回復期リハビリテーション病棟においては、対象者の活動性を向上させることが、早期退院にも繋がることから、歩行自立を早期に獲得することが重要です。しかしながら、歩行自立を許可する条件がセラピスト、看護師ともにはっきりしないということも課題としてあります。今回、回復期リハ病棟における脳卒中患者の歩行自立を許可するための条件を、文献を参考にまとめていきたいと思います。

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回復期リハ病棟における脳卒中患者の歩行自立を許可するための条件は?

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参考にした文献

内 哲男他「回復期リハビリテーション病棟における歩行自立判定テストと自立後の転倒者率」身体教育医学研究 13:9-14,2012

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歩行自立と転倒リスク

冒頭でも述べましたが、回復期リハビリテーション病棟では、いかに対象者の活動性を向上させていくかが、早期退院に繋がります。
そのため、身体機能・活動能力の向上とともに歩行自立を許可するタイミングも重要になってきます。
しかしながら、歩行自立の許可のタイミングは何を基準にして用いれば良いか迷うことがあります。
転倒リスクを大きく考えすぎると、それは帰って対象者の害になることがあります。一方、対象者の動作能力を過大評価しすぎると、転倒リスクを高めることにつながります。

脳卒中対象者の転倒リスクを予測する指標としては、Timed Up and Go test(TUG)、麻痺側下肢荷重率、Functional Balance Scale(FBS)などがありますが、これらの指標に加えて、日常生活上の課題を踏まえた指標を用いることで、より転倒リスクを正確に把握することが望ましいと思われます。

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生活課題に着目した歩行自立判定のための評価指標

歩行自立判定テストの概要

歩行自立判定テストは、今回参考にしている文献に記載されているものです。
歩行自立判定テストの特徴として、以下を挙げています。

①担当セラピストではなく病棟看護師が評価を担当
②歩行速度やバランス能力など特定の評価バッテリーを利用せず動作の可否だけで簡便に判断可能
③病棟内での転倒しやすい動作を想定した 7 項目に加え
看護師の経験則や直感も加味している点であり,8項目すべてについて3日連続クリアののちリハビリテーション担当医が最終的に自立の可否を決定している。
なお,テストの開始基準は看護師による病棟内見守り歩行可能者とした。

内 哲男他「回復期リハビリテーション病棟における歩行自立判定テストと自立後の転倒者率」身体教育医学研究 13:9-14,2012

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歩行自立度判定テストの評価方法

評価項目

①ベッドのカーテンの開閉ができる
②後ろ歩きが3歩できる
③立位で床に落ちた杖を拾うことができる
④その場周り(180度)が右回り・左回りとも行える
⑤目標の場所まで到達できる
⑥机の前の椅子を引いて座り、立ち上がって歩き出す
⑦病棟の廊下を大回り1周できる
⑧病棟内の歩行自立が可能だと思う

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歩行自立度判定テストの評価項目の特徴を考える

歩行自立度判定テストでは、その評価項目が、転倒する際によく聞かれる内容になっていることだと思います。
「①ベッドのカーテンの開閉ができる」では、上肢リーチングに伴う左右の重心移動を伴う課題であり、カーテンを開け閉めする際の視覚的な情報の変化にも対応しながらバランスを保持する必要があります。

「②後ろ歩きが3歩できる」では、対象者は歩行練習として前方への推進力を得ることには慣れていますが、後方へのバランス制御は得意でないことが多々あります。後ろ歩きということは後方にバランスを崩しやすくなりますから、いかに前方へ重心を保ちながら後ろにステップできるかという課題になります。

「③立位で床に落ちた杖を拾うことができる」では、中腰姿勢が必要とされますが、脳卒中の方では意識的に下肢の出力を保つことができるが、別のことをしながらでは無意識的にその姿勢をコントロールするための姿勢筋緊張をコントロールすることが難しいこともあります。

「④その場周り(180度)が右回り・左回りとも行える」では、麻痺側方向、非麻痺側方向に回転する時に、いかにバランスを保つことができるかが要求されます。一般的に、麻痺側の支持性が低いことから、麻痺側を軸とした回転での転倒リスクが高まると言えます。

「⑥机の前の椅子を引いて座り、立ち上がって歩き出す」では、これも後方への重心移動を伴う課題です。椅子を引く際に、無意識的に姿勢筋緊張をコントロールしながら、後方へのバランスを崩さないように保持する能力が求められます。

「⑧病棟内の歩行自立が可能だと思う」では、看護師の経験則に基づく主観的なものを尋ねています。この項目は、看護師の経験によって捉え方が異なることもあるため、複数の看護師に確認してもらうことで正確性を補うことも必要かもしれません。

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