股関節の安定性には、静的な安定化機構と動的な安定化機構が存在します。今回、股関節の動的安定性に関与するものとして、深層外旋6筋の概要と評価、リハビリ方法ついてまとめていきたいと思います。
目次
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股関節における静的安定化機構には、
・骨形態
・関節唇
・関節包、靭帯
があります。
股関節では、腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の3つが静的安定化機構として作用しています。
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股関節における動的安定化機構には、
・深層外旋6筋
・小殿筋
・腸腰筋
など(他に恥骨筋、短内転筋など)があります。
これらの作用により、大腿骨頭は関節窩に対して求心位に保たれます。
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深層外旋6筋は
・大腿方形筋、梨状筋、内・外閉鎖筋、上・下双子筋
の6つの筋肉になります。
これらの筋肉は、大腿骨頭を関節窩に対し求心位に保つ働きがあります。
深層外旋6筋の筋力(張力)低下があると、股関節の安定性が低下するので、代償的に股関節内転筋群や腸腰筋の筋力を強く発揮するようになります。
すると、これらの筋肉には過剰にストレスがかかり、緊張亢進や短縮(or拘縮)の原因になり、疼痛が生じてしまうことが考えられます。
また深層外旋6筋は片脚立位時の骨盤のコントロールに関与していますが、筋力低下によってそのコントロールが不十分になります。
片脚立位時に深層外旋6筋の筋力低下を代償するには、股関節外転筋を強く働かせる必要があり、これは股関節外転筋の筋緊張亢進や短縮(or拘縮)の原因になり、疼痛が生じてしまうことが考えられます。
さらに、深層外旋6筋に短縮がみられると、股関節の内旋制限が生じますが、これは股関節運動時のインピンジメントの原因になることがあります。
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深層外旋6筋の問題により、股関節の安定性が低下している場合の股関節運動はどうなるのでしょうか。
深層外旋6筋の筋緊張が亢進している場合、
股関節屈曲自動運動⇨外旋運動も出現
股関節屈曲他動運動⇨股関節の後方で、筋が伸びきれない感じを訴える
股関節内旋運動で筋が伸びきれない(抵抗感)を強く感じる
ということが現象として現れます。
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深層外旋6筋の徒手筋力検査(MMT)の方法は以下のようになります(http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/publiccomment/1_mmt20140612.pdf)。
上図のように行います(グレード3-5)。
グレード3:外旋45°まで自動運動し、その構えを保持できる
グレード4:中等度の抵抗に抗して保持可能
グレード5:強い抵抗に抗して保持可能
グレード2以下は下図のように行います。
グレード2:股関節45°外旋位まで求心性収縮による自動運動が可能
グレード1:筋収縮あり
グレード0:筋収縮なし
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深層外旋6筋の促通としてはいくつかの方法があります。
①側臥位での方法
・側臥位(促通側下肢が上)にて、股関節約45°屈曲し、足底は床面に接地させます。
・大転子後方から股関節外旋運動に対して抵抗をかけます。
②背臥位での方法
・背臥位にて股関節約45°屈曲し、足底は床面に接地させます。
・股関節外旋運動に対して抵抗をかけます。