バイタルサインの測定は基本中の基本ですが、その中でも脈拍はリハビリテーション場面でもリスク管理項目となっており、接することが多くあります。今回、リスク管理のためのフィジカルアセスメントとして、脈拍測定の意義と知っておきたい知識についてまとめていきたいと思います。
目次
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脈拍を計測する意義をまずは確認していきます。
脈拍は循環器系のフィジカルアセスメントになりますが、脈拍を計測するということは、心臓から送り出された血液が体の末梢まで届いているのかを確認することに役立ちます。
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脈拍測定は、一般的には橈骨動脈で行うことが多いです。
これは、橈骨動脈が最も脈拍が触れやすいからだとされています。
脈拍測定が行える動脈には他にも、
・総頚動脈
・浅側頭動脈
・腋窩動脈
・上腕動脈
・尺骨動脈
・大腿動脈
・膝窩動脈
・後脛骨動脈
・足背動脈
などがあります。
橈骨動脈では収縮期血圧が80mmHgよりも低下している場合、脈拍が触れにくいとされており、その場合は、橈骨動脈よりも位置が上にある上腕動脈などで測定すると触知できる可能性が大きくなります。
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脈拍測定では、1分間に何回脈拍があるかを確認します。
脈拍のリズムが一定の場合は、15秒間計測し、それに[4]をかけた数値を結果とします。
脈拍のリズムが一定ではない場合、1分間計測を行います。
脈拍測定を行う場合、初めての対象者であれば、その左右差を確認することが必要になります。
これは、左右差の有無が、どちらかの血行障害を示している可能性があるためです。
左右差が確認されるのであれば、血圧測定を行い、その差が20mmHg以上あれば左右の血行に違いがあると言えます。
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脈拍の正常値としては、成人の場合、
60〜100拍/分とされています。
また乳幼児では、
120拍/分とされています。
年齢が増すにつれて脈拍数は減少していきます。
脈拍数が60拍/分以下になることを「徐脈」といい、
脈拍数が100拍/分以上になることを「頻脈」といいます。
なおこれは成人における考え方です。
徐脈において脈拍数が40以下の場合は緊急性が高くなります(完全房室ブロックなど)。
頻脈は、運動時などで心拍出量を多くする場合や、発熱時、貧血、甲状腺機能亢進(甲状腺ホルモンが過剰になり心臓の活動が向上する)などで見られます。
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脈拍では、その数だけでなく、リズムを把握することも重要です。
脈拍のリズムを捉える際に注意しておきたいことは、
・息を吸う際に脈拍増加、息を吐く際に脈拍減少(呼吸性不整脈)
・脈拍脱落(期外収縮による不整脈)
・不規則なリズム(心房細動など)
です。
呼吸性不整脈は病的な不整脈ではありません。
脈拍が脱落するような、期外収縮による不整脈は、心拍が予定しているよりも早期に出現した結果です。
このような時には、心室に十分な血液が溜まらない状態で拍出されるため、拍出量が低下します。
すると体の末梢に十分な血液が運搬されないため、末梢部では拍動として感じ取ることができなくなります(脱落)。
不規則なリズムは、心房細動などによる不整脈であることが多いです。
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心拍数(モニターで確認)と実際の脈拍を比べると、それらの数値が異なることがあります。
心拍数と脈拍は、似ているようですが同じではありません。
脈拍数は、体のどこかの動脈を触れて、そこで1分間に感じることのできる脈波の数を意味します。
心拍数は、1分間に生じる心臓の拍動の回数で、心電図のQRS波の数にほとんど一致します。〜中略〜
おおむね、「徐脈」は「徐拍」の結果であり、「頻脈」は「頻拍」の結果であるということが多いようです。