リハビリテーションを進めるにあたって、内包は重要な部位です。内包は皮質脊髄路の通り道であり、内包を損傷することにより様々な症状を呈するためです。内包と言っても、内包の前脚・膝・後脚では役割が異なるため、脳画像を見て、どの部位が損傷されているかを確認することが重要になります。
目次
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医療情報科学研究所 メディックメディア 2011-03-03
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脳画像を見る際に大切なことは、脳の構造を把握していることです。
それがなぜかというと、脳画像は脳のある部分をスライスした画像であり、そのスライスした部分の部位しか映ることはないからです。
そのため、脳の構造を理解しておくことで、ある画像を見た際に、「この画像にはこの部位が写っているな」ということが理解できることになります。
また、それを把握しているということは、脳画像を見る際に素早く読影することにつながるはずです!
脳の構造を覚えるには、書いて覚えるのが一番です。
なんども書いている間に、いつの間にか人間は記憶されて、それを繰り返していれば長期記憶に貯蔵されやすくなります。
下図を見てもらうと、脳溝の概要がわかります。
そして、この溝を境として、様々な脳回が存在しています。
各脳回が下図になります。
そして、脳画像はある面で切り取っているのですが、その時にどの部分を切り取っているかを把握できることで、画像でおおよそどの部分がどこに写っているのかを理解することが可能です。
このように、脳回の位置を理解していれば、スライスした際にどこの部位が写っているかを理解しやすくなります。
頭頂レベルの画像というのは、以下のような画像です。
このレベルのスライドでまず注目したいのが、中心溝がどこにあるかになります。
中心溝を見つけるポイントとしては、
逆「Ω」(手指運動野)を見つけることで同定できます。
中心溝のすぐ上が一次運動野になります。
赤の線で囲った部分になります。
その上に、補足運動野があります。
補足運動野は、「補足運動野」と「前補足運動野」に分かれます。
図を見ると、
青色の線で囲った部分が補足運動野、
水色の線で囲った部分が前補足運動野になります。
運動前野は、図を見ると、補足運動野と前補足運動野の隣で、外側に位置しています。
黄色の線で囲った部分になります。
その上に位置しているのが前頭前野になります。
緑の線で囲った部分になります。
次に、頭頂レベルのスライドにおいて、頭頂葉がどのように分けられるかを確認していきます。
まず、中心後回です。
中心後回は、中心溝の下の部分になります。
図の紫の線で囲まれた部分が中心後回であり、一次感覚野がある部位となります。
次に、上頭頂小葉と下頭頂小葉の位置を確認していきます。
そのために、先ほどの図をもう一度確認します。
上の図をみると、上頭頂小葉と下頭頂小葉は、中心後溝と頭頂間溝により分けられていることがわかります。
下図の赤い線の部分になります。
これは、脳画像上では以下の位置になります。
これを境として、上頭頂小葉と下頭頂小葉は分けられているのですから、それぞれは以下のようになります。
ピンクの線で囲まれている部分が下頭頂小葉、
白の線で囲まれている部分が上頭頂小葉になります。
画像の全体像において、脳の各部位の名称と位置がわかれば、損傷部位からどのような機能が障害されるかがわかります。
以下の図をみると、全体像が把握できます。
前頭葉と一口に言っても、そこには様々な脳回があります。
それには、上前頭回、中前頭回、下前頭回、中心前回があります。
図で確認します。
頭頂レベルの画像において、それらはどこになるのでしょうか。
頭頂レベルのスライドは、下図のような位置でスライスしているので、下前頭回は映らないことがわかります。
そのため、頭頂レベルで映るのは上前頭回、中前頭回になります。
なお、下前頭回は、側脳室体部レベルや松果体レベルの画像で確認できます。
中心後回は、感覚障害との関係がありますが、この頭頂レベルの脳画像においてはどこが損傷を受けるとどの部分の感覚障害が生じるかを考えていきます。
下図をみてください。
赤で囲った部分が一次感覚野です。
赤枠の中で色分けがされていますが、
白:顔面の感覚の支配領域
緑:上肢(遠位)の感覚の支配領域
青:体幹(上下肢近位)の感覚の支配領域
黄色:下肢(遠位)の感覚の支配領域
となっています。
すなわち、一次感覚野のどの部分が損傷されたのかをみることで、感覚障害の部位の予測が可能となるわけです。
中心前回は、中心溝の前方にある脳回になります。
全体像で見ると以下の部分になります。
中心溝によって、前頭葉(中心前回)と頭頂葉(中心後回)が分けられています。
中心前回の後方部分は一次運動野があります。
一次運動野はスイッチの役割を担っており、どの筋を動かすということにおける随意運動を担っています。
一次運動野が障害を受けると、運動麻痺の中でも、分離運動の障害がみられます。
では、一次運動野における上肢(遠位)、体幹(上下肢近位)、下肢(遠位)の支配領域をみていきます。
赤で囲った部分が中心前回です。
その中で、色分けされている部分が一次運動野になります。
白:顔面の運動の支配領域
緑:上肢(遠位)の運動の支配領域
青:体幹(上下肢近位)の運動の支配領域
黄色:下肢(遠位)の運動の支配領域
となっています。
すわわち、一次運動野のどの部分が損傷されたのかをみることで、運動障害の部位の予測が可能となるわけです。
最後に、脳動脈支配を確認していきます。
全体像をみると、以下のようになっています。
なぜこのような血管支配になっているのかは、脳の外側面から考えるとわかりやすくなります。
これを見ると、赤色の前大脳動脈(赤斜線)はおおよそ頭頂葉の後部から前頭葉(上前頭回、中前頭回)にかけての血管支配であることがわかります。
また、中大脳動脈(緑斜線)はおおよそ後頭葉から頭頂葉、前頭葉(下前頭回から中前頭回)にかけての血管支配であることがわかります(本来は側頭葉も支配しているが、頭頂葉レベルでは側頭葉は見えない)。
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側脳室体部が見えるレベルのスライスといっても、「島」が映っているレベルと「島」が写っていないレベルでは画像の雰囲気が少し異なります。
島が見えるレベルのスライス:
このスライスのレベルでは、「島」の上後部が見えています。
島が見えないレベルのスライス:
このスライスレベルでは、側脳室の形も小さいことがわかります。
このレベルは、側脳室体部が見えるレベルの中でも、より上位のスライスレベルとなっています。
今回は、この「島」が見えないレベルのスライスを中心に考えていきたいと思います。
側脳室体部(島が見れないレベル)の画像の全体像は、以下の様な脳の各部位の配置になっています。
このレベルのスライスはおおよそ以下のような線でのスライスになっています。
このスライスレベルで、赤線の右端から左端をたどっていくと、
後頭葉、頭頂葉(角回、縁上回、中心後回)、中心前回、下前頭回、中前頭回、上前頭回
の順に並んでいることがわかります。
ここで、もう一度全体像の画像を見てみます。
どうでしょうか、
後頭葉、頭頂葉、中心前回、中心前回、下前頭回、中前頭回、上前頭回と並んでいることがわかります。
このように、スライスがどのレベルを通っているかで、脳画像上のどこにおおよそどの部分が来るのかを把握することが可能なことがわかります。
脳溝や脳回の位置を理解しておく必要があるのはこのためなのです。
頭頂葉と後頭葉は、頭頂後頭溝で分けられています。
では、頭頂後頭溝を確認していきます。
頭頂後頭溝は、下図の赤線の部分です。
これは、側脳室体部(島が見れないレベル)においては以下のような配置になっています。
これが、後頭葉と頭頂葉をわける脳溝です。
では、実際に後頭葉と頭頂葉を分けてみると、以下のようになります。
角回は上側頭溝を囲みます。
また縁上回は外側溝の後枝を囲みます。
図で丸で囲んだ部分です。
これを頭頂葉の中で見てみると、下図のようになります。
並びとしては、角回、縁上回、中心後回になります。
中心後回は、感覚障害との関係がありますが、この側脳室体部(島が見えないレベル)においてはどこが損傷を受けるとどの部分の感覚障害が生じるかを考えていきます。
下図をみてください。
赤で囲った部分が一次感覚野です。
赤枠の中で色分けがされていますが、
白:顔面の感覚の支配領域
緑:上肢(遠位)の感覚の支配領域
青:体幹(上下肢近位)の感覚の支配領域
黄色:下肢(遠位)の感覚の支配領域
となっています。
すなわち、一次感覚野のどの部分が損傷されたのかをみることで、感覚障害の部位の予測が可能となるわけです。
中心前回は、中心溝の前方にある脳回になります。
全体像で見ると以下の部分になります。
中心溝によって、前頭葉(中心前回)と頭頂葉(中心後回)が分けられています。
中心前回の後方部分は一次運動野があります。
一次運動野はスイッチの役割を担っており、どの筋を動かすということにおける随意運動を担っています。
一次運動野が障害を受けると、運動麻痺の中でも、分離運動の障害がみられます。
では、一次運動野における顔面、上肢(遠位)、体幹(上下肢近位)、下肢(遠位)の支配領域をみていきます。
ピンクで囲った部分が中心前回です。
その中で、色分けされている部分が一次運動野になります。
白:顔面の運動の支配領域
緑:上肢(遠位)の運動の支配領域
青:体幹(上下肢近位)の運動の支配領域
黄色:下肢(遠位)の運動の支配領域
となっています。
すわわち、一次運動野のどの部分が損傷されたのかをみることで、運動障害の部位の予測が可能となるわけです。
復習になりますが、下図をみてもらうと、スライスした線の部分の並びは下前頭回、中前頭回、上前頭回の順になっています。
ここで、全体像をみてみると、下図のようになります。
下前頭回、中前頭回、上前頭回の順になっています。
では、次に下前頭回、中前頭回、上前頭回の中では、どのような区分けになっているのかを考えます。
下図をみてください。
中心前回の前方外側には運動前野があります。
また、前方内側には補足運動野があります。
下前頭回には前頭前野、ブローカ野があります。
中前頭回には主に前頭前野の背外側部があります。
上前頭回には前から前頭前野、前頭眼野、運動前野があります。
このスライスレベルでいうと、
下前頭回:運動前野
中前頭回:前頭前野
上前頭回:前頭前野
が写っていることになります。
最後に、脳動脈支配を確認していきます。
全体像をみると、以下のようになっています。
なぜこのような血管支配になっているのかは、脳の外側面から考えるとわかりやすくなります。
これを見ると、赤色の前大脳動脈(赤斜線)はおおよそ頭頂葉の後部から前頭葉(上前頭回、中前頭回)にかけての血管支配であることがわかります。
また、中大脳動脈(緑斜線)はおおよそ後頭葉から頭頂葉、前頭葉(下前頭回から中前頭回)にかけての血管支配であることがわかります(本来は側頭葉も支配しているが、側脳室体部のスライスレベル(島が見えないレベル)では側頭葉は見えない)。
さらに、後大脳動脈(青斜線)はおおよそ後頭葉にかけての血管支配であることがわかります(本来は側頭葉も支配しているが、側脳室体部のスライスレベル(島が見えないレベル)では側頭葉は見えない)。
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側脳室体部が見える画像というのは以下のような画像です。
真ん中で黒く写っているのが側脳室になります。
ここで、側脳室体部が見えるレベルで注意して見ておきたい部位がいくつかあります。
図で線を引いている部分です。
これから各部分について説明していきます。
解剖学の勉強をしていると、両方聞いたことがあると思います。
皮質脊髄路は有名ですが、皮質網様体路に関しては「?」と思った方もいるのではないでしょうか。
図を見てください。
真ん中の赤線を挟むように、上下に印があります。
これらのうち、上側の印が皮質網様体路
下側の印が皮質脊髄路
になります。
皮質脊髄路はいわゆる錐体路と呼ばれているものです。
一次運動野から出た皮質脊髄路は放線冠、内包、大脳脚を通って延髄の錐体で交叉して反対側の脊髄を下降して脊髄前角の運動細胞へと伝わります。
皮質脊髄路は筋収縮の強さ、すなわち、
①何個の運動細胞が興奮するか(量)
②1つの運動細胞がどれだけ強く興奮するか(強さ)
という事に関与しています。
そのため、皮質脊髄路が障害されると、脊髄運動細胞の興奮が低下し、筋収縮が弱くなります。この状態を神経原性筋力低下といいます。
皮質網様体路は、いわゆる錐体外路と呼ばれているものです。
皮質網様体脊髄路は、前頭野、運動前野、補足運動野から始まります。
運動前野や補足運動野は運動のプログラムを順序することに関係しており、皮質網様体路においては姿勢制御(近位筋)に関わっています。
また、皮質網様体路は歩行の制御にも関わっているとされています。
中大脳動脈領域の損傷では、皮質網様体路が損傷する可能性が多く、それにより姿勢保持が困難になることが予測されます。
皮質網様体路と皮質脊髄路(主に遠位筋)の両方が損傷されると、歩行能力の障害が重度になることが予測されます。
放線冠はおおよそ図の位置になります。
放線冠は内包から放散する神経繊維で、内包に収束する神経繊維の総称になります。
内包より上では、投射繊維が皮質に向かって広がりながら放線冠をつくっています。
図を見てもらいたいのですが、側脳室が見えるレベルにおける、中大脳動脈の血管支配領域になります。
そのなかで、赤く塗りつぶしたところがレンズ核線状体動脈になります。
このレンズ核線状体動脈よりも近位で血管が閉塞してしまうと、内包から放線冠付近の皮質脊髄路が損傷を受け、運動麻痺は重度になります。
なお、中大脳動脈は運動野における上肢の領域を栄養し、その閉塞により上肢の運動麻痺を生じるのですが、レンズ核線状体動脈より遠位の閉塞では、同じく運動野における上肢の領域を栄養している前大脳動脈の血流により補われるため、運動麻痺は軽度になることが多くなります。
上縦束は、図のような位置になります。
側脳室体部のレベルでは、「島」を同定することが可能なのですが(下図の丸で囲んだ部分)、
上縦束はちょうどその上に位置しているイメージです。
ここで、優位半球と劣位半球の話をしていきます。
一般的に言われていることは、右ききの人の9割以上で、また左利きの人でも約6割において、
”左側が優位半球”
”右側が劣位半球”
だとされています。
上縦束では、優位半球の損傷では運動性失行(観念運動失行)、劣位半球の損傷では半側空間無視を引き起こします。
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内包は、大脳基底核(尾状核、レンズ核(被殻、淡蒼球))と視床に挟まれた、「く」の字になっている部分をさします。
内包には前脚・膝・後脚があります。
内包は、様々な伝導路の通り道となります。
内包前脚
前視床放線(視床→前頭前野へ):運動発言や随意運動の障害、学習の障害に関連
前頭橋路(前頭前野→橋):随意筋の協調運動障害に関連
内包膝
乳頭体視床路(乳頭体核→視床前核へ):記憶障害に関連
前視床放線(視床→前頭前野へ):運動発言や随意運動の障害、学習の障害に関連
下視床放線:?
内包後脚
皮質脊髄路:錐体路
皮質延髄路:錐体路
皮質網様体路:錐体外路
上視床放線:体性感覚路
後視床放線:視覚障害に関与
このように、「内包」といっても、損傷部により様々な症状を呈することが予測されます。
運動麻痺の予測を行いたいのであれば、内包後脚に注目する必要があります。
内包後脚を通る皮質脊髄路は、2つに分けることができます。
外側皮質脊髄路
外側皮質脊髄路は以下のように大脳皮質から下行します。
一次運動野→内包後脚→中脳大脳脚→橋→延髄(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前角細胞で下位運動ニューロンとシナプス形成
錐体路の約90%は外側皮質脊髄路となります。
外側皮質脊髄路は、主に四肢の随意運動に関与することが知られています。
例えば、手を伸ばしてて物をとる(リーチ)、物をとる際の手の構え(プリシェイピング)、物の操作(巧緻運動)に関与します。足指の運動にも関与しています。
外側皮質脊髄路は、感覚入力の調整にも関与しています。
運動を行う際には、シナプス前抑制という、不必要な感覚を除去する機能(フィルター機能)が運動前から働くことで、運動が遂行されています。このときに、外側皮質脊髄路が関与すると言われています。
体性感覚野からの能動的な皮質脊髄路の活動により抑制が起こり、感覚の選択性が得られる。主に脊髄後角のRexedのⅠ〜Ⅴ層(灰白質の分類の一つ)で起こる。
脳血管障害をみるための運動性伝導路の基礎知識
シナプス前抑制は伸張反射の制御にも関与しています。
詳しくは、以下の記事を参照してください。
筋緊張亢進(痙縮)に対するニューロリハビリテーションの知識
前皮質脊髄路
錐体路の10%程度は前皮質脊髄路となります。
前皮質脊髄では、錐体交叉をせずに脊髄前索を下行し、脊髄前角に向かいます(一部は反対側の前角へ)。
前皮質脊髄路では、両側性に体幹筋や上下肢の近位の制御に関与します。
随意運動にはあまり関与しないとされています。
皮質脊髄路も、皮質延髄路も、同じ錐体路になります。
しかし、皮質延髄路はあまり有名ではないかもしれません。
その理由は、錐体路においては、皮質脊髄路がその大半を占めているからです。
皮質延髄路は、大脳皮質から脳幹(中脳、橋、延髄)の神経核までの経路をさします。
皮質延髄路の障害では、首から上の随意運動に関係しています。
まず、皮質脊髄路の通り道から、脳画像ではどこの部分を通るかを確認していきます。
頭頂レベルで見ていきます。
中心溝を探し、見つけると、一次運動野がわかります。
脳の内側から、下肢、上肢・手指、顔面と損傷を受ける部位によって運動麻痺の出方に違いがあります。
次に、側脳室体部レベルで見ていきます。
キューピー人形の体の各部位の位置は、脳の損傷を受けた場合に見られる運動麻痺の出現部位と一致します(大まかにです)。
松果体レベルでは、内包後脚が確認しやすくなります。
前途しましたが、内包は大脳基底核(尾状核、レンズ核(被殻、淡蒼球))と視床に挟まれた、「く」の字になっている部分です(図の場合は逆「く」の字)。
内包後脚では、上から皮質延髄路、皮質脊髄路と並んでいます。
皮質脊髄路は、内包後脚の真ん中から少し上のあたりから、下に向かって上肢→体幹→下肢と痲痺の出現が異なります。
内包後脚が損傷を受けていれば、松果体レベルで画像を見れば良いですが、皮質脊髄路は中脳、橋レベルにおいても通り道となっているため、その付近の損傷があると運動麻痺が生じます。
下図は、中脳や橋、延髄レベルでの皮質脊髄路が通る位置です。
出展:中上 博之先生の講義資料
書籍「リハに役立つ脳画像」では、運動と感覚の体部位局在が脳画像とともにわかりやすく掲載されています。
ご参照ください。
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視床は中枢神経系で最も大きな灰白質の塊です。
視床では嗅覚以外の全ての感覚情報を処理し大脳皮質へ送る、中継核としての役割があります。
運動制御に関連する核も存在し、運動野や大脳基底核、小脳などとの連絡もあります。
その他、情動や記憶、上行性網様体賦活系(大脳の覚醒に関連する)に働く核があります。
視床はY字型の内側髄板により、前核、内側核、外側核に分かれます。
視床は内包後脚の後内側に存在します。
出典:中上 博之先生の脳画像資料
出典:A-ONE TRAINING COURSE LECTURE NOTES
内側膝状体(MG)
入力:聴神経
出力聴覚野
聴覚に関連します。
外側膝状体(LG)
入力:視神経
出力:視覚野
視覚に関連
背内側核(MD)
入出力:扁桃体、前頭前野
注意、情動、遂行機能に関連
前腹側核(VA)
入力:基底核、小脳
出力:運動前野、補足運動野
運動プログラム、姿勢制御に関連
外側腹側核(VL)
入力:基底核、小脳
出力:運動野
精緻運動に関連
後外側腹側核(VPL)、後内側腹側核(VPM)
入力:内側毛帯、脊髄視床路
出力:体性感覚野
四肢体幹の体性感覚、後内側腹側核は顔面感覚に関連
視床沈
入力:後頭連合野
出力:下頭頂小葉
視覚的注意、言語に関連
前核(AV)
入力:乳頭体
出力:帯状回
記憶に関連
背外側核(LD)
入手出力:楔前部
空間認知、記憶に関連
後外側核(LP)
入出力:上頭頂小葉
空間認知に関連
内側髄板(IL)
入力:脳幹網様体
出力:大脳皮質全般
覚醒に関連
視床後外側部
入力:前庭神経
出力:前庭皮質
平衡機能に関連
前腹側核は主に大脳基底核から入力を受けますが、外部刺激を利用して運動のきっかけを作り、学習を行っていく中で内部刺激による運動を獲得していくようにします。
外側腹側核は主に小脳から入力を受けますが、外部刺激には反応しにくい特徴があります。
後外側腹側核や後内側腹側核障害では感覚障害が生じます。
感覚障害に対しては、感覚が入力されやすい状況を作り、運動を遂行する中で感覚フィードバックが得られるようにすることです。
感覚入力を行う際には、強調する感覚を鮮明にし、他の感覚は入力を抑制できるようにすることが大切です。
運動中や運動前、触覚刺激中などでは体性感覚誘発電位(SEP)が変化する。これはgatingと呼ばれる現象で、運動時の不必要な体性感覚情報の排除、随意運動の監視や修正に貢献するとされている。
gatingの量は、負荷がない収縮よりも負荷がある収縮のとき、収縮強度が大きいとき、 収縮速度が速いときほど多いと報告されている。
「視床の機能とその臨床応用」
感覚入力は意識下で行うこと、随意運動がある場合は収縮強度が小さく収縮速度が遅い運動が有効だとされています。
努力的な自動運動では感覚入力を抑制する可能性があるため、セラピストは運動を調節する必要があります。
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大脳基底核は左右の大脳半球の深くに位置する神経核群(灰白質)をさします。
大脳基底核は、淡蒼球、被核、尾状核からなります。
広義の捉え方として、中脳黒質や間脳の視床下部を含める場合があります。
被核と淡蒼球はレンズ核として、まとめられます。
被核と尾状核は合わせて線状体といいます。
随意運動が正確でスムーズに実行されるためには、一次運動野からの指令に加えて、大脳基底核や小脳の調節が重要になります。
一次運動野:
随意運動の実行を命令する。
大脳基底核:
運動の開始や停止をスムーズにする。
運動が滑らかになるように調節する。
小脳:
運動方向、タイミング、強さ、平衡感覚などを調節する。
大脳基底核は、大脳皮質−大脳基底核−視床−大脳皮質でループを形成して、運動調節をしています。
大脳基底核は視床を介し、大脳皮質にブレーキをかけて(抑制性)います。
ブレーキの調整により、スムーズな運動が行われます。
基底核の障害には主に2つあります。
・基底核からの抑制が強くなりすぎる:パーキンソン病が代表
・基底核からの抑制が低下する:ハンチントン病が代表
大脳皮質から大脳基底核に、運動に関する情報が伝えられると、基底核内の直接路、間接路の2つの経路に伝達されます。
2つの経路がバランスをとりながら調節することで、必要な運動のみを選択して実行し、正しいタイミングで運動の開始・停止が行えます。
直接路ではブレーキを緩めることで、必要な運動を必要な時間行えるようにします。
間接路ではブレーキを強めことで、必要でない運動を抑えます。
パーキンソン病のすくみ足のメカニズムについては以下の記事をご覧ください。
パーキンソン病のすくみ足はなぜ起きるのか-神経機構とメカニズム-
大脳基底核とADL障害の関係(順序立ての障害)に関しては、以下の記事を参照してください。
大脳基底核の損傷とADL障害!「ブレーキ管理ができない」にどう対応するか?
中大脳動脈の分枝であるレンズ核線条体動脈は、レンズ核(被核、淡蒼球)、内包(膝、前脚)、尾状核頭部に栄養しています。
出典:中上 博之先生の脳画像資料より
レンズ核線条体動脈の閉塞では、反対側の片麻痺(上肢に強い)、半身の感覚障害、ラクナ症候群がみられることがあります。
尾状核は頭部、体部、尾部に分かれ、側脳室前角から下角にかけて、側脳室外側に接しています。
尾状核体部:前頭前野機能の制御、認知、記憶
尾状核頭部:前頭前野機能の制御、直感的思考
尾状核尾部:不明
レンズ核(被核、淡蒼球)の位置の同定には、以下のようにするとわかりやすいです。
①内包(「くの字」)を見つける
②その外側にレンズ核(外側から被核、内側が淡蒼球)がある
③内側に尾状核と視床がある
出典:中上 博之先生の脳画像資料より
被核:補足運動野の機能制御、筋緊張制御、学習
淡蒼球:前頭葉機能の制御、筋緊張抑制、意思決定
被核出血では、被核周囲の神経線維の損傷に注目する必要があります。
内包前脚:遂行機能障害
内包後脚:運動麻痺:感覚障害
内包のレンズ核後部:視野障害
放線冠:上記のいずれか
上縦束:半側空間無視、観念運動失行、伝導失語
外包:記憶障害
前障:不明
最外包:伝導失語、プッシャー症候群、病態失認
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くも膜下出血では、約90%において鞍上部周囲のくも膜下腔に五角形(ヒトデ型)の高吸収域(CTにおいては白く映る)がみられます。
そのため、まずは鞍上部周囲のくも膜下腔を見つけることがポイントとなります。
おおよそ下図のレベルのスライドになります。
鞍上部周囲のくも膜下腔は、中脳レベルのスライスを見ることで見つかります。
中脳レベルのスライスの目印は、「ミッキーマウス」のような図柄が画像の真ん中に写っているスライスになります。
下図をみてもらうと、ミッキーマウスのような図柄があるのがわかると思います。
これが中脳レベルのスライドです。
そして、鞍上部周囲のくも膜下腔は、図の位置になります。
くも膜下出血はCT画像を用いて診断されることが多いですが、その場合、くも膜下槽に血液が入るとその部分は高吸収域(白色)になります。
わかりにくいくも膜下出血は、出血が少なかったり、時間が経過した場合、一見画像をみただけではわかりにくいことがあります。
そのような場合、くも膜下腔が不明瞭になっていないかを特定することで、くも膜下出血かどうかを判断する手がかりになります。
例としては、シルビウス裂が不明瞭になる場合があります。
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂によるものが多くを占めます。
そのため、どの位置の脳動脈瘤が破裂したのかをおおよそ知ることにより、症状の予測も可能になります。
動脈瘤破裂は前・中大脳動脈で生じることもあり、この場合脳出血を伴い、その部位の損傷に応じた症状が出現することになります。
では、脳動脈が画像上おおよそどのような位置関係にあるのかを確認していきます。
次に、前交通動脈瘤が破裂した場合に多く見られる所見の部位は、下図のようになります。
白丸で囲っている部分です。
次に、内頸動脈瘤が破裂した場合に多く見られる所見の部位は、下図のようになります。
次に、中大脳動脈瘤が破裂した場合に多く見られる所見の部位は、下図のようになります。
次に、椎骨・脳底動脈瘤が破裂した場合に多く見られる所見の部位は、下図のようになります。
Willis動脈輪の周囲には視覚機能に関連した脳機能部位があり、この部位の動脈瘤が破裂することにより視覚機能障害が生じる可能性があります。
くも膜下出血では、脳血管攣縮や水頭症の合併症もあるので、その経過に注意していく必要があります。
クモ膜下出血は脳表面の出血により脳外部から、脳内部の組織の損傷が起こります。
脳動脈瘤6〜7割、脳動静脈奇形1割、原因不明(その他)2割となっています。
脳動脈瘤は、脳動脈の分岐部でその壁が突出することで発生し、根元のneckと膨らんだ部分のdomeからなり、その壁には動脈の内弾性板と筋層を欠いています。
domeは外膜のみからなっており、その一部の膨隆するすると壁が薄くなるため、そこから脳動脈瘤が破裂します。動脈瘤はウイリス輪を中心とした脳底部に発生することが多く、重度のクモ膜下出血が起こると、多量の血腫が脳底に溜まり、脳幹部を圧迫するため、意識障害や呼吸麻痺を引き起こすこともあります。
動脈瘤破裂では前大脳動脈の遠位部や中大脳動脈領域で生じる場合もあり、この際には脳内出血を伴うこともあり、運動麻痺、失語といった巣症状が出現します。
クモ膜下出血では、警告漏出と呼ばれる軽度の頭痛を繰り返すこともあります。
大部分の症例では急激な後頭部から頭頂部への激しい頭痛や発症直後の意識障害、呼吸不全も合併することがあります。
この症状は一時的なこともありますが、約2割の方は即死に至ります。
頭痛が軽度の場合、数日中に2回目のクモ膜下出血が発症し、重症化や死亡する例も数多くあります。
再出血予防のためには、血圧管理が重要で、血圧を発症前の20%程度低めにコントロールすることを目標とするようですが、明確なエビデンスはないようです。
クモ膜下出血そのものの症状としては、頭蓋内圧亢進症状、髄膜刺激症状があります。髄膜刺激症状では、頭痛、嘔気、嘔吐、項部硬直、ケルニッヒ兆候、ブルジンスキー兆候などがみられます。
ウイリス輪周囲には視神経、動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経があり、これらが損傷すると視覚や眼球運動の障害が生じることもあります。
クモ膜下出血の手術適応ではHunt&Kosnikの破裂動脈瘤の重症度分類が用いられています。
grade0では動脈瘤は未破裂のため緊急手術は行われませんが、grade 1〜Ⅳでは原則として緊急手術が行われます。
クモ膜下出血が多量にあると、脳脊髄液に出た血液のヘモグロビンが時間経過とともに酸化し、化学反応によりオキシヘモグロビンとなります。
他にも化学反応物質が生じることにより広範囲の脳血管に血管攣縮が発生し(約1〜2週間持続)、その結果脳の広範囲で二次的な脳組織の損傷(遅発性脳梗塞、神経細胞の壊死)が起こります。
そのため、脳血管攣縮では梗塞巣に対応した巣症状がみられます。脳血管攣縮をきたした場合、予後は悪くなります。
脳底部やクモ膜下腔の広範囲に溜まった血液が、脳脊髄液の流れと吸収をブロックすることで水頭症が起こる可能性があります。
急性期を過ぎて頭痛、嘔吐、意識障害を初期症状とすることが多いです。慢性期で正常圧水頭症を発症すると、認知機能低下、歩行障害、尿失禁などで発症します。
正常圧水頭症をきたした場合、予後は悪くなります。
、血管の奇形が胎生期(受精した瞬間から約10ヶ月)に生じ、年齢とともに大きくなります。
これが破裂することによりクモ膜下出血や脳内血腫を発生させます。
2割のクモ膜下出血では、動脈瘤や動静脈奇形が見つからないことがあります。
また少数ではありますが、モヤモヤ病や脳腫瘍からのクモ膜下出血が起こることもあります。
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