筋萎縮の原因には、廃用性、原疾患、飢餓、サルコペニア、悪液質があり、筋萎縮の原因に合わせた栄養管理とリハビリテーションが必要になります。今回、筋萎縮の原因(廃用性、原疾患、飢餓、サルコペニア、悪液質)とリハビリテーション栄養について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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廃用症候群は、疾患などの影響により活動性や運動量が低下することにより起こる全身的な機能低下の状態をいいます。廃用症候群には明確な診断基準はありません。
廃用症候群の判断材料としては、一定期間以上の安静や不活発・不活動の時期があることが必要となります。
廃用症候群では廃用性の筋萎縮が1つの症状としてみられ、加えて骨粗鬆症や関節拘縮がみられることもあります。
廃用症候群の改善には安静をできる限り避け、活動性や運動量を向上させること、筋力トレーニングなどにより積極的に体を動かすことが挙げられます(他の筋萎縮の原因を合併していない場合)。
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原疾患とは、神経筋疾患・運動器疾患・内分泌疾患などがあります。
原疾患には筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、平山病、筋ジストロフィー、ミトコンドリア脳症、重症筋無力症、頚椎症性脊髄症などがあります。
治療可能なものは疾患の治療を優先することが求められます。
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エネルギー摂取量よりエネルギー消費量が多い場合に生じます。
飢餓状態の分類によると、マラスムス型ではエネルギー摂取量の不足と、それに伴う蛋白質の摂取量不足が特徴です。るいそう(脂肪組織が病的に減少した状態)や筋萎縮が生じますが、アルブミンなどの検査値は正常なことが多くあります。
クワシオルコル型では、エネルギー摂取量よりも蛋白質の摂取量が低下しており、アルブミン等の検査値低下や浮腫、腹水を認めるますが、体重は維持されていることが多くあります(筋萎縮は伴う)。
混合型は両方の特徴があり、るいそう、筋萎縮、検査値低下があります。
治療には適切な栄養管理が必要で、筋力トレーニングを行うと逆効果となります。
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サルコペニアとは、
骨格筋減少症や筋肉減少症とも訳されるが、サルコペニアと使用されることが多い。狭い定義では加齢により生じる筋肉量の減少であり、老年症候群のひとつといえる。広い定義では、不適切な臨床栄養管理、原疾患や廃用による筋萎縮など、すべての原因による筋肉量の減少が含まれる。
PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養 P15
とあります。
加齢による生理的な筋肉量の減少では、30代以徐々に減少します。50代以降で減少速度が速くなり、80代ではピーク時の約半分まで減少すると言われています。
サルコペニアの治療には成長ホルモンやテストステロンなどの研究もありますが、最も効果的なのは筋力トレーニングです。
サルコペニアやロコモ、フレイルについては以下の記事も参照してください。
不活発を防ぐ!質問紙を用いて身体活動量を計測する方法!
ロコモティブシンドローム(ロコモ)の評価指標とリハビリテーション
健康づくりとリハビリ!体力測定から運動の目安、運動方法!
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悪液質は末期癌の終末期だけでなく、
併存疾患に関連する複雑な代謝症候群で、筋肉の喪失が特徴である。脂肪は喪失することもしないこともある。臨床的特徴は成人の体重減少(水分管理除く)、小児の成長障害(内分泌疾患除く)である。食思不振、炎症、インシュリン抵抗性、筋蛋白崩壊の増加がよく関連している。飢餓、加齢に伴う筋肉喪失、うつ病、吸収障害、甲状腺機能亢進症とは異なる
PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養 P16
といような定義もあります。
悪液質の原因としては、感染症、がん、関節リウマチ、慢性心不全、慢性腎不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などがあります。
原因疾患の改善により悪液質が改善することもあります。悪液質では筋力トレーニングは廃用予防として行います。