遂行機能や選択的注意機能を評価する検査のひとつに、ストループがあります。ストループ現象には様々な解釈があり、検査には日本で使用できる標準化されたものはありませんが、その結果を解釈することが遂行機能評価においては重要です。今回、ストループテストの目的、実施方法と遂行機能(選択的注意)の評価について文献を参考にまとめていきたいと思います。

ストループテストの目的、実施方法と遂行機能(選択的注意)の評価

引用・参考文献

遂行機能としての選択的注意

遂行機能としての選択的注意には、

一般的に注意を引きつける刺激・情報への反応傾向を抑制しつつ比較的難しい処理を持続して行う注意集中力、あるいは、葛藤条件の監視機能をさしている。

高次脳機能障害学 第2版

のような機能があります。
目標到達のために、必要な情報と反応を選択する集中力や選択的注意が必要となります(他の機能も必要)。
注意に関する記事は、以下も参照してください。
注意障害の評価法:MARSの概要と評価方法、結果の解釈

注意障害のリハビリテーションの考え方、進め方(認知リハを中心に)

自動車運転再開と注意機能

注意障害の症状と評価〜リハビリテーションに向けての検査法と解釈〜

Trail Making Test(TMT)の理解と正しい実施方法、解釈に向けて

 

ストループテスト

ストループテストには様々な方法がありますが、主に用いられているものには、「赤」「青」「緑」などのの色名の単語の意味するものとは別の色で書いているものに対し、単語ではなく印刷した色を読んでいく課題です。

高次脳機能障害の検査をする上での全体的な注意点については以下の記事を参照してください。
高次脳機能検査を行う際に注意しておきたいこと!

ストループテストの神経心理学的解釈と目的

ストループテストの神経心理学的解釈には様々なものがあり、反応抗争、習慣的反応の抑制、選択的注意などがあります。
色名を表す単語がそれとは異なる色のインクで印刷されてる時に、その単語ではなくインクの色を読んでいくためには、「インクの色」に対して選択的に意識を集中し、文字の形には注意を払わないと考えると、選択的注意課題であると言えます。

ストループテストの評価実施方法と注意点

ストループテストの適応条件は、明らかな失語がなく検査の説明が理解でき、読みが保たれていること、色盲がないこと、十分な視力があること、半側空間無視がないことです。
この検査は精神的に疲労しやすく、時間がかかる場合には5分で中止したほうが良いとも言われています。
標準的な実施方法のマニュアルがあるわけではなく、様々なものが利用されています。

遂行機能評価に関する記事は、以下も参照してください。
ティンカートイテスト(TTT)による遂行機能評価と結果の解釈

ハノイの塔課題による遂行機能評価と結果の解釈

BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法)の概要と結果の解釈

語流暢性課題(語想起)の概要と遂行機能評価、結果の解釈に向けて

FAB(前頭葉機能検査)の概要、結果の解釈

ウィスコンシンカードソーティングテストの概要と結果の解釈

 

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結果の解釈

Comalliらのバージョンでは、「赤、青、緑」の語の意味と一致しない赤青緑のインクで印刷された10行×10列計100個の課題では、正常値(平均値)の例が示されています。

年齢

50〜59

60〜69

70〜79

時間

120.79±38.07

135.50±29.81

148.67±41.09

誤反応

1.75±1.42

2.20±2.12

1.60±1.05

前頭葉損傷のリハビリテーションについては以下の記事を参照してください。
前頭葉障害(行動開始困難)に対する行動促進のためのリハビリテーション
前頭葉損傷におけるメタ認知、障害への気づきとメタ認知訓練の方法
前頭葉障害のリハビリ:タイムプレッシャーマネージメントの概要と実施方法
GMT(Goal Management Training:目標管理訓練)による遂行機能障害のリハビリテーション
問題解決訓練(PST)による遂行機能障害リハの概要と実施方法
自己教示法による遂行機能障害のリハビリ
社会的行動障害での無力・抑うつ・易怒性への対応
遂行機能障害のリハビリテーションの進め方(認知リハを中心に)

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