物の名前が言えないときに、安易に失語症と決めつけるのはいけません。そもそも、物品呼称のメカニズムや、物品が呼称できない原因は様々なことが考えられます。今回、物品呼称障害の原因と脳機能のつながりについてまとめていきたいと思います。



目次

line登録もよろしくお願いします

ブログには書けない裏話、更新通知、友だち限定情報などを配信(完全無料)!まずは友だち追加を♪ 友だち追加

リハビリテーション職が上司から求められるスキルと役割

書籍を出版しました。

サラリーマンリハビリ職に求められるスキルと役割の全貌: 組織人として何を求められ、何を身につけ、どう行動すれば良いかがわかる

臨床を助けるnote





療法士で将来のお金が心配な方へ

リハビリテーション職種のための資産形成術-作業療法士の筆者が実際に行う資産運用法を実データを元に紹介-

訪問指導でお悩みの方、自信がない方

訪問指導で在宅復帰と住宅改修を成功させるコツ

在宅復帰につなげるカンファレンス術とは?

何をどう伝えると在宅復帰につながる?リハビリテーション職種のためのカンファレンス攻略術

在宅復帰の妨げになる排泄動作を攻略

どうすれば帰れるか?在宅復帰の妨げになるトイレ動作を解決!-入院中の下部尿路機能評価から動作・環境面への介入、他職種連携を駆使したアプローチ方法-

前頭葉障害に対するリハビリテーション

遂行機能障害リハ(GMT、自己教示法、問題解決訓練、TPM)

高次脳機能障害でアウェアネスどう評価し、どう高めるか

効果を高める!高次脳機能障害のリハビリテーション-アウェアネス(病識・認識メタ認知)をどう評価し、どう高めるか-

移乗動作に対する脳科学的評価、リハビリ(ブレーキ・フットレスト管理等のエラーを減らす)

移乗動作の問題(ブレーキ・フットレスト管理等)に対する評価とリハビリテーション-高次脳・認知機能障害に対する、脳科学的な考え方と評価・アプローチ方法-

注意課題のプリント課題

注意障害プリント課題データ(文字選択、計算、図形)

橋損傷のリハビリテーション

橋損傷のリハビリテーション(脳画像からの評価項目選定や治療戦略立案)

視床損傷のリハビリテーション

視床損傷のリハビリテーション(なぜその症状が出現するのか?脳画像からの評価項目選定や治療戦略立案)

大脳基底核損傷のリハビリテーション

基底核損傷(被殻出血)のリハビリテーション(なぜその症状が出現するのか?脳画像からの評価項目選定や治療戦略立案)

小脳損傷のリハビリテーション

小脳損傷のリハビリテーション何をするか、しないといけないか(神経システムの理解、脳画像の診方、評価項目選定、治療戦略立案、治療の具体例)

脳卒中片麻痺のトイレ動作(下衣操作)のリハビリテーション実践方法

研究結果から導く!脳卒中片麻痺者のトイレ動作(下衣操作)のリハビリテーション介入-神経システムを考慮した評価・アプローチの具体例-

脳画像の達人へ

新人・学生さんが脳画像の達人に近づくために!脳部位と機能局在、脳のつながりから考える画像の診方!

リハビリテーションと運動学習

リハビリテーションと運動学習!保持や転移(汎化)を促す方法!

認知症リハビリテーション

認知症における作業活動の重要性と課題設定、評価の支援とポイント〜脳機能面も考慮して意欲と運動学習を促し、ADL・IADLを促す方法〜

起立と着座動作のリハビリテーション

起立と着座動作が上手くいかないの原因分析〜誰でも理解できる筋活動とバイオメカニクス、脳機能との関連性も踏まえながら〜

感覚障害のリハビリテーション

感覚障害のリハビリテーション!脳科学と伝統的リハを融合させる考え方と実践方法〜随意性の促進も見据えて〜!

物の名前が言えない!物品呼称障害の原因と脳機能のつながり!

スポンサードサーチ

MMSEにおける物品呼称の評価

MMSE(Mini Mental State Examination)では、その評価項目の中に物品呼称の問題があります。

①時計を見せて「これは何ですか」
②鉛筆を見せて「これは何ですか」

と、視覚的に確認させてから対象物が何であるのかを答えさせる課題です。

この問題を答えられないときには、どのような障害が考えられるでしょうか、また、物品呼称をするというのは、どのような脳機能とのつながりがあり、どのようなエラーが生じると呼称できなくなるのでしょうか。

MMSEについては以下の記事を参照してください。
MMSEの評価項目と脳機能との関連を解説!詳細評価に繋げるための視点!

スポンサードサーチ

物品呼称されるまでの脳内処理

まずは、物品を視覚的に確認してから、それが何であるかを発声するまでの脳内処理過程を考えていきます。

例えば、時計を見て「時計」と答えるまでの脳内での処理過程を見ていきます。

①時計を視覚的に確認
②視覚連合野で形態、色彩などの情報が分析、統合される
③統合した情報を意味記憶の情報と照合する(下側頭回)
④それが時計である(何であるかか)ことを認知する
⑤前頭葉や帯状回から運動開始の指令
⑥対応する語彙記憶をから音韻像に変換される「ト」「ケ」「イ」という音が左上側頭回に把持される
⑦音を構音するための運動記憶が左下頭頂小葉から呼び出される
⑧運動記憶に照らし合わせて運動連合野、運動野が各筋に指令を出す
⑨構音器官によって発声する

このような脳内処理から発声に至ると考えられています。

このような流れを見ていると、これらのうちどれかが障害されても、物品呼称の障害につながることがわかると思います。

脳内処理の大まかな流れと脳部位とのつながりは下図のようになります。

スポンサードサーチ

視覚性失認による物品呼称の障害

視覚性の失認があると、物品呼称ができなくなります。
その特徴としては、
・見たときだけそれが何であるかわからない
・触ったり、聴覚的な情報があればわかる
・動きの情報からは何であるかを認識できる
などが挙げられます。

視覚性失認に関連する脳内処理として、Whatの経路が挙げられます。

脳内の腹側の流れの障害がWhatの経路の障害になります。

Whatの経路では、視覚情報の統覚と統合から、側頭葉に貯蔵される名前や意味の情報と統合することで、見ている対象物の名称と意味を理解することが可能になっています。
Whatの経路(特に左半球)の損傷があると、視覚性の失認が生じます。

前途した物品呼称までの流れの中では、
②視覚連合野で形態、色彩などの情報が分析、統合される
③統合した情報を意味記憶の情報と照合する
④それが時計である(何であるかか)ことを認知する
に当てはまります。

スポンサードサーチ

意味記憶の障害による物品呼称の障害

意味記憶の障害による物品呼称の障害の特徴としては、
・視覚、聴覚、体性感覚を通しても、それが何かを呼称できない
・発症前に獲得した知識を取り出せなく、また発症後に知識を獲得することも困難
・前頭側頭型認知症に多い
などが挙げられます。

意味記憶障害による物品呼称障害と脳機能のつながりについてです。
物品の意味記憶障害は、両側病変が条件だと言われています。
これは、物品の認識には、
・視覚、体性感覚情報(左半球)
・特徴的な音の情報(右半球)
・特徴把握には言葉にしにくい情報(右半球)
などが必要であり、両側の機能が重要だとされているためです。

具体的な脳部位としては、両側側頭葉先端部になります。

記憶障害については以下の記事も参照してください。
健忘、短期記憶、長期記憶?記憶障害に関係する用語の定義を整理する!
脳卒中治療ガイドライン(2015)とエビデンスから見た記憶障害へのアプローチ!
記憶障害の詳しすぎる評価法やリハビリテーションアプローチを紹介

スポンサードサーチ

失語による呼称障害と感覚限局性の失語による呼称障害

失語による呼称障害では、すべての感覚系からの刺激入力があっても、同じ程度に呼称障害が見られます。

感覚限局性の失語による呼称障害ですが、前途した失認による呼称障害との違いとしては、
・呼称障害を生じる感覚系に刺激を入力しても、意味的連合検査やカテゴリー分類検査は可能
な点が挙げられます。

感覚限局性の失語が生じるメカニズムとしては、
・左半球で、特定の感覚系から意味記憶系への入力障害
・右半球の認知領域が左半球から離断
の2つの条件が重なるときに起こります(下図の1or2と4など)。

失語については以下の記事も参照してください。

スポンサードサーチ

さらに詳しい解説を動画で確認

チャンネル登録よろしくお願いします⇨https://bit.ly/37QHaWc

スポンサードサーチ

高次脳機能障害に対する介入でお悩みの方








呼吸療法認定士の資格を取りたい方は必見

呼吸療法認定士の資格勉強は隙間時間にするのがコツです。

呼吸療法認定士 eラーニング講座

スキマ時間勉強ならリハノメ

PTOTSTのためのセミナー動画が見られます。

各分野のスペシャリストが登壇しているので、最新の知見を学びながら臨床に即活かす事が可能です。

セミナーあるあるですが、、、メモ取りに夢中になり聞き逃してしまった。

なんてことはなくなります。何度でも見返す事が可能だからです。

高額なセミナー料+交通費、昼食代を支払うよりも、スキマ時間を見つけて勉強できる「リハノメ」を試してみるのも良いのではないかと思います。

臨床で差をつける人は皆隠れて努力していますよ。

長い期間で契約したほうが、月額が安くなります。

PT.OT.STのための総合オンラインセミナー『リハノメ』

PTOTSTが今より給料を上げる具体的方法

転職サイト利用のメリット

何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。

転職活動をする上で、大変なこととして、、、

仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる

この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)

管理人は転職サイトを利用して現在の職場に転職しました。

コーディネーターの方とは主に電話やLINEを通してのコミュニケーションを中心として自分の求める条件に合う求人情報を探してもらいました。

日々臨床業務をこなしながら、パソコンやスマホで求人情報を探すというのは手間ですし、疲れます。

そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。

転職サイト利用のデメリット

デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。

これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。

それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。

そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。

転職サイトは複数登録することも必要

転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。

それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。

せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。

その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。

また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。

自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。

とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!

ネット検索にある転職サイトの求人情報は表面上の情報です。

最新のものもあれば古い情報もあり、非公開情報もあります。

各病院や施設は、全ての求人情報サイトに登録する訳ではないので、複数登録する事で より多くの求人情報に触れる事ができます。

管理人の経験上ですが、まずは興味本位で登録するのもありかなと思います。

行動力が足りない方も、話を聞いているうちに動く勇気と行動力が湧いてくることもあります。

転職理由は人それぞれですが、満足できる転職になるように願っています。

管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。

「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典

転職サイト一覧(求人情報(非公開情報を含む)を見るには各転職サイトに移動し、無料登録する必要があります)

PT/OT/STの転職紹介なら【マイナビコメディカル】