摂食・嚥下機能の低下があると、低栄養状態になりやすく、また誤嚥生肺炎や褥瘡を合併するリスクも高くなります。そのため、摂食・嚥下機能を適切に評価し、低栄養状態からの脱却を図ることが重要となります。今回、リハ栄養における摂食・嚥下機能評価のポイントと解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
スポンサードサーチ
スポンサードサーチ
摂食・嚥下には5つの期があります。
認知期では、食物であるということを認知して、何をどのように食べるかということを判断していきます。この期における観察評価のポイントは、嚥下する前にたくさん口の中に入れていないか(ペーシングの問題)、拒食がないかなどを見ていきます。
ペーシングの評価については以下の記事を参考にしてください。
準備期では食物を口の中に取り込み、食物を噛んで食塊を作ります。この期における観察評価のポイントは、唾液や食物が口唇からこぼれていないか、咀嚼が困難ではないかを見ていきます。
口腔期では、食塊を口腔から咽頭に送り込んでいきます。この期における観察評価のポイントは、嚥下後に食物が口の中に残っていないかを確認します。
咽頭期では嚥下反射により食物を咽頭から食道に送り込みます。この期における観察評価のポイントは、誤嚥によるむせがないか、むせはなくても呼吸や声に変化がないかを確認します。
食道期では食塊を食道から胃に送り込んでいきます。この期では胸やけん有無を聞いたり、嘔吐することがないかを確認します。
摂食・嚥下機能の評価では食事場面の観察が重要であり、観察により認知期から咽頭期までは評価が可能です。
スポンサードサーチ
①反復唾液嚥下テスト
30秒間唾液を空嚥下させ、3回以上嚥下可能であれば正常、2回以下であれば異常と判定します。
②30ml水飲みテスト
椅子座位で「普段通りに飲んでください」と指示して30mlの水を飲んでもらいます。1回5秒以内であれば正常範囲内となります。5秒以上かかる、もしくは2回以上に分けると嚥下障害の疑いがあります。むせる、飲みきれない場合は異常と判定します。
③頸部聴診法
水飲みテストの際、甲状軟骨〜輪状軟骨直下の器官外側上皮膚面で嚥下音と呼吸音の聴診を行います。正常では、短く強い嚥下音と、その後の澄んだ呼吸音となります。咽頭収縮力低下、咽頭残留、咽頭侵入、むせのない誤嚥の疑いがある場合、長く弱い嚥下音、複数回の嚥下音、水泡様の嚥下音、嚥下後の喘鳴(ぜいめい)音・湿性音、呼吸音と嚥下音の連続音が確認できます。
④パルスオキシメーター
水飲みテストの際、酸素飽和度をパルスオキシメーターで評価します。テスト前後で酸素飽和度が3%低下した場合、摂食・嚥下障害の可能性が高いと判定します。
*チェーンストークス呼吸等の呼吸異常がある場合判定することができません。
スポンサードサーチ
①フードテスト
ティースプーン1杯(3〜4g)のプリンやゼリーのを嚥下させます。口腔内の状態をよくしてから実施します。嚥下あり、むせ・湿声嗄声・呼吸変化・口腔内残留なしの場合、口腔内残留あっても追加嚥下で残留が無くなる場合正常と判定します。口腔内の確認と、頸部聴診法、パルスオキシメーターを併用します。
②改訂水飲みテスト
冷水3mlを嚥下させます。嚥下あり、むせ・湿声嗄声・呼吸変化なしの場合正常と判定します。頸部聴診法とパルスオキシメーターを併用します。
これら2つのテストで異常と判定された場合には、嚥下造影や嚥下内視鏡によりさらなる評価が必要になります。
スポンサードサーチ
摂食・嚥下機能には、心理・社会的側面も影響します。
そのため、ICFによる活動、参加、個人因子、環境因子も含めた、トータル的な視点で摂食・嚥下機能を捉えていく必要があります。