せん妄リスクに対する予防、せん妄改善のための評価とアプローチ方法についてまとめて行きたいと思います。
目次
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せん妄は急性期だけでなく回復期、維持期と様々な病期でみられ、また在宅や施設でもみられます。
せん妄があると転倒のリスクが高まったり、点滴の抜管があったりと、安全面での問題が生じやすくなるため、早期発見、早期治療を行っていくことが求められます。
せん妄の症状と観察の視点について、
せん妄は,意識の清明度が変化し,不安や幻視などの精神症状を伴う状態である。
意識の微妙な変化を捉えるには,継続的な観察が必要で,勤務帯毎の違いが重要な情報になる。
また,ぼんやりしていたり,眠そうにしていたりするといった変化以外に,普段と違ってイライラした様子がみられるなどの感情の変化や,急に排泄を失敗するよ うになるなど日常生活機能の低下としても観察される。
せん妄は入所時など環境が変化した時に生じやすいことから,入所時に普段の様子について十分情報収集しておく必要がある。
錯視や幻視などの知覚の異常は感覚刺激が少なくなり,意識レベルも低下する夜間に多くみられる。
知覚の異常に伴って妄想がみられることもあるが,断片的で被害的な色彩を伴うものが多い。高齢者ケアにおけるアセスメント:精神的側面
とあります。
せん妄の治療には薬物療法が行われますが、その効果判定は夜間の行動を元に判断するため、夜間帯の様子を詳細にチェックしておくことが必要です。
薬剤の投与時間と、その後の行動の変化を把握していきます。
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せん妄を生じさせるリスク因子として、以下のようなものがあります。
・70歳以上
・脳器質障害(脳転移含む)
・認知症
・アルコール多飲
・せん妄の既往
・ベンゾジアゼピン系薬剤内服
これらの項目に当てはまれば、せん妄を生じさせるリスクがあると言えます。
また、これらの項目に当てはまらなければ、経過観察をしながら対象者の状態に変化がないかを確認していくことが重要になります。
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以下の症状が見られるかをチェックします。これらの症状が当てはまらなくても、前途したリスク因子(70歳以上
、脳器質障害(脳転移含む)、認知症、アルコール多飲、せん妄の既往、ベンゾジアゼピン系薬剤内服)がに当てはまれば、後に述べるせん妄リスクへの予防やせん妄への対応方法を検討して行きます。
注意の欠如、意識レベルの変容:
・ぼーっとする、もうろうとしている
注意の欠如:
・今までできていたこと(内服管理、服装を整える、ベッド周りの整理など)ができなくなる
・視線が合わずに、キョロキョロしている
・ルートを触る、
・体を起こしたり横になったりと同じ動作を繰り返す
・周囲の音やスタッフの動きに気をとられる
意識レベルの変容、注意の欠如:
・質問に対する反応が遅い
・焦燥感が強く、落ち着かない
・目がギラギラしている
・感情が短時間でころころと変わる
・まわりくどく、まとまらない
・つじつまがあわない
注意の欠如:
・何度も同じことを聞く
・話に集中できない
・質問と違う答えが返ってくる
・今日の日付
・今の時間が何時頃か
・今いる場所について
・最近あった出来事(朝ごはんのメニュー、入院した日にちや治療した日)を覚えているか
・自覚症状の有無(ボーっとしたり、普段と比べて考えがまとまりにくいことがあるかなど)
・急性発症か、症状の変動(日内変動や数日での変化)を確認
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せん妄と思われたら(判断される)、その時期と原因のアセスメントが必要になります。
せん妄発現のメカニズムとして、準備因子、誘発因子、直接因子がありますが、前途したリスク因子が準備因子に当てはまります。
誘発因子は、
・入院や転居などの環境変化
・ICUなどの過剰な刺激
・睡眠と覚醒リズムの変化
・不安などの心理的ストレス
・痛みや頻尿などの身体的ストレス
・盲や聾などの感覚遮断
・拘禁状態(動けない状態)
などがあり、これらが誘発因子となりせん妄を発症させるリスクがあります。
直接因子には以下のようなものがあります。
・脳血管障害や脳腫瘍などの中枢神経系疾患
・代謝性疾患(糖尿病や腎・肝疾患)、内分泌疾患(甲状腺疾患など)NO内科的疾患
・外科的疾患
・依存性薬物からの離脱(アルコール、睡眠薬、抗不安薬)
・中枢神経系に作用する薬物(ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗不安薬、抗コリン薬、ステロイド、H2ブロッカーなど)
これらの要因に対して、
・感染兆候の検索と対応、熱苦痛の緩和
・低酸素の評価と酸素投与の検討
・電解質異常(Na,Ca)として採血データの確認、補正
・脱水対策として飲水励行、脱水補正
・排便の確認、排便コントロール
・疼痛の評価と適切な疼痛マネージメント
・障害睡眠時間中のケア、処置を極力避ける環境
・日中の活動を促す、身体拘束をさける
・眼鏡、補聴器の使用、耳垢の除去
・安全な環境作り、危険物の持ち帰りを検討、転棟・部屋移動を避ける
・適切な照明とわかりやすい標識
・見当識を促す(時計とカレンダーの設置)
・家族と友人との定期的な面会薬
・せん妄の原因となる薬中止・減量が可能か検討(ベンゾジアゼピン系、オピオイド)
・せん妄症状を改善する薬(リスペリドン、クエチアピンなど)の処方
を行います。
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