今回、右半球損傷と認知コミュニケーション障害について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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右半球損傷でみられる高次脳機能障害としては、
・半側空間無視
・注意障害
・構成障害
・見当識障害
・病識欠如
などがあります。
これらのような、代表的な右半球損傷における症状からは、コミュニケーションの問題には直接的にはつながることはなさそうですが、実際には右半球損傷者においてコミュニケーション障害が認められます。
右半球症状とコミュニケーション能力について、
失語症において障害されるのは音韻,統語,語彙など短い単位での意味であり,その障害はいわば言語機能の基底的な要素的障害ということができるが,右半球損傷者はこうした失語症検査が測定するレベルでの障害はあったとしても少量で,本当の誤りは具象性が少なくて複雑な課題で明らかになるとされる.
竹内愛子他「右半球損傷者のコミュニケーション能力」音声言語医学 :178-187,1989
とあります。
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右半球損傷者では、簡単な会話はうまくいきますが、コミュニケーション能力は正常ではないとされています。
右半球損傷では、発話や言語問題と上位運動ニューロン性の構音障害を持っている場合があります。
構音障害は構音のわずかな不正確さや粗い声質、単調な話し方が特徴的です。
全体的には、発話明瞭度への影響はほとんど起こりません。
声の抑揚を欠いてしまい、感情的な表出が難しくなることがあります。
時に発話の速度やリズム、メロディの異常も見受けられます。
中には、対面での呼称、カテゴリー呼称、単語想起などに困難を示す場合があります。
これらは言語障害というよりも、注意や記憶などの認知障害の関連が考えられます。
言語の意味理解の低下と比喩表現などで困難を示すこともあるようです。
実用的コミュニケーションと談話の変化も特徴です。
出来事について述べる際に、話が脱線する、過度に詳細すぎる、多弁傾向になることがあります。
一部の患者はまれですが作話を用いることもあります。
談話は冗長(むだのある)で見当違いなこともあります。
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認知コミュニケーション障害は、左半側空間無視や注意の低下、混乱、病態失認、相貌失認、視覚失認などの障害を含む非言語的コミュニケーション障害によりさらに促進されてしまいます。
中でも、無視、注意障害、アウェアネス低下、衝動性はコミュニケーションに最も悪影響を与えます。
左無視では左からの話しかけにうまく反応できないことでコミュニケーションが阻害されます。
また、読み取りや書字にも影響を与え、処方箋を読むことが難しい、アンケートへの回答が不適切になるなどの問題につながります。
Myersは右半球損傷によるコミュニケーション障害を「非言語的経験の処理過程の基底にある注意と知覚機構の障害によって出現する,複雑でしかも文脈に基づいて行われるコミュニケーション事象の理解と表現の障害」と定義している.
このようにMyersによれば,右半球損傷者の空間の操作能力障害と複雑な統合処理能力の障害は別個の障害ではなく,前者の障害を基底とした連続体としてコミュニケーション障害がある,ということになる.竹内愛子他「右半球損傷者のコミュニケーション能力」音声言語医学 :178-187,1989
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右半球損傷者におけるコミュニケーション能力を評価する方法として、CADL(実用コミュニケーション能力検査)があります。
CADLには、以下のような検査項目があります。
・挨拶
・メニュー注文
・早口の質問に対する聞き返し
・量の概念
・名前、年齢、住所を伝える
・受診の申込用紙の記入
・yes-noで自分の情報を伝える
・買い物での値段の判断、品物の選択
・サインを読む
・おつりの計算
・電話を受けメモをとる
・症状を伝える
・テレビ欄を読む
・出前の注文をする
・指示理解
・エレベーターの階を伝える
・切符を買う
・電話番号を調べる
・時間を伝える
・道を尋ねる
・聞いた時刻に時計を合わせる
・新聞を読む
・ラジオの天気予報を聞く
・薬を指定された分だけ読む
これれらの項目に対して、ロールプレイを用いながら評価を進めていきます。
これらの課題は、右半球損傷者の空間の操作能力障害と複雑な統合処理能力の障害によって成績が低下することが予測されます。
詳しくは、以下の記事も参照してください。
失語症の知識(聴覚的理解と発話)の評価、リハビリテーション
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認知的なコミュニケーション改善についてははっきりと言及されていません。
介入では具体的な変化を示したい特定の課題に焦点を当てます。
対象者にとって、直接的で明確な手がかりは多弁の抑制を促せることがあります。
文書で書かれた指示に従う、小切手を書くなどの課題は、対象者の生活に焦点を当てた具体的な課題を通して取り組まれています。
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