階段昇降のリハビリテーションとして、正常動作のメカニズムや筋活動、臨床への活かし方についてまとめています。
目次
上図の上段が階段昇降における昇段の相を示しています。
①動作開始
②単脚支持相
③両脚支持相
④挙上相
⑤単脚支持相
下段は階段昇降における降段を示しています。
①動作開始
②単脚支持相
③下降相
④両脚支持相
⑤単脚支持相
各相において、使用される関節運動や筋、筋収縮の様式が異なります。
その違いを把握しておくことで、対象者にどのような問題が生じており、どのように解決すれば良いかを考える上で役立ちます。
前肢接地(両脚支持相)から挙上相
この相では、前肢の大腿四頭筋、後肢のヒラメ筋がともに求心性収縮を行ないます。
前肢の大腿四頭筋、後肢のヒラメ筋の求心性収縮により身体挙上や体重支持が効率的かつ力強く行われます。
身体重心の上方加速度は、足関節の筋出力発揮の影響が大きいと言われており、ヒラメ筋の求心性収縮の重要なポイントになります。
前肢接地から後肢接地
この相では、大殿筋の働きにより立脚中の体幹屈伸の制御を行ないます。
昇段においては前額面における制御も重要であり、左右方向のバランス保持には中殿筋の活動が重要なポイントになります。
前後方向は大殿筋、左右方向は中殿筋と覚えておくと良いでしょう。
動作開始時に前肢の股関節屈曲においては腸腰筋の働きが重要になります。
この時股関節屈曲の可動域制限があったり、腸腰筋の筋力低下がある場合、段の高さによっては代償運動が生じることになります。
この場合は、体幹を屈曲させる代償運動がみられます。
立脚期全般
降段時の立脚期全般において、ヒラメ筋の遠心性収縮が見られます。
また、中殿筋による側方身体重心の制御が必要です。
これは昇段時にも述べましたが、左右方向のバランス制御に中殿筋が関わっている事を示しています。
下降相
この相では、転倒しないようにいかに身体重心をコントロールしていくかが重要になります。
後肢の大腿四頭筋の遠心性収縮の活動は、前下方への身体重心の減速をコントロールし、ブレーキをかけながら降段することに寄与します。
また、ヒラメ筋の遠心性収縮によっても、身体重心のコントロールを行なっています。
前肢接地時
前肢接地時には、大殿筋の活動により体幹屈伸の制御が行なわれます。
昇段動作においては、足部接地位置によって、筋活動に違いがあります。
この筋活動の違いを理解していると、対象者の身体機能レベルで必要な筋収縮を促すための臨床応用が可能になります。
昇段において、前足部接地を強調すると下腿三頭筋(ヒラメ筋)の筋活動が大きくなります。
また、後足部接地を強調すると前脛骨筋の筋活動が大きくなります。
これらのことから、下腿の前方、後方のどちらの筋活動をより生じさせたいか(または軽減させたいか)により、足部接地位置を変えながらトレーニングを選択できることになります。
昇段時に足内足部接地を強調した場合、腓骨筋の筋活動が大きくなります。