橈骨遠位端骨折術後のリハビリテーションでは、どの程度積極的にリハビリを行っていけばよいのだろうかなどといった疑問にぶつかる方も多いと思います。今回、橈骨遠位端骨折術後の作業療法、リハビリテーションの進め方についてまとめていきたいと思います。

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目次

橈骨遠位端骨折術後の作業療法、リハビリテーションの進め方!

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橈骨遠位端骨折の評価

森谷・斎藤の評価法(MS-2010)の概要

森谷・斎藤の評価法(MS-2010)は、橈骨遠位端骨折の評価指標として開発されたものです。
自覚的評価(痛み、変形、ADLなどにおける障害)では主観的な意見が反映され、他覚的評価(変形、関節可動域、握力、関節症の変化、合併症)はセラピストによる評価を行い、総合的な評価を出していきます。

森谷・斎藤の評価法(MS-2010)では、術後約1年での評価を実施することが推奨されています。

そのため、術後から1年までの評価指標では、
・浮腫計測
・疼痛(VASなど)
・関節可動域
・筋力
・簡易上肢機能検査(STEF)
・DASH
などにより評価していきます。
DASHについては以下の記事を参照してください。
上肢障害評価票(日本語版DASH)の概要と評価方法、結果の解釈

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森谷・斎藤の評価法(MS-2010)の評価方法(評価項目)

自覚的評価

・痛み
・変形
・ADL・家事・職業・レクリエーションでの障害

他覚的評価

・選択変形
尺骨バリアンス
掌側傾斜角
尺側傾斜角
関節面の段差
・関節可動域
手関節掌屈、背屈、橈屈、尺屈
前腕回外、回内
・握力
・関節症性変化(骨棘形成、関節裂隙の狭小化など)
・合併症
神経合併症
手指拘縮
腱断裂

森谷・斎藤の評価法(MS-2010)の結果の解釈

森谷・斎藤の評価法(MS-2010)では、各評価項目で減点される点数の合計点(総減点数)により、
・Excellent
・Good
・Fair
・Poor
に分けられます。

なお、手関節や前腕の関節可動域に関しては、

ADL遂行に必要な可動域は、回外50°程度、手関節掌屈20°程度が必要である。
臨床的には前腕回内外60°、手関節掌背屈30°程度の可動域獲得が最低目標となる。

リハビリテーション終了時の成績目標は、健側比で手関節可動域は80〜90%、前腕回旋可動域95%以上、握力は70%以上が妥当と考えられる。

臨床ハンドセラピイ

とあります。

床上動作を行う上では、手関節背屈は80°〜90°必要になります。
リハビリテーションにおいて大切なことは、評価を通じて機能的に改善できる点はあるか、機能的に改善が難しければ環境調整(自助具、福祉用具の使用、人的支援の利用)を通じて動作遂行が可能になるかなどを考えていくことです。

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術後のスケジュールは

橈骨遠位端骨折の術後においては、早期からリハビリテーションが行われますが、初めから他動運動によるROM訓練を行うわけではありません。
術後のリハビリテーション内容はドクターに確認しながら行うべきですが、大まかな流れを示していきたいと思います。

術後翌日:浮腫への対応、手指関節可動域訓練、手指屈筋腱の癒着防止、骨折部以外の上肢の運動
術後1週目(2〜3日):愛護的に、手関節・前腕の自動運動
術後1週目〜:手関節・前腕の自動運動
術後2週目〜:手関節・前腕の他動運動、無理をしない範囲での握力増強運動
術後3週目〜:握力訓練、手関節前腕筋力訓練
術後6週目〜:体重負荷による他動運動(負荷量の調整必要)
骨癒合後:コンプレッション(圧迫)を積極的に行える時期

これらの過程の中で、回復状況に応じてADLで参加できる機会をセラピストと患者様が確認し、遂行していきます。

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術後の対応と浮腫のコントロール

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浮腫が生じるメカニズム

膠質浸透圧による毛細血管内での体液の移動

毛細血管で内では、血液が内皮細胞の隙間と細胞膜を通して循環しています。

毛細血管では半透膜で、ほとんどの物質を透過させることができますが、比較的大きなタンパク質(アルブミンなど)は透過が困難です。このようなタンパク質を膠質といい、体内にとって重要な物質です。

そのためこれらを血管内に残すために膠質浸透圧(細胞間液から血管にかかる圧)が常に25㎜Hgで存在しています。

毛細血管内での水や物質のやりとりは膠質浸透圧、毛細血管内の血圧(動脈、静脈)の関係により血液と間質液、細胞内液は常に一定の濃度に保たれています。

動脈の毛細血管では、動脈壁に約35㎜Hgの圧力(心臓のポンプ作用による)がかかっています。

これは血管側の血漿の膠質浸透圧25㎜Hgより大きく、血漿中の水や電解質などが細胞側の間質液中にその差の10㎜Hg移動します。

静脈の毛細血管では、静脈壁に約15㎜hgの圧力(血液を流す役割のため心臓のポンプ作用はない)となっています。

これは血管側の血漿の膠質浸透圧25㎜Hgより小さく、細胞側の間質液中の水や電解質を血管側の血漿内にその差の10㎜Hg引き込みます。

このように動脈、静脈で浸透圧10㎜Hg差を補っており、この状態では浮腫は発生することはありません。

炎症が起こると毛細血管透過性が上昇し、膠質浸透圧が低下します。

そのため大量の液が組織間隙にたまり、浮腫が発生します。

炎症期以降の浮腫:静脈還流の低下

静脈は皮下組織のすぐ下の走行しています。

手術などで皮膚が損傷を受けると、皮膚が硬化することがありますが、これによりその近くを走行する静脈も影響を受けることになります。

静脈は動脈と比較し血管が伸びにくいため、硬化により循環不良が起こると、還流量が低下してしまいます。

炎症期以降の浮腫:動脈圧の低下

動脈は深部に存在し、深部組織に血液を供給しています。

深部組織には単関節筋や知覚受容器が多く存在するのですが、骨折などで深部組織が損傷を受けると、近くを走行する細かい動脈も圧迫や牽引を受けることになります。

過度な伸張訓練を行うと疼痛を引き起こし、それが交感神経反射を起こすことにつながります。

それが動脈を収縮させ、動脈圧が低下することになります。

術後の浮腫の評価

橈骨遠位端骨折術後のリハビリテーションにおいては、術後の浮腫の管理が重要になります。

浮腫のコントロールが不良だと、手・手指関節の関節可動域制限が生じてしまうおそれがあります。

術後のリハビリテーションでは、まず浮腫の状態を評価する必要があります。

浮腫の外見と特徴

浮腫の外見としては、
・皮膚表面がピカピカしている
・皮膚のしわが少ない
という特徴があります。

浮腫が存在すると、自動or他動関節可動域とも減少します。この場合、その制限は自動・他動とも同じ程度です。

浮腫の計測

浮腫を計測することで、リハビリテーションの結果を把握し、治療的アプローチが正しかったのかを確認することにつながります。

浮腫の計測では、手関節部、DID関節部、PIP関節部、中節骨部、基節骨部などで実施します。

メジャーなどを使って測定し、健側と比較することにより結果の解釈を行います。

また、容積計を用いた評価方法もあります。

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浮腫のコントロール

橈骨遠位端骨折の浮腫のコントロールにおいては、早期対応が基本になります。

早期対応がなされないと、後々運動障害を取り除くのに時間がかかってしまいます。

上肢の挙上

上肢を心臓のある位置以上に挙上すると、動脈の圧を減少させることにつながり、またリンパ液や静脈血の排出を助けます。

できる限りリラックスした状態で挙上する必要があり、手関節は中間位から軽度伸展位、手指・手関節を肘より高くし、肘は心臓のある位置よりも高く保持します。

頻度は特に問いませんが、自己管理を進めていく上では意識を高めていく必要もあり、頻度を高くできるように指導することも大切です。

挙上位での手指自動運動も浮腫軽減に効果的です。

マッサージ

求心性マッサージによる圧迫、間欠的・持続的な圧迫など様々な方法があります。

求心性マッサージでは間質組織の圧迫により、静脈やリンパの流れを促していきます。

上肢を挙上させた状態で行い、5〜10分行います。

 

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橈骨遠位端骨折術後と手指拘縮のリハビリテーション

術後の手指拘縮について

橈骨遠位端骨折の術後のリハビリテーションは早期から行われます。

その際、手指の拘縮には十分注意しておく必要があります。

術後は炎症症状もあるため手関節から手指にかけて浮腫が生じやすく、浮腫のコントロールとともに手指の運動をしっかりと行っておく必要があります。

手指拘縮を防ぐには、母指やその他の手指の自動・他動運動や屈筋健の癒着を防ぐためのエクササイズが必要になります。

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術後の運動指導

リハビリテーションを提供する時間は限られていることから、自主的に運動を行えるように運動方法を指導することが大切になります。

手指を動かすことの重要性(拘縮の予防)を説明するとともに、運動においてはどのような点に注意すれば良いのかをデモンストレーションを含めて練習してもらうようにします。

本人の認知機能が低下しており、理解力や記憶力の低下が疑われる場合には、家族にも運動方法を指導するなどして対象者に運動を行ってもらえるように援助していく必要があります。

対象者または家族に指導を行っても、その場では覚えていても時間が少し経つと「どんな事するんやったかな」と運動方法を忘れてしまうことがあります。

そのようなことを防ぐためには、図や写真を用いた用紙を渡すなどの対策を行う必要があります。

母指の運動方法

母指の運動としては、掌側外転・内転、橈側外転・内転の動きが重要です。

また、対立運動も重要な母指の運動になります。

橈骨遠位端骨折の術後においては、母指の運動指導を忘れがちになるので、その点をしっかりと指導できるようにしたいところです。

ポイントとしては、母指の運動を行うことによって、痛みが生じない程度に行うことです。

手全体の浮腫により母指の運動が行いにくいことがあると思いますが、積極的に母指の運動を行えるように指導する必要があります。

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手指の運動方法

掌側ロッキングプレートを用いた手術では、屈筋健の癒着を防ぐことが重要です。

屈筋健の癒着が起こってしまうと、関節可動域制限が生じてしまいます。

屈筋健が癒着すると、手指屈曲の自動関節可動域<手指屈曲の他動関節可動域となります。

また、手指屈曲の他動関節可動域は正常範囲となります。

屈筋健の癒着を防ぐには、屈筋健のグライディングエクササイズが行われます。

図のような手指の肢位をとるのですが、それぞれの肢位において滑る屈筋健が異なります。知識として知っておくと良いと思います。

①伸展握り
伸展握りはMP関節屈曲、PIP関節伸屈曲、DIP関節展位で握りこぶしを作る肢位になります。
この肢位では、腱鞘と骨に対して浅指屈筋健が大きく滑ります。

②鉤握り(引っ掛け握り)
鉤握り(引っ掛け握り)はMP関節伸展、IP関節屈曲位の肢位をとります。
この肢位では、浅指屈筋と深指屈筋の間で大きく健が滑ります。

③握りこぶし
通常の握りこぶしで、MP、IP関節は屈曲位をとります。
この肢位では、腱鞘と骨に対して深指屈筋健が大きく滑ります。

 

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手関節の自動運動による関節可動域訓練の種類と方法

手関節の自動運動を行う際の方針

上記をリハビリテーション過程を見るとわかりますが、手関節や前腕の自動運動を行う時期は術後2,3日から術後約2週間までの間です。

もちろん、その辺りの運動方法の選択にはドクターと協働しながら決定していく必要があります。

手関節の自動運動を考えた場合には、手関節掌屈(屈曲)・背屈(伸展)・尺屈・橈屈運動があります。

これらの自動運動を行っていく必要があります。

ポイントとしては、健側で患側の手関節を固定しながら行うことで手関節の運動を引き出しやすくなります。

なお、痛みが生じる場合には無理をせず、初めは愛護的に行ってもらうように進めていきます。

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手関節掌屈の自動運動を行う時のポイント

我々が手関節掌屈を行う時は、自然に自然に手関節は尺屈方向の運動が伴います。

そのため、手関節掌屈運動の可動域を拡大させるためには、手関節尺屈を伴うように意識してもらうことが必要です。

なお、手関節掌屈運動には手根中央関節が主に関与するとされています。

手関節背屈を行う時のポイント

我々が手関節背屈を行う時は、自然に手関節は橈屈方向の運動が伴います。

そのため、手関節背屈運動の可動域を拡大させるためには、手関節橈屈を伴うように意識してもらうことが必要です。

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前腕の時自動運動を行う時のポイント

前腕の自動運動を行う時には、運動の広がりによる代償運動に注意する必要があります。

前腕回内運動では肩関節外転による代償がみられる場合があります。

また前腕回外運動では肩関節内転による代償がみられる場合があります。

代償運動を生じさせないようにするためにも、上肢を体側に固定させながら行うことが大切になります。

ダーツ様運動の重要性

手関節の自動運動を考える場合に、ダーツ様運動を行うことも重要です。

「ダーツスローモーション」とも呼ばれている運動ですが、その名の通りダーツのような動きを自動運動にて行うことをさします。

この運動では、主に手根中央関節の動きが促される運動です。

手根中央関節は近位手根骨列と遠位手根骨列により構成される関節になります。

また、ダーツ様運動では手関節尺屈と橈屈運動が促されます。

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自主練習を習慣化させる

セラピストが行うリハビリの時間は限られているため、患者様が自主的に自動運動を行う時間を確保することが大切になります。

そのためには、自主練習の必要性と実施方法のポイントを説明(または写真などの配布)することも大切です。

また、セラピストと患者様がともに目標を共有することで、訓練意欲が高まる事が期待されます。

しっかりと話をする中で情報収集を行い、訓練に取り組んでいく事が必要になります。

セラピストはわずかな変化にも気づき、フィードバックすることでその変化を共有し、患者様の意欲を高めていくようにすることも大切です。

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手関節背屈のROM改善方法

他動的関節可動域訓練を行う時期に注意

橈骨遠位端骨折における関節可動域訓練の考え方として、自動運動によるROM訓練と、他動運動によるROM訓練を行う時期については注意が必要です。

例えば、手術においてロッキングプレートなどを用いた場合、術後すぐに他動運動によるROM訓練を行ってはいけません。

まずはマイルドな自動運動によるROM訓練を行っていく必要があります。

他動運動を開始してよい時期については、もちろんドクターに確認する必要がありますが、文献等を参考にすると概ね術後2週間程度から開始するようになっているのではないでしょうか。

それまでは自動運動によるROM訓練が中心で、リハビリ以外の時間においても自主練習として自動運動を行えるように指導し、習慣化をすすめていくことが大切になります。

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手関節背屈運動のバイオメカニクス

手関節背屈運動の改善を図るには、まずはそのバイオメカニクスを知る必要があります。

日常生活における手関節の実用的な関節可動域としては、手関節背屈は約40度必要と考えられています。

しかし、床上動作を行う場合、手関節背屈40度ではどう考えても不十分だと考えられます。

床上動作を行うためには、手関節背屈は80〜90度は確保しておきたいところです。

手関節背屈は橈骨手根関節の動きが中心になって行われています。

その割合としては、橈骨手根関節が66,5%、手根中央関節が33,5%だと言われています(手関節掌屈は橈骨手根関節が40%、手根中央関節が60%だと言われています)。

筋肉との関係としては、背屈には長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、関与しています。

手関節を背屈すると自然に橈屈がみられますが、この事を考慮すると、手関節背屈の可動域を改善するには橈屈方向の可動域を改善させる必要もあります。

なお、橈屈、尺屈に関してはほとんどが手根中央関節の動きによって生じているとされています。

橈骨手根関節とは

橈骨手根関節とは、橈骨と近位手根骨で構成される関節です。

なお、近位の手根骨には、豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨があり、遠位の手根骨には、有鈎骨、有頭骨、大菱形骨、小菱形骨があります。

橈骨手根関節の動きを出すには、手根骨の位置の把握と触診をできることが重要になります。

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橈骨手根関節を動かすにはどのようにすればよいのか

橈骨関節を動かすには、どのように行えばよいかを考えていきます。
まず、リスター結節の位置を確認します。
・橈骨茎状突起(橈骨遠位の出っ張っている部分)、尺骨茎状突起(尺骨遠位の出っ張っている部分)を確認します。
・その間の1/3(橈骨側)にリスター結節が確認できます(出っ張っている部分)。

次に、舟状骨、月状骨の位置を確認します。
第2、第3中手骨をたどっていくと、その近位の部分に有頭骨に触れます。

舟状骨と月状骨の位置を確認します。
・舟状骨と月状骨は、有頭骨のすぐ下にあります。


*丸で囲んだ部分

これらの手根骨の位置を確認できれば、橈骨手根関節を動かしていきます。
①一方の手で舟状骨と月状骨を固定します。
②もう一方の手でリスター結節を中心にして橈骨遠位(前腕部)を固定します。
舟状骨・月状骨を固定している側を固定しながら動かすことで、橈骨手根関節の動きを出していきます。

*その後、手関節背屈のストレッチも行いますが、その際には橈屈の動きを伴いながら背屈することで背屈の動きを改善させていきます。
もちろん、筋による制限因子がある場合は、その事も考慮していく必要があります。

手根骨や関節面の動きを出していく時には痛みが生じやすいですが、その際には無理に行いすぎないように注意してください。
痛みは患者様にとっては苦痛であり、リハビリテーションに対する負の情動や意欲低下にもつながることがあります。
そのため、まずは今現在行っていることの意義を説明したり、「痛みが出たらすぐに言ってくださいね。」などと患者様への配慮を忘れないようにしてください。

 

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手関節掌屈のROM改善方法

手関節掌屈運動のバイオメカニクス

手関節掌屈運動の改善を図るには、まずはそのバイオメカニクスを知る必要があります。

日常生活における手関節の実用的な関節可動域としては、手関節掌屈は約30〜40度必要と考えられています。

手関節掌屈は手根中央関節の動きが中心になって行われています。

その割合としては、橈骨手根関節が40%、手根中央関節が60% だと言われています(背屈は橈骨手根関節が66,5%、手根中央関節が33,5%)。

筋肉との関係としては、掌屈には橈骨手根屈筋、尺側手根屈筋、長掌筋が関与しています。

手関節を掌屈すると自然に尺屈がみられますが、この事を考慮すると、手関節掌屈の可動域を改善するには尺屈方向の可動域を改善させる必要もあります。

なお、橈屈、尺屈に関してはほとんどが手根中央関節の動きによって生じているとされています。

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手根中央関節とは

手根中央関節とは、手根骨の近位列と遠位列によって構成されている関節です。

なお、近位の手根骨には、豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨があり、遠位の手根骨には、有鈎骨、有頭骨、大菱形骨、小菱形骨があります。

手根中央関節の動きを出すには、手根骨の位置の把握と触診をできることが重要になります。

手根中央関節を動かすにはどうすればよいか

手根中央関節を動かすには、どのように行えばよいかを考えていきます。
まず、有頭骨の場所を確認します。
・第2、第3中手骨をたどっていくと、その近位の部分に有頭骨に触れます。


次に、舟状骨と月状骨を探します。
・舟状骨と月状骨は、有頭骨のすぐ下にあります。

これらの手根骨を確認できれば、手根中央関節を動かしていきます。
①一方の手で有頭骨(遠位側)を固定します。
②もう一方の手で舟状骨・月状骨を固定します
③舟状骨・月状骨を固定している側を固定しながら動かすことで、手根中央関節の動きを出していきます。


*その後、手関節掌屈のストレッチも行いますが、その際には尺屈の動きを伴いながら掌屈することで掌屈の動きを改善させていきます。
もちろん、筋による制限因子がある場合は、その事も考慮していく必要があります。

手根骨や関節面の動きを出していく時には痛みが生じやすいですが、その際には無理に行いすぎないように注意してください。
痛みは患者様にとっては苦痛であり、リハビリテーションに対する負の情動や意欲低下にもつながることがあります。
そのため、まずは今現在行っていることの意義を説明したり、「痛みが出たらすぐに言ってくださいね。」などと患者様への配慮を忘れないようにしてください。

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橈骨遠位端骨折術後とADL

術後早期より日常生活にて手術側の手を使用していくことが、回復には重要になります。

しかし、術後早期では重量物を持ち上げたりすることは禁忌となります。

ベッド周りの動作では、

・リモコン操作
・カーテンの開閉
・引き出しの開閉
・棚の開閉
・ナースコールスイッチを押す

などが行いやすい動作となります。

食事では、

・箸の使用
・茶碗を持つ

排泄では、

・トイレットペーパーをちぎる
・ズボンの上げ下げ

などがあります。

これらの動作は積極的に行うべきだと思われます。

以下のページは、橈骨遠位端骨折のリハビリテーションを進める上で大変参考になると思いますので参照してください。
http://www.saiseikai-otaru.jp/hotnews/files/00000500/00000503/20160427125736.pdf

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手関節筋力、握力に対するトレーニング

手関節の筋力において重要なのが、橈背屈の動きになります。

日常生活上、橈背屈にて動作を行う機会がたくさんあり、手関節を固定することにより指の運動性も確保されます。

筋力トレーニングを開始するおおよその時期は、術後2週目では軽めに、3週目からは徐々に負荷をかけていくようにします。

筋力トレーニングの際に痛みが生じているのであれば、無理をしない範囲で運動を行います。

握力では特に内在筋(骨間筋など)の強化が重要であり、力をいれた際に痛みも生じやすいことが考えられます。

リハビリテーション終了時の成績目標は、健側比で手関節可動域は80〜90%、前腕回旋可動域95%以上、握力は70%以上が妥当と考えられる。

臨床ハンドセラピイ

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橈骨遠位端骨折後に肩が痛いという訴えがある場合

橈骨遠位端骨折の方では、転倒などで手首をついた際に、肩に押し上げる方向に力が加わることがあります。

橈骨遠位端骨折は、手関節部での骨折であり、転倒した際に手を地面について受傷することが多い骨折です。

手をついた時、肘関節が伸展位(肘が伸びた状態)で地面につくと肩関節に負荷が加わり、「骨折部以外の痛み」として肩関節周辺に症状が出現することがあります。

手を地面についた時、上腕骨(腕の骨)には上方へと突き上げられるような力が加わります。

そのため、図の水色楕円形の部分が押し潰されるため、この部位で炎症が生じ、肩関節での痛みが発生します。

その後、拘縮(関節が動かなくなってしまうこと)を生じてしまいます。

http://akiyama-seikei.com/whatsnew/20131103184532/

この他にも、骨折部周辺の疼痛による肩関節での代償動作による痛みなども検討する必要があります。

これは、ADLなどの普段の動きを確認していく中で無理な姿勢での動作になっていないか、代償動作が出現していないかを観察評価していく必要があるでしょう。

対象者に対しては、手関節や前腕周辺以外に痛みが生じていないかを常に確認していくことが大切になります。

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