リハビリテーションでは、筋力向上やバランス能力強化のために四つ這い姿勢を利用することがあります。今回、四つ這いトレーニングのメリットをメカニズムを考慮しながら、まとめていきたいと思います。
目次
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四つ這い姿勢は、リハビリテーションではバランス練習や筋力強化に利用されます。
四つ這い姿勢をとることは、以下のようなメリットがあります。
・上肢での体重支持
・肩関節周囲筋の筋力増強
・体幹・下肢の筋力増強
・バランス感覚の学習
・骨盤・下肢のコントロール
脳卒中片麻痺の方の肩や股関節などの中枢部の促通や、脊髄損傷の方における筋力増強やバランス感覚の学習、プッシュアップ動作の準備の練習としても利用されることがあります。
脊髄損傷については以下の記事を参照してください。
脊損のリハビリ!基本動作(寝返り、起き上がり、座位、プッシュアップ、車椅子移乗)訓練のポイント!
四つ這い位はCKC(closed kinetic chain:閉鎖運動連鎖)での動きになります。
CKCについては以下の記事を参照してください。
筋力強化の原理原則(負荷、頻度、回数等)とリハビリテーション!
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子供は、運動発達において四つ這いを経験して歩行などに必要な機能を獲得していきます。
手の発達からの視点では、
・四つ這い移動で手掌での体重支持を経験することで、手のアーチの形成を助ける
・手掌での前後左右への体重移動は、手指外転、伸展、手掌内の橈側と尺側の分離を促す
・これが母指と他指の対立を促し、指先でのつまみ動作を準備する
ということが促されます。
歩行の発達の視点では、
・股関節内転・内旋の準備をする
ということが促されます。
次に、四つ這いに必要な能力をみていくことで、四つ這いがどのような運動機能の促進に利用できるかを考えていきます。
片手手掌での上肢の支持性:
四つ這い初期では、重心を臀部後方に移動させ、手を自由にする傾向があります。
上肢を交互に動かすには、片手で上体を支持する必要があります。
上肢の支持性は、腹臥位での手掌支持での体重移動、腹臥位での手伸ばし運動(6〜7ヶ月)、背臥位・腹臥位からの座位への起き上がり(7〜8ヶ月)などを経験することで獲得されていきます。
上肢の前方、側方へのパラシュート反応:
四つ這い移動での前進では、手が何かにつまづくと転倒の危険があります。
そのため手を前方、側方へ伸ばし、危険から身を守る自動的な動き(パラシュート反応)が必要になります。
腹臥位での側方への体重移動と四つ這いでの平行反応:
四つ這いでの重心移動をスムーズに行うには、上下肢を少し内転させる必要があります。
両上肢が内転すると姿勢は不安定となり、バランス反応が必要になります。
四つ這いでのバランス反応は、座位から四つ這い、四つ這いから座位への中間姿勢の変換を通して強化されます。
骨盤、大腿での支持性:
未発達な四つ這いや脳性麻痺児の四つ這い移動では、腰が左右に振れることがあります。
これは、股関節の屈筋、伸筋、外転筋など下肢交互運動の中での骨盤周囲の支持性が不十分なためです。
座位での体幹回旋、手伸ばし運動に伴う重心移動が骨盤周辺の支持性を強化していきます。
下肢交互運動と上下肢の協調性:
四つ這い移動では、上下肢の協調した交互運動により重心の前方移動が行われます。
手と足の協調、下肢交互運動は、背臥位で足に手を伸ばして遊ぶ、両足を交互に蹴るなどで強化されます。
頭部と体幹の分離:
対称性緊張性頸反射(STNR)は、頸部伸展が上肢伸展を助けるため、四つ這い姿勢維持に役立ちます。
しかし、反射が強く作用するとうさぎ跳びのような移動になり、移動に対して拮抗的な動きとなってしまいます。
頸部の位置に関わらず、上下肢を伸展させたまま交互に動かすには、STNRの抑制が必要になります。
ざっと子供の発達における四つ這い姿勢に必要な能力をみていきましたが、このことからも四つ這い運動は、
・上肢、下肢、体幹の支持性の向上(筋力強化)
・上肢、下肢、体幹の協調した運動の促進
・バランス反応の促進
に利用可能なことがわかります。
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四つ這い位におけるバランストレーニングでは、まずは四肢が床に着いている状態で行っていきます。
平衡反応の評価にも用いられているものですが、次のような組み合わせでバランストレーニングを行います。
四つ這い位(股関節・膝関節90度屈曲位、足関節伸展位において)
・骨盤を左側へ押す
・骨盤を右側へ押す
・臀部を前方へ押す
・肩を後方へ押す(臀部が後方へ移動する)
この他動的な操作に対して、元の姿勢に戻るようにすることで、四肢体幹の筋力によるバランス能力向上を図っていきます。
この時の注意点としては、足関節伸展位から背屈位にならないことです。
筋力増強訓練としては、図のように四つ這い位でやや前方に体重を移動させ、そこから元の位置に戻すのに抵抗をかけることで、前鋸筋や三角筋、大胸筋、広背筋などの筋活動が高まります。
また、この際頸部を伸展しながら行うと、僧帽筋上部繊維の筋活動が高まってしまうため、頸部を屈曲させて前鋸筋の前方突出を促しやすい状況を作ってトレーニングを行います。
また、四つ這い位にて上下肢を上げることで難易度を高めていきます。
・左上肢を上げる
・右上肢を上げる
・左下肢を上げる
・右下肢を上げる
・左上肢と右下肢を上げる
・右上肢と左下肢を上げる
・左上肢と左下肢を上げる
・右上肢と右下肢を上げる
これらの組み合わせでは、下の課題ほど難易度が高くなります。
対側上下肢挙上課題は、体幹トレーニングとしてもよく利用される肢位になります。
かなりレベルの高い方では、下肢が床についている面を図のように小さくすることでかなり不安定性が増します。
これらのトレーニングを行う時には、くれぐれも転倒させないように注意します。
他の注意点としては、上肢で支持しているときに、図のように肘関節が曲がっている状態では、上腕二頭筋や上腕三頭筋によるコントロールとなります。
そのため、肘関節はしっかりと伸ばすことにより、肩周囲筋を主な力源として四つ這い位を保持するトレーニングとなります。
脊髄損傷の方では、肩関節を外旋位、前腕を回外位とすることで肘関節が伸展位でロックされやすくなります。
四つ這い位は、翼状肩甲や前鋸筋筋力低下のトレーニングに対してもよく用いられる肢位です。
詳しくは以下の記事を参照してください。
翼状肩甲(前鋸筋筋力低下)の評価と筋力トレーニング
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