今回、全失語の特徴と症状、コミュニケーション改善のための関わり方について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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全失語は、広い範囲での左中大脳動脈領域損傷の急性期ではよくみられる症状です。
また、左半球において2つ以上の小さな損傷がある場合にも全失語を呈することがあります。
全失語では、すべての言語手段(理解と表出)がはっきりと損なわれています。
対象者は、話すことは難しいですが、話そうとする意欲は保たれています。
発話は自動装置様(「はい」、社会的挨拶、罵倒語)や、反復会話に限定されるかもしれません。
数かぞえや曜日の呼称、馴染みのある歌詞などの反復発話に限られます。
また、とある状況でのみ出現し、繰り返されることはないような偶発的な発話もみられることがあります。
初期段階では、他者を理解するために顔の表情や声のイントネーション、前後関係の手がかりなどに依存しているように思えます。
単純な動作命令に対して従命できる場合もあることもあります。
状況理解がよく、ジェスチャーや言葉の抑揚、表情からこちらの意図を読み取ってくれる場合も少なくはありません。
意識清明な対象者は、実際よりも良好な理解があるともされています。
欲求不満の耐性は対象者の自己認識によって異なります。
読みは馴染みの名詞と動詞に限られ、書字は一文字や一頁上に書かれたでたらめで複雑な線のようになります。
自分の名前や数字については次第に改善される可能性もあります。
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まずは、どの部分が損傷を受けると、どのような症状が生じるのかを理解していきます。
上図において、緑色で囲まれている部分は換語困難が生じる可能性がある脳部位になります。
また、緑色で囲まれている部分において、さらに水色で囲まれている部分は単語の意味理解の低下が生じる可能性のある部分になります。
さらに、赤色で囲まれている部分は失構音、ピンク色で囲まれている部分は音韻性錯誤が生じる可能性がある部位になります。
全失語は、ブローカ領域やウェルニッケ領域といった、前方と後方の領域にまたがる病巣においてみられることが多くあります。
他のパターンとしても、
・中心前回下部(失構音)、中・下前頭回後部(換語障害)、中心後回下部、縁上回(音韻性錯誤)、中前頭回(単語の意味理解障害)
・中心前回下部(失構音)、上側頭回後部、中・下側頭回(換語困難)、中心後回下部、縁上回(音韻性錯誤)、上側頭回後部、中側頭回(単語の意味理解障害)
といった病巣が考えられます。
次に、これらの部位を脳画像を通して確認していきます。
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基本的には、簡単で明確な言語構造と徒手的な手がかりを用いるようにします。
指示は直接的で短いものにします(「左手ではなく右手を使って」→「まずは右手」)。
多くの言語を用いると混乱を招いてしまうため注意が必要です。
支援者は、コミュニケーションにおいて表情やジェスチャーが対象者の理解を促すことを意識しておく必要があります。
コミュニケーション促進のために視覚的な促しやキーワードの使用は会話参加のためには不可欠なものとなります。
作業遂行では目標と手順を1つか2つに限定し、休憩を適宜とること、延長時間を許すこと、日課の設定は行われる必要があります。
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症状 | コミュニケーション改善のためのガイドライン |
発話のすべての面が重度に障害される 自動的なものに限定された発話(「はい」「OK」) 復唱不可 自発的に音声を出せない ジャーゴンがある可能性あり 聴理解は本人に強く関連したものに限定何もしていない時理解してるように見える 黙読は自身の名前の認知に限定 音読不可 書字不可 社会的手がかりに気づきや依存することが保たれる場合あり |
視覚的手がかりを用いる 絵画 ジェスチャー 表情、しぐさ 標識と信号 文の中で重要な単語を強調 刺激を個人に関連したものにする 様々なコミュニケーションの方法を考える 社会的な会話や歌の活動に参加する 発話活動を行う(数かぞえなど) 何かについて話すよりは、一緒に活動することに重点を置く |
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