リハビリテーション実施においてはリスク管理に注意していくことが必要になります。今回、心房細動(AF)がある場合のリハビリテーションにおける注意点をまとめていきたいと思います。
目次
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心房細動は不整脈の一つです。
病態としては、心房が小刻みに動いて痙攣しているような状態になっています。
その結果として、脈は不規則に早くなります。
心房正確に収縮しないと、心房→心室へと血液を送ることに障害が生じます。
すると、心臓から全身に送り出す心拍出量は低下します。
心房で生じた不規則な電気刺激は心室に伝わりますが、この刺激は普通よりも速く伝わるので、心拍数は上昇します。
心房細動そのものは直接的に突然死を引き起こすことはほとんどありません。
しかし、細動(細かく震える)することで、心房内に血液の淀み・血液の塊(血栓)が出来てしまい、最終的に脳梗塞の原因となるため、非常に注意が必要です。
その為、心房細動を患っている方は一生涯血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を飲み続ける必要があります。http://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/hcs/af.html
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心房細動により心拍数が上昇すると、自覚症状として「動悸」を感じることがあります。
また胸部の不快感を感じることもあります。
心房細動があると心拍数が上昇しますが、すると心房→心室に血液を送り、心室に満たされる血液量が少なくなります(血液が満たされるための時間確保が困難になる)。
これにより心拍出量が減少し、結果として血圧が低下しやすくなります。
またことのことは心不全にも繋がります。
心拍出量の低下により「疲れやすい」「冷える」「だるい」「動悸がする」などの症状に繋がります。
心拍数の上昇は心不全や胸痛を引き起こすこともあるため注意が必要になります。
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心房細動は脳卒中に繋がることがあるため注意が必要です。
そのメカニズムとしては、
・心房内の血液が心室に完全には送られなくなる
・心房内に貯留した血液が血栓になる
・血栓が崩れて心室から全身に流れ、細い血管ないで詰まる
ことが挙げられます。
いわゆる塞栓症として脳卒中が生じる可能性があるということになります。
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心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインを参考にリハビリテーション実施における注意点を確認していきます。
心不全がコントロールできていて,安静時心拍数110bpm未満であれば,運動負荷試験を考慮する.
運動負荷時の脈拍上昇の程度,自覚症状,運動時間,ピークの代謝当量(METs数)等で,運動療法導入可能か判断する.
また,HR variation index (bpm/min:最大心拍数から安静心拍数を引いて運動時間で割る)が10 bpm/min以下を,心拍数コントロールが出来ているかの判断に使用するのも良い.心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
運動処方について、心拍数を指標にすることは困難と考えられています。
CPXであれば,ATでの負荷量やMETs数から歩行速度を算定して処方を行う.
また,トレッドミル検査では,中強度負荷の場合は最大運動負荷でのMETs数の40~60%から,軽強度負荷ならMETs数の20~40%から運動速度を算出して運動処方を行う.
運動負荷が困難な場合は,自覚的運動強度(Borg指数)を用いて運動処方を行う.
心機能の低下がなければ,中強度負荷の運動強度よりリハを開始する.
心房細動患者のATでの酸素摂取量や脈拍数が,最大運動負荷の40~60%より高値の可能性がある.
中強度負荷の運動強度ではATレベルに達していない可能性もあるため,運動療法導入後に血圧,脈拍,自覚症状をみて,負荷不十分と判断した場合は,高強度負荷への変更を考慮する.心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
とあります。
リハビリテーション開始後は、
・安静時心拍数が110bpmを超えるようであればリハ中止または負荷量を調整します。
・リハ実施後に心不全の自覚症状や他覚症状を確認されても、負荷量を調節することが必要です。
なお、心不全の自覚症状には、
・動悸や息切れ、呼吸困難、むくみ、食欲低下
などがあります。
また、心不全の他覚症状には、
・1週間以内で2㎏以上の体重増加、リハ実施前と比較して安静時および運動直後のSpO2低下、レントゲン上のうっ血像、胸水の増悪
などがあります。