ハンドセラピーでの治療効果を評価する際の評価バッテリーの概要と評価方法、結果の解釈についてまとめていきます。
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目次
治療効果を見る指標にはどういったものがあるでしょうか。
関節可動域、筋力などはまず最初に思いつくものです。
人間は様々な作業を遂行していく中で生活していることから、日常生活における活動レベルでの評価や、生活における満足度(QOL)、自己効力感が重要視されるべきです。
病院の外来などでは訓練時間が20分程度と時間が短く、治療効果を見るための指標をとっていないことがあるかもしれませんが、成果を見る指標が存在することで、セラピストの治療内容の振り返りになったり、患者さんにとっても、自分の動きや気持ちの変化を改めて知る機会にもなります。
初期・再評価→治療というサイクルを通して、次の目標設定にも活かすことができます。
日本語版DASHは、日常生活における困難さに焦点を当てている評価票です。
能力障害や症状に関する質問が30項目あり、5件法で選択していきます。
スポーツ、芸術活動や仕事に関する質問が4項目あり、5件法で選択します。
[1]が障害なし、[5]が遂行不可能となります。
評価する日の1週間前の状況に対して回答を選んでいきます。
DASHには、質問が11項目(スポーツ、芸術活動や仕事に関する質問は4項目と変わらない)の「Quick DASH」があります。
日本語版DASHは、日本手外科学会のホームページよりダンウンロード可能です。
評価票
Quick DASH
評価票
採点を行うには、30項目のうち27項目以上回答してもらう必要があります。
スポーツ、芸術活動や仕事のカテゴリーでは、4項目すべてに回答してもらう必要があります。
Quick DASHでは、11項目のうち10項目以上回答してもらう必要があります。
スポーツ、芸術活動や仕事のカテゴリーでは、4項目すべてに回答してもらう必要があります。
各カテゴリーにいてDASHのスコアが100点満点に換算できるようになっています。
なお、標準値やカットオフ値はなく、点数の経過を追うことで治療効果を把握することにつながります。
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上肢機能評価の種類というよりは、評価には下記に挙げるようなことに分類ができると思います。
・機能面に焦点を当てた評価
・活動、参加面に焦点を当てた評価
・環境面(介護負担など)に焦点を当てた評価
・個人因子などの主観的な側面に焦点を当てた評価
これまで、リハビリテーションを実施するに当たっては機能面に焦点を当てた評価が重要視されてきましたが、
近年重要視されているのは、リハビリテーションを受けた結果、対象者の満足度がいかに向上したかということです。
リハビリ提供側としては、対象者の満足度が向上するということは、その施設の評価の向上に直結します。
Hand10、またはHand20は、日常生活動作の中で上肢を使用する動作の遂行における満足度を評価するものです。
Hand10・20では、評価する上肢は健側、患側のどちらでも構いません。
すなわち、健・患側どちらの使用でも、ある活動をいかに満足して遂行できているかを評価していきます。
先週1週間の状態を思い出しながら評価をしてもらい、実際には行っていない動作があれば、先週の状態でどの程度できるかと考えて評価をしていきます。
Hand10は10項目、Hand20は20項目あり、各質問に対してVAS(Visual analog scale)を用いて主観的な満足度を書き込んで行きます。
「0」を全く問題ない(または全く痛くない)〜「10」を全くできない(または全く耐えられない、全く自信がない)となっています。
質問項目の中には、日常生活動作だけでなく、「痛み」「全体の遂行度」「心理面」などについての項目も含まれています。
この評価ツールは検査時間も短く、評価しやすいことがメリットになります。
Hand10 |
Hand20 |
両手で洗顔する
両手でのシャツのボタンのかけはずし
わるいほうの手で蛇口をひねる
両手を使って牛乳パックを開ける
わるいほうの手で円形のドアノブを回し、重いドアを開ける
両手を髪で洗う
力仕事を精一杯できる
日常生活が普通にできる
わるいほうの手はどの程度痛いか
わるいほうの手のために自信を失っている |
両手で洗顔する
両手の爪を切る(爪切りを使って)
両手でのシャツのボタンのかけはずし
わるいほうの手でコインを拾う
わるいほうの手で蛇口をひねる
両手を使って牛乳パックを開ける
ペットボトルのフタを開ける
タオルをかたく絞る
包丁でりんごの皮をむく
わるいほうの手で円形のドアノブを回し、重いドアを開ける
頭上の棚に両手で重いカバンを乗せる(5kgのカバン)
洗濯物の洗濯バサミをを使って干す
両手で髪を洗う
わるいほうの手で新聞のページをめくる
力仕事を精一杯できる
わるいほうの手を人前に出しても美容的に気にならない
趣味ができる(絵、裁縫、スポーツなど)
日常生活が普通にできる
わるいほうの手はどの程度痛いか
わるいほうの手のために自信を失っている |
評価票はこちらのページからダウンロードできます。
各評価とも、スコアを算出します。
算出方法は、
「加算点数÷回答数×10」で、0〜100点でスコアを算出します。
Hand10・20はリハビリ実施前後に評価することで、日常生活遂行における満足度の変化を把握することができます。
また、この評価を使用することにより、満足できていない項目では、どのようなことが原因で満足できていないのかを把握し、さらなるリハビリテーションの方針を立てることにもつながります。
対象者が、評価項目にない事に関して満足度が低い場合には、Hand10と20の考え方を用いて評価していくことも考えられると思います。
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