大脳小脳神経回路というものをご存知でしょうか。大脳小脳神経回路では、運動ループと認知ループを構成しており、その問題により日常生活上の障害になることが予測されます。今回、大脳小脳神経回路の概要と、脳卒中片麻痺に対するリハビリテーションへの活かし方をまとめて行きたいと思います。
目次
大脳小脳神経回路は、大脳皮質、橋核、小脳、視床においてループする神経回路をさします。
皮質脊髄路は脳幹を下行し、橋を通過する際、橋核にも信号を伝える(皮質橋路)。
橋核で情報を得た神経繊維は橋腹側をぐるりと反対側へ回って(横橋繊維)中小脳脚から小脳虫部・中間部の皮質に入力する(橋小脳路)。
小脳虫部・中間部の皮質で統合された運動に関する情報は上小脳脚から出てすぐに左右交叉し、視床外側腹側核経由して補足運動野、運動前野、運動野へ到達してループを形成する。脳卒中理学療法の理論と技術 第3版
橋小脳路は、橋での交叉のため、運動失調は小脳の損傷側と同側に出現します。
中大脳動脈梗塞、被殻・視床出血でよく見られます。
小脳との関連から、小脳性運動失調出現の可能性があります(運動失調により確認できないことが多い)
小脳性運動失調はフィードフォワード系の障害です。
そのため、歩行遊脚期の下肢振り出しのコントロール不良、その後の立脚期への移行不十分、骨盤の不安定性などが出現しやすくなります。
このことから、運動麻痺の問題というよりも、失調による問題としての認識も必要になります。
前頭連合野から橋核を経由して対側の小脳半球に入力した情報は上小脳脚から出て交叉し、視床背内側核を経由して前頭連合野へ到達し認知ループを形成する。
脳卒中理学療法の理論と技術 第3版
注意や認知機能に関与する小脳の障害によりCCASが生じます。
被殻出血で影響されやすく、血腫吸収により、どの部分の症状が出現、軽減しやすいかを画像の経過を追い確認することが必要になります。
被殻出血により内包前脚が障害されると、前頭前野ループの障害も生じやすくなくります。
前頭前野ループについては以下の記事を参照してください。
パーキンソン病と大脳皮質-基底核ループの関係性!脳科学から考えるPDの症状!
小脳性認知情動症候群(cerebellar cognitive affective syndrome)。
小脳障害によって引き起こされる神経心理学的な症候群であり、症状として遂行機能障害、視空間認知障害、言語障害、感情障害の4徴候が特徴です。
情動、認知、記憶の調節がうまく行えず、情動不安定になりやすいことが言われています。
小脳半球部に損傷を認めた場合には、高次脳機能障害の有無を精査し対処していく必要があります。
臨床場面で見られる問題としては、病識の低さ、安全管理の不十分さ、不注意、情動の不安定さ、認知課題における成績の低さなどがあります。
神経心理学的検査を行っても、成績低下は軽度であったり、日による成績の変動が見られやすいことが特徴です。
臨床場面における対処としては、指示は簡潔に、その場で説明、反復による学習を図る、管理しきれない問題(リスク)はスタッフor家族側で対応、ビデオ撮影し場面の理解を図る、家族への説明を徹底などが考えられます。
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