意識障害の発生メカニズムと意識障害の評価について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

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意識障害(せん妄含む)のメカニズムと評価方法、リハビリテーションアプローチ!

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引用・参考文献

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意識障害の定義と分類、症状について:混乱しやすい概念を整理する

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意識障害の定義

意識障害は、意識の清明度が失われている状態です。

意識清明とは、以下のことを指します。

外界の事物を正確に認識し、周囲に適切な注意を払い、外界からの刺激や情報を的確に受け取って理解し、目的にかなった思考に基づき、適切に行動し対処することのできる平常の覚醒状態をいう。

脳卒中最前線 第3版 P215

覚醒状態で意識内容が明瞭、現状の認識がしっかりとできており、思考や判断が保たれ、合目的的な行動が可能で、それを記憶にとどめておける状態をいいます。

意識清明状態の客観的指標は、見当識が良好なこと、課題に対しての熟考が可能なこと、記銘力が良好なことと、追想が可能なことなどがあります。

 

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意識障害の分類と症状):意識混濁

①軽度意識混濁:
明識困難状態:意識混濁で最も軽度な状態。注意散漫で持続力低下、言い間違いや軽い了解の悪さ、軽度記憶力低下などの注意深い観察で把握できるもの。

昏蒙:観察で容易にわかるもの。放置するとベッドで臥床し、傾眠傾向、時に尿失禁あり。
軽度だと自己にて尿意を伝えたり、排泄可能。呼びかけへの反応やや低下あり、少し複雑な理解困難。
思考内容の乏しさが目立ち、自発話少なく、会話は長続きしない。

②中等度意識混濁
昏眠、嗜眠:睡眠様状態を呈し、知覚・精神機能が全般的に低下。呼名や体の揺さぶり、強い痛み刺激を加えるときのみ開眼、外界認知不十分。
簡単な問いへの反応(うなずきなど)あり、単語の発話あり。
見当識障害高度にあり、人物誤認あり。食事の咀嚼や嚥下不可、大小便失禁あり。

③重度意識障害
昏睡:精神活動と反応の欠如。褥瘡が生じやすい。

意識障害の分類と症状:意識変容

意識変容とは以下のような状態を指します。

一般的には、意識混濁が背景にあって同時に病的な精神運動興奮を伴った状態で、注意の分断と持続性の喪失、知覚の混乱や知覚と表象の混同、夢幻状態、思考散乱、感情不安定などを示す。

脳卒中最前線 第3版 P216

意識変容の代表はせん妄となります。

軽度ないしは中等度意識混濁の上に、活発な精神内界の活動が加わり、無秩序な観念、錯覚や幻覚(錯視や幻視が多い)、妄想が現れ、思考散乱(支離滅裂)を示し、不安や苦悶などの激しい情動の動き、まとまりのない行動を示す。

この状態は夜間に起こりやすいので夜間せん妄と呼ぶが、一日中続くこともある。

脳卒中最前線 第3版 P216

老年期の意識障害はせん妄として現れる傾向があります。

脳出血後の昏睡からの回復過程や、脳梗塞の発作時には、せん妄が出現することがあり、特徴としては、
①激しい精神運動興奮を示すことが少ない
②日中はうとうと、ぼんやりと過ごすことが多く、午後は清明な意識状態で、夜間になるとつじつまの合わない事を言ったりする
③症状の動揺は少ない
などがあり、認知症と間違われることもあります。

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意識障害の発生メカニズムとJCSによる評価、結果の解釈

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意識障害の定義

意識障害は、意識混濁(外界を認知する覚醒度の変化)と意識変容 (刺激の受容と反応が狭く限局し、歪曲されるような変化)の両者が混在された形で生じる。

よくわかる失語症と高次脳機能障害 P421

 

意識混濁は、意識水準の変化ともいわれ、外からの刺激に対する反応の低下や、呼吸器・循環器 ・自律神経系の変化を伴うことが多くあります。

意識変容は、意識的経験の変化ともいわれ、対象者の精神状態や言動の不安定さ・多動・自律神経系の変化等がみられます。

どちらも脳の器質的異常にとともにみられることが多く、身体的・内分泌的異常や精神疾患が原因となることもあります。

どちらにしても脳に機能低下があることに変わりはなく、可逆的変化が起こりうるため、認知症などの非可逆的疾患との鑑別が必要になります。

意識混濁、意識変容を表す言葉は以下のようなものがあります。

「意識混濁」「意識変容」
明識困難状態

昏蒙状態

傾眠

昏眠

昏睡

せん妄

もうろう状態

夢幻状態

アメンチア

酩酊

 

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意識障害の発生メカニズム

luriaは脳機能の基本的単位として、注意・覚醒に関わるものとして「トーヌスと覚醒を調整する単位系」があるとしています。

大脳皮質の賦活化の調整には、脳幹部にある脳幹網様体賦活系の働きが関与しており、意識・注意覚醒・睡眠と覚醒リズムの調整に関わります。

覚醒系に関する系は、2つのアミン上行系(上行性網様体賦活系)があるとされています。

ノルエピネフリン系では青斑核や周囲の外側被蓋系などを含むニューロン群から発生し、間脳・終脳に広く投射します。

セロトニン系は、脳幹中心線近くの縫線核に沿い、セロトニンを含むニューロン群から発生し前方は基底核・大脳皮質に投射します。

下行性網様体という下向きの系も存在し、 注意機構に関わっています。

前頭葉の遂行機能が働くときには、前頭葉連合野から、視床と脳幹部諸核に向かう下行性繊維が存在して、視床や脳幹網様体の機能を調整している。

また視床下部も辺縁皮質(古皮質、旧皮質)に作用して大脳皮質の活動を調整しているとされている(視床下部調整系)。

よくわかる失語症と高次脳機能障害 P423

上行性・下行性などの系が大脳皮質の賦活化の調整をし、同時に皮質からも各系に調整的影響を与えるるような二重の調整機構となっています。

そのため、二重構造の中の組織(網様体賦活系と視床・視床下部・それらに繊維連絡のある皮質・皮質下)の異常により意識障害が生じてきます。

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意識障害の定量的評価(JCS:Japan Coma Scale)と結果の解釈

覚醒度の障害の評価としてよく用いられるものにJapan Coma Scaleがあります。3-3-9度分類という呼称で作成されています。

Ⅰ 刺激しなくても覚醒している状態(―桁で表現)

1 大体意識清明だが、今ひとつはっきりbない

2 見当識障害がある

3 自分の名前、生年月日がいえない

Ⅱ 刺激すると覚醒する状態−刺激をやめると眠り込む−(2桁で表現)

10普通の呼びかけで容易に開眼する
(合目的的な運動をするし言葉もでるが間違いが多い)
20大きな声、または体を揺さぶることにより開眼する
(簡単な命令に応ずる。例えば離握手)
30痛み刺激を加えつつ、呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する

Ⅲ 刺激しても覚醒しない状態(3桁で表現)
100痛み刺激に対し、はらいのけるような動作をする
200痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめる
300痛み刺激に反応しない

注 R :不穏、I: 失禁、A :無動性無言、 失外套症候群

軽度意識障害の場合、JCSでⅠ(1桁)の刺激しないでも覚醒している状態のことが多くあります。
軽度意識障害は発見されにくいこともあり、開眼して普通に話していても、その内容に見当識障害が現れていることがあります。
頭部外傷や脳血管障害の急性期・亜急性期に、健忘に伴う自発性の作話がみられることもあります。

こちらの記事も御覧ください。
実習に役立つ!意識障害の評価(JCSとGCSを中心に)と注意点

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高次脳機能障害における意識と軽度意識障害の評価法

軽度意識障害

軽度意識障害は、外見上はしっかりしているが、話をする中で返答が的外れであったり、反応時間の遅延がみられることがあります。

JCSでみつからない、または一桁の場合、軽度意識障害とすることがあります。

 

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軽度意識障害の評価方法

軽度意識障害の定式的評価方法として以下の知的作業能力から評価する方法があります。

①1桁の数字カード5枚を音読(正常人平均所要時間9秒)
②1桁の数字カード5枚を数の大きさの順に並べる(13秒)
③2桁の数字カード10枚を数の大きさの順に並べる(30秒)
④10 枚の文字カードをアルファベット順に並べる(40秒)
⑤3桁の数字カード15枚を数の大きさの順に並べる
⑥板に固定した6個の日用物品の名称をいう(16秒)
⑦同じ6個の物品を想起させる(5個で正常)
⑧それぞれ5枚ずつ同色の、5種類の色カード25枚を、色の同色の凹みにはめ込む(80秒)
⑨先の6個の物品を再度想起する(5個で正常)
⑩Binet-SimonまたはHAWIE (WAISのドイツ版)の知能検査にある6枚の版画の欠損部を指摘させる(各3-4秒)
⑪この6枚の絵画を想起させる(5 個で正常)
⑫数字の直後復唱
⑬数字の想起復唱

物品が用意しにくい場合もありますが、参考にできる項目はあると思われます。

検査項目には数の概念、並び替え、物品呼称など言語機能・認知機能の把握 、カードはめ込みなど動作性能力の把握、記銘・想起など記憶の把握などがあります

意識障害時では言語、認知、動作性能力、記憶低下があり、それらを支える注意機能低下の存在も考えられます。

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軽度意識障害時に行う注意検査

前途したように、注意と意識障害は関連性があります。

ここでは、軽度意識障害時の注意検査を挙げていきます。

「覚醒水準vigilance」の検査:
等速打叩課題。
被験者に5 分間持続して1 回/秒の打叩させます。10 秒ごとで1ブロックとし、計30ブロックの平均打叩数を計算します。
脳血管障害群(特に右脳損傷群)が有意に成績低下がみられる傾向があるとの報告があります。

「注意の選択性」の検査:
Auditory detection test:聴覚性検出課題。
覚醒水準も同時に検査されます。

「注意の転導性」の検査:
Cancellation and Detection Test(抹消・検出課題)。
評価は、速度・誤反応、正反応の欠落で行います。前頭葉損傷群では正答数の有意な低下があると報告があります。

「注意の容量」の検査:
数唱(順唱、逆唱)、paced auditory serial addition tesi (PASAT)、trail making testなど。
数唱課題は順唱6 桁、逆唱5 桁が正常。逆唱は順唱よりも、鋭敏に脳損傷を反映するといわれています。
情報処理能力の評価に鋭敏で社会復帰の参考になるとされています。

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せん妄の重症度評価:MDASの概要と実施方法、結果の解釈

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せん妄について

せん妄は急性期だけでなく回復期、維持期と様々な病期でみられ、また在宅や施設でもみられます。

せん妄があると転倒のリスクが高まったり、点滴の抜管があったりと、安全面での問題が生じやすくなるため、早期発見、早期治療を行っていくことが求められます。

せん妄の症状と観察の視点について、

せん妄は,意識の清明度が変化し,不安や幻視などの精神症状を伴う状態である。

意識の微妙な変化を捉えるには,継続的な観察が必要で,勤務帯毎の違いが重要な情報になる。

また,ぼんやりしていたり,眠そうにしていたりするといった変化以外に,普段と違ってイライラした様子がみられるなどの感情の変化や,急に排泄を失敗するよ うになるなど日常生活機能の低下としても観察される。

せん妄は入所時など環境が変化した時に生じやすいことから,入所時に普段の様子について十分情報収集しておく必要がある。

錯視や幻視などの知覚の異常は感覚刺激が少なくなり,意識レベルも低下する夜間に多くみられる。

知覚の異常に伴って妄想がみられることもあるが,断片的で被害的な色彩を伴うものが多い。

高齢者ケアにおけるアセスメント:精神的側面

とあります。

せん妄の治療には薬物療法が行われますが、その効果判定は夜間の行動を元に判断するため、夜間帯の様子を詳細にチェックしておくことが必要です。

薬剤の投与時間と、その後の行動の変化を把握していきます。

MDASの概要

MDASは10項目(意識障害、見当識障害、短期記憶障害、順唱と逆唱の障害、注意の集中および転換の障害、思考障害、知覚障害、妄想、精神運動抑制・精神運動興奮、睡眠覚醒リズムの障害)からなり、せん妄の重症度評価を目的として開発されました。

各項目を0:なし,1:軽度,2:中等度,3:重度で評価していきます。

日本語版も作成されており、信頼性と妥当性があり、せん妄と非せん妄を判別する上で有用だとされています。

またMDASは経時的変化を捉えることにも利用できます。

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評価方法

対象者への面接または観察により、10項目について評価していきます。

各項目には設問内容、評価尺度の詳細が書かれてあるため、それをもとに採点していきます。

結果の解釈

各項目の得点を合計し、30点満点中10 点がカットオフ値となっており、せん妄と非せん妄を分けることが可能です。

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