脳卒中片麻痺者では、神経原性の筋力低下が起こります。また非麻痺側にも筋力低下が起こる可能性があり、その程度を知りしっかりとトレーニングをすることで、動作の自立度を高めることも可能です。今回、脳卒中片麻痺者の非麻痺側筋力についてまとめていきたいと思います。
目次
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サルコペニアや筋力低下についてもっと勉強したい方は
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脳卒中片麻痺者におこる麻痺側の筋力低下
まずは、脳卒中片麻痺者における麻痺側の筋力低下を考えていきたいと思います。
運動の発現には、一次運動野と皮質脊髄路が関与します。
なかでも、皮質脊髄路の役割として筋収縮の強さ、すなわち
①何個の運動細胞が興奮するか(量)
②1つの運動細胞がどれだけ強く興奮するか(強さ)
という事が挙げられます。
そのため、皮質脊髄路が障害されると、脊髄運動細胞の興奮が低下し、筋収縮が弱くなります。この状態を神経原性筋力低下といいます。
なお、一次運動野が損傷を受けた場合には、
昔、麻痺側には筋力低下は当てはまらないのではないかというような考え方もあったようですが、実際には麻痺側の筋力低下は存在することがわかります。
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脳卒中片麻痺者におこる非麻痺側の筋力低下
脳卒中片麻痺者では、非麻痺側にも筋力低下が起こる可能性が考えられます。
これは、脳卒中発症後ではベッド臥床時間が長くなることから、廃用的に筋力低下がおこるものとして考えることができます。
また、運動麻痺により全体の活動量が以前よりも低下するために非麻痺側の筋力低下が生じることも考えられるでしょう。
書籍「サルコペニアと運動 エビデンスと実践」では、脳卒中片麻痺者の筋力低下について以下のように記しています。
発症後平均10日および28日で四肢の筋力障害の測定を行い、麻痺側の筋出力制限を確認しただけでなく、非麻痺側の筋力は健常者の60〜90%にすぎない
サルコペニアと運動 エビデンスと実践
とあります。
みなさんの経験的にも、非麻痺側の筋力が低下しているなと感じる対象者の方は多いのではないでしょうか。
急性期や回復期の対象者の方はもちろん、維持期(生活期)の対象者の方においてもそのような傾向はもちろんみられます。
これは、維持期になって運動量や活動量自体が減り、筋力低下を引き起こしていることが考えられます。
女性であればなんらかの家事を家で行う可能性もあると思いますが、男性の場合では家でテレビを見て過ごすことが多いという方もいるかもしれません。
経験上、そのような方では筋力低下が徐々に目立ってくることが多いように思います。
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非麻痺側に対する筋力トレーニング
非麻痺側に対する筋力トレーニングを実施することにより、全体的な動きやすさや動作の自立度を高めることが期待できます。
もちろん筋力評価を行った上で、筋力低下があれば実施することが前提になります。
筋力強化の原理原則としては、以下のような基準を用いると良いでしょう。
最大筋力に対する%で示したトレーニング強度 | 必要な筋収縮時間 |
40〜50 | 15〜20 |
60〜70 | 6〜10 |
80〜90 | 4〜6 |
100 | 2〜3 |
最大筋力(1RM)に対する割合(%) | 最高反復回数 | 期待できる主な効果 |
100
90 80 70 60 50 1/3 |
1
3〜4 8〜10 12〜15 15〜20 20〜30 50〜60 |
集中力
筋肥大
筋持久力 (最大速度で行えばパワートレーニング) |
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詳しくは、以下の記事を参照してください。
筋力強化のための抵抗運動の方法と注意点
筋力強化の原理原則!負荷の設定、頻度、回数の考え方!
また、高齢者やリスクがある方に筋力トレーニングを行う場合、リスク管理が必要になります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
リハビリテーションとリスク管理:リハビリの中止基準
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