脳梗塞などの脳血管障害においては、病態を理解し、リスク管理をした上でリハビリテーションを展開することが求められます。今回、脳血管障害とリハビリテーションにおけるリスク管理のポイントについてまとめていきたいと思います。



目次

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脳血管障害とリハビリテーションにおけるリスク管理のポイント!

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脳血管障害にはどんなものがある?

脳血管障害は、主に以下の3つに分類されます。

・脳梗塞
・脳出血
・くも膜下出血

脳梗塞では、

・脳梗塞の増悪
・出血性脳梗塞
・脳梗塞の再発
・脳浮腫

がリスク管理におけるポイントになります。

脳出血では、

・血腫の拡大
・急性水頭症
・脳浮腫
・再発
・痙攣

がリスク管理におけるポイントになります。

くも膜下出血では、

・再破裂
・脳血管攣縮
・正常圧水頭症

がリスク管理におけるポイントになります。

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脳梗塞とリハビリテーションにおけるリスク管理のポイント

脳梗塞の増悪、再発

脳梗塞の増悪(進行)は、その多くが発症後1週間以内で、大部分は48時間以内に起こることが多いとされています。

すべての対象者に当てはまるというわけではありませんが、急性期リハビリにおいては、増悪が起こりやすいということを踏まえて、対象者の神経症状の観察に努めることが求められます。

脳梗塞の再発は、発症後1ヶ月から1年の間が一番起こりやすいとされています。

そのため、入院中やリハビリテーション場面でも脳梗塞再発に遭遇するケースもあり、神経症状の変化を見逃さないようにすることが大切になります。

神経症状が早期発見できれば、後遺症は軽度で済むことが多いので、発見後、すぐに処置を行うことが望ましいと言えます。

出血性脳梗塞

出血性脳梗塞とは、

血栓性脳梗塞や心原性塞栓性脳梗塞において塞栓子が融解や遠位側へ移動することによって壊死組織に血流が再開通することがある。

壊死組織では血管壁の透過性が上昇しているため、再開通を機に血管性浮腫が増悪したり、あるいは梗塞により脆くなった血管壁があると、そこから出血がおこることがある。

これを再潅流障害という。出血が起こった場合を出血性梗塞という。

Wikipedia

出血性脳梗塞の特徴としては、

・発症から2〜3週以内に多くが発症する
・閉塞していた血管を再開通したことが原因となる
・脳梗塞の2〜4割程度に認められる
・脳血栓<脳塞栓で多いとされ、梗塞巣の範囲の広いもので起こりやすい
・t-PAを使用することが発生の原因となることが多い

などが挙げられます。

ちなみに、

脳血栓:局所に血栓ができ、それが脳まで達して血管をふさぐ状態
脳塞栓:脳の動脈硬化進行により血管が狭くなり、 出来た血栓が脳内の動脈をふさぐ状態

という違いがあります。

t-PAというのは脳梗塞の治療薬です。

アルテプラーゼ(tPA)という脳梗塞治療薬は、閉塞した血栓を溶解させ、途絶した脳血流を再開させることが可能で、発症4.5時間以内にこの薬剤を静脈内投与できれば、脳梗塞が劇的に良くなる可能性があります。

しかし、合併症(脳出血、出血性梗塞)が出現することもあります。

https://www.ims.gr.jp/fujimisougou/neurosurgery/chiryo03.html

脳浮腫

脳浮腫は、発症後数時間から数日にかけて生じることがあり、そのピークは2〜4日(もしくは3〜7日)だと言われています。

病巣が小さければ脳浮腫による局所的な神経症状が出現します。

一方、病巣が大きければ、脳浮腫による頭蓋内圧亢進症状として、意識障害などがみられます。

脳浮腫は周囲の脳組織を圧迫しますが、この状態を頭蓋内圧亢進と呼びます。

頭蓋内圧亢進においてみられる症状は急性期と慢性期では異なることが特徴です。

急性期:
激しい頭痛、悪心・嘔吐、クッシング現象(徐脈、血圧上昇)、意識障害、網膜出血、散瞳、けいれん

慢性期:
頭痛、悪心・嘔吐、視力障害、めまい、うっ血乳頭、外転神経麻痺、記憶障害、人格変化、尿失禁、歩行障害、認知機能低下

リハに役立つ脳画像

脳梗塞による脳浮腫は約1ヶ月で消退すると言われています。

脳浮腫が重症化すると、頭蓋内圧が高くなり、脳ヘルニアにつながってしまうことがあります。

脳ヘルニアとは、脳が正常に収まっている場所から一部が飛び出してしまう状態になります。

脳ヘルニアでは、命の危険に関わることもあります。

脳浮腫は、脳画像をみることによりわかりますが、その経過において随時画像をとるということは珍しいのかと思います。

そこで、参考にしたいものがアルブミン(Alb)値になります。

通常、アルブミンの基準値は4.1~5.1g/dlとなっています。

アルブミンは低栄養の指標としても用いられます。

低栄養の指標としては、アルブミン値が3.5g/dl以下とされてます。

浮腫の指標としては、2.5g/dl以下となっています。

これを脳浮腫に当てはめることはできるのかどうかわかりませんが、経過をみるときの参考としてみてください。

脳梗塞の病型とリスク管理のポイント

脳梗塞の病型を分けると、

・アテローム血栓性脳梗塞
・心原性脳塞栓症
・ラクナ梗塞

と大きくは3つに分けることができます。

アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞とは、以下のようなことをさします。

アテローム血栓性梗塞は、首から脳に通じる頸動脈や頭蓋内の比較的太い動脈の硬化(アテローム硬化)が原因となって起こる梗塞です。

アテローム硬化とは、血管の中でコレステロールがお粥(かゆ)が固まったようになっていることから、粥状硬化(じゅくじょうこうか)ともいわれます。

アテロームができると血管が狭くなり、そこに血栓ができて詰まったり、その血栓がはがれて流れだし、その先で詰まったりするために起こるタイプの脳梗塞です。

https://kanja.ds-pharma.jp/health/ketsuatsu/complete/complications/co07.html

アテローム血栓性脳梗塞では、側副血行路の発達程度によって、脳梗塞の病巣の広がりや、脳梗塞を免れた領域の脳血流の程度はさまざまです。

脳梗塞を免れた領域では、血流低下が認められることがあり、血圧に依存して脳血流が保たれていることがあります。

そのため、血圧低下により脳血流が低下すると、再発を招いてしまうことも考えられます。

バイタルを常に確認し、リスク管理を行いながらリハビリテーションを進めていくことが必要になります。

脳血流の自動調節能

脳は通常の血圧変動に対しては、脳血流自動調節能によって脳血流を一定に保つことが可能です。

しかし、脳梗塞が生じると、この機構は破綻してしまいます。

脳梗塞は高血圧の持続したものに発症し易い. 高血圧が持続した患者では,脳循環の自動調節能の下限が高い方へ偏位しており,正常血圧者では影響を与 えないような血圧下降でも,脳血流が減少する可能性がある.

脳梗塞急性期の病巣部およびその周辺では,自動調節能が障害されており,血圧の変動に伴って血流量が増減する.

つまり,血圧下降によって脳血流は減少する.

早期頭部挙上による起立性低血圧も,脳血流減少につながり,梗塞巣の増大の可能性がある.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/31/6/31_6_531/_pdf

とあります。

脳血流自動調節能の障害は、広範囲の梗塞、主幹動脈閉塞、椎骨動脈系の閉塞で起こることが多いとされています。

また、障害は3週間から100日と長い範囲持続するとの報告もあるようです。

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症とは、以下のような病態をさします。

心原性塞栓症は、心臓あるいは頸動脈などの太い血管でできた血栓(血の塊)が、ある日突然、血液の流れに乗って脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせてしまうものです。

比較的大きい病巣ができるため、症状が強いことが多く、生命が危険な場合も多くなります。

正常な心臓に血栓ができることはありませんが、心臓の機能がおとろえたり、リズムがおかしくなったりすると、血流が乱れ血栓ができるのです。

血栓ができやすい心臓の病気には、心房細動、リウマチ性心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症などがあります。

https://kanja.ds-pharma.jp/health/ketsuatsu/complete/complications/co07.html

心原性脳塞栓症は、心房細動による起こることが多く、発症は急激で、広範囲な病巣となりやすく、重症な方が多いといえます。

心原性脳塞栓症では、境界がわかりやすい皮質梗塞や、大型の穿通枝領域の梗塞を生じることが多いとされています。

病巣が広範囲であることから、出血性梗塞や脳浮腫を起こしやすいとされています。

心原性脳塞栓症では、心房細動に起因するものが多いですが、その場合にはワーファリンが治療薬として第一に選択されます。

その際に注意しておきたいことは、易出血性です。

そのため、転倒などが起きないようにリハビリ場面や室内の環境設定を行うとともに、対象者の方には十分に注意していただくように指導教育することが大切になります。

また、心原性ということもあり、心不全や不整脈などについてもリスク管理項目として注意していくことが求められます。

ラクナ梗塞

ラクナ梗塞とは、以下のような病態をさします。

ラクナ梗塞は脳梗塞の半数近くを占め、日本人では一番多いタイプです。脳の細い動脈が高血圧で痛めつけられながらも破れずに長期間を過ぎると、だんだん詰まって、脳の深い部分に小さな梗塞ができます。これがラクナ梗塞です。この小さい梗塞は、症状を出さないことも多く、その場合を症状のない梗塞、すなわち無症候性脳梗塞といいます。

高齢者に多く、症状はゆっくりと進行します。意識がなくなることはなく、夜間や早朝に発症し、朝起きたら手足のしびれや言葉が話しにくいという症状で気づくというケースも多いようです。

https://kanja.ds-pharma.jp/health/ketsuatsu/complete/complications/co05.html

ラクナ梗塞は予後良好とされていますが、中には1割程度の方は症状が進行するものもあります。

糖尿病、高血圧などの合併症をお持ちの方では、再発率が高くなってしまいます。

そのため、生活指導を行いながら、再発予防に努めていくことが大切です。

脳梗塞の再発と痙攣で知っておきたいこと

再発

脳梗塞の回復期から維持期にかけては、脳梗塞の再発に注意しなければなりません。

再発率は、発症後1年よりも、5年、10年と経過期間が長くなるにつれ高くなることが知られています。

脳梗塞にはさまざまな危険因子があります。

・高血圧
・糖尿病
・脂質異常
・喫煙

これらの危険因子においては、生活指導を行うとともに、再発のリスクが常に伴うことを自覚して行動してもらえるようにしていくことが望まれます。

痙攣

 

痙攣はさまざまな脳血管疾患においてみられるものです。

痙攣とは現象であり、てんかんは病名です。てんかん発作には痙攣がみられます。

脳血管障害(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)、頭部外傷、脳腫瘍(転移性脳腫瘍、神経膠腫)、その他(脳炎、脳症など)が原因で大脳に傷がついたり、腫瘍や出血が原因で脳が圧迫されることで、てんかんが起こる可能性があります。

特に、発作の起こりやすい場所に傷がつくとてんかんが発病する可能性が高くなります。また、傷や圧迫などの場所や大きさ・種類などによって発作の種類は異なります。

脳梗塞や脳出血を起こした場合、65歳以上の人が将来的にてんかんを起こす危険性は、大きな障害でなくても50~75%と大変高くなります。

https://www.tenkan.info/about/elderly/elderly_01.html

症状としては、意識消失(失神)・硬直性痙攣・間代性痙攣・ジャクソン発作・一点を凝視する・口をもぐもぐする・デジャビュー(既視感)・ミオクローヌス等さまざまな症状がみられます。

てんかんと痙攣については以下の記事も参照してください。
リハビリテーションにおける痙攣、てんかんのリスク管理、注意事項!

脳梗塞とペナンブラ

ペナンブラとは、脳が虚血状態になったときに、その部位の中心部はすぐに壊死するが、周辺組織は壊死ではなく機能不全の状態になっている状態です。

早期治療(血流再開)が行われれば脳機能の回復が期待できるとされています。

ペナンブラ改善は発症後数時間から数週間とされています。

血圧低下は、ペナンブラ領域への局所脳血流低下により、病巣の拡大を生じる可能性があります。

そのため、血圧の数値に加え変動率も確認することが大切です。

変動率が高ければ、脳内において血流低下が生じている可能性があります。

詳しくは以下の記事を参照してください。
急性期脳卒中リハビリで気をつけたいペナンブラとリスク管理

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脳出血とリハビリテーションにおけるリスク管理のポイント

脳出血が起こる原因

脳出血は、一番頻度の高いものとしては高血圧性脳出血ですが、他にも原因となるものには様々なものがあります。

・動静脈奇形
・もやもや病
・脳腫瘍
・抗凝固療法

これらはほんの一部ですが、このような病態がある方では、再出血のリスクが高まることから、注意が必要になります。

急性水頭症

脳出血においては、脳室穿破がある場合急性水頭症が生じるリスクが高くなります。

その場合、急激な神経症状の悪化がみられ、脳室ドレナージやシャント術などが行われることがあります。

痙攣

痙攣については前途しましたが、脳出血では約1〜2割程度で痙攣発作を合併し、それは皮質を含んだ出血であるとされています。

脳卒中の早期痙攣出現例では32%に遅発性痙攣(発症2週間以降に出現する痙攣)を再発するとされています。

遅発性痙攣の出現例では、高率に痙攣の再発を生じるとされています。

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くも膜下出血とリハビリテーションにおけるリスク管理のポイント

くも膜下出血で急変が起こりやすい状態

くも膜下出血においては、前途した再破裂、脳血管攣縮、正常圧水頭症について考えていく必要があります。

くも膜下出血では、予後不良な方(重症)は、急変が起こりやすいとされています。

くも膜下出血において予後が不良となる病態として、

・高齢
・脳室内、脳内出血
・発症時のHunt and Hess分類が重症
・発症時のFisher分類が重症
・再破裂
・脳血管攣縮

が挙げられています。

Hunt and Hess分類

Grade0:未破裂動脈瘤
Grade1: 無症状か、軽度の頭痛、あるいは項部硬直がある
Grade2:中等度以上の頭痛・項部硬直があるが、脳神経麻痺以外の神経学的所見は認めない
Grade3:傾眠状態・錯乱状態もしくは軽度の巣症状を示すもの
Grade4:昏迷状態で中等度以上の麻痺があるもの
Grade5:昏迷状態で除脳硬直を示すもの

項部硬直とは、髄膜刺激症候で、髄膜が炎症や出血などにより被刺激性になった状態をさします。背臥位で頭部前屈させた際に、下顎が前胸部につかない状態です。

ここで、傾眠、錯乱、昏迷の違いを確認しておきます。

傾眠:声掛けや、肩をポンと叩くといった弱い刺激で意識を取り戻す程度の軽度の意識障害
錯乱:正常な思考ができない混乱状態で、意識が乱れもうろうとし、幻覚や妄想を伴うことがある
昏迷:反応がなく、激しい物理的な刺激によってのみ覚醒させることができる状態

除脳硬直とは、四肢の抗重力筋の過緊張状態により過剰に伸展した肢位をとります。

Fisher分類

Grade1:血液のみられないもの
Grade2:血液がびまん性に存在するか、すべての垂直層(IHF、島回槽、迂回槽)に1mm以下の薄い層を形成しているもの
Grade3:局所的に血塊があり、垂直層の髄液槽内に1mm以上の血液槽を形成しているもの
Grade4:びまん性SAHあるいはSAHはなくとも脳内もしくは脳室内に血塊をみるもの

再破裂

動脈瘤破裂に対しての適切な治療が行われるまでの期間は、再破裂のリスクが高まります。

再破裂は発症後6時間以内または24時間以内に起こりやすいとされています。

再破裂により再出血が起こると、死亡率は50%以上に上ります。

再破裂の予防のためには、痛みに対しても鎮痛薬を使用したり、外科治療が行われるまでは正常域になるまでは血圧を下げるようにします。

脳血管攣縮

脳血管攣縮とは、くも膜下出血を起こしてから3日目から2-3週間までの間に起こる現象で、脳の血管が収縮して血液の流れが悪くなる状態です。

前途したFisher分類でGrade3になると、脳血管攣縮が生じるリスクが高くなります。

症候性脳血管攣縮は約3割、無症候性脳血管攣縮は約7割だとされています。

なお、無症候性脳血管攣縮は、脳血管撮影などの検査によってのみ認められるものです。

脳血管攣縮が生じると、予後に悪影響を起こしややすくなります。

前途した、脳血流の自動調節能の障害があるため、血圧が低下しないようにする必要があります。

先ほど、再破裂の予防には血圧を正常域まで下げると述べましたが、これは動脈瘤の根治がなされるまでの話です。

根治術が行われた後には、脳血管攣縮の予防として、血圧は高めにコントロールされておく必要があります。

正常圧水頭症

正常圧水頭症の特徴的な症状としては、

・認知症
・歩行障害
・尿失禁

です。

正常圧水頭症は、くも膜下出血発症後2〜3週間から数ヶ月間に起こるように、期間にはばらつきがあります。

正常圧水頭症の治療には、脳室腹腔シャントもしくは腰椎腹腔シャント手術が行われます。

シャント術後や一時的に発熱や腹痛がみられることがあります。

便秘や肥満はシャント管の閉塞や髄液の流れを悪くすることがあるため、生活指導も必要になります。

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その他のリスク管理が必要な病態は

脳血管系のリスク管理だけではなくて、その他のリスク管理が必要な状態を把握しておくことが重要です。

心臓血管系のリスク管理のポイント

アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症などの方においては、虚血性心疾患や心不全、不整脈を合併している方が多くいます。

そのため、レントゲン画像の読影や心電図、血液検査の確認などをしていくことが求められます。

深部静脈血栓症のリスク管理のポイント

脳血管疾患では、運動麻痺により随意運動が生じにくくなることがあります。

このような状態では、深部静脈血栓症を生じるリスクが高くなります。

深部静脈血栓症は、四肢(通常は腓腹部または大腿部)または骨盤の深部静脈で血液が凝固する病態です。

その症状としては、

・下肢浮腫(基本的に片側下肢、1cm以上の周経差)
・下肢疼痛(歩行時や下肢運動時)
・色調の変化(下肢うっ滞による発赤、大腿静脈の炎症が大腿動脈に広がると、蒼白)
・皮下静脈怒張
・把持痛(マンシェットによる加圧により腓腹部に疼痛が生じるもの

上記の症状を認めない方もいるため、下肢静脈エコーが診断には必要です。

感染症のリスク管理のポイント

感染症としては、

・呼吸器感染症
・尿路感染症

が多く見られます。

消化管出血のリスク管理のポイント

脳梗塞の方では、アスピリン投与(抗血小板薬)による潰瘍には注意が必要です。

なお、アスピリンは動脈における血栓予防(血小板が血栓を作るのは動脈のみ)に効果があります。

静脈における血栓形成予防には、ワーファリン(抗凝固薬)が使用されます。

消化管出血の症状としては、

・頻脈
・血圧低下
・貧血症状

などがあります。

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最後に、リハビリの中止基準を確認

アンダーソンの改訂基準

訓練を行わないほうがよい場合
・安静時脈拍120/分以上
・拡張期血圧120mmH以上
・収縮期血圧200mmHg以上
・動作時しばしば胸心痛がある
・心筋梗塞発作後1ヶ月以内
・心房細動以外の著しい不整脈
・安静時に動悸、息切れがある

途中で訓練を中止する場合
・運動中、中等度の呼吸困難が出現
・運動中、めまい、嘔気、胸心痛が出現
・運動中、脈拍が140/分以上となる
・運動中、1分間10回以上の不整脈が出現
・運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇

途中で訓練を休ませて様子をみる場合
・脈拍数が運動前の30%以上増加
・脈拍数が120/分を超える
・1分間10回以下の不整脈の出現
・軽い息切れ、動悸の出現

リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン

積極的なリハを実施しない基準
・安静時脈拍40/分以下または120/分以上
・安静時収縮期血圧70mmHg以下または200mmHg以上
・安静時拡張期血圧120mmHg以上
・労作性狭心症の場合
・心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
・心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
・著しい不整脈がある場合
・安静時胸痛がある場合
・リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
・座位でめまい冷や汗動悸などがある場合
・安静時体温が38度以上
・安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下

リハを中止する場合
・中等度以上の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛、頭痛。強い疲労感などが出現した場合
・脈拍が140/分を超えた場合
・同時収縮期血圧が40mmHg以上または拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合
・頻呼吸(30回/分以上)、息切れが出現した場合
・運動により不整脈が増加した場合
・徐脈が出現した場合
・意識状態の悪化

いったんリハを中止し回復を待って再開
・脈拍数が運動前の30%を超えた場合。ただし、2分間の安静で10%以下に戻らない時は以後のリハを中止するか、または極めて軽労作のものに切り替える
・脈拍が120/分を超えた場合
・1分間10回以上の期外収縮が出現した場合
・軽い動悸息切れが出現した場合

リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン

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