新生児の上肢機能の発達について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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①把握
②手伸ばし
③操作
④リリース
という機能的特徴に着目していきます。
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新生児では上肢は生理的屈曲姿勢の影響を強く受けています。
緊張の緩みで腕を伸ばしたり手を開くことはありますが、他の刺激ですぐ屈曲・内転に戻り手を握ります(巻き戻り現象)。
腹臥位では緊張性迷路反射(TLR)の影響で全身を丸めています。
四肢の動きは多いですが、上肢だけを分離して動かすことはできません。
首の動きに左右され、背臥位でも首の動きで腕を伸ばしたりします。
全身の屈曲姿勢が緩むに伴い腕の伸びと時期の終わりには手を開いたままでいられるようになります。
腹臥位のような首の保持が不十分だと、手は握り締められます。
偶然ものを握っても、肘を伸ばすとても一緒に開き、ものを落としてしまいます。
背臥位で肩甲帯が対称的になると腕を正中線までもっていくことができます。
手を口に持っていくと視覚に先立ち口と手の間で身体が認識され、手はもう一方の手を発見します。
頸部のコントロール向上に伴い、自分の手を見て、手からもの、ものから手へ視線を移せるようになります。
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①腕のでたらめな運動
②モロー反射やATNRなどの強制的な上肢伸展させる反射
③腹臥位で頭部挙上による肩の下制(下制が頭部挙上を助ける)のような抗重力位での身体部分間での影響
反射では、初めは手の逃避反射(手の甲や尺側の刺激でそれを嫌うかのように指を伸展・外転させる)優勢ですが、徐々に手掌把握反射が強くなってきます。
逃避反射では、手関節背屈、手指伸展・外転が強く、把握反射では手関節掌屈、手指屈曲・内転が強くなります。
このような拮抗的な運動により、強い握りに必要な手関節背屈、手指屈曲・内転を獲得していきます。
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この時期は寝返りや座位を獲得する時期でもあります。
首、肩甲帯、体幹と抗重力伸展活動の向上に伴い、姿勢が上肢に影響することが少なくなり、背臥位でも前方に手を伸ばせるようになります。
前の時期では手を伸ばすには、体幹安定のために肩甲帯を床に押し付けますが、この時期では体幹の安定があるため、手伸ばしに伴い肩甲帯もついてくるようになります。
腹臥位にて片方の上肢を伸ばせるようにはなりますが、体幹を支持する必要があるため背臥位ほど余裕がありません。
そのため、腕全体の過剰伸展がみられます。
体幹の抗重力方向での伸展が増し、腹臥位でも股関節が完全に伸展するようになると、重心が臀部へ下がった分だけ(体幹上部→恥骨部周辺)、手伸ばしが容易になる。
発達障害と作業療法[基礎編]
眼球運動がスムーズになると、視覚が手伸ばしや把握を誘導するようになります。
前腕支持での左・右への体重移動は、前腕の回旋を促し、前腕の回外は手に握ったものを見やすくする。
視線がものと手の両方に注がれることにより、手の動き、手での触覚、視覚情報の3つが統合され、やがて視覚が主要な経路になり、見ただけでものの感触や運動感覚が想起されるようになる。発達障害と作業療法[基礎編]
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座位や膝位が獲得されると、環境の探索に有利なこれらの姿勢で多くの時間を過ごすようになります。
様々な姿勢変換に使用される伸展した上肢での支持や、転倒での手の保護的な使用が手の機能向上につながります。
座位でものが押せるようになると、下部体幹まで余裕を持ち伸展させる能力が備わったことを意味しています。
目での距離測定が向上し、ものに手を伸ばすときに、そこへ最短距離で手をもっていけるようになります。
四つ這い移動で手掌での体重支持を経験することは、手のアーチの形成を助けます。
手掌での前後左右への体重移動は、手指外転、伸展、手掌内の橈側と尺側の分離を促します。
これが母指と他指の対立を促し、指先でのつまみ動作を準備します。
見ただけでものがわかるようになると、見たものに合わせて口や手の形を整えれるようになります。
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立位バランスが安定してくると、上肢は姿勢の影響をほとんど受けなくなります
。
歩行では姿勢安定のために上肢はハイガードに用いられます。
座位では余裕ができ、肘や肩の動きを伴わない手関節と指の動きが行えます。
これにより、指先でものを回すことが可能になります。
尺側3指を曲げて尺側を安定させ、ものを人差指で突けるようになります。
小さなもののつまみが可能になると、目的のところでそれを離すことができるようになります。
はじめは腕を空間保持して指を選択的に動かすことが困難で、容器に手を添えて安定を作ろうとします。
指の伸展を前腕回外と共同して行おうとするために、回外位ではものを落とす傾向があります。
視覚との関係では、慣れてくると目を手元から離す余裕が生まれます。