目次
ガンマネイルは、大腿骨(大腿骨転子部または転子下骨折)が骨折し、内固定で固定すれば治癒する可能性が高い場合に実施されます。
ガンマネイルは、大腿骨の頭部に設置された大きなネジと、大腿骨のシャフトの中心を貫通する釘から構成されています。
この金属は、骨折が治った後も永久にその場所に留まることになります。
骨折部位に金属製のねじを使って骨を固定することで、手術直後から早期に荷重が可能になります。
骨癒合が促進され、筋力や関節可動域の低下を防ぐことができる手術です。
手術時間や出血量も少なくて済むこともメリットの一つとして挙げられています。
ガンマネイル手術後は早期に荷重を可能にすることで骨の癒合を促すため、手術後翌日から全荷重歩行を行うことが多いです。
手術翌日には、介助や歩行補助具を使用して、ベッドから座る事が推奨されています。
医師の指示に基づき、手術した脚に体重をかけますが(通常は全体重)、最初は痛みのために制限されるかもしれません。
入院中から移動能力を高めていき、どの程度まで動けるか、どのような歩行補助具が適切か(通常は最初は歩行補助具、可能であれば松葉杖)を確認していきます。
股関節の周りの筋肉を強化するために運動をすることも重要とされています。
股関節骨折後に起こる問題の多くは、高齢者がベッド上で安静にしなければならないことに起因しています。
合併症としては肺炎、褥瘡(床ずれ)、深部静脈血栓症、尿路感染症、精神的混乱(せん妄)などがあります。
ベッドから離れて動くことで、これらの合併症を引き起こすリスクを軽減することができます。
動ける状態であれば、治療が容易になるとも言えます。
ガンマネイル術後は、主に理学療法や作業療法でリハビリを受けることになりますが、それぞれの両方においては以下のようなことを目標にすることが多くなります。
理学療法では何をするのか
・身体的な介助なしにベッドから出入りする
・歩行器や杖を使い、ベッドから椅子へ安全に移乗する
・歩行器や杖を使い、身体的補助なしに安全に歩く-
・監視付き、または身体的補助なしで、縁石や階段を昇降する
作業療法では何をするのか
・身体的介助なしで、歩行器や杖を使って安全に排泄する
・安全に浴槽やシャワーへの移動ができる
・必要に応じて道具を使用し、自分で服を着ることができる
・股関節の注意事項を理解し、それを伝えることができる
この時期は、痛み、軟部組織と関節の浮腫、体重負荷の制限がある時期(全荷重の場合もある)です。
過度の痛みと腫れをモニタリングしながらリハビリを行います。
浮腫をコントロールするための患者教育として、挙上と氷の使用を実施します。
また、ベッドでの移動と移乗のトレーニングを開始します。
適切な体重負荷状態と歩行補助具による歩行パターンの指導とモニタリングを実施することが大切です。
自動介助運動で膝と股関節を痛みの許容範囲内で実施します。
この際、痛みの状態に合わせて低負荷の筋力増強運動を実施することも必要になります。
また、痛みの状態に合わせて日常生活動作の練習を行うことも必要です。
この時期では、関節可動域制限はまだ残っている状態です。
また、術後の痛みが軽減してくる時期でもあります。
自動介助運動から自動運動への移行し、関節可動域運動を強化していきます。
股関節周囲筋、大腿四頭筋、ハムストリングの強化を行います。
バランスと固有感覚トレーニングを開始することも必要です。
この時期の目標としては、以下のようなものが挙げられます。
・平坦な場所で足を引きずることなく体重を支える耐性を高める
・最小限のアシストで階段を往復する
・最小限の不快感で股関節屈曲の可動域を0-115°にする
・現在のプログラムで痛みや腫れを最小からゼロにする
この時期では、許容範囲内での体重負荷と補助具からの離脱にチャレンジしていきます。
股関節外転と伸展の強さに重点を置いた強化を継続します。
また、バランスと固有感覚エクササイズを継続します。
閉鎖運動連鎖活動を開始し機能訓練を継続します。
具体的には以下のような運動が行われます。
・階段の昇降
・スクワット
・不整地での歩行 など
この時期の目標は、
・筋力と持久力の向上
・股関節の強さの最大化
・片足立ち30秒の能力で固有感覚とバランスを向上
・フルの関節可動域
・正常な歩行パターンを取り戻す
・日常生活動作の獲得
在宅復帰を目指す場合、住環境の設定も考慮し退院を目指します。