脳卒中ガイドライン(2015)とエビデンスから見た半側空間無視へのアプローチ!

今回、脳卒中ガイドライン(2015)から、エビデンスのある半側空間無視へのアプローチについてまとめていきたいと思います。

目次

脳卒中ガイドライン(2015)とエビデンスから見た半側空間無視へのアプローチ!

脳卒中治療ガイドラインについて知りたい方は

スポンサーリンク

半側空間無視についてのおすすめ記事

脳卒中治療ガイドライン(2015)について

「脳卒中治療ガイドライン2015」では、
・脳卒中一般
・脳梗塞・TIA
・脳出血
・クモ膜下出血
・無症候性脳血管障害
・その他の脳血管障害
・リハビリテーション
について、内科的薬物治療のみではなく、外科的治療、急性期における全身管理、嚥下障害と栄養摂取、合併症予防、リハビリテーション、地域連携等の視点から述べられています。

また、各論文のエビデンスレベルが5段階で評価され、それをもとに下図のように推奨グレードが決定されています。

スポンサーリンク

脳卒中ガイドライン(2015)と半側空間無視へのアプローチ!

どのような戦略が推奨されるか

視覚的探索訓練、無視空間への手がかりの提示、プリズム適応による治療使用することを行うように勧められています。
左耳への冷水刺激、無視空間への眼振の誘発を行う視運動性刺激、視覚探索活動を伴う体幹の回旋、左後頸部筋への振動刺激、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)、アイパッチ、ミラーセラピーについては行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠はないとされています。

そして、上記のアプローチ方法を組み合わせても良いが、治療効果が継続されたり、ADLへの汎化については十分な科学的根拠は認められていません。

エビデンスレベルの高いアプローチの具体例

視覚探索訓練(無視空間への手がかりの提示を含む)

視覚探索訓練では視覚探索能力は改善しますが、ADLの改善については否定的な報告もあります。
半側空間無視患者は左側の刺激を探索しようとせず、右側の刺激に引き付けられるという特徴があります。
このような視覚探索について、その訓練方法の基本と留意点を示します。
・左側を見るように合図を出す
・探索する空間枠の左端に目印をつける
・レベルに合わせて刺激の密度、難易度を段階付けをする
・視覚探索右に跳躍しないように工夫する
・右側の視覚刺激に反応したら視界からなくす
・すぐ探索をやめないように声かけなどで工夫をする
・課題に適した探索を組織化する
・日常生活に即した課題を取り入れる
・繰り返訓練する
といった点を意識して訓練を行っていきます。

基本的にはわかる物品、用紙などをわかる空間から提供し、左方向へずらしていき、気づきを促していくことが重要であると考えています。

エビデンスレベルは低いが、行うことを考慮しても良いアプローチ

上肢強制使用(四肢活性化)

ある程度随意運動が見られる場合、無視側上肢を強制使用させることも治療に取り入れてみると良いと思われます。たんに左側を見るだけでなく、左上肢を左空間内で動かして、それを見ることで無視が改善したとの報告もあります。

体幹回旋

頭部や視線だけでなく、体幹の回旋も加えることで半側空間無視が改善されたとの報告があります。
後に説明する頸部振動刺激との組み合わせ、視覚探索課題との組み合わせなどで訓練効果が高まる可能性があります。

頸部振動刺激

頸部振動刺激と半側空間無視に関して、

左後頸部筋に振動刺激を与えると、筋紡錘を通じて筋が伸張されたという求心性感覚入力が生じ、体幹が頭部に対して相対的に左方に向いた錯覚が起こる。

これによって、身体中心の座標系の右方偏倚が矯正される可能性がある。

後頸部振動刺激は、視覚走査訓練と組み合わせると無視が改善し、リハビリテーションへの応用の可能性が示された。

高次脳機能障害学 第2版 P173

とあります。
身体中心座標系の正面が左方向に向くことで、正面と思うところを指差すと左方向に移ります。

アイパッチ訓練

半側空間無視患者の視線は右方向を向く(眼球が右を向いている)ことが多いです。
そこで、メガネのレンズ部分の右側を覆い、強制的に視線が左方向を向くようにすることで、左への気づきを促していくことを期待して行います。
これにより、頸部、体幹の左回旋も入りやすくなる可能性があります。
アイパッチを行いながら、車椅子駆動練習等を行います。

側方ミラーアプローチ(ミラーセラピー)

側方ミラーアプローチは視覚と体性感覚の統合を図り、身体図式を高めることを期待して行います。
①患者の右側に矢状面方向で鏡を置きます。
②患者は鏡を確認します。
③体の左側にボール等目印を提示し、鏡像であることを確認します。
④患者はリーチしてボールを掴みに行きます。
⑤掴めない場合ボールを近づけます。
⑥ボールを掴めるようになったら徐々に離していきます。
⑦リーチ動作を繰り返します。

スポンサーリンク

高次脳機能障害に対する介入でお悩みの方