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大脳基底核の損傷とADL障害!「ブレーキ管理ができない」にどう対応するか?

大脳基底核が損傷を受けると、運動学習がうまく進まないことがあります。その結果、車椅子⇄ベッドでの移乗時に、「ブレーキが止められない」ということが起こることがあります。今回、大脳基底核の損傷とADL障害、その対応についてまとめていきたいと思います。

目次

大脳基底核の損傷とADL障害!「ブレーキ管理ができない」にどう対応するか?

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大脳基底核とADL障害

大脳基底核に損傷がある場合に、ADL障害として「車椅子のブレーキ管理ができない」ということがみられることがあります。
決して記憶力自体が悪いわけではないのに、ブレーキ管理ができないのにはどのような理由があるのでしょうか。

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大脳基底核の働きと車椅子のブレーキ管理

「車椅子のブレーキ管理ができない」ということを考える時に、大脳基底核の働きを考えていく必要があります。

大脳基底核の基本的なことは、以下の記事を参照してください。
脳の構造と機能:大脳基底核の働きと機能障害、部位の同定

車椅子⇄ベッドへの移乗は、順序立てられ、組織化された動作といえます。
①車椅子をベッドに寄せる
②ブレーキを止める
③フットレストを上げる
④移乗する
と大まかには4つの相がある動作といえます。

ここで大脳基底核の役割に話を戻します。
大脳基底核は、他の脳部位との関連から、ループを形成します。
組織化と順序立てに関するループは大脳基底核ー前頭前野のループになります。

尾状核や被殻の前方と前頭前野、中脳腹側被蓋野との機能的連結により、
特に順序づけられた行動(遂行機能)の制御や、行動の発現や変換(実行と非実行の選別)、
自由意志の決定の制御や報酬予測を担っていると言われています。

http://gifunousocchuureha.blog.fc2.com/blog-category-2.html

このループが障害されることで、組織化と順序立ての障害が起こることが考えられ、その結果、ブレーキ管理(もしくはフットレスト)が不十分になる可能性があります。

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ブレーキ管理の不十分さにどう対応するか-視覚誘導型運動と記憶誘導型運動-

前途の話から、大脳基底核の損傷によりブレーキ管理が不十分になる理由が分かりました。
次に、ブレーキ管理の不十分さに対してどう対応または運動学習を進めていくかを考えていかなくてはいけません。

副題にある視覚誘導型運動と記憶誘導型運動ですが、これはパーキンソン病のリハビリテーションでよく耳にする言葉です。
パーキンソン病の方は、大脳基底核の障害により症状が出現することが知られています。
大脳基底核は補足運動野との連絡(運動に関するループ)により運動の開始・切り替え・終了を随意的に制御し、内発的、記憶誘導性の運動制御に関与するとされています。
そのため、大脳基底核が障害されるパーキンソン病では、知覚経験を基にした内発的、記憶誘導性の運動制御に困難さが生じてしまいます。
そこでパーキンソン病のリハビリテーションでは視覚誘導型(運動前野-頭頂連合野、小脳との連絡)の運動により記憶誘導型の運動を代償することで生活障害を改善させる試みが行われています。

上記のように、大脳基底核の損傷では、記憶誘導型の運動に困難さが起こることがわかりました。
そこで、ブレーキ管理の不十分さに対しては、初めは視覚誘導型の運動学習を利用して、徐々に記憶誘導型の運動学習を利用するのが良いのではないかと考えられます。

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ブレーキ管理の不十分さにどう対応するか-具体的アプローチ-

大脳基底核の損傷による組織化と順序立ての障害に関しては、
①視覚情報の積極的な利用(視覚誘導型運動の利用)
②動作の分解、ひとつの動作ごとの指示
③記憶誘導型運動を促す声かけ
がポイントになるのではないかと思います。

①視覚情報の積極的な利用(視覚誘導型運動の利用)

ここでは声かけを行うよりも、視覚情報の利用を初めに行うことを考えます。
ブレーキに対してのポインティングを行ったり、イラストやボディランゲージによりブレーキ操作を促すなどが考えられます。

②動作の分解、ひとつの動作ごとの指示

ここでは、多くの相がある動作において混乱を示すことが考えられるため、動作練習ではブレーキ管理はブレーキ管理の場面というように、その動作だけの場面を何回も用意して運動学習が促されるのを期待します。
また、一連の流れの中で動作練習を行う場合は、ひとつの動作ごとに指示を出すようにします。

③記憶誘導型運動を促す声かけ

よく臨床場面で見かけるのは、最初にブレーキ操作が不十分でも、乗り移ろうとした時の車椅子の揺れやブレに気づいてブレーキをかけるということがあります。
これは知覚体験を基にして、記憶誘導型の運動が促された結果ではないでしょうか。
そのため、このような知覚体験を促す声かけをしてみるのもひとつのヒントかと思います。
「このままだと移る時に車椅子が動いてしまいますよ」「(まさに移る時に)今車椅子が動いて危なくないですか?」などが考えられると思います。
この声かけが一番難しいと感じています。

ある実験では、補足運動野(記憶誘導型運動に関与)は、順序をあらかじめ教えておいて、記憶に基づいて順序通りに遂行する時にニューロンの活動性が高まったとされています。
このことから、動作前に指示をしておいて、動作直前に「どうするんでしたっけ?」「注意するポイントは?」などと質問することで適切な動作を誘導する方法もあると思います。
その場合、徐々に最適動作を促せるキュー(ヒント)を減らしていけるように段階付ける必要があります。

上記のような事に対しては、もちろん最適な動作が見られた場合には賞賛を忘れないようにしてくだだい。

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脳卒中では損傷部位別の評価とアプローチを行うことが必要ですよね?



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