介護保険分野で働くセラピストであれば、介護保険における施設系の概要は知っていると思いますが、回復期などで働いている場合、介護保険分野の知識はあまりないかもしれません。今回、介護保険での高齢者施設の概要についてまとめていきたいと思います。
目次
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私はケアマネージャーの資格を2017年に取得しましたが、普段の臨床場面で介護保険に対する知識の少なさを補おうとしたことがきっかけでした。
ケアマネージャーの資格取得に励むと、介護保険の知識は自然と身についていきます。
もちろん、知識は使わなければ忘れてしまいますから、復習することは大切になりますが。
年々ケアマネージャーの合格率は減少傾向にありますが、自分のスキルアップも行えるので、是非資格取得をお勧めします。
介護保険では、様々なサービスがありますが、その種類には影響されず、定率の費用がかかります。
その費用は、サービス費用の1割負担が基本となっています。
しかし、ある一定以上の所得がある方は、サービス費用の2割負担となります。
そして、2018年8月からは、3割負担になる方もいます。
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サービス費用の2割負担になる方のポイントとして、
・第1号被保険者のみ適用
・前年度の所得に準ずる
・決められた以上の所得がある方にのみ適用
が挙げられます。
まず1番目の、「第1号被保険者」から説明していきます。
第1号被保険者とは、簡単に言うと”65歳以上の方”が対象になります。
また、第2号被保険者とは、”40歳以上65歳未満の方”が対象になります。
上記のポイントから、利用者負担が2割になる可能性があるのは、65歳以上の方が対象になるということになります。
なお、第2号被保険者の方は、年齢が65歳を超えると、第1号被保険者となるので、その次の月から利用者負担が2割になる可能性があります。
2番目の「前年度の所得に準ずる」を説明します。
セラピストとしては、前年度所得の具体的な額までを知っておく必要はないと思います。
もし対象者の方に介護保険の説明をする際には、「前の歳の所得に応じて1〜3割に利用者負担がある」「詳しくは、担当になるケアマネージャーに確認する必要がある」ということを伝えておくべきでしょう。
この辺りの額面上の事については、以下の記事がわかりやすいので参照してもらいたいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/byline/miyashitakumiko/20180622-00086702/
3番目の、「決められた以上の所得がある方にのみ適用」ということですが、
これは、同じ世帯で例えば2人介護保険を利用する方がいるとします。
一人の方が基準以上の所得である場合には、2割または3割負担になります。
もう一人の方が基準以上の所得でなければ、その方に関しては1割負担になります。
そのため、世帯全員に適用されるというわけではないということになります。
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介護保険における高齢者施設には主に、
・施設系
・居住系
に分けることができます。
ひとつ目の施設系では、
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設(平成30年3月末で廃止)→介護療養型老人保健施設に移行
・養護老人ホーム
があります。
また、2つめの居住系では、
・認知症高齢者グループホーム
・軽費老人ホーム(ケアハウス)
・有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
があります。
今回は、順番に各施設の特徴について整理していきたいと思います。
最低限度の知識を有していることは、対象者や家族の方に助言や相談に乗ることができるので、大切なことです。
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特別養護老人ホームは、常に介護が必要で、かつ自宅で常に介護を受けることが困難な要介護者のための施設です。
リハビリテーション職員の配置は必須ではないため、リハビリテーションを実施している所はほとんどないと思われます。
要介護3以上
介護老人保健施設は、病状が安定している要介護者が、看護・医学的管理のもとで介護を受けたり、リハビリテーションを受け、在宅復帰を目指すための施設です。
原則3ヶ月の入所期間となっています。
実際には、次の施設の入所待ちなどでそれ以上の期間入所されている方もいると思います。
要介護者が入所できますが、要介護1or2の方はやむを得ない理由がない場合以外には新規入所はできません。
介護療養型老人保健施設では、病状の安定している長期療養患者が、医学的管理のもと介護を受けたり、リハビリテーションを受けることができます。
要介護者のみで、要介護1or2の方はやむを得ない理由がある場合を除いて利用できません。
養護老人ホームは、様々な事情(家庭環境、住宅事情、経済的理由など)により自宅での生活が困難な高齢者を養護するための施設です。
養護老人ホームでは、特定施設入所者生活介護、または訪問看護・通所介護などの地域の居宅サービスを利用者の選択により利用することができます。
養護老人ホームでは、自立している方から要介護5までの方が対象となっています。
特定施設入居者生活介護とは、まず、特定施設に入居している方が対象となります。
特定施設とは、定員30名以上の有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、適合高齢者専用賃貸住宅で、各都道府県から”特定施設入居者生活介護”の事業者指定を受けたものです。
特定施設入居者生活介護では、特定施設に入居している要介護者が、介護保険サービスを利用して入浴や排泄、食事などの介護などの日常生活の援助やリハビリテーション、療養上の援助を受けることができます。
特定施設入居者生活介護では、一般型と外部サービス利用型の2種類があります。
一般型:ケアプランを施設が作成し、施設の職員が介護サービスを提供する。
外部サービス利用型:施設はケアプラン作成や安否確認のみを行い、施設が契約しているサービス事業所が介護サービスを提供する。
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認知症の方が、他の利用者とともに介護職員の援助を受けながら共同生活を送るサービスです。
少人数(5人〜9人)の中で、入所者3人に対して1人の割合で介護職員を配置します。
ひとつのユニットは9人までで、ひとつの事業所は2ユニットまで持つことが可能です。
認知症の診断を受けた方。
地域密着型サービスのため、利用は施設がある市区町村に住んでいる方が対象となります。
要支援2〜要介護5の方が対象になります。
身体的な問題により独力で生活が不安だと認められた方で、家族の介護や援助を受けることが難しい低所得者の高齢者が、食事や入浴などの生活援助や相談、社会生活を送る上での必要なことを受けるための住居です。
特定施設入居者生活介護、または地域の居宅サービスを利用します。
自立した方〜、要介護5までが対象になります。
地域密着型サービスのため、施設がある市町村に住んでいる方が対象になります。
有料老人ホームでは、入居者に対して食事を提供したり、入浴や排泄の介護が提供されます。
また、家事や健康管理、安否確認や生活相談などのいずれかを提供しています。
入居者は、特定施設入居者生活介護、または地域の居宅サービスを利用することができます。
入居費に関しては比較的高額で、施設により様々な費用が設定されています。
自立した方から、要介護5の方までが対象となります。
介護付有料老人ホームでは、食事、生活支援、介護などのサービスが付いています。
そのため、介護が必要になっても、介護サービスを利用しながら有料老人ホームで生活を続けることが可能です。
利用者3人に対して看護・介護職員合わせて1人以上が配置されます。
住宅型有料老人ホームでは、基本的には食事の提供と緊急時の対応などの支援が付いてます。
介護職員は配置されていません。
介護が必要な状態になれば、入居者は地域の介護サービスの利用を選択することが可能です。
健康型有料老人ホームでは、家事サービスが付いていますが、介護が必要になれば退去する必要があります。
そのため、健康型有料老人ホームの対象は、自立レベルの方となります。
介護保険の利用はありません。
サービス付き高齢者向け住宅では、安否確認や生活相談が必須サービスとして提供されています。
食事サービスなどは別途費用がかかります。
入居者は、自身で地域の居宅サービスを利用することができます。
自立した方から、要介護5の方が利用可能です。
介護保険に詳しくなろうと思うのであれば、一番の早道はケアマネージャーの資格取得の勉強をすることです。
私の場合、晶文社の「ケアマネージャー基本問題集」のみで勉強していました。
この書籍では、上段に一つのテーマに関する問題がいくつか提示され、下段に問題の答えと解説が載っています。
問題の答えを覚えるのではなく、問題のどこが間違っていて、正しくはどうなのか、またそれに関連する事項を整理しながら覚えることが可能です。
それを繰り返し学習していくことで、1回目より2回目、、、5回目というように回数を重ねるごとに理解度が向上し、記憶も定着していっていることが実感できます。