視覚系(入力、情報処理、目と手の協調、眼球運動、半盲、複視)の問題の知識や評価方法、トレーニングの考え方についてまとめていきたいと思います。

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目次

視覚系(入力、情報処理、目と手の協調)の問題とビジョントレーニング

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文献

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見る力に関するチェックリストの概要と評価方法、結果の解釈

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視覚機能について

私たちは、視覚をどのように利用して日常生活をおくっているのでしょうか。

目で見た(捉えた)情報は、感覚情報として今までの経験や知識をもとにしてそれが何であるかを認識します。

認識した情報(色、形、距離など)をもとに、自分の体や手による運動と協調しながら動作を遂行します。

このことから、視覚機能を考えるときには、
・目から入る情報を入力する機能
・入力された情報が何であるかを理解する視覚認知機能
・手や体と目の協調機能(出力)
に分けることができます。

これらの要素に問題があると、日常生活上の困難さとして、不器用さや拙劣さなどにつながることがあります。

 

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見る力に関するチェックリストの概要

見る力に関するチェックリストは、「学童期用視覚関連症状チェックリスト」とも呼ばれているものです。

このチェックリストでは、視覚関連の症状(学習、運動、行動面)を、保護者への質問を通して把握できるものとなっっています。

質問項目は45個からなり、それぞれについて、
0:あてはまらない
1:少しだけあてはまる
2:だいたいあてはまる
3:よくあてはまる

の4件法で回答してもらいます。

各質問は、以下のカテゴリーに分けることができます。
A:読み書き関連の視活動→読み書きに関連した、視覚性注意のコントロールや視線移動を行う力
B:手指の操作→手元の空間で、 視覚情報と連動して指や手の動きをコントロールする力
C:空間の認知→空間的な位置、方向、距離感を認識する力
D:注視関連の症状→物を見る際の、目や頭位に関する症状の有無

 

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見る力に関するチェックリストの評価方法

このチェックリストでは、保護者に回答してもらいます。

読み書き関連の視活動:

読んでいるとき,行や列を読み飛ばしたり,繰り返し読んだりする
形がよく似た文字を読み間違えることが多い
文の終わりを省略して読んだり,勝手に読みかえたりする
長い時間,集中して読むことができない
数字,かな文字,漢字の習得にとても時間がかかる
指で文字をたどりながら読む
表の縦や横の列を見誤る(百ます計算など)
近くの物を見る作業や本読みをするととても疲れる
近くの物を見る作業や読むことを避ける
黒板を写すのが苦手または遅い
宿題を終えるのにとても時間がかかる
鏡文字がある

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/45/5/45_360/_pdf

手指の操作:

おりがみが苦手
ハサミを使った作業が苦手 (ビーズなど)
ひもを穴に通すのが難しい
図形や絵を見て同じように書き写すことが苦手
目に見える位置で行う蝶々むすびがうまくできない
文章を書くと,文字が一列にそろわない
定規,分度器,コンパスを上手に使えない
図形の問題が苦手
積木やパズルをしたがらない
箸をうまく使えない
ピアニカやリコーダーがうまく演奏できない
文字を書くと形が崩れる
目に見える位置の衣服のボタンのとめはずしが苦手

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/45/5/45_360/_pdf

空間の認知:

ラケットやバットでボールを打つのが苦手
表やグラフを理解するのが苦手
方向感覚が悪い指さしたり,提示したりした物をすばやく見つけられない
目の前にある物をなかなか見つけられない
距離を判断するのが苦手(自分から壁までの距離など)
ボールを受けるのが苦手
下りの階段や高い遊具への昇り降りを怖がる
つまずいたり,物や人にぶつかったりすることが多い
授業中,課題を時間内に終わらせることができない
地図を見て理解するのが苦手(地図を読みとるのが苦手)
長い / 短い,大きい / 小さいを見比べて判断するのが難しい
定規などの目盛が読みにくい

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/45/5/45_360/_pdf

注視関連の症状:

物を見るとき,必要以上に顔を近づける
物を見るとき,顔を傾ける 物を見るときに,しばしば目をこすったり,まばたきをしたりする
目を細めて物を見る
両方の目が同じ方向を見ていないことがある
晴れた日に外に出ると,とてもまぶしがる 片目をつぶって見る

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/45/5/45_360/_pdf

実際の評価表は以下を参照してください。
https://at-school.jp/knock2/images/check-02.pdf

 

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見る力に関するチェックリストの結果の解釈

各カテゴリーにおいて、これ以上の点数だと「問題が疑われる」という基準値が設定されています。

その際は、眼科受診であったり、認知機能検査などを行うことで、問題の原因を特定していく必要があります。

また、我々がこのような日常生活上の困難さが視覚的、視知覚な問題と関連があることを知っていることは、対象者や保護者に対する提案や指導などにつなげることができます。

このチェックリストは子供用ですが、成人の方の日常生活上の困難さとしても通じるものがあるのではないかと感じています。

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視覚機能(入力系)に対する問題とリハビリテーションアプローチ

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目から入る情報の入力が困難になる原因

情報が入力されないと、私たちは出力ができません。

暗闇の中でダーツをするようなものです。

それだけ、私たちにとって目からの情報が入力され、脳に伝達されるということは重要なのです。

目からの情報が入力されるには、まず目を構成する組織に問題がないことが必要になります。
・レンズ
・網膜
・瞳孔
などが構造的に問題がないことがポイントになります。

次に、視力の問題がないことも必要です。
・近視
・遠視
・乱視
などが挙がります。

また、ピントを調整したり、動いた対象物を目で追う機能(追視)である眼球運動も情報入力においては重要な要素となります。

目は左右合わせて2つあるのは当たり前です。

この左右2つの目を適切に機能させることによって対象物の立体感を捉えることができます。

 

視覚入力の障害による日常生活上の困難さや症状の例

・本や書類を見るときに疲れやすい
・文章を読むときに読み飛ばしがある
・表の縦横の列を見失う、見誤る
・近くの本や書類を見るのを避ける
・目だけで文章を追えない/指で文章を追いながら読む
・似ている字を読み間違う
・黒板やホワイトボード、スクリーンの文字を写して書くのが苦手
・字の習得に時間が掛かる
・両目が同じ方向を向かない
・ものを見るときに目を細める
・ものを見るとき体の一部を傾ける
・ものを見るときに目をこすったりまばたきをする
・ものを見るとき、必要以上に顔が近い

などがあります。

これらのような日常生活上の困難さや、症状があるときには、視覚の入力系に問題がある可能性があります。

目の構造や視力、眼球運動の評価を行い、どこに問題があってそのような困難さが生じているのかを把握するようにします。

 

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視覚機能(入力系)に対するリハビリテーションアプローチ

視覚入力に関わる要素のうち、リハビリテーションの適応となるのは、主に眼球運動に関わる機能になります。

視覚入力に対するアプローチでは、以下のようなことを行っていきます。

まず、空間内での対象物の動きに対して、目で追いながら(追視)見続ける能力をトレーニングしていきます。

キャッチボールは、眼球運動を促す上では最も利用される活動です。

段階付けとして、
・大きいボール→小さいボール
・正面でのキャッチ→左右上下斜め方向でのキャッチ
・ゆっくりの動き→早い動き
などの段階付けの設定を行うことができます。

対象者が子供の場合、ボールよりもおもちゃやぬいぐるみが適切かもしれません。

子供の場合は本人が興味を持ち活動に取り組めることが大切です。

日常生活の中で大切になるのは、興味ある対象や注意を移す必要のある対象へ視覚探索が行えることです。

対象が成人であればUSNトレーナー、子供であれば積み木などを用いて、眼球運動を促して視覚探索が行えるようにトレーニングを行っていきます。

このようなトレーニングは、手を使っているので目と手の協調性をトレーニングしていることにもなります。

レベルを上げようとするならば、
・卓球ラケットとボールを使って打ち合う
・バドミントンラケットを使用し、投げられたお手玉をそれの上に乗せる
・バドミントンをする
などが考えられます。

視覚探索を空間的に広げていくことも大切ですが、日常生活の中では文章を読むことなど小さな範囲で正確に視覚入力が行えることも重要です。

我々が高次脳機能障害の検査で用いている、仮名拾いテストのような課題は、小さい対象物に対する視覚探索能力をトレーニングする上でも必要な要素になります。

また、百ます計算のような課題は、表の見誤りに対するトレーンニングとしても有効なものになります。

これらのトレーニングを通して、視覚入力機能の向上を期待するのと並行して、実際に困っていることへの練習も行っていく必要があります。

本を読む、板書を写すなどの練習も並行して行うとよいでしょう。

今回は視覚入力の問題についてのみ書きてきましたが、日常生活での困難さにはそれ以外に注意機能の問題や身体機能的な問題が他にもあるかもしれません。

総合的に評価を行うことで、対象者の問題点を捉え適切なアプローチをとることができます。

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視覚情報処理の問題とリハビリテーションアプローチ

視覚情報処理が困難になる原因

例えば、「ハサミを使う」ときの視覚情報処理について考えてみます。

ハサミという対象物を考えた場合に、視覚情報となるのは、
・ハサミの形
・ハサミの色
・ハサミの位置
・ハサミの動き
になります。

これらのうち、ハサミの形や色という視覚情報に関しては、一次視覚野から側頭葉を通る経路(腹側視覚路)において伝達されます。

この経路は、別名で「whereの経路」とも呼ばれています。

最終的に側頭連合野で処理が行われます。

ハサミの位置や動きという視覚情報に関しては、一次視覚野から頭頂葉を通る経路(背側視覚路)において伝達されます。

この経路は、別名で「whatの経路」とも呼ばれています。

最終的に、頭頂連合野で処理が行われます。

なお、頭頂連合野という部分では、対象物の位置や動きに反応する細胞や、視覚情報を身体感覚情報に変換する細胞があるとされています。

このような経路が障害されていると、
・視知覚(感覚情報を経験や知識をもとにそれがどのようなものかを理解する)
・視覚認知(対称の意味や関係性を理解し、概念を構成する)
に問題が生じる可能性があります。

 

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視覚情報処理に関連する日常生活上の問題

・指差したものを見つけることが苦手
・ラケットやバットでボールを打つことが苦手
・距離を目測するのが苦手
・目の前のものを見つけることが苦手
・階段昇降や高い場所が苦手
・つまずいたり、人にぶつかったりする
・方向感覚が悪い
・定規の目盛りが読みにくい
・ボールを受けることが苦手
・図形や絵の模写や模倣が苦手
・文字を書くと形が崩れる(鏡文字含む)
・紐を結ぶことが苦手(蝶々結びなど)

などがあります。

これらのような日常生活上の困難さや、症状があるときには、視覚情報処理に問題がある可能性があります。

 

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視覚情報処理に対するリハビリテーションアプローチ

視覚情報処理に対するリハビリテーションアプローチでは、以下のようなトレーニングを行います。

パズルやブロックは、ピースの形がそれぞれ異なっており、それを利用することで対象物の形や空間的な特徴を見分け、区別する能力をトレーニングすることができます。

パズルでは市販品のものでも、ピースの数が異なるものが多数あります。

易しいレベルではピースの少ないものは形も大きく、難しいレベルになるとピースの数が多く形が小さくなるため難易度が上がります。

立体的なパズルを用いて、見本通りのものを作るといったことを通しても視覚情報処理のトレーニングが行えます。

パズルは平面ですが、立体パズルは3次元となるため、難易度的には難しいものとなります。

アマゾンのウェブサイトで調べても、子供用の立体パズルは様々なものが市販品として売られています。
詳しくはこちらをご覧ください。

段階付けとしては、立体パズルを用いて見本を見せながら行う→見本なしで行うという順序になるかと思います。

対象者のレベルに合わせてトレーニングメニューを選択していくことが大切になります。

間違い探しや点つなぎ、漢字の模写などを通して、二次元の空間での対象物の形や空間的な特徴を見分け、区別する能力をトレーニングすることも行います。

距離の目測が悪い方では、輪投げやボール投げを通して、距離感を養うようにトレーニングを行うこともできます。

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目と手の協調がうまくいかない(不器用)原因とリハビリテーションアプローチ

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手と目の協調とは

目と手の協調(協応)とは、視覚入力情報と運動出力である手の運動を協応させることことです。

私たちは、目で捉えた情報(形、位置)をもとに手や体の運動を連動させることでスムーズに運動を行います。

これが、いわゆる器用さの要因になります。

手と目の協調は、視覚情報、前庭感覚情報、固有感覚情報、触覚情報が関与しており、これらのうちどれかの要素が崩れると、観察上対象者の不器用さとしてみられることがあります。

 

手と目の協調の障害による日常生活の困難さの例

手と目の協調性が障害されると、以下のような日常生活上の困難さがみられます。

・書字で形が崩れる
・積み木やパズルが苦手
・箸操作が苦手
・折り紙が苦手
・ハサミをうまく使えない
・書字で斜めになる
・楽器演奏が苦手
・紐通しが苦手
・紐結びが苦手
・ボタンの止め外しが苦手
・定規などをうまく使えない

このような日常生活上の困難さがみられる場合、手と目の協調がうまくいっていない原因として、
・視覚情報
・前庭感覚情報
・固有感覚情報
・触覚情報

のうち、どれに原因があるのかを評価していきます。

 

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手と目の協調に対するリハビリテーションアプローチ

手と目の協調性に対するリハビリテーションでは、以下のような視点でアプローチしていきます。

器用さは、手の細かい動きがいかにスムーズに、正確に行えるかということに左右されます。

まずは、大きい動きのある動作からアプローチを行い、次の段階として小さな、細かい動きを用いて手と目の協調性に対してアプローチを行っていきます。

手と目の協調性には、まずは視覚でしっかりと対象物を捉えて、視覚情報を処理し、運動として出力していくことが大切です。

キャッチボールでは、そのような目の動きと手の動きをトレーニングすることができます。

段階付けとしては、ボールの大きさ、投げる速さ、投げる方向などに変化を加えながら行っていきます。

机上ではボールやビー玉などを転がすことでも、手と目の協調課題となります。

子供や大人に関わらず、わたちたちの生活では字を書くことは機会が多いと思います。

最近はスマホやパソコン作業が多くなっているかもしれませんが。

字を書くことが苦手な場合、まずは似た要素を含む課題を取り入れることで、書字の前段階のトレーニングとして行うことができます。

それには、ジェンガや縄跳び、バドミントンなどです。これらは、対象物をしっかりと捉えながら上肢(肩、肘、手首、手指)を巧みにコントロールする活動になります。

実際に日常生活上で困難さを示す動作もトレーニングしていくことで、機能的にも能力的にも向上していくことを期待します。

書字では点をつなぐ、文字をなぞる、定規で線を引くなどを行います。

ハサミでは円を切る、三角を切る、四角を切る、星を切るなど様々な要素をトレーニングしていくとよいでしょう。

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眼球運動訓練の方法!わかさ生活「ビジョントレーニング」を利用して!

眼球運動障害の評価

①対象者の眼前30〜60㎝に検者の指や指標を置き、その先を見つめさせゆっくりと左右、上下に動かします。

頭を動かさないように指示しますが、この際片手で頭を軽く押さえ、注視により頭を回転させようとするかを感じ取るようにします(注視障害を補正するように頭を動かすことがある)。

左右からの動きを見るようにします。上下の運動は、人により動く範囲に差があります。

②眼筋の検査では、対象者と向き合い、検者の示指先端を見つめさせます。

眼球の左右への動きをみて、内、外直筋の動きを調べます。

次に右or左を注視させ、その位置で指を上下に動かし、眼球の動きをみます。

眼球運動の正常範囲ですが、上方では黒目の下に必ず白目が見られますが健常者でも程度は個別性があります。

下方では眼瞼を上げると正常では角膜上縁は内外の眼角を結ぶ線に達します。

両目は左右同様に動くのが正常です。いずれかの方向に複視が生じることがあります。

指標を動かしたときに、眼球運動が滑らかでなければ異常があります。

左右の眼の動きは、共同しますが、一方が遅い場合もありえます(右方向注視と比較して左方向注視が遅い場合、潜在性に左方注視障害がある)。

小脳症状があると、側方注視において眼球の測定異常がみられます。

普通に指標を見つめさせて追跡するのは滑動追従運動(滑らかで連続的)で、視点の急激な変化に伴う眼球運動は衝動性眼球運動です。

衝動性眼球運動が障害されると、眼前の2点の間を交互に素早くみることが困難となります。

衝動性眼球運動のみが障害されることを緩徐眼球運動と呼び、脳幹部で症状がみられることがあります。

 

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眼筋と眼球運動

動眼神経は上直筋(作用は上転、内転、内方回旋)、内直筋(作用は内転(水平方向のみ))、下直筋(作用は下転、内転、内方回旋)、下斜筋(作用は上転、外転、外方回旋)を支配しています。

滑車神経は上斜筋(作用は下転、外転、外方回旋)を支配しています。

外転神経は外直筋(作用は外転(水平方向のみ))を支配しています。

 

眼球運動のトレーニング

眼球運動の評価により、眼球の動きが阻害されていることがわかれば、眼球運動をスムーズに行えるようにアプローチしていく必要があります。

その際に役に立つのが、わかさ生活で提供されている、ビジョントレーニングです。

いくつかコンテンツがあるのですが、私が臨床でよく利用しているのは、下図のようなものです。

出典:http://kenkyu.wakasa.jp/training/eyemovement/

見ているだけでも目がごちゃごちゃになりそうな気がします。

このビジョントレーニングの利用方法は以下の通りです。
①椅子に座り、机の上で対象者の正中に用紙をセットする
②対象者は「1」〜「50」までの数字を見つけていく
*眼球運動訓練として行う場合は、頭部の回旋は行わず、眼球運動のみで見つけさせる。

これ、実際にやってみるとかなりの集中力がいります。

なので、注意の維持能力向上のためのトレーニングにも利用できるのではないかと思っています。

早く見つけていこうと思うと、眼球運動としてはかなりスムーズで全方向に動く必要があります。

よくよく考えてみるとトレイルメイキングテストと似た要素も持ち合わせていますよね。

半側空間無視の方においても利用できるかもしれません。

 

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眼球運動トレーニングの種類

先ほどのわかさ生活のビジョントレーニンングでは、自分に近い空間での眼球運動トレーニングでした。

しかし、日常生活を考えるともっと広い空間での適応が必要になります。

半盲などで利用される眼球運動トレーニングの種類として、
①見えない側への大まかな探索訓練(視覚性視野領域探索)
②見えない側に向かって大きく眼を動かす
③読みの改善を促すための細かな眼球運動
があるとされています。

リハビリテーション場面では半盲、複視に対する眼球運動訓練を行うことが多いと思います。

上記のような視点をもって眼球運動トレーニングを行っていく必要性があります。

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視野障害(半盲)のリハビリテーション

正常視野と視野障害の影響

眼が前方を向いているとき、視野は上方へ約65度、下方へ約75度、内側へ60度、そして外側へ90度に及ぶ。

脳卒中のリハビリテーション

下方視野欠損は、バランス不良や歩行速度の遅れ、段差や縁石の認識の困難さ、歩幅短縮や不安定な歩幅、視覚的な指標の認識の困難などを生じさせます。
上方視野欠損は、標識確認、書字・読字の困難さを引き起こします。

 

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半盲の特徴

半盲は、全脳卒中者の30%と後大脳動脈が関連した脳卒中者の70%に出現します。

また、くも膜下出血、脳内出血、頭部外傷も半盲を生じさせることがあります。

半盲を呈している方は、完全な視野を持つ人と比較して、視覚情報処理が適切に行えないとされています。

多くの視覚の再固視と不正確なサッケード、まとまりのない視覚的走査を示し、視覚性探索に時間を要し、環境内の関連の対象物を見落としてしまう。

加えて、彼らは障害のない側の視野に意識を集中させる。彼らのサッケードは不規則で、正確ではなく、迅速な組織化された視覚的走査や読み込みを許すには、範囲があまりにも狭すぎる。

〜中略〜

完全な右側の同名半盲のある患者において、文章を読む間の右方向へのサッケードは中断し(半盲性失読む)、それは文章を読む間のサッケードの運動準備を妨げる。

脳卒中のリハビリテーション

半盲の回復

Zhangら(2006)は、脳損傷による同名半盲254人の経過観察により症例の40%未満で視野障害の完全回復があったとしています。

損傷から初回の視野検査までの期間が長くなるに伴い自然回復が減少する可能性があるとしており、視野障害のリハビリテーションは早期から行う必要があります。

なお、ほとんどの場合、回復は損傷後最初の3ヶ月以内に起こったとしています。

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視野検査と半側空間無視との判別

臨床場面では、対座法を用います。

方法
①患者と検者の眼が約80㎝になるように向き合う。

②左の眼を左手で覆わせる。

③右目は検者の左目を見つめさせる。

④検者は両手を前側方に自分の視野いっぱいに広げる(指は垂直に立て、指の位置は患者と検者との中央にあるようにする)。

⑤指を動かし、左右どちらが動いたかを指摘させる(左右で答えるよりも、動いている法を指で示させる)。左右同時に動かしてそれがわかるか(視覚消去現象:はっきりした半盲はないが、対座法で左右の指を同時に動かしたときに一方のみを無視する現象。障害側の視覚が、健側の視覚により消去されるために起こり、軽度な半側空間無視となる)も確認する。

*検査中、患者の眼球が固定されているかどうかを常に確認します。

*目の中心より鼻側、耳側、上下の視野を知ることが可能になります。

*視野欠損・縮小がある場合は、視野の周辺部より指を中心に動かしていき、どこで見えるようになったか調べます。半盲があれば、障害側へ物体を近づけると中心線で初めて見えるようになります。

*失語症や認知症があり検査の内容が理解できない場合、視野周辺から患者の眼を引きそうな物を近づけた時の眼球の動きから視野の大まかな状態を知ることができます。

*軽い意識障害で視野を検査する場合、患者が開眼している時に眼に向かい検者の指をつっこむような動作をすると閉眼する(視覚性おどし反射)ことがあり、この方法で半盲の有無を判定します。

また、半盲は半側空間無視と同時に存在する可能性もあります。

半盲は障害の認識が良好な傾向があります。

以下の記事を参照してください。
半側空間無視の病態理解と評価、リハビリテーションアプローチ

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半盲のアプローチ:サッケード運動による視野探索能力の改善

眼球運動の代償による視野欠損の代償に基づいています。

見えない半側視野への注意を強化し、サッケード運動での視野探索を促します。

訓練では、
①見えない側への大まかな探索訓練(視覚性視野領域探索)
②見えない側に向かって大きく眼を動かす
③読みの改善を促すための細かな眼球運動
があります。

読むのに必要な最小限の視野は、右を固視して左へ2度である。

これは、文字列がはっきりと見え、25cmの距離では10〜12文字の活字が含まれる。

流暢に読むためには、視野幅は読む方向に5度、あるいは15文字以に拡大されていなければならない。

脳卒中のリハビリテーション

半盲の人が普通に読むには、固視した両側に最小5度の視野幅が必要とされています。

5度以下の視野幅では、右半盲の人では所定の文章を適切に読むことに困難さがあります。

右半盲の人では読む課題が行いにくく、リハビリテーションに時間がかかる傾向にあります。

左半盲の人では、文章の次の行の探索が妨げられます。

半盲のある人の読字では、読む前に全体的にそれぞれの単語を認識させることが重要です。

左側半盲では、最初に視線を行の始めや全ての単語の最初の文字に移すことが推奨されています。

読んでいる各行の軌跡を保って、サッケード運動の正確性向上のために定規をを使用する場合もあります。

視覚性探索訓練として、USNトレーナーの使用があります。

対象者は頭部を動かさずに視覚性探索を行います。

この課題を遂行してすぐにADL課題を行うことで、実用的な場面での視野の改善を促していきます。

このような課題では、視野障害領域に変化はなくても、視覚刺激の検出と反応が改善することもあります。

視覚探索改善への3つの段階として、
①見えない視野への大きくて速いサッケード(振幅30〜40度)
②妨害物の中から標的物を組織的に走査する
③実際の活動場面での実践
があります。

頭部の運動による代償が半盲に役立つという知見もありますが、眼球運動による訓練の必要性もあります。

プリズム眼鏡による方法では、周辺視野の映像を網膜の中心領域に移動することが可能です。

机上場面では効果が認められますが、歩行や車椅子駆動などでは十分な視野の拡大は認められなかったされています。

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脳卒中による複視のリハビリテーション

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複視の症状

複視があると、患者さんからは、物が二重に見えるという本質をつく訴えがある場合や、見えにくい、足元が見にくい、などと視力低下ではないかと思ってしまう訴えのように、様々なことが聞かれます。

複視である場合、患者さんは片目のみで見るような問題解決法を用いている場合が多くあります。

日常生活上の影響では、立体的なことがとらえにくくなることから、階段の上り下りが行いにくくなる、歩くスピードがゆっくりになるなどが見られます。

また、包丁で野菜を切る際に指を切りそうになったり、お箸で物をつかむ際に二重に見えているためうまくつかめないなどがあります。

複視は次第に慣れてくるようですが、きちんと評価をすると改善が見られていないということが多々あります。

複視での慣れとは、見えやすいように頭を動かしたりといったことから生じます。

複視には、
①水平方向の複視(外側/内側直筋あるいは両方に関係する外転/内転の障害)
②特定方向の固視で悪化する複視(ある方向の眼球運動の障害)
③遠方の対象物をみると悪化する複視(眼球外転運動や開散の障害)
④近くの対象物を見るとより悪化する複視(眼球内転運動や輻輳障害)
のように現れる可能性があります。

 

眼筋の働き

脳卒中による複視では、動眼神経、滑車神経、外転神経の麻痺によるものです。

動眼神経は上直筋(作用は上転、内転、内方回旋)、内直筋(作用は内転(水平方向のみ))、下直筋(作用は下転、内転、内方回旋)、下斜筋(作用は上転、外転、外方回旋)を支配しています。

滑車神経は上斜筋(作用は下転、外転、外方回旋)を支配しています。

外転神経は外直筋(作用は外転(水平方向のみ))を支配しています。

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評価

臨床では最大のズレを生じる方向(上、下、右、左、斜右上、斜右下、斜左上、斜左下、寄り目(輻輳))と最小方向を確認します。

ズレが最大になる位置での作用筋が麻痺している筋肉になります。

指先を各方向に動かし、追従する眼の動きの角度、速度、その位置での維持(持久力)を確認し、左右差を見ていきます。

片眼のみでの運動機能についても評価していきます。

眼科では、より専門的な検査が可能になります。

Holmesら(2005)は、妥当性と信頼性がある複視の定量的評価の質問しを開発しています。

自己報告式で、7つの注視位置(まっすぐ前方、上方、下方、右、左、字を読む、全ての位置)について評価します。

質問方法:
「あなたはいつも、時々、二重に見えることはありますか。それとも全然ないですか」

0(複視がない)〜25(常にどこでも複視がある)の範囲で採点し、得点に4をかける(乗する)ことで0〜100の尺度に変換します。

注視位置いつも時々全くない得点
遠方前方まっすぐ630
210
420
420
420
読む420
どこでも110
もし上の項目が「いつも」であれば、それを取り除くことが可能であるか-1

複視の治療

薬物療法がありますが、効果は定かではないとされています。

手術適応の場合もあります。

手術以外の患者では、プリズム眼鏡やフレネルプリズム膜での矯正や、眼帯をかけることで対応も可能です。

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複視のリハビリテーション

エビデンスはないですが、私が普段臨床で行なっている方法を紹介していきます。

評価により動きのスムーズさや、動く範囲の乏しい眼球運動方向への運動を促していきます。

その際、ゆっくりとした速度、速い速度で追従させる事や、最大の眼位で維持させることも行います。

眼球運動のリズムという点から、メトロノームを使用し、様々なリズムで眼球運動を促すようにしています。

動きやすい方向に最大限の力で動きを出させ、その後弛緩させ、その後動きを促したい方向に動かしてもらうような収縮と弛緩を利用する方法も行なっています。

文字盤を貼ったUSNトレーナーを正面数センチに置き、上から順に読んでもらい、眼球運動を促す方法もとります。

注意障害の改善のために行う机上課題(使用しているのはわかさ生活の眼球運動トレーニングの用紙)を用い、スムーズな眼球運動を促しています。

大切な事は日々患者の見え方を確認し、眼球運動の状態と照らし合わせながら必要と思われる内容を繰り返していくことです。

しかしながら、眼球運動訓練は、文献上では輻輳不全の改善に限られているようです。

なお、複視がある場合運転に支障をきたす場合もあるため、運転再開には慎重になる必要があります。

眼帯を用いる方法では、二重に見えなくなりますが、美容的問題、自己イメージ低下、周辺視野欠損、眼精疲労、移動での障害、安全性に関する問題などがあります。

そのため、完全遮蔽は一時的なものとする必要があります。

メガネの内側に、視線上に丸いパッチを直接貼り付け、複視を軽減させる試みがあります。

パッチは部分的に隠された眼の中心視をぼやけさせるので、複視軽減に効果があるとされています。

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視空間・空間関係の障害とADL

視空間・空間関係の障害がみられる疾患

視空間・空間関係の障害がみられる疾患として、脳卒中、パーキンソン病、脳外傷、多発性硬化症などがあります。

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視空間知覚の障害が日常生活へ及ぼす影響

視空間障害があると、転倒回数の増加、脳卒中における基本的ADLと移動面での低下、パーキンソン病でのADLと運動機能の障害、更衣動作の困難さと関係しています。

①奥行き知覚(立体覚)
見えている光景から奥行きを把握し、その3次元的な理解を得る視覚系の過程
グラスに水をそそぐ、ボールを取る、縁石の昇降、調理で調理道具にリーチする、自動車の駐車などに奥行き知覚が必要です。
*主に両眼視ですが、単眼的手がかり(光と影、色、相対的な大きさ)にも依存しています。
*単眼視や斜視があると、奥行きの認識が困難になります。

②空間関係
対象物が空間のどこにあるかの視覚的な情報を処理し、解釈する能力です。
対象物同士、対象物と自己を関係付ける過程です。
自分の体に衣服の向きを合わせる、歯ブラシに歯磨き粉をつける、移乗で自分の体の向きを調整する、義歯や眼鏡を自分の体に合わせる、道順を見つける、計算をしながら屋内や屋外を歩くなどに空間関係の技能が必要です。
*この場合、観念性失行や運動性失行は含みません。

③左右判別
左右の概念を利用、応用する能力です。
個人の空間に関係した方向に従う(右足から先に出してください)、移動の際に左右の概念を利用する(◯◯を過ぎたら左に曲がってください)などに左右判別の技能が必要です。

④地誌的見当識
案内路の確認や経路確認をするための視空間と記憶技能を利用する能力です。
移動での行き方の探索、よく知った環境での移動、新規経路の学習などに地誌的見当識の技能が必要です。

⑤図と地の判別(背景から前景の判別)
背景の対象物から前景の対象物を区別する能力です。
白い机の上で白いナプキンを見つける、散らかった引き出しの中からはさみを見つける、単色のシャツの袖を見つける、混雑した部屋で人を見つける、階段を上る(ひとつの段の終わりの判別)などに図と地の判別の技能が必要になります。
*視力の低下などの視覚技能は含みません。

空間関係技能の評価

一般的な机上評価では、2次元の図が描かれている課題を用います。

観察評価では、実際のADL場面を通して、遂行上のエラーを特定し、それがどのような神経学的機能障害に起因しているかを考察していきます。

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視空間・空間関係の障害とリハビリテーション

リハビリテーションでは、主に課題特異的訓練、方略訓練、環境調整が行われます。

視空間関係に障害がある場合のリハビリテーションの指針を以下に挙げます。

・デモンストレーションを多用しない
・言語的説明に焦点を当てる
・空間に基づく説明を控える(上下左右、前後)
・視空間障害への洞察を高める、もしくは発展させる手がかりを用いる(例:シャツを前後反対に着ていれば、「本当に終わりましたか?」から始め、徐々に具体的な手がかりを出す)
・身体に方向付ける手がかりとなるものを与える(例:単色のTシャツよりも、体幹と袖の色が異なるTシャツを用いる)
・動作前に、空間を定位する方略を教える(例:前後を区別するラベルを用いる、シャツ前面の印刷の図柄を見つける、録音テープや文字を用いて順序を確認する)
・同じ空間内で練習できるように同じ向きで座って指導を行う
・対象物へのリーチには触覚を用いる(テーブル上に手を滑らせる)
・引き出しなどを整頓する
・対象物とそれを置く面を色分けする
・必要物品にラベル付けや色分けをする
・必要な道具がいつも同じところにあるようにする
・テーブルや台、階段の端に色付きテープを貼る
・空間での位置関係を理解しやすいようにする(例:冷蔵庫の取っ手やコンロのつまみに色付きテープを貼る)
・触覚情報を用いる(計量カップに液体を入れる前に注ぎ口を触れる)
・安全性のためにゆっくりと確認しながら動く
・棚に内容物のラベルを貼る

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視力障害がある方への生活に対する対処と配慮

視力低下とQOL、心理状態

Chiaら(2004)によると、非矯正視力の障害(0.5相当)は、SF-36で測定されるウェルビーイングの低下には関連性があることを発見しました。

Tsaiら(2003)は視力低下と老年期うつ尺度を用いたうつとの関連では、視覚障害は無価値と絶望の感情に関連があったとしています。

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視力障害と日常生活

視力低下は、薬のビンのラベルが読みにくい、安全に運転できない、転倒のリスクが高くなるなど、様々な動作の遂行に影響を与えます。

視力低下に対する対処法を知ることにより、対象者の動作遂行やQOLを高めることが可能です。

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照明を明るくする

一般的には、光量を増やすことで、視機能を改善することができます。

調理、薬の分別、針仕事などの場面では個別に照明を設置するなどを必要とするかもしれません。

眩しい光を増やさず照明量と輝度の増加のバランスを保つために、ハロゲン、蛍光灯、全波長照明がよいとされています。

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コントラストを強くする

使用する対象物が対比として際立つ背景色を用います。

白い流し台に置く色付き石鹸、白い皿の下に敷く暗い色のランチョンマット、階段の縁にテープを貼るなどの対処があります。

背景模様を減らす

使用する用具の模様が多いと、必要物品を探すのに困難を生じる場合があります。

単一色のベッドカバー上の靴下を探すよりも、パッチワークやキルト上にある靴下を探す方が困難です。

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不用品を減らす、環境調整

物品を整理し、重ならないようにすることで、必要な対象物に焦点が合いやすくする必要があります。

サイズを大きくする

市販の拡大装置、太字のマーカーでのラベル、伝言を大きな文字で書く、携帯電話やパソコンの文字表示を大きくするなどがあります。

 

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