記憶障害の代償と日常生活の遂行のために、電子機器を使用した支援技術により成功する例があります。また、記憶障害の対象者を取り巻く重要な他者を、リハビリテーションの介入に含めることが重要です。今回、記憶障害に使用できる電子機器と支援者に対する方略について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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外的補助手段を用いる場合には、記憶を補ったり、注意や覚醒を促したり、遂行機能を助けるなどの目的があります。
外的補助手段を用いる場合の注意点としては、記憶障害と注意障害が合併している場合ときには、合図(アラームなど)があってもそれが何のための合図か思い出せないこともあるため、合図と一緒に次の手順書などを準備し行動を促すことが大切になります。
記憶障害に利用できる電子機器とその利用例を以下に挙げていきます。
・携帯型コンピュータ
・呼出装置
・ボイスレコーダー、音声記録装置
・個人情報補助具
・スマートフォン
・服用時間を知らせる機能がある薬箱
・タイマー付き電子レンジ
・一定時間が過ぎる、または温度が高くなりすぎると自動的に電源が切れるストーブ
・プログラム可能な記憶ボタンのついた電話
・電話をかける人の名前を言うように設定されたボタン付きの電話
・鍵の探知機の取り付け
・朝の一連の動作などの手がかりとして使用されるテープレコーダー
一般的に発売されている製品もあるので、情報を持っておくことが大切になります。
このような装置の利用には、記憶障害に対するアウェアネスがないと難しい可能性が高いです。
最近はスマートフォンの普及率もかなり高まっているので、スマートフォンを外的補助手段に用いる(導入する)ことは、受け入れの面や利用の面でメリットがあるかもしれません。
近年では、SNS(LINE)を記憶障害の方に用いた報告があります。
「記憶障害と発動性低下を認める患者に対しSNS(LINE)の活用で有効な代償手段を習得できた一例」
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周囲の支援者(職員、家族、介護者など)に対する方略を以下に挙げていきます。
・多くの場合、記憶障害は可逆的でないかもしれないことを理解してもらっておく
・対象者に適した代償的な方略をよく慣れるように練習する
・日々の予定をできる限り同じように(一貫して)し、習慣や日課として定着させる
・生活の場を整頓し、環境をわかりやすく単純化する
・環境からの過剰な刺激を排除する
・カレンダーや時計など、目につく所に覚書を貼るようにする
・潜在的な安全の問題を認識する
・短く直接的な文章を用いる
・重要な情報が文章の最初に来るようにする。また、重要な箇所にマーカーで色付けする
・コミュニケーションの重要な部分を繰り返し、指摘する
・記憶に頼る会話を避ける(今のことについて会話をする)
・文章の繰り返しは必須かもしれない
・会話を要約する
・多くの場合、知能は保たれているかもしれないことを認識する
・物の置き場所を決めておき、常に整頓しておく
・記憶の利用に役立つ写真、記念品などの道具を用いる
・疲労、ストレス、睡眠の低下が記憶障害を悪化させる可能性があることを認識する
・予備の道具を準備する(合鍵など)
・to-doリストの作成を手伝う。課題終了時に、家族にリストに印をつけることを強調することを思い出させる
・道具、引き出しなどにラベルを貼る
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