今回は筋力増強のための、筋力強化の原理原則を紹介していきます。
目次
スポンサードサーチ
スポンサードサーチ
過負荷の原則:トレーニング強度が通常用いているものよりも強くなければ、筋力増強効果は期待できない。
運動強度、運動の持続時間、運動の頻度の3条件が満たされればトレーニング効果が期待できる。
最大筋力の20〜30%に相当する強度ではトレーニングによる筋力増強は認められず、40%以上の強度で行う必要がある。
最大筋力でトレーニングを行った場合に最も効果が大きいとする報告が多い。
一般的には60%以上の強度でトレーニングを行うのが効果的とされている。
過負荷の原則を満足させる強度をある程度持続させなければ筋力の増大は望めない。
痛みなどで強い強度でトレーニングできない場合、強度を減少し収縮時間を増加させることが重要。
50%の強度であっても15〜20秒間収縮させれば効果が期待できる。
等尺性トレーニングのための強度と収縮時間の関係
最大筋力に対する%で示したトレーニング強度 | 必要な筋収縮時間 |
40〜50 | 15〜20 |
60〜70 | 6〜10 |
80〜90 | 4〜6 |
100 | 2〜3 |
等張性トレーニングでは、最大挙上重量に対する相対的負荷量とその負荷で反復可能な回数との関係が、強度と頻度の関係を示す具体的な指標となる。
負荷重量と最高反復回数およびその主な効果
最大筋力(1RM)に対する割合(%) | 最高反復回数 | 期待できる主な効果 |
100
90 80 70 60 50 1/3 |
1
3〜4 8〜10 12〜15 15〜20 20〜30 50〜60 |
集中力
筋肥大 筋持久力 (最大速度で行えばパワートレーニング) |
ある種の能力は同類の運動を用いたトレーニングによって効果的に高められる。
それぞれの筋収縮様式のトレーニングと同一の収縮様式における筋力の増加率は、他の収縮様式でのそれに比較して高い(等尺性トレーニングを行えば当尺性筋力が最も増加する)。
筋力はトレーニングを行った角度における筋力トレーニング効果が最も高く、筋長が短いほど筋力増加はその角度に限定させる。
最大筋力を増加させたいときは負荷を100%(最大筋力)でトレーニングしたほうが最も効果が大きく、最大速度を増加させたいときは負荷なし(最大速度)でトレーニングした方がよく、最大パワーを増加させたいときは、最大パワーが出る負荷(30%)でトレーニングした方が効果的。
*筋力とパワーの違い
筋力は単純な力を指すのに対し、パワーは力に動作スピードが掛け合わされた値を指す(仕事率)。
最大筋力付近の重い重量でのトレーニンングは、直接的にはパワー向上に結びつかない。
パワーを高めたければ、最大筋力の30%付近の比較的軽い負荷で、なおかつ最大スピードで動かしながら、十分にパワーを発揮できる能力を養うトレーニングが必要。
主動作筋が同一であっても、動作様式の違いにより筋力の増加率には差異が生じる。
ある動作の筋力を増加したいならば、同じ動作でトレーニングしないと効果は低くなる。
ある特定の運動成績を向上させたい場合は、過負荷の原則よりも特異性の原則の方がその動作パフォーマンスを向上させるためには効果的である。
効果的なトレーニングをするためには、過負荷の原則に合致する筋力トレーニングと特異性の原則に合致する実際に行う動作トレーニングを複合することが重要。
スポンサードサーチ
抵抗運動にリスクのある方とはどのような方が当てはまるのでしょうか。
例えば、
・骨粗鬆症
・心疾患
・呼吸器疾患
・虚弱高齢者
などの方です。
このような方においては、抵抗運動を調整する必要があります。
骨粗鬆症の方においては、抵抗運動を行うことにより骨折につながることも考えられます。
筋力強化運動を行う上での注意点としては、
・持続的な抵抗運動とする
・抵抗を加える部位を強化したい部位の関節近くに設定する
*上腕二頭筋の強化であれば、手関節付近よりも肘関節付近にする
・目標とする抵抗の負荷量にいくまでに時間をかける
・関節の動揺が起きないように関節保護を徹底する
などが挙げられます。
骨粗鬆症のリスクが高くなるのは閉経後の女性も該当するので、注意を要します。
虚弱高齢者では、まずは全身持久性の向上を目的に筋力強化を考えていく必要があります。
体力の維持あるいは持久性とは、脈拍・血圧の変化が安全な範囲で、途中に休憩をとりながら動作し続けて、翌日に疲れを残さず、少なくとも3〜4回/週の頻度でその動作ができるかで評価し、適正量が同時に動作実施の許容と考えています。
片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて
呼吸器疾患などの方においては、
筋収縮が局所的な無酸素運動になりやすく、その負債を戻すことが換気の負担超過にならない量にコントロールする必要があります。
末梢循環障害の人は、過度な筋収縮は局所的疲労と痛みの原因になり、末梢循環に過度の負債を残すので抵抗と収縮時間、休憩を調整します。片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて
とあります。
リスク管理を行う上では、リハビリの中止基準を知っておく必要性もあります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
リハビリテーションとリスク管理:リハビリの中止基準
スポンサードサーチ
OKC:
開放性運動連鎖。四肢の末端が自由に動く状態での運動。
単関節での運動に適しており、上肢の運動はほとんどがOKCとなる。
神経系の賦活や多関節の複合的な使い方は学習できないが、目的とする筋にアプローチしやすい。
CKC:
閉鎖性運動連鎖。四肢の末端が固定された状態での運動。自重による負荷運動で 多関節の動きに対応している。
四つ這い、スクワット、かかと上げ、ヒップアップ共同的な筋収縮が起こり関節の動きを安定させる。
関節の圧迫力、筋肉の共同収縮により求心性受容器の活動が増加して神経系の賦活も促せる。
・筋力低下のある患者におけるOKCでのトレーニングの重要な原則は「特異性の逆説」であり、CKCでのトレーニングでは逆に「特異性の原則」に基づいてトレーニングする必要がある。
・特異性の原則からすると、筋力低下のある角度、速度、収縮様式でトレーニングした法が効果的であるといえる。
「特異性の逆説」は、筋力低下へのOKCトレーニングでは筋力の発揮しやすい角度、速度、収縮様式でトレーニングする法がよいという考え方がある。
・OKCでは筋肥大を目的としたトレーニングを行うべきと考えるため、多くの筋繊維が収縮に参加する力の出しやすい方法で行った方がよい(例えば、痛みのある角度と痛みのない角度では痛みのない角度を選択する)。
・OKCトレーニングの初期では「特異性の逆説」で行い、活動性が上がれば「特異性の原則」に戻って行うことも必要。
・CKCでは神経因子(協調性)を高めることが重要であり、特異性の原則に基づくことが必要。
・股関節外転筋力低下していると、片脚立位にて体幹が患側に側屈し代償する。
・患側に重錘を肩関節90°外転位で保持すると体幹の代償は消失する(代償せずに骨盤を水平に保つだけの筋力がこの重錘の重さのモーメント分だけ低下している)。
・重錘の重さを軽くしても代償なしで立位保持できれば外転筋力は増加していると言える。
・代償がわかりにくい場合、健側に重錘を保持すると負荷なしでの片脚立位時よりも股外転筋力が必要となり体幹側屈が増加する。
・OKCでは随意的に筋を収縮させて力を発揮させているのに対し、CKCでは無意識に筋を収縮させている。
このため、CKCでの筋力発揮トレーニングを十分行わないと、OKCでの筋力がCKCでうまく働かなくなる。
◯静的トレーニング
片脚立位での上肢外転、下肢外転、骨盤挙上を行う。
健側を外転させると体幹が患側に傾くが、できるだけ体幹を垂直に保持させる。
支持なしで可能となれば、健側に重錘をつけて行うとより患側中臀筋の筋活動が必要となる。
◯動的トレーニング
歩行時に中臀筋跛行がみられる場合、患側に体幹の揺れがなくなる程度の重錘を肩関節90°外転位で保持させ歩行させる。
跛行がなくなれば、健側に重錘を持たせ、増加していく。
・立ち上がり可能な台の高さの測定
・立ち上がり、スクワットにおける患側への荷重量の測定
・30秒間立ち上がり回数の測定
・5回立ち上がり時間の測定
・片脚立ち上がり動作可能な台の高さの測定
・段差昇降可能な段の高さの測定(上り下りに分けて)
スポンサードサーチ
◯股関節周囲筋の筋活動量
・両脚ブリッジでは股関節周囲筋のトレーニング効果は少ないが、片脚ブリッジにすると股関節伸筋と外転筋のトレーニングとして有効
・ブリッジ動作では内転筋群の筋力増強効果は他の筋に比べ少ない
・ブリッジ動作中に膝の角度を変化させると大臀筋とハムストリングスの筋活動は影響あるが、他の股関節周囲筋は影響を受けない。大臀筋強化する場合膝屈曲位で、ハムストリングスを強化する場合は膝伸展位で行う
◯腹背筋の筋活動
・両脚ブリッジにて背筋は50〜60%の高い筋活動、腹筋はほとんど筋活動なし
・両脚と片脚といった肢位の違いや膝の角度の影響を受けない
◯膝・足関節周囲筋の筋活動
・股関節伸筋のハムストリングス以外の筋の筋活動量はほとんどない
・SLR時の大腿四頭筋の筋活動において、対側の膝関節肢位による筋活動量の違いはない
・股関節の角度は、負荷が少ない場合においてのみ10°で大腿直筋と内側広筋の筋活動量が高く、45°で外側広筋が高い
・負荷量の増加による筋活動の増加が大きいのは大腿直筋のみであり、最大抵抗SLRで大腿直筋72%に対し内側広筋38%であり、股関節屈筋のトレーニングとして捉える
・PSは内・外側広筋の筋活動が高い。腹臥位でのPSは、大腿四頭筋すべてに効果的
◯両脚と片脚の影響
・股関節周囲筋は、両脚スクワットでは5%程度の筋活動だが、片脚にすると股関節外転筋と伸展筋の筋活動が20〜30%になる。
内転筋は片脚でも10%以下。
大腿四頭筋は両脚(60°屈曲位)で30%であり、片脚で50%へ。
ハムストリングスは片脚でも10%以下。
◯膝屈曲角度の影響
・膝屈曲角度↑で大腿四頭筋の筋活動↑だが、ハムストリングスの筋活動に変化なし。
股関節周囲筋では片脚スクワットにおいて膝屈曲角度↑で大臀筋の筋活動量↑だが、中臀筋、内転筋、大腿筋膜張筋、ハムストリングスの筋活動は両脚、片脚とも変化なし。
◯膝屈伸速度の影響
・膝屈伸速度が速くなるにつれて大臀筋、中臀筋、ハムストリングスの筋活動量↑だが、大腿四頭筋では速度を速くしても効果はない。
大腿四頭筋は動作速度が遅いと膝伸展の短縮性収縮時に筋活動が高く、速度を速くすると膝屈曲の伸張性収縮時に筋活動が高くなる。
◯足圧中心の位置による影響
・大腿四頭筋では後方荷重位で筋活動↑。
腓腹筋やヒラメ筋では前方荷重位で筋活動↑。
姿勢制御には単関節筋が重要と考えられる。
◯体幹の前傾角度の影響
・体幹前傾時に大臀筋、半腱様筋の筋活動が増加するが、トレーニング効果が得られるとされる筋活動量ではない。
◯股関節内転方向の収縮
・スクワットに股関節内転方向筋の等尺性収縮を加えることにより、膝周囲筋の筋活動は増加する(膝屈曲30°でのみ増加)。内側広筋の選択的トレーニングとしても有効。
スクワットは主に臀部、大腿の筋肉の筋活動量が大きくなります。
具体的な筋肉として、
・股関節周囲筋(大臀筋、中臀筋、内転筋群、ハムストリングス)
・膝関節周囲筋(大腿四頭筋)
があります。
これらの筋肉は、ある肢位をとると、ある筋肉の活動量に変化が生じます。
これを知識として知っていると、スクワットを通して選択的に活動を高めていきたい筋肉をトレーニングすることが可能です。
どの肢位が基本形かは正直なところわかりませんが、オススメのスクワット肢位があります。
これは、下図のような姿勢をとることで、主に大腿前面の筋(大腿四頭筋)や臀筋群をまんべんなく鍛えることができます。
ポイントはお尻を後ろに突き出すことです。
お尻を後ろに突き出すことで、臀筋群の活動を高めることができます。
膝のみを垂直に下ろしていくと、膝への負担が強くなり、膝関節に痛みを抱えている方にとってはかなり難しい動作になります。
膝を下ろしていくと同時に臀部を後方に突き出すことで、膝への負担を軽減することにつながります。
スクワットは見た目通りかなり負荷がかかり、体力的にもキツイトレーニングです。
そのため、適切な負荷量を設定する必要があります。
具体的な話もしたいのですが、簡単に言うとすれば
・10回で限界が来るように負荷を自己調整
・10回を1セットとし、3セット行う
が基本になります。
内側広筋は膝関節疾患を持たれている方はかなりの確率で筋力低下がみられる筋肉です。
これをスクワットの中で選択的に高めるためには、スクワット中に股関節内転の等尺性収縮を促すことです。
そのため、下図のようにボールを間に挟むなどしてスクワットを行うようにします。
なお、この時には膝の屈曲角度は浅めの30度程度で行うことがポイントになります。
大腿四頭筋の筋活動を高めたい場合は以下の点を意識して行うようにします。
・膝の屈曲角度を大きくする
・後方荷重(踵に体重をかけることを意識)
後方に体重をかけるのは、後方にバランスが崩れるとそれを防ぐために前面の筋肉の筋活動量が高くなります。
それを利用すると、体重を前方(つま先)にかけると、後方に位置する筋肉、特に腓腹筋やヒラメ筋の筋活動量が高まります。
片足スクワットはかなりレベルが高く、負担も大きいためリスクの高い活動といえます。
しかしながら、筋活動量をかなり高めることはできます。
リスクを考慮する上で選択することも可能だといえます。
片足スクワットを行うと、
・股関節外転筋(中臀筋など)
・股関節伸展筋(大臀筋など)
・膝伸展筋(大腿四頭筋など)
の筋活動量が両足で行うよりも高まります。
スポンサードサーチ
◯昇降様式による影響
・中臀筋、股内転筋、大腿筋膜張筋、大腿四頭筋では後方昇降動作の方が筋活動高くなる。
・股関節伸展筋群(大臀筋、半腱様筋、大腿二頭筋)、足関節周囲金では様式による変化なし
◯台の高さによる影響
・腓腹筋以外の股・膝・足関節周囲筋においては、台の高さが高くなるほど筋活動増加する。
◯下肢の肢位による影響
・下腿外旋位にて内側広筋、大腿二頭筋、下腿内旋位では半腱様筋が高い筋活動を示す。
スポンサードサーチ
フレイルとは、ストレッサーに対する脆弱性が進行性に存在する状態をさし、介護予防の観点ではその増悪因子を除くことが重要になります。
高齢者では身体的フレイルの原因としてサルコペニアがあります。サルコペニアの特徴は筋肉量の減少と筋力低下、歩行速度等の身体機能の低下にあります。
筋肉量は24歳をピークに,50歳を超えると年1%, 80歳までで30%減少する.
この加齢に伴う生理的変化に身体活動に影響を及ぼす疾患や栄養等の問題が加わることで,身体的フレイルへ陥りやすくなる.
過栄養,特にBMI 30kg/㎡以上の肥満の存在も,身体的フレイルの原因として重視されて いる.
長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3
WHOによると、非感染性疾患(脳卒中、糖尿病など)やうつ、認知障害発症のリスクを減らし、健康維持のために必要な身体活動として、
週当たり150分の中強度有酸素身体活動、または、75分の高強度有酸素身体活動を少なくとも10分の持続時間で行うこと,活動量が低下している場合は週3 日以上のバランス改善,転倒予防の身体活動を行うこと,筋力増強を目指す身体活動を週2日以上行うこと
長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3
を推奨しています。
前途したような、レベルの身体運動をいきなり高齢者に行うことは難しいことがあります。
そのような場合、負荷量を抑えた中での骨格筋肥大を得ることができるスロートレーニングの有効性が提唱されています。
スロートレーニングは、抗重力運動を「3秒挙上、1秒保持、3秒下降」というゆったりとしたリズム・ペースで反復することにより、求心性収縮運動と遠心性収縮運動を一定時間継続して行う方法です。
持続的な筋内圧上昇がもたらす血管閉鎖作用によって科学的刺激を加えると同時に、遠心性収縮による機械的張力と筋の微小損傷を誘導する。
〜中略〜
8〜10回1セットとして2〜3セット/日、2〜3回/週で実施する。
遠心性収縮を課すこととなる抗重力筋には必ず筋痛が生じること、それによって筋肥大が得られてくることをしっかりと説明し、関節障害による疼痛を鑑別しながら負荷量を調整し、筋力改善を図る。
長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3
スロートレーニンングがしっかりと実施できるようになれば、高速での筋力トレーニングを行います。
これは、日常生活活動に関与する筋パワー(筋力×距離/時間)の増加には高速でのトレーニングが必要となるためです。
①体幹のストレッチ
腹筋:腰部にクッションを挟み、腰椎軽度前弯するように固定しながら体を後ろに反らせます。
回旋:腰部にクッションを挟み、回旋方向と逆の上肢で回旋側の椅子の背もたれを持ちます。
②股関節のストレッチ
股関節外旋:足を組み、股関節90度屈曲位で股関節外旋させます。
③ハムストリングス・大腿四頭筋のストレッチ
ハムストリングス:開脚し、伸ばしたい方の下肢側に体を向けて膝を押します。
大腿四頭筋:前後に開脚し、伸ばしたい後方の下肢の膝を曲げます。
④アキレス腱のストレッチ
膝屈曲位:浅く座り、反対側の下肢を前方に位置させ、同側下腿を後方に位置させ、大腿を前下方に押します。
膝伸展位:壁から離れ(約30cm)向かって立ち、膝伸展位のまま腹部を壁に近づけます。
①椅子座位での股関節運動
椅子座位で片足を床から浮かし、その後保持して降ろします。
*床につく前に再び股関節を浮かします。
*セラバンド、手で膝を押して抵抗量を増やします。
②スクワット
椅子の背を持ち上体を前傾させます。臀部を後方に引くようにゆっくりしゃがみ、膝屈曲位で保持し、ゆっくりと立ち上がります。
*膝が完全に伸びきる前にしゃがみこみを始めます。
*膝屈曲角の変化や、鍛えたい下肢に荷重を移動させることで負荷量を増やします。
*膝関節の負担を考慮すると、上体を前傾させること、両膝を開かないことに注意します(膝外向きでは膝関節内転モーメント増大により膝内側の痛みが生じやすい)。膝関節への負荷は120度屈曲より大きくなるため、膝関節疾患がある場合100度程度で行います。
③仰向けでのお尻上げ
仰向けで膝を立て、足底で床を支持しながら臀部をゆっくり浮かし、保持してゆっくりと降ろします。
余裕があれば、片足で支持しながらお尻を上げていきます。
*臀部が床に着ききる前に再度臀部を上げていきます。
④かかと上げ(ヒールレイズ)
椅子の背を持ち、立位で床からゆっくりとかかとを上げ、保持し、ゆっくりと降ろします。
*かかとが床につく前に再度かかとを上げていきます。
⑤セラバンドを用いた下肢屈曲、伸展
椅子に座り、足底にセラバンドを引っ掛けて、下肢の屈曲・伸展を行います。
Timberbrother エクササイズバンド トレーニング用ゴムバンド ループバンド プレミアムな強度別5本セット
スポンサードサーチ
・最大筋力法
90〜100%の負荷に対して最大努力で筋力トレーニングを行う方法(高負荷程頻度)。
筋肥大よりも主に神経系の適応による筋力の増加と爆発的筋力の顕著な改善(最大筋力を発揮するまでの時間の短縮)によって最大筋力の増大が起こる。
中枢神経系による筋力の調節としては
①動員する運動単位の種類と総数による調節
②α運動神経発火頻度による調節
③運動単位の活動時相による調節の3つにより調節される。
セット間の休息は2分以上が効果的。
・最大反復法
最大下の負荷(60〜95%)を用いて筋疲労の限界まで反復するトレーニング法。
主として筋肥大による筋力増強が起きる。
反復回数を10〜15回でオールアウトになるような負荷に設定し、セット間休息を30秒とし、疲労困憊まで行うことで筋肥大が起こりやすい。
1セットの反復回数が多くなりすぎると筋持久力のトレーニングとなる。
・スピード・筋力法(動的筋力法)
比較的軽い負荷(50%)に対して最大努力で、セット間の休息を十分に取りながら、できるだけ高いスピード発揮を目指して反復回数は少なく行う。
神経系の要因改善と、主動作筋と拮抗筋による収縮と弛緩の協調性、中枢から抹消への運動連鎖(むちのような動き)など、スピード筋力を高める。
目的とした動作に類似した速度やそれ以上の速度を目指して負荷量と運動を設定する。
・負荷軽減法
緊張のないリラックスした動きを習得することが主なねらい。
ベッド安静中の筋萎縮を防止し、筋力増強効果を得るためには一般に行われている高負荷低頻度の筋力トレーニングだけでなく、低負荷高頻度で疲労困憊まで行わせるトレーニングを加える必要がある。
スポンサードサーチ
高齢者に対する歩行、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、最大酸素摂取量が約10〜20%向上したとの報告があります。
この効果には年齢による大きな差はないとされています。
介入期間の違いからは結果に大きく違いは認められず、頻度や持続時間は週3回、約40分程度のものが多いようです。
運動強度に関しては、心拍数予備【(運動時心拍数ー安静時心拍数)/(最大心拍数ー安静時心拍数)×100】の70%程度が多く、心拍予備の45%で行うと最大酸素摂取量の改善は少ないとされています。
虚弱高齢者に対する運動強度の設定では、低く設定しすぎると効果が出にくいため、はじめは最大心拍数数予備の約40〜60%から開始し、徐々に50〜85%程度の強度に上げていくことが良いと考えられています。
持続時間は20〜30分連続して行えるのがよいですが、場合によっては数回に分けることも検討します。
筋力増強運動では、ほとんどの研究で筋力増強効果(10〜60%)が認められています。
介入期間は様々(10〜52週)であり、運動強度は1RM(1回の反復運動が可能な最大か重量)を徐々に80%まで高めていく方法がとられています。このような設定で行うと、約20〜65%の増強効果があったとの報告があります。
障害を有する方(施設入所者)の研究では、1RMの80%の強度で10週にわたり介入すると、筋力が113%向上したとの報告があり、これは健常者よりも筋力低下を有する方の方が高い効果が出ることを示唆しています。
自重やセラバンドを使用した低強度の強化では、0〜20%の筋力向上にとどりますが、運動の効果が確認されています。
虚弱高齢者の場合、自重やセラバンドを用いた運動や、1RM20〜30%の運動から始め、徐々に60〜80%まで移行すると高い効果が期待できます。
具体的な設定における注意点としては、結合組織が運動に適応するまでの約8週は、最小の強度で行います。
運動に慣れたら10〜15回の反復運動で「ややきつい」と感じる程度の強度にします。
運動量を増やす際には、まず回数を増やし、次に強度を上げるようにします。
持続時間は、1回60分以内にします。頻度は少なくとも週2回、48時間以上の休息をとります。
バランストレーニングの介入の研究は少ないですが、太極拳を用いたゆっくりとした運動が転倒リスクを減らしたとの報告があります。
バランス練習ではバランス機能が改善し、歩行練習では歩行機能が改善するというような、訓練の特異的効果があるとされています。
バランスや歩行、筋力強化などを含む複合的なトレーニングにより、それぞれの機能改善が認められています。
ADLに関しては向上が認められていないとの報告もあります。
バランスを機能的に分類すると静的保持機能、外乱負荷応答、随意運動中のバランス機能といった3つの要素に分けられる。
バランス練習を計画する時にはこれらの要素を考慮する必要がある。
また座位から立位、そしてより不安定な課題へとステップアップする内容が望ましい。
運動による脳の制御 認知症予防のための運動 P6
難易度設定では、感覚的(支持面を不安定に)、物理的(対象を押す、支持面を移動する)、精神的(計算を行いながら)外乱を加えていきます。
歩行や動作練習においては、動作の持続や速さではなく、安定性に着目して行います。
高齢者に対しても、身体の柔軟性を高めることは可能です。
高齢者は結合組織が虚弱であることから、静的ストレッチが推奨されています。
激しい運動の前後や整理運動として行うことで、障害や疲労の軽減効果が期待できます。
痛みではなく軽い不快感が生じる程度で行い、目的とする筋を10〜30秒、4回以上ストレッチするようにします。頻度は少なくとも週2回行います。
積極的な運動プログラムよりも、本人が自主的に行う余暇活動や非監視下で行う活動を行う方が、より効果が出ることが考えられています。
そのためにも、リハビリテーション職種は本人がどのような作業、活動、役割に価値を置いているかを把握し、それを遂行できるように協働していくことが必要です。
また、活動性を向上させるための介入方法として、行動変容技法を用いると有効であるとされています。
行動変容技法とは、客観的に測定可能な行動様式に対して、その行動に影響する環境要因に対して操作を加え、問題行動の低減と適応行動の増加を図る技法である。
運動による脳の制御 認知症予防のための運動 P7
活動時間を決定しておくことや、目標を紙に書いて貼っておく、運動することを他者と約束する、運動回数を覚えておき競争する、一定回数できたらご褒美がある、運動中の不快感を減らす、運動実施の契約書にサインするなどの方法があります。
スポンサードサーチ
・端座位で骨盤前傾位で保持し、股関節屈曲を行う。
・SLRでは股関節内転筋群や大腿直筋が優位となる。
・MMT2以下は腹臥位、膝屈曲位にて股関節内外旋を行う。
・3程度なら側臥位、股・膝屈曲位で開排するように外旋する(骨盤固定しながら)。強くなると両脚、片脚ブリッジに進める。
・股外転時に骨盤挙上がみられる場合、背臥位にて両側同時に外転する。
MMT3程度となっても、側臥位での股外転時に屈曲外転方向に挙上する場合が多く、股関節伸展外転方向に挙上させる様意識させる。
筋力が強くなればサイドブリッジを行う。
・SLRでは大腿直筋、パテラセッティングでは広筋群が優位となる。
座位での膝伸展ではできるだけ速く伸展し(短縮性収縮)、屈曲時はゆっくり屈曲(伸張性収縮)する。
筋力が強くなれば、膝立ち位で後方に倒れることで伸張性筋力が強化される。
・膝0〜30°での膝屈曲では腓腹筋の筋活動が大きい。
30〜90°での膝屈曲を行う。
腹臥位での膝屈曲では、屈曲するほど負荷が弱くなるため、チューブトレーニングが有効。
重錘で行う場合、立位で行うと屈曲位でも負荷を増加できる。
・筋力弱い場合、端座位で体幹前傾(伸張性収縮)し、戻す(短縮性収縮)。
背臥位でのブリッジ動作、逆SLRでも働く。体幹伸展可動域がない場合、腹部にクッションを入れる。
・四つ這いで片手片足挙上すると、脊柱起立筋では片手挙上した同側の筋活動が高く、多裂筋では片手挙上した対側の筋活動が高い。
・大腿四頭筋、前脛骨筋を強化する場合後方荷重で、ヒラメ筋、ハムストリングス、大臀筋を強化したい場合は前方荷重で行う。
・ハムストリングスの強化には30°膝屈曲位で股関節内転の等尺性収縮を行う。空気椅子(後方荷重)は大腿四頭筋の強化に有効。
・10㎝台が両脚で可能となれば片脚40㎝に進める。
・立ち上がる時は速く、座る時は遅く行うことで大腿四頭筋の短縮性、伸張性トレーニングとなる。
スポンサードサーチ