リハビリテーションにおいては、リスク管理のためのフィジカルアセスメントは欠かせません。今回、頭痛の訴えがある場合の考え方と対応についてまとめていきたいと思います。
目次
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どの対象者にリハビリテーションを提供する場合もそうですが、まずは対象者のリスクにつながる基礎的な医学情報を収集できていることが大切になります。
主なものとしては、対象者の現病歴、既往歴です。
現病歴からは、診断名、発症日、発症当時の様子、どのような障害があるか、医学的処置、発症から現在までの経過がわかります。
既往歴からは、現在の障害や訴えを生じさせる原因となる過去の外傷や疾患の経過について把握することができます。
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疼痛に対する主な評価項目としては以下のようなものがあります。
・痛みの傾向
・痛みの部位
・痛みの感じ方
・痛みの期間
・痛みの強さ
・痛みと時間帯
・痛みと睡眠
・痛みの程度に影響する要因
・活動時の痛みと困難さ
・障害と活動遂行能力
これらの詳細については、以下の記事にも記載されていますのでご確認ください。
疼痛(痛み)評価とリハビリ:ペインリハビリの基礎の基礎!
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頭痛の訴えの特徴から、それが緊急性の高い疾患かどうかを考える材料になります。
問診の結果、緊急性が高い疾患だと思われるのであれば、DrやNsに報告する必要があります。
突然起こる頭痛であれば、脳血管障害(くも膜下出血や脳出血)の可能性があります。
脳腫瘍などであれば、疼痛は徐々に増悪してくることが多くなります。
偏頭痛であれば、前兆(眼前が暗くなることやチカチカした感じがするなど)があることが多くなります。
偏頭痛では、脈に合わせて「ズキン」「ズキン」と拍動するような疼痛が特徴になり、これを拍動性の疼痛と呼びます。
また、側頭動脈炎においてもこめかみ付近に拍動性の疼痛を感じることがあります。
くも膜下出血では、よく「バットでいきなり殴られた」「雷が落ちた」ような痛みと表現することがあり、これは今までに経験したことのないような疼痛の強さになります。
脳出血では、血腫が脳を圧迫することで頭痛を生じさせますが、徐々にひどくなる事や、加えて吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
また、麻痺やしびれ感、呂律の周りにくさや物が2重に見えるなどの症状も併発します。
くも膜下出血や脳出血、髄膜炎などでは、疼痛は頭全体に広がります。
緊張性頭痛では、後頭〜頸部に疼痛を感じます。
緑内障では、目の奥や目の周囲に疼痛を感じます。
緑内障では、眼圧上昇により頭痛が生じますが、失明の危険性があるため要注意です。
緑内障では、以下のような症状の進行も頭の片隅に留めておくと良いと思います。
初期は、目の中心からやや外れたところに暗点(見えない点)ができます。
中期になると、暗点が拡大し、視野の欠損(見えない部分)が広がり始めます。しかし、この段階でも両方の目が欠損をカバーし合ったりして異常を意識しない人が多いようです。
そして末期になると、視野はさらに狭くなり、日常生活に支障をきたすようになります。さらに放置すると失明のリスクが高まります。https://www.paramount.co.jp/learn/topics/detail/16
緊急性の高い疾患は、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎です。
くも膜下出血は、前途したように突然の経験したことのないような痛みを特徴とします。
脳出血では、頭全体の徐々に増悪する頭痛や、吐き気や嘔吐を伴ったり、加えて運動麻痺やしびれ感、呂律の周りにくさや(構音障害)、物が二重に見えるなどの症状を伴います。
髄膜炎の主症状は発熱と強い頭痛(頭全体がガンガンするような)、項部硬直(首を顎につける子ができない)などがあります。
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頭蓋内圧亢進とは、脳実質の容積が膨らむことで、頭蓋内圧が高い状態です。
頭蓋内圧亢進においてみられる症状は急性期と慢性期では異なることが特徴です。
急性期:
激しい頭痛、悪心・嘔吐、クッシング現象(徐脈、血圧上昇)、意識障害、網膜出血、散瞳、けいれん慢性期:
頭痛、悪心・嘔吐、視力障害、めまい、うっ血乳頭、外転神経麻痺、記憶障害、人格変化、尿失禁、歩行障害、認知機能低下リハに役立つ脳画像
頭蓋内圧がさらに亢進すると、脳ヘルニア(脳が正常に収まっている場所から一部が飛び出してしまう状態)となり、命の危険に関わります。
脳血管障害とリスク管理については、以下の記事も参照してください。
脳血管障害とリハビリテーションにおけるリスク管理のポイント!