リハビリテーションを提供する際に、その治療肢位の選択理由を明確に持てているでしょうか?治療肢位の選択は、治療効果にも影響するため重要な因子とも言えます。今回、リハビリ時の治療肢位の選択基準はや臥位、座位、立位の目的と選択方法についてまとめていきたいと思います。
目次
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急性期などでは、まずはベッド上治療か、もしくは車椅子移乗可能かどうかを見極めていく必要があります。
安静度やバイタルサインが指示の範囲内であれば、次に対象者が離床しても良いのかを判断していきます。
具体的には、以下のような項目を元に離床可/不可の判断をしていきます。
・発熱
・不整脈
・安静時心拍数
・安静時血圧
・動悸、狭心痛
・安静時の異常呼吸
・息切れ、倦怠感、疲労感
・心機能
詳しくは、以下の記事を参照してください。
早期離床のヒント!リハビリテーションにおける基準や指標は何か!
前途したような離床基準が満たされれば、まずはヘッドアップ(30度まで)を行います。
もし、離床基準が満たされないのであれば、ベッド上での可動域運動や筋力トレーニングを行います。
ヘッドアップ30度まででバイタルチェックを行い、自覚症状の有無も確認し、中止基準に当てはまるようであればヘッドダウンを行います。
バイタルチェックや自覚症状に問題がなければ、端座位が取れるかどうかを基準を元に判断していきます。
この時、まずは意識障害の有無をJCS(Japan Coma Scale)を判断基準にして見ていきます。
Ⅰ 刺激しなくても覚醒している状態(―桁で表現)1 大体意識清明だが、今ひとつはっきりしない
2 見当識障害がある 3 自分の名前、生年月日がいえない |
Ⅱ 刺激すると覚醒する状態−刺激をやめると眠り込む−(2桁で表現)10普通の呼びかけで容易に開眼する (合目的的な運動をするし言葉もでるが間違いが多い) 20大きな声、または体を揺さぶることにより開眼する (簡単な命令に応ずる。例えば離握手) 30痛み刺激を加えつつ、呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する |
Ⅲ 刺激しても覚醒しない状態(3桁で表現) 100痛み刺激に対し、はらいのけるような動作をする 200痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめる 300痛み刺激に反応しない |
注 R :不穏、I: 失禁、A :無動性無言、 失外套症候群
JCS10以下ではギャッジアップ60°または端座位を取れる状態であると考えられます。
またJCS20〜100ではギャッジアップ45°、60°、端座位と段階的離床を進めていきます。
*この時、ギャッジアップするごと、または姿勢変換ごとにバイタルサインや自覚症状を再検する必要があります。
医師により安静度の指示が出ているのであれば、まずは車椅子移乗が可能かどうかを確認する必要があります。
基準を設定するとすれば、
・ JCS10以下の場合は、起立練習が可能かどうか
・JCS20〜100の場合は端座位が10分可能かどうか
を基準に車椅子移乗かどうかを考えます。
また、座位の耐久性訓練の目安としては、林田(1989)の基準が参考になります。
座位耐性訓練の基準
1.障害(意識障害,運動障害, ADLの障害) の進行が止まっていること
2.意識レベルが1桁であること
3.全身状態が安定していること
座位耐性訓練の試行基準
1.開始前,直後, 5分後, 15分後, 30分後に 血圧と脈拍を測定する
2. 30°, 45°, 60°,最高位(80°)の4段階とし, いずれも30分以上可能となったらつぎの段階に進む
3.まず1日2回,朝食・昼食時に施行し,安定したら食事ごととする
4.最高位で30分以上可能となったら車椅子座位訓練を開始する
座位耐性訓練中止の基準
1.血圧の低下が10mmHg以上の時は5分後の回復や自覚症状で判断, 30mmHg以上なら中止
2.脈拍の増加が開始前の30%以上,あるいは 120/分以上
3.起立性低低血圧症状(気分不良等)が見られた場合
このような基準に従い、車椅子異常可能かどうかを判断していきます。
車椅子移乗については、対象者の身体機能も考慮しながら車椅子の種類を選択していく必要があります。
その際の基準は頚部・体幹のコントロールが自己にて行えるかどうかです。
頚部・体幹のコントロールが不十分な場合:リクライニング型車椅子
頚部・体幹のコントロールが十分な場合:普通型車椅子
を使用します。
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上記離床基準はあくまで一例です。
医師の指示や勤務施設のマニュアルに従い離床を実施するようにしてください。