物の名前が言えないときに、安易に失語症と決めつけるのはいけません。そもそも、物品呼称のメカニズムや、物品が呼称できない原因は様々なことが考えられます。今回、物品呼称障害の原因と脳機能のつながりについてまとめていきたいと思います。

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物の名前が言えない!物品呼称障害の原因と脳機能のつながり!

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MMSEにおける物品呼称の評価

MMSE(Mini Mental State Examination)では、その評価項目の中に物品呼称の問題があります。

①時計を見せて「これは何ですか」
②鉛筆を見せて「これは何ですか」

と、視覚的に確認させてから対象物が何であるのかを答えさせる課題です。

この問題を答えられないときには、どのような障害が考えられるでしょうか、また、物品呼称をするというのは、どのような脳機能とのつながりがあり、どのようなエラーが生じると呼称できなくなるのでしょうか。

MMSEについては以下の記事を参照してください。
MMSEの評価項目と脳機能との関連を解説!詳細評価に繋げるための視点!

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物品呼称されるまでの脳内処理

まずは、物品を視覚的に確認してから、それが何であるかを発声するまでの脳内処理過程を考えていきます。

例えば、時計を見て「時計」と答えるまでの脳内での処理過程を見ていきます。

①時計を視覚的に確認
②視覚連合野で形態、色彩などの情報が分析、統合される
③統合した情報を意味記憶の情報と照合する(下側頭回)
④それが時計である(何であるかか)ことを認知する
⑤前頭葉や帯状回から運動開始の指令
⑥対応する語彙記憶をから音韻像に変換される「ト」「ケ」「イ」という音が左上側頭回に把持される
⑦音を構音するための運動記憶が左下頭頂小葉から呼び出される
⑧運動記憶に照らし合わせて運動連合野、運動野が各筋に指令を出す
⑨構音器官によって発声する

このような脳内処理から発声に至ると考えられています。

このような流れを見ていると、これらのうちどれかが障害されても、物品呼称の障害につながることがわかると思います。

脳内処理の大まかな流れと脳部位とのつながりは下図のようになります。

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視覚性失認による物品呼称の障害

視覚性の失認があると、物品呼称ができなくなります。
その特徴としては、
・見たときだけそれが何であるかわからない
・触ったり、聴覚的な情報があればわかる
・動きの情報からは何であるかを認識できる
などが挙げられます。

視覚性失認に関連する脳内処理として、Whatの経路が挙げられます。

脳内の腹側の流れの障害がWhatの経路の障害になります。

Whatの経路では、視覚情報の統覚と統合から、側頭葉に貯蔵される名前や意味の情報と統合することで、見ている対象物の名称と意味を理解することが可能になっています。
Whatの経路(特に左半球)の損傷があると、視覚性の失認が生じます。

前途した物品呼称までの流れの中では、
②視覚連合野で形態、色彩などの情報が分析、統合される
③統合した情報を意味記憶の情報と照合する
④それが時計である(何であるかか)ことを認知する
に当てはまります。

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意味記憶の障害による物品呼称の障害

意味記憶の障害による物品呼称の障害の特徴としては、
・視覚、聴覚、体性感覚を通しても、それが何かを呼称できない
・発症前に獲得した知識を取り出せなく、また発症後に知識を獲得することも困難
・前頭側頭型認知症に多い
などが挙げられます。

意味記憶障害による物品呼称障害と脳機能のつながりについてです。
物品の意味記憶障害は、両側病変が条件だと言われています。
これは、物品の認識には、
・視覚、体性感覚情報(左半球)
・特徴的な音の情報(右半球)
・特徴把握には言葉にしにくい情報(右半球)
などが必要であり、両側の機能が重要だとされているためです。

具体的な脳部位としては、両側側頭葉先端部になります。

記憶障害については以下の記事も参照してください。
健忘、短期記憶、長期記憶?記憶障害に関係する用語の定義を整理する!
脳卒中治療ガイドライン(2015)とエビデンスから見た記憶障害へのアプローチ!
記憶障害の詳しすぎる評価法やリハビリテーションアプローチを紹介

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失語による呼称障害と感覚限局性の失語による呼称障害

失語による呼称障害では、すべての感覚系からの刺激入力があっても、同じ程度に呼称障害が見られます。

感覚限局性の失語による呼称障害ですが、前途した失認による呼称障害との違いとしては、
・呼称障害を生じる感覚系に刺激を入力しても、意味的連合検査やカテゴリー分類検査は可能
な点が挙げられます。

感覚限局性の失語が生じるメカニズムとしては、
・左半球で、特定の感覚系から意味記憶系への入力障害
・右半球の認知領域が左半球から離断
の2つの条件が重なるときに起こります(下図の1or2と4など)。

失語については以下の記事も参照してください。

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