と上肢機能の回復について

脳卒中後の上肢機能の回復について

脳卒中後の麻痺側上肢の回復について

麻痺側上肢を能動的に使用できる患者では機能回復がより長く続くというほうが正確である。

このような後になってみられる回復は、使用および動作に反応する神経系の再組織化の過程が進行中であるということを反映している。

これらのプロセスは使用状況に依存する可能性が高い。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P137

とあり、いかに上肢を使用できるかにより、回復に違いが出ることが言われています。

また、麻痺側上肢のトレーニングの原則として

回復の実態は最初の機能障害のレベルだけではなく、行われるトレーニングや練習の量・タイプと患者が強制的に手を使用させられるか否かを反映している。

手をわずかに自動的に動かすことができる患者で上肢機能を効果的に回復させるために脳の回復過程を刺激するには、非麻痺側上肢が「唯一の使用可能な上肢」として再組織化されるのを防ぐことと、麻痺側上肢の動作を強制することが不可欠である。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P138

と述べられており、麻痺側の強制使用と、その練習内容を効果的なものに設定する必要があります。

作業療法士は、促したい上肢の動作と、それに必要な課題の分析を行い、段階付けをしながら練習課題を設定する必要があります。

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物品を使用する意義

物品を用いる意義について、

対象物を用いない無条件の課題よりも、対象物を用いて有意味な相互作用を含む具体的な課題を行うときのほうが、患者は優れたパフォーマンスを示す。

脳卒中の運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

とあります。

このことからも、具体的な物品を用いて行う訓練には上肢機能回復に有効なことがわかります。

また、患者の意欲を高めることにおいても意味のある訓練であるといえます。

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脳卒中片麻痺者の手指のリハビリ・自主トレ方法(重度運動麻痺の場合)

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リハビリ、自主トレの方法と解説

重度運動麻痺で指の動きが全く見られない、もしくはわずかに見られるような場合、まずは筋収縮を発揮できるようにしていく必要があります。

脳卒中の回復過程において、まずは全部の指を曲げる動きが最初に回復してくる方が多いと思います。

そして、全部の指を伸ばす動きが回復し、個別の指の運動が回復していくようなパターンになります。

指が握れると、何か物をしっかりと握り・掴めるようになり、指が伸ばせるとつかんだ物を離せるようになります。

まずは、全体的な指の曲げ伸ばしが獲得できるようにしていく必要があります。

指が動かないことを弛緩性の麻痺といいますが、この状態の場合腕のどの部分でもよいので、とにかく筋収縮が入る状況を作り出すことが大切です。

連合反応の利用

「連合反応」と呼んでいる現象を利用します。

「連合反応」は、例えば片方の腕に思いっきり力を入れた場合、もう片方の腕にも自然と力が入ってしまうような現象のことです。

片麻痺の方があくびをした時に、腕が動く現象も連合反応になります。

運動麻痺により筋収縮が入らない場合、これを利用していきます。

つまり、動く側の指に力を思いっきりいれることで、麻痺側の指に筋収縮が入るのを期待するのです。

ポイントは、とにかく思い切りです。血圧には注意する必要がありますが、余力を残さないくらい行うことに意味があります。

この方法は療法士と一緒に行うことが多いのですが、自分で行う方法を紹介します。

ベッド柵に健康な側の腕をかけ、ベッド柵をしっかりと握り、肘を思いっきり曲げます。

その時、麻痺側の指もしっかりと握ることをイメージしながら力を入れます。

良い反応があると、麻痺側の腕に反応があります。見逃さずに取り組んでください。

 

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低周波治療器の使用

筋収縮を促す他の方法としては、低周波治療器を利用したものがあります。

重度運動麻痺の場合、筋収縮がないことから筋肉が萎縮してしまうことがあります。

それを少しでも防ぐという意味でも、低周波治療器はその助けになる可能性があります。

私が使用している低周波治療器はオムロンの「エルパレス HV-F125」です。

低周波治療器の禁忌事項として、心臓ペースメーカーを使用されている方は使用しないようにします。

またけいれん発作をおこした方、妊娠中の方、皮膚疾患がある方、悪性腫瘍がある方は医師と相談の上使用するようにしてください。

皮膚の傷や瘢痕、感覚が全くない部位への使用も控えるようにします。

頻度は1セット15分を2セット、1日午前と午後で使用します。

モードは「おす」を選択してください。

低周波での筋肉の動きに合わせて、自分でも動かそうと意識しながら力を入れることが大切になります。

必要以上の強さや回数を行うと電気火傷を引き起こす場合があるため注意が必要です。

パッドの貼り付け位置を示していきます。

指を伸ばす場合の貼り付け位置です。

①手のひらを下に向けテーブルに乗せます。肘の端にパッドを1枚、指1本分あけてもう一枚パッドを貼り付けます。

強さは手首と指が軽く伸びる程度にしてください。

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指を曲げる場合です。
①腕を回外(親指を外側に回す)させ、手のひらが天井に向くようにします。手首の端に1枚貼り付け、指1本分空けてもう一枚を貼り付けます。

強さは指が軽く曲がる程度にしてください。

これらは、手首の自主トレ、リハビリとしても行われる方法です。

作業療法士や理学療法士が電気治療を行う場合、もっと細かいパッドなどを用いて個別の指の動きを促していくのですが、市販のものはパッドが大きいこともあり、複数の関節が動いてしまいます。

低周波治療器を用いると、自分の麻痺している側の指が動いていることが、目から脳へ情報として伝わるため、「学習された麻痺」の状態を防ぐ役割があることも考えられます。

学習された麻痺とは、麻痺側の腕や指を使用しないことで、脳が麻痺側の腕はもう使わなくてもよいと学習してしまうことです。

すると、麻痺側の指の動きを司る脳の部位の機能は低下していってしまいます。

このような状況を防ぐのにも、低周波治療器は意義があるのではないかと思います。

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ミラーセラピーの利用

ミラーセラピーも、重度運動麻痺者に適応できる治療法で、自主トレとしても最適です。

ミラーセラピーとは、簡単に言うと、鏡を見ながら運動をおこなうことです。

ただ、鏡は自分の真ん中に置き、麻痺側の指の動きは目で見ることはありません。

鏡には、自分の健康な側の指が映るのですが、それを見ることで、あたかも麻痺側の指が動いているように錯覚させています。

これにより、麻痺していない側の指が正常に動いているように視覚的な錯覚を作り出すことができます。

視覚的な錯覚が脳に情報として伝わると、実際に運動した時と似た脳の活動が起るとされています。

この方法であれば、指の動きが見られなくても行え、様々な指の動きを行うことができます。

写真に写っている物はミラーボックスと呼ばれる物ですが、これはダンボールと鏡があれば手作りすることができます。

①ダンボールを分解していたら、底はテープをしっかりと貼り付けます。
②図のように、ダンボールの側面に2つ穴を開けます。自分ははさみを突き刺し、そこから切っていきました。
この穴は、両腕を通すための穴です。

③いらない部分をはさみで切り取ります。この場合、上部右側は、鏡を支えるのに必要なため残しています。

④鏡が支えられるのが確認できたら、両腕を入れて動かしてみます。

指の動かし方は、重度運動麻痺の場合は、基本的に「グーパー運動」で良いと思います。

ミラーセラピーは確固たる根拠がまだないのですが、1日30分程度行う場合が多いと思います。

ミラーセラピーも、「学習された麻痺」を防ぐことが期待できます。

また、錯覚ではありますが、自分の指が動いているように見えることは、動かない状態でトレーニングを行うよりも意欲的に取り組める可能性は高くなります。

頑張って動かしても、動いていないのをみると「だめか〜」というネガティブな気持ちになることが多いと思います。

指の動きが回復してきたら、次に日常生活で使用できる場面はないかを考えいきます。

ミラーセラピーについては後で詳しく述べることにします。

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日常生活でいかに指を使うかが回復の鍵になる

脳卒中の回復には、日常生活でいかに麻痺側の指を使用できるかによって、その度合いが変わってくるとされています。

そのため指の動きがでてきたら、日常生活で使用できる場面はないかを考える必要があります。

親指の動きが出てきたら、人差し指との間に物を挟むことができるかもしれません。

指を使用する場面は、担当の作業療法士と共に考えることができます。

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脳卒中片麻痺者の手指のリハビリ・自主トレ方法(重度〜中等度運動麻痺の場合)

指の自由度と筋力強化

指の運動を考えた場合、指の自由な運動を行えることも大切です。

指には様々な運動の組み合わせにより、複雑なことが行えます。

「OKを作る」「指と指でこする」「グーチョキパー」など、かなり複雑な運動です。

まずは、指の自由な動きを獲得してから、その後に筋力を鍛えていくことも重要な考え方になります。

指の回復が見込まれにくいのであれば、今ある指の動きで筋力を向上させることで、日常生活で使用できる指の機能を獲得していきます。

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リハビリ、自主トレの方法と解説

重度〜中等度の運動麻痺と考えた場合、ここでは指の曲げ伸ばしがある程度できる場合を想定しています。

指の大まかな曲げ伸ばしができるのであれば、比較的大きなものであればつかむことが可能です。

例えば、ボール、お手玉などがあります。

お手玉は手にフィットしやすく、指が完全に曲がらなくてもつかみやすい物品であるため、導入としては取り入れやすいと言えます。

ボールは硬い物から柔らかい物、大きい物から小さいものまで様々なものがあります。

はじめは軽くてある程度大きいものから初め、徐々に重さのあるもの、大きいもの・小さいものに移行していきます。

ボールを握るには親指の動きが重要になります。

親指が手のひらから離れるように動く掌側外転が起き、

他の指と向き合う対立動作が必要になります。

対立動作を獲得するためにも、親指の動きは意識的に強化していく必要があります。

先ほど説明した「掌側外転」「掌側外転(手をパーするときの親指の動き)」をそれぞれ練習する必要があります。

物を操作する時には、親指、人差指、中指は自由に動かせる必要があります。

薬指と小指は操作する指の安定性を保証したり、力強く握るために、しっかりと曲がって力を発揮する必要があります。

親指の動きがあるのであれば、「つまみ動作」の練習を行うことができます。

つまみ動作が練習できる基準としては、親指と人差し指が接する(◯を作れる)ことで、これを、対立の動きといいます。

オセロの駒は、初期のつまみ動作の練習を行うのに最適です。

オセロの駒は適度な重さ(とても軽い)で、駒に幅(高さ)があり、親指と人差し指の間の距離もあまり広げなくても良いというメリットがあります。

親指と人差し指の腹でオセロの駒をつまみます。

つまんだまま移動させることはさらに難易度が高いのですが、肩や肘などの他の関節運動を伴いながらでも、オセロの駒と指との接触面に一定の力を入れ続ける必要があるためです。

最初はつまみ、離すだけで構いませんが、動きが回復してきたら親指、または人差し指の動きを用いて駒を裏返せるようにチャレンジします。

裏返す動作は、親指と人差し指の協調的な動きが必要になりますが、この動きはのちのちお箸を使用することにつながるので重要な課題です。

手首や肘、肩の動きが乏しいのであれば、麻痺がない側の手で麻痺側の腕を保持し、安定性を作った状態で練習を行います。

つまみにくい場合タオルを敷いて、その上にオセロの駒を置くことで、地面と駒の間にスペースができるでつまみ上げやすくなります。

オセロの駒の次の難易度としては、おはじきがあります。

巧緻動作訓練については以下の記事も参照してください。
巧緻動作障害に対するリハビリテーションの実際

親指の動きが乏しい場合、親指と人差し指を対立位に保つ必要があります。

その場合、簡易装具(対立装具)を作成すると、練習が行いやすくなります。

スプリントと呼ばれる素材で作成したり、厚紙を用いて形作り、輪ゴムで止めて使用することもできます。

対立装具を用いることで、親指と人差し指は対立位に保たれ、指の曲げ伸ばしを行うことでつまみ動作の練習が行えます。

つまむ物は前途したオセロの駒が最初の導入としては行いやすいと思います。

①Cバー(スプリント素材を用いて)
人差し指、親指でののつまみを邪魔しない程度の範囲でC型を形成し、つまみ動作を促していきます。

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②Cバー(厚紙を重ね、ビニールテープを巻いたもの)

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③短対立スプリント(型紙を重ね、ビニールテープを巻いたもの)

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全体的には握れるが、離すことができないような場合、そのままではつまみ練習を行うことは困難です。

そこで、スパイダースプリントと呼ばれる装具を使用することで、「離す」動作を助けてもらいます。

この装具は、曲げるのは自分の力で行いますが、伸ばす動きは曲げた線が元に戻ろうとする張力により行われます。

そのため、つまみ動作の練習が行いやすくなります。

スパイダースプリントは「田邉製作所」が販売をしています。

スパイダースプリントを使用する場合には、親指の動きは乏しい場合が多いと思われます。

そのため、細かい物をつかむということにはあまり向いていません。

お手玉などの手にフィットしやすい物品を通して、指の曲げ伸ばしの練習が行えます。

線の張力に打ち勝つことができず、指の曲げる運動に力が入りにくい場合、物をつかんでも(つまんでも)それを保持できないことがあります。

その場合、指サックを用いることで滑らなくなるので、物をつまみやすくなります。

物をつまむ感覚は乏しくなるのですが、指の動きの自由度やパワーが低い状況では、指サックの使用もやむなしと考えます。

指サックは、スパイダースプリントの場合だけではなく、それを使用していないときでも使用することが可能です。

スパイダースプリントで、細かい物をつまみたい場合、先ほどの対立装具を用いると行いやすくなります。

物をつまんでも滑るのであれば、指サックも使用することで保持しやすくなります。

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指を個別に伸ばす動きは、指を個別に曲げる運動よりは行いやすいと言われています。

そのため重度〜中等度の運動麻痺の場合、指を個別に伸ばす練習が必要になります。

指を個別に伸ばせることは、物の操作にとって非常に重要です。最終的には指の個別の曲げ伸ばしが自由に行えるようになることが目標となります。

指を個別に伸ばす運動としては、図のような肢位で行います。

手首を曲げてる(重力に任せる)ことで、指は伸びやすくなります。

指を個別に伸ばす運動を行った後に、指全体を握ったり曲げたり運動を行ってはいけません。

せっかく個別に動かした後に全体的に動かしてしまうと、個別に動かした効果が低くなります。

それぞれに指の伸ばし動作を100〜200回は行いたいところです。

このようなトレーニングを通して、指の動きの回復を促していきます。

回復が進んでいくと、つまめる物のが増えていきます。

オセロの駒、おはじき、ボタン、布、つまようじ、など日常物品には様々なものがあります。

色々な物をつまむことにチャレンジする必要があります。

日常生活でいかに麻痺側の指を使用するか

運動麻痺の回復には、日常生活の中でいかに麻痺側の指を使用するかで、その度合いが変わってくると言われています。
そのため、指の動きがよくなってきたら、日常生活のどの動作で指を使えるかを考えていく必要があります。
例えば、親指と人差し指でつまむことができれば、薬の袋をつまみ、麻痺がない側の手でハサミを使って袋を切ることが可能になります。
担当の作業療法士と相談することで、どのような場面で使用できるかを考えていくことができます。

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脳卒中片麻痺者の手指のリハビリ・自主トレ方法(中等度〜軽度運動麻痺の場合)

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リハビリ、自主トレの方法と解説

ここでは、中等度〜軽度の運動麻痺を想定しているので、動きとしては指折り運動ができはじめていたり、親指と他の指で「O」を作ることができ初めている段階から、ある程度細かい物をつまむことができて、お箸の練習も行っているような方を対象としています。

指折運動

指折り運動は、指を個別に動かす上でも重要な課題です。

指は個別に伸ばすよりも、個別に伸ばす方が難しく、指を個別に曲げることができれば、指の自由度はかなり高まります。

指折り運動はそのまま自主トレ課題として用いるのが良いですが、ひとつ注意点があります。

指を個別に動かす練習をした後に、指全体を曲げ伸ばしするような練習をすると、個別に動かした運動の効果が低くなってしまいます。

これは、細かい運動が脳に記憶されようとしているときに、大きな運動というノイズが入って、きれいに記憶されなくなるようなイメージです。

そのため、個別の曲げ伸ばしをした後は、全体の曲げ伸ばしの運動は行わないようにしてください。

川平法的に

川平法(促通反復療法)には、指を個別に動かす手技があります。

それを個人でできないかを考えたときに、以下のように行います。

手のひらを上に向け(前腕回外)、動かす練習をする指以外には重りを乗せます。

曲げるときは、健康な側の指で、麻痺側の指の表面をこすり、その後に曲げるように力をいれます。

これは、皮膚筋反射というもので、皮膚をこすることにより、筋肉が収縮しやすいようにする方法です。

指の付け根から指先に向けて押さえるようにこすりつけることがポイントです。

指を伸ばすときには、付け根から第一関節にかけて押し込み、その後に指を伸ばすように力をいれます。

これは、伸張反射というものを利用しています。目的の筋肉が伸ばされることで、反射的に筋収縮が起こりやすくなります。

伸ばすときには、付け根→第1関節→第2関節の順に伸ばせるように意識します。

床に爪が接触するまで伸ばしていきます。

 

手指のピンチ力をつける

指にある程度の自由度があれば、パワーもつけていく必要があります。

指のパワー(ピンチ力)をつけるのに適しているのは、洗濯バサミです。

洗濯バサミにもバネが硬いものから緩いものまであります。

洗濯バサミのつまみ方には大きく分けて3種類あります。

まずは、横つまみと呼ばれる回復の初期段階でよくみられるつまみ動作です。

次に、図のように指が曲がっている状態でのつまみです。

最後に、指が伸びている状態でのつまみです。

獲得すべきつまみは最後の指が伸びているつまみです。指が伸びているつまみは、指の運動にのみ関わる筋肉(内在筋)が働いているもので、これは握力強化にもつながります。

はじめのうちは指が曲がっている状態でのつまみになると思いますが、意識では指を伸ばしてつまむように練習をします。

洗濯バサミを開いた後、薄い板から分厚い板というように段階付けをすることで、よりつまみ力を強化することが可能になります。

手内筋の鍛え方

手の内在筋は、例えばお皿の面に沿って手を添えるように持つときなどに働きます。

内在筋の働きがあるからこそ、様々な形にフィットする手を作り出すことができるのです。

手の内在筋の強化には、お手玉やスーパーボール、ピンポン球が利用できます。

お手玉では、手のひらにお手玉を乗せ(レベルに応じてお手玉を増やす。最初は2つから)、時計回り/反時計回りに回していきます。

スーパーボールやピンポン球では、手のひらに2つ乗せ、時計回り/反時計回りに回していきます。

もちろん手の内在筋だけが働くだけでなく、この課題には指を伸ばしたり曲げたり(外在筋)、外や内側に動かすなどの運動も必要です。

この課題は、外在筋と内在筋がバランス良く働かないと行えません。

逆に言えば、この課題を行えるようになってくると、どちらの筋肉も働きやすくなっているということです。

巧緻動作

指が細かい動きをするのを指の巧緻性と呼びますが、巧緻性を強化するには、物品をつかうのが一番です。

例えば、日常生活を考えたときに、ボタンは大きいものから小さいものまであります。

ボタンをつまむみ、裏返すことで、巧緻性を強化していきます。これはコインやおはじきでも構いません。

つまみにくい場合には、段階付けとしてテーブルの上にタオルを敷き、その上に物品を乗せるようにします。

これにより、地面とコインの裏・端に隙間ができるので、つまみやすくなります。

服のボタンを麻痺している側でとめようとする場合には、服を着た状態で行うよりも、まずは服をテーブルや太ももの上に置いた状態から行う方が容易になります。

テーブルに置いた状態でうまくできるようになれば、服を着て行うように段階付けをします。

特に、首元や健康な側のボタン留めはかなり難易度が高くなります。

つまむものは硬いものだけではありません。

例えば、布、本のページ、トランプなどは比較的柔らかい素材です。

これらをつまむ場合には、こすり上げるようにつまむという特徴があります。

こする動きは、物の特徴を探る場合にも重要な動きです。

その素材がザラザラしているか、すべすべしているかを確認する場合には、こするように指を動かすことが必要です。

布、本のページ、トランプなどもこする・こすり上げるような動きを伴いながらつまんでいきます。

つまむのが難しい場合、先ほどと同じようにタオルを下に敷くことで段階付けができます。

こする動作を鍛えるには、ボルト・ナットを回すのが最適な動作です。

指の動きで回せているのであれば良いですが、手首の動きで回している場合があるので注意が必要です。

ペットボトルの蓋を回すのも、指を中心に行えば、比較的動きが大きいながらも同じ要素の運動になります。

本当に細かい物品には、つまようじ、クリップ、針などがあります。

今までの物品では、指の腹でつまむ(指腹つまみ)運動でしたが、細かい物品では爪の先でつまむ(指尖つまみ)必要があります。

これらのつまみ動作ができれば、かなりのレベルに到達していると言えます。

お箸の操作ができるようになるには、指の機能としてはペグ(図のような細い円柱状の物)を空中で回転することが必要だと言われています。

この回転動作は、親指や人差し指を巧みに操作し、ペグが指から落ちないように加える圧も調節しながら行う必要があります。

空中での操作が難しい場合、一旦テーブルにつけることで回転しやすくなります。
レベルが上がれば細いものでも回転できるようにしていきます。

親指の動きを促す練習でも、物品の利用を利用していきます。
束ねたトランプを親指で1枚ずつ出していくことはかなり複雑な親指の動きです。

パートナーと練習が行えるのであれば、指相撲をすることも良いトレーニングです。

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日常生活で使用することが回復への近道

運動麻痺の回復には、日常生活でいかに使用できるかがポイントです。

回復した指の運動が、日常生活のどの場面で使用できるか考え、チャレンジしていくことが大切です。

担当の作業療法士とともに考えることで、日常生活で使用する幅が増えると思います。

お箸の操作も、様々な自助具があるので、それらを利用しながらでも、日常生活で使用できるようにしていきましょう。

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脳卒中片麻痺者の握力の鍛え方、リハビリ、自主トレ方法

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どこに注意を向けて握力強化の練習を行うか

握力強化の練習を行うときに、どこに注意を向けて行えばよいでしょうか。

自分で一度握りこぶしを作ってみます。

次に「爪が皮膚に食い込むくらい握って!」と声かけを行います。

するとどうでしょうか、先ほどよりも力強く握れたのではないでしょうか。

このように、手や指の部分のどこを意識するかで、筋肉の収縮力には変化が現れます。

どこに意識するかを、自分で考え、またセラピストから助言をもらいながら行うことで、効率良く握力強化が行えます。

パワーグリップ

一番オーソドックスな方法です。

今では100均にも売ってる手軽な握力強化用具です。

5kg、10kg、15kgなら100円で揃えられるアイテムです。

意識するポイントは、握る部分の端と端がしっかりとくっつくのを目で確認しながら行うことです。

10回1セットで行いますが、10回とも簡単にくっつくのであれば、次の段階の負荷に移ってもよい目安になります。

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お手玉つかみ

お手玉つかみはリハビリ場面でよく使用されます。

椅子にお手玉をたくさん広げ、一度でできるかぎりお手玉を手でつかむという単純な課題です。

これは、つかむことに焦点を当てるよりは、指を広げることに意識を持っていくことが大切です。

指を開く際には、図で示される背側骨間筋という筋肉が働きます。

握力強化には、この背側骨間筋が重要な働きをします。

お手玉がない場合は、指をしっかりと開ける運動を行うようにします。

その際のポイントは、親指と小指を思いっきり離すことです。

チューブを絞る

マヨネーズやケチャップの容器はどんな握り方であってもチューブから絞り出すことが可能であり、握力強化の方法としては導入しやすい課題です。

マヨネーズやケチャップの中身は糊のようなもので代用することで、何度も動作を行うことが可能になります。

筋出力の向上と、出力の維持には、強く握り、何度も繰り返してチューブの中身を最後まで絞り出すことにあります。

中身の出るスピードや1回の出力に対する絞り出した量などは目に見える成果であり、さらなる出力向上の助けになります。

 

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タオル絞り

タオル絞りも握力強化には導入しやすい課題です。

秤の上に湯(または水)を入れた洗面器を置き、タオルを浸して両手でタオルを絞り、洗面器から湯を少なくしていきます。

タオル絞りの動作を分析すると、両手動作で交差して前腕回内位で絞ります。

タオルを確実に絞るには小指で確実に握る必要があり、小指、薬指、中指にて強く握りこむ必要があります。

少指での握りこみが弱い場合、タオルが手からずれて逃げてしまいます。

その場合、タオルの端に小さいタオルで作った団子を紐で括りつけ、その部分を麻痺側の小指の外に出して握り締めるようにします。

小指、薬指は握力のパワーの源です。

この2本を意識して行うことで、握力は効果的に鍛えることが可能です。

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洗体(タオルこすり)

丸めたタオルを体にこすりつけることは、手指に様々な方向からの力が加わるため握力強化に向いています。

手指に持続して出力していないと、タオルが手から逃げてしまいます。

タオルは手指の間すべてから出ているようにしてつかむことで手指と手掌による握りを確実にしていきます。

手指の間に感覚入力できるようにするためです。

図のようにタオルを握りながら、体のいろいろな部分をこするように拭いていくとよいでしょう。

体でなくても、大きな立体物をタオルを握りながらふくことで綺麗にするような形で練習を行います。

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傘の柄(棒)を持つ

傘の柄の保持では、風の力の逆方向に手の向きを調整しながら、握る力を出力し続ける必要があります。

棒を使用し、棒に紐などで重りをまきつけ(0.1kgから)、重りを上にして棒の下側を把持し、歩きます。

歩くことで棒が揺れ、変化に対応しながら出力を維持する必要があります。

棒でなくても、閉じた傘に重りを巻くことでも行えます。

手による握力強化方法

①セラピスト(もしくは自分)の手指(母指以外)を強く握り、セラピストは患者の親指側から手を抜き取るようにします。

②抜き取るときに、セラピストは手指を外転し、患者の握っている指を開かせるように力を入れます。

③さらに、前腕回内外を繰り返しながら抜いていきます。

①〜③を行うと、患者の手の中でセラピストの手が逃げ出す感覚を与えることができ、患者は反射的に強く握ろうとし、筋出力が向上しやすくなります。

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片麻痺者向けの握力改善グッズ

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ミラーセラピーの方法(脳卒中片麻痺の指、手首、前腕のリハビリ、自主トレ)

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ミラーセラピーとは

ミラーセラピーとは、簡単に言うと、鏡を見ながら運動をおこなうことです。

ただ、鏡は自分の真ん中に置き、麻痺側の指の動きは目で見ることはありません。

鏡には、自分の健康な側の指が映るのですが、それを見ることで、あたかも麻痺側の指が動いているように錯覚させています。

これにより、麻痺していない側の指が正常に動いているように視覚的な錯覚を作り出すことができます。

ミラーセラピーでは、指の運動をイメージすることにより神経系の活動が高まることや、視覚からのフィードバックにより、ミラーニューロンと呼ばれる、運動の観察をすることで活動が高まる神経系のシステムが関与しているとされています。

指の運動をイメージすると、運動に関する脳の部位に、実際に運動した際と似た脳血流が起こるとされています。

ミラーニューロンは運動のイメージや運動の観察により、実際に運動した際と似た脳の活動が起こるとされています。

脳卒中片麻痺者で重度の運動麻痺があると、指が動かない状況では、目から「自分の意思で自由に動いている」というフィードバックを受けることがなくなってしまいます。

この状態が続くと、「学習された麻痺」というような状態に陥ります。

ミラーセラピーでは、鏡像から、「麻痺側の指が動いている」という情報が得られるため、運動意欲も得られ、トレーニングを続けることにもつながります。

このことは、「学習された麻痺」の状態を防ぐことにつながります。

ミラーセラピーは元々、切断者の幻肢痛治療として考案されたもので、その後運動麻痺の治療への応用が報告されました。

メリットはその簡便さにあり、値段の高い機器を必要とせず、どの施設(環境)でも導入しやすく、自主トレーニングとしても行えることにあります。

ミラーセラピーは、重度の運動麻痺にも適応することができ、場所あまりとることがないので、例えば病院の自室におおいてもトレーニングとして導入することができます。

ミラーセラピーは、発症後間も無く(急性期〜回復期)だけでなく、慢性期(一般的に発症後6ヶ月以上)においても効果があるとの報告があります。

ミラーボックスの作り方

ミラーセラピーには、ミラーボックスと呼ばれる道具が必要です。

アマゾンでも売られていますが、確か3万円程度だったと記憶しています。

医療機器の値段の高さには本当に驚かされます。

勤めている病院でもミラーボッックスはありますが、木をつかってDIYしたものであり、すぐに完成するものではありません。

そこで、ダンボールを使って、ミラーボックスを作る方法を示していきます。

用意するものは、ダンボール、テープ、はさみ、鏡(自分は500円程度で売っている物を使用しました)です。

ダンボールの大きさは、両腕が入り、箱の真ん中に鏡を置くスペースがある程度の大きさが必要です。

自分はアマゾンのダンボールがあったので、利用してみました。

写真のサイズのダンボールは少し小さかったので、両腕を入れて、指をしっかりと開いたときに十分なスペースが確保されるくらいの大きさが適切だと思います。

作成したのは、右片麻痺の方を想定しています。
①ダンボールを分解していたら、底はテープをしっかりと貼り付けます。
②図のように、ダンボールの側面に2つ穴を開けます。自分ははさみを突き刺し、そこから切っていきました。
この穴は、両腕を通すための穴です。

③いらない部分をはさみで切り取ります。この場合、上部右側は、鏡を支えるのに必要なため残しています。

④鏡が支えられるのが確認できたら、両腕を入れて動かしてみます。

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リハビリ、自主トレの方法と解説

ミラーセラピーはどの程度行えばよいのか?ということに関しては、文献上では訓練時間・頻度は、1日30分としているところが多く、2〜6週間の介入となっていますが、4週間の介入で研究を行っていることが多いです。

とりあえず、1日30分は最低限行うほうがよいといったところでしょうか。

ミラーセラピーの具体的な方法です。

ミラーボックスに両腕を通します。

麻痺側の腕は見ないようにし、見るのは鏡に映った麻痺していない側の腕の動きです。

麻痺していない側を動かすと、鏡にもその運動が見えるので、麻痺側の腕も同時に、同じ運動を行います。

*(注)ここからは、かなり私的な見解が含まれています。
後半で紹介している動きができそうな位回復していると、ミラーセラピーは適応でないのかもしれません。

運動の種類ですが、かなりの組み合わせになります。

重度の運動麻痺の場合、最初に取り組みやすいのが「グーパー運動」だと思います。

指の回復具合に合わせて、様々な運動を行えばよいと、私は思っています。

麻痺している側の動きが、「グーパー」をある程度できるのであれば、個別に指を動かす運動がよいと思われます。

指の個別の運動では、個別に指を曲げるよりは、個別に指を伸ばすほうが行いやすいとされています。

このことから、グーパー運動の次に行う運動としては、個別に指を伸ばす運動がよいと思われます。

指を動かす場合に、前腕の向きも考慮する必要があります。

手のひらを下にして(前腕回内位)指を伸ばすよりは、台の上に腕を乗せたり、前腕中間位で行うほうが運動は誘発されやすいように思われるため、ミラーセラピーでもそれを利用します。

指を個別に曲げる場合は、手のひらを上にして(前腕回外位)行ったり、前腕中間位で行うほうが運動が誘発されやすいと思われます。

というよりも、手のひらを下にして(前腕回内位)行うと、指を曲げるというよりは、指を床に対して押し付けるというような運動感覚になると思われます。

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親指の動きも、物を操作する上では重要です。

親指の動きでは、手のにらを下にした時に、人差し指から外側に離れる「橈側外転」と、

手のひらを上にしたときに、手のひらから上側に離れる「掌側外転」という動きがあります。

この動きも行っていきましょう。

ある程度指の運動が回復(個別の運動が行える)してきたら、より複雑な運動を行っていきます。

例えば、「指折数え運動」「親指と他の指のつまみ運動」「手のひらを下にして指を伸ばす運動」「ピストル」「キツネ」などです。

また、「指でこねる運動」も、日常生活上では必要な要素です。

このような運動が、他の病院や施設においてミラーセラピーで行われているかはわかりません。

しかし、行ってみないとわからないのが脳卒中のリハビリテーションでもあると私は思います。

対象者の方が納得して行うことが大切だと思うのです。

鏡に映った像を見ることで、対応する脳の部位の活動が向上することを期待しましょう!

ミラーセラピーは指の運動だけではありません。

前腕の回内(親指が内側を向き、手のひらが下になる)、

回外(親指が外側を向き、手のひらが上を向く)も行えます。

早く腕を動かすというよりも、ゆっくりでもいいので、しっかりと筋収縮を意識できるように動かすことが大切だと思います。

そして、前腕の回内、回外運動では、親指がしっかりと床面につくことを意識することが重要です。

手首の運動では、「曲げる(掌屈)」、

「反る(背屈)」、

「横に動かす(橈屈、尺屈)」、

「回す(それぞれの複合的な動き)」があります。

曲げる運動では、重力の影響が一番少ないのが前腕を中間位にした状態です。

重力の影響を受けるのが前腕を回外位とした状態です。

中間位から行い、運動の回復に従って、回外位とするのが良いのではないでしょうか。

反る運動では、前腕中間位が重力の影響が少なく、前腕回内位が重力の影響を大きくける状態です。

そのため、中間位で運動を行い、運動の回復に従って、回内位とするのが良いのではないでしょうか。

横に動かす(橈屈、尺屈)運動では、前腕を回内位で行う方が重力の影響を受けにくい状態です。

橈屈(手首を親指側へ動かす)運動では、回復に従い前腕を中間位にして行うのが良いと思われます。

手首の運動において、日常生活で大切な運動は背屈と橈屈の運動の組み合わせです。

この運動は、物を操作するときに一番多く見られる運動ではないでしょうか。

そのため、背屈+橈屈の動きもミラーセラピーで行うことは意義があると思っています。

動きが回復してきたら、日常生活で参加させることが大切

腕や指の動きが回復してきたら、日常生活でいかに使用していくかが大切です。

これにより回復の程度が異なってくると言われています。

指が曲げれるようになれば、薬の包みを開けるために麻痺側の指でつまむなどに利用ができます。

担当の療法士とともに使用場面を考えていくことで、幅が広がると思います。

ミラーセラピーだけでなく、他の自主トレーニングも同時並行的に行い、回復に合わせて日常生活場面で使用していきましょう。

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脳卒中片麻痺者の完全回復のポイント!左右の分離運動を多く取り入れよう!

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脳卒中片麻痺者の運動の特徴

脳卒中片麻痺者では、筋緊張の問題、共同運動の問題、連合反応の問題などが絡みあって、正常動作から逸脱した運動が生じます。

軽度の片麻痺者であれば、共同運動から分離して、各関節を独立して動かすことはできるかもしれませんが、筋緊張の問題や連合反応の問題は少し残り、特に難しく複雑な課題場面においては努力的になってしまうこともあるかもしれません。

脳卒中片麻痺者のリハビリテーションにおいては、運動麻痺がある側の腕を動かす機会は多いですが、両方の腕を同時に使用するような場面を練習する機会は少ないことがあるかもしれません。

中等度から軽度の片麻痺者であれば積極的に両手動作を練習することで、完全回復に近づくことができると考えられます。

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左右の分離運動はどのような場面で必要なのか

左右の分離運動は、実は日常生活のさまざまな場面で用いられています。

ご飯を食べるときのお茶碗とお箸の関係性、コップで蛇口から水を入れるときの関係性など、が挙げられます。

このときには、両手は別々の動作を行っており、注意力も左右の手に分散しておく必要があり、かなり高度な能力を発揮している状態といえるのです。

日常生活の中で別々に両手を使えるのは最終目標になりますが、それまでの過程で自主練習としてできる両手動作として、道具を用いないものを紹介していきたいと思います。

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左右の分離運動を促す自主トレーニング方法

①茶壺遊び

これは、どの世代の方までが知っているのかはわかりませんが、手遊びとしては有名です。

「茶茶壺茶壺 茶壺にゃ蓋がない 底とって蓋にしよ」のリズムに合わせて両手を別々の動きに変えていきます。
一方の手は総握り(全指屈曲)、もう一方の手は全指伸展でパーを作ります。
グーの上にパーを上下に被せていくのですが、下図のように順番に行っていきます。

この運動では、指の動きに加えて、前腕の回内外も加わる運動となります。

難易度を調整するのは、歌を早くすれば運動切り替えのタイミングがかなり早まるので難しさが格段に上がります。

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②ピストルと的

この運動はかなり複雑なものとなるため、対象になるのは軽度の片麻痺者になると思います。

これはテレビ番組の「ガキ使」で行われていたものなのですが、これを見た瞬間なんと複雑な左右の分離運動なんだろうと感動してしまいました。

方法としては、一方の手でピストルを、もう一方の手でOKサイン(的)を作ります。

順番に左右の手を入れ替えていきます。

この運動ですが、ピストルを作ることだけでもかなり複雑な運動であり、片方の手指のみの分離運動の練習としても最適かと思われます。

この運動においても、難易度調整は切り替えのタイミングを早めることにあります。

③指回し

この運動は、認知症予防でも取り上げられていたように思います。

まず、両手の指先の腹どうしを接触させます。

親指を離し、くるくると回していきます。

そこから人差し指から小指までの運動を行っていきます。

下図では中指をぐるぐると動かしています。

反対回しを行うことで、また違った運動制御を学習することが可能です。

両手動作は手や指の運動だけではない

両手動作を考える場合、手や指の動きだけではありません。

例えば、右腕を上に挙げてください。そして、左腕は真横に挙げてください。

この動きだけでも、両方の腕は異なる動きをしていることがわかります。

上肢は肩、肘、手首、指から構成されており、それぞれが様々な組み合わせで運動することにより複雑な課題を遂行することができます。

そのため、自主トレーニングにおいては手や指だけでなく、上肢全体を使って左右の分離運動を行えるようにすることが完全回復の近道になると考えています。

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脳卒中片麻痺者の上肢・手指のリハビリ、自主トレ方法!視覚に頼りすぎないトレーニング!

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脳卒中片麻痺の回復と感覚の関係性!脳の回復には感覚が重要!

脳卒中になり運動麻痺が生じると、自分の手足を自由に動かすことができなくなります。

これは、随意運動の障害と呼ばれるものです。

随意運動の発現には、主に大脳の一次運動野と皮質脊髄路が関与します。

大脳の一次運動野は、各関節を独立して動かす「分離運動」に関与します。

また、皮質脊髄路は、いわゆる筋力低下に関与します。

脳卒中などの神経系の障害では筋出力の低下とも呼ばれています。

 

さて、脳が損傷された場合に、その回復には感覚入力が必要とされてることが、最近の脳科学の進歩によりわかってきています。

脳の回復を促すために重要なキーワードは「情報化」です。

私たちは、あらゆる刺激を受け取り、それを脳の様々な領域で処理、調整されることにより積極的に外部環境と関わります。
この情報処理過程が神経の可塑性を促す要因になります。

無数にある感覚情報の中から、自らどの情報に注意を向け、どの情報が意味あるものとして使用できる情報なのかということを捉えたときに、初めて脳の可塑性が促されるとされています。

いかに意識的に、自ら意味ある情報に注意を向けていくかを選択していく過程が重要になると考えられています。

脳卒中片麻痺と感覚の役割

感覚は、普段どのような役割を担っていて、どのように日常生活に活かされているのでしょうか。

一方の手で何か集中して作業しながら、他方の手で必要物品を選び出すときがあったとします。

フライパンで調理をしながら、他の手で引き出しから違う調理器具を取り出すような場面です。

この時、引き出しの中には様々な調理器具が置かれていますが、必要な物品を探し出し、その形態や材質を識別することが必要になります。

さらに、その物品がどこに、どのような向きで置かれていることがわかることで物品をつまみ上げることができます。

これは、安全に物を取り出すときに必要な探索行動です。

物品を探せても、下に敷かれている布との区別ができなければ物品と一緒につまみあげてしまうこともあります。

物体をしっかりと持つためには、触覚による対象物の位置確認、物体の形状、材質などを感じ取り、それに応じた把握のフォームがしっかりとしていないといけません。

物体の特徴がわからないと、物体の形状や特徴に応じたつかみやすい手の形(フォーム)を作ることができず、歪んだり不安定なものとなります。

感覚機能の正常な働きがあることで、物を把持しながら手の向きを変えたり、他の関節を動かしたりしても物を落とすことはありません。

感覚に障害があると、関節の動きによる筋緊張の変化で物体に加えていた力が変わり、物を落としたり過度に握りこんでしまうことがあります。

他にも、襟元のボタンの開閉、財布やポケットから小銭を取り出すなど、視覚が届きにくいところの物品操作においても、感覚機能が活かされています。

このように、感覚機能は日常生活上様々なことに役立っていることがわかります。

 

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視覚優位と他の感覚優位

我々は普段から視覚優位の生活を送っています。

視覚機能によって、物を見ながら正確な物品の操作が可能になっているともいえます。

しかしながら、健康な状態であれば、視覚を遮断してもある程度細やかな物品操作は可能かと思われます。

脳卒中片麻痺者では、視覚を遮断した際の物品操作がかなりぎこちなくスムーズさに欠け、不器用に見えることがよく観察されます。

 

脳卒中片麻痺の方で感覚障害がある場合、感覚を代償するために常に目で見て感覚機能の不十分さを補っていることでしょう。

しかし、考えてみてください。

先ほど、脳の回復には感覚が入力されることが大切だとお話ししました。

このことから、感覚機能が低下している方においては、視覚に頼らないトレーニングを行う必要性もあることが言えると思います。

実際の所、脳卒中片麻痺者の方に目を閉じて細やかな物品操作をしてもらうと、急に努力性が高まったり、困難さを示すことがよくあります。

視覚以外の感覚機能を高めるためには、視覚を用いないでトレーニングする他はありません。

そのため、目を閉じながら、物品を使用するようなトレーニングを行っていくことが重要になります。